JFサポーターズクラブ8月のイベント報告 メコン食べ物談義 森枝卓士氏講演会 1

 

メコン食べ物談義 森枝卓士氏講演会

 

8月19日に、JFサポーターズクラブ8月のイベントを行ないました。今回のイベントは日メコン交流年認定事業で、メコン地域の食べ物をテーマとしました。8月に発行した『をちこち』(特集:「メコンの暮らしから考える『人間と川』」)に寄稿していただいた写真家・ジャーナリストの森枝卓士さんに、メコン地域の食文化についてご講演いただきました。

今回のイベントは3部構成で、1部は『をちこち』の渡邊編集長より『をちこち』の編集秘話、2部は森枝さんの講演、3部は今回のイベントにちなんだベトナム料理を楽しみながらの交流会でした。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真1

インドの現代アートの絵を使った表紙

渡邊直樹編集長より、『をちこち』編集秘話

こんばんは、『をちこち』編集長の渡邊です。今日は、私が編集長になってから今までの『をちこち』を表紙を見ながら振り返り、また、最新号のメコン特集号の表紙の候補を見ながら、「どうやって雑誌の表紙を決定するのか」「みなさんならどの表紙を選ぶか」などを一緒に考えてみたいと思います。

さて、まず『をちこち』というタイトルですが、最初は『遠近』と書く漢字のタイトルでした。しかし、これはなかなか読むのが難しく、『えんきん』と間違えられたりするので、タイトルとしてはわかりやすく平仮名にしたほうがよいだろうと、第17号から平仮名で『をちこち』としました。 雑誌のタイトルというのは、「あ」から始めたがるものが多いのです。「アエラ」とか「アスキー」とか、あると思うのですが、「を」から始まるタイトルの雑誌というのはめったにない。非常に特徴があってよいと思います。

 

JFサポーターズクラブイベントの写真2

マンガの特集の表紙

この第17号は、「酒は地球を回る」という特集でした。表紙で酒を飲んでいるのは、開高健先生です。なかなか味のある写真ですね。続いての第18号はインドの特集です。『をちこち』という雑誌は、毎号特集があるのですが、ひとつは国や地域、もうひとつは先ほどの「酒は地球を回る」、のようなテーマで、この両方を交互にやっていきます。日本が外国をメディアで扱うときには、同じところばかり出すような傾向があると思うのですが、『をちこち』で国や地域の特集をやるときには、今まであまり紹介したことのないところを扱ったり、現地の人にも原稿を書いてもらったりします。薄い雑誌ではありますが、こういうことをこんなにやっている本は他にはありません。

 

さて、インドの表紙に戻りますが、これはムンバイに住んでいる現代アートのアーティストの作品です。4つくらい候補があって、その中からこれがよいのではないかと選んだのですが、今年六本木で「チャロー!!インディア」というインド現代アートの展覧会があり、そのときにこの絵が来ていて、初めて本物に対面することができて、嬉しかったです。

続いて第19号は、マンガの特集です。当時外務大臣であった麻生太郎さんと呉智英さんの対談が収録されています。次の第20号は、フランスの特集で、表紙はリールのフェスティバルの写真です。表紙の写真を決めるときに、内容と合っていることはもちろんですが、表紙としてインパクトがあるか、ということをいつも考えて決めています。

第21号は、国民的女優が特集のテーマです。それぞれの国で、国民的女優といわれる女優は誰か、というのがテーマだったのですが、日本では吉永小百合さんの名前があがりました。表紙も吉永さんではどうかと思い、私が篠山紀信さんを知っていたので、吉永さんの写真をたくさん撮られている篠山さんにも話をしていたのですが、表紙に使うのはNGということになり、中で使わせてもらいました。表紙には、イタリアのアンナ・マニアーニという女優の写真を使いました。彼女はすごく強い目をしていて、この目力のインパクトがあるので、結果的にはよかったと思います。

