「冬のソナタ」と文化の翻訳 企画評価課長 小川忠

 

福岡で開催された日韓交流シンポジウムで印象深い発言を聞いた。NHKで放送された日本語版「冬のソナタ」は吹き替えの段階で、日本人の感覚にあうように文化の翻訳が行われている、という。こう語ったのは、自ら日韓の芸術家交流に関ってきた作家の姜信子さん。

そこで日韓両語で聞き比べてみた。ヒロインのユジンは、ちょっと勝気だけど、一途に初恋の人を想いつづける純粋な女性という役柄設定である。日本人の私には、韓国語版はユジンの勝気度がやや高くなっているような印象を受けた。日本語版のユジンとヨン様演じるチュンサン二人のやり取りは優しく聞こえ、一方韓国語版の方は、主張をもった「個」の確立した大人の男女を思わせる。一般に日本社会は、自分の感情をオブラートに包んで表現することを美徳とし、韓国社会は、物事の白黒をはっきりと相手に伝えることをよしとする、といわれる。

こうした文化の違いからくる違和感を軽くするために、元々の意味を損なわない程度に語り口をソフトにする微調整が、「冬ソナ」日本語版では行われているのである。日本語版は韓国理解の入門篇。韓国語で聞く「冬のソナタ」にこそ、奥深い韓国文化の世界が拡がっている。文化交流による相互理解とは、「自分たちと同じ」という同質性への共感と、それぞれの文化が持つ違いを発見し、尊重しあうことだ。今年は「日韓友情年2005」。新たな共感と発見が生まれることを期待したい。

(公明新聞 17年1月14日掲載)

 

 

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