 

をちこち22号表紙画像

インパクトのあるブラジル

インパクトのあるブラジル

第22号は、ブラジルがテーマでした。表紙の写真はサンパウロのカーニバルですが、お寺のような建物があったり、金色の仏像があったりと、ブラジル人がイメージした日本を表現したのだそうです。これも、非常にインパクトがあります。第23号は翻訳が特集テーマの号です。こういうテーマのときの表紙写真がけっこう困るんですね。どんな表紙がよいかといろいろ悩んだあげく、印刷博物館の翻訳されたロビンソン・クルーソーの本を撮影して表紙に使いました。

 

第24号は、インドネシアの特集ですが、この表紙の絵は、日本人のトーチカというアーティストがインドネシアに行く前に、インドネシアをイメージして描いたものです。第25号は、横浜トリエンナーレの出展作品です。

第26号は、イギリスの特集号ですが、この表紙はエリザベス女王、チャールズ皇太子、ウィリアム王子、ポール・マッカートニーにエリック・クラプトン・・・と、なんとも豪華なメンバー揃いですが、これは何かというと、エリザベス女王の即位50周年記念コンサートの写真です。チャールズ皇太子のちょっと長めのスピーチの直後の写真を使いました。

 

をちこち27号表紙画像

日本の様々な表情を
捉えた変わった表紙

第27号は、「世界の研究者が見つめるNIPPON」という特集で、日本研究をテーマにした号だったのですが、これも表紙写真は困りました。写真家のクリス・スティール=パーキンスさんが撮影した様々な東京の写真をコラージュにした作品を表紙に使わせてもらいました。

第28号のドナウを特集した号では、ブダペストの王宮の上から撮った写真を使いました。これは、実は私が撮影した写真なのですが、まさか表紙になるとは思ってもいませんでした。しかも、表紙になっただけではなく、ポスターにもなりました。この写真は一眼レフで撮ったわけではなく、普通のデジタルカメラで撮影したので、引き伸ばしたら画像が荒くなるのではないかと思っていたのですが、ポスターになっても画像はきれいなままで、感心しました。

 

 

をちこち29号表紙画像

話題になった 尾上菊之助さん
の表紙。歌舞伎の特集だと
一目でわかる。

第29号は、歌舞伎の特集で、表紙の写真は「NINAGAWA十二夜」で主演を演じた尾上菊之助さんです。初めは、ロンドンのバービカンシアターでの「NINAGAWA十二夜」公演の最後のスタンディングオベーションのシーンの写真を使いたかったのですが、著作権の問題があり、ひとりひとりに許可をとるのが難しくて、断念しました。でも、この菊之助さんの写真はすごく美しく、インパクトがあって、ポスターにしたときに盗まれるんじゃないかと思ったほどです。

 

 

 

 

 

 

をちこち30号表紙画像

たくさんの候補写真の中から
決定したメコン特集号の表紙

最後に最新号の第30号ですが、これは、「メコンの暮らしから考える『人間と川』」という特集テーマと響きあうものということで考えました。メコン川のイメージ、暮らしということを連想できる絵か、人間と川なので、人間が写っているかなど。それから、よい写真でも、表紙には必ず文字が入るので、文字が入れやすいか、文字とのバランスが合うかなども大切な要素です。子どもの写真、おばあさんの写真、背表紙とつながったタイプの写真など、たくさんの候補がありましたが、結局、表紙になったのはこの猟師が鯰を釣り上げて笑っている写真です。川と密接した人間の暮らしが感じられることと、鯰のインパクトから選びましたが、みなさんが選ぶとしたらいかがでしょうか。違う写真になるかもしれませんね。

 

雑誌ができるまでのこんな過程にもちょっと思いを巡らせると、また見方が変わるのではないかと思います。それでは、私の話はこのくらいにして、いよいよ森枝さんのお話に移りたいと思います。

 

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