『遠近』誕生秘話

 

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)の機関誌として1973年から30年以上にわたり発行を続けてきた『国際交流』は、104号(2004年7月1日発行)をもって幕を閉じました。

『国際交流』では、毎号テーマを設けて文化交流に関する特集記事、エッセイ、対談等のほか、ジャパンファウンデーションの活動紹介記事を掲載していましたが、創刊当時とは状況が異なり、国際環境が多様化してきたため、2004年10月より『遠近(をちこち)』としてリニューアル発行する運びとなった次第です。

名称変更は、「国際交流」という名前に愛着を持つ方々、またジャパンファウンデーションの多くの職員にとって衝撃的なことでした。「国際交流」は一般名詞化しているため認知されにくい、しかし、JFの機関誌としてその名称が最もふさわしい、30年以上の歴史のある名前を残したい、などと半年にわたって侃侃諤諤の議論が展開されました。

しかし、「国際交流」という名前には、どうしても「国家と国家」のイメージがついてまわります。時代の流れから、「国家と国家」だけでなく「人と人」を結ぶ文化の掛け橋としての役割を果たしたい、また、日本語・日本文化を海外に知らしめ、さらに諸外国との相互理解を深めたい、という想いを込め、名称変更の方向性が決まりました。その後、名称変更を前提として、職員からアイデアを募り、70件以上あった候補案件のなかから、「遠近」という名前が採用されるに至ったのです。

「遠近」は「をちこち」と読みます。本誌の表紙には、「遠近」という漢字表記のほかに、平仮名表記の「をちこち」、アルファベット表記の「wochi kochi」も併記しています。「遠近」は、場所と時を示す指示代名詞で、「あちらこちら・ここかしこ」「未来と現在」を意味するやまと言葉です。「彼方此方」と書くこともできます。そこで、本誌には「国際交流がつなぐ彼方と此方」という副題もつけているのですが、お気づきの方はいらっしゃいましたでしょうか。ちなみに、菓子製造会社「両口屋是清」の「をちこち」という和菓子とは無関係です(なお、JFは『遠近』として商標登録も済ませています)。

 編集には、①日本文化の魅力を「国際財」として対外的に発信できる支持基盤を世論のなかでかたちづくれるよう、時宜に応じた特集を組む、②JFジャパンファウンデーションの活動内容を、読者にとって有益で興味深い読み物として提供する、③時代の流れを把握しながら、JFならではの独自の視点から情報を提供していく、の3点を主に心がけています。

『遠近』は日本で唯一の国際交流専門誌として内容をさらに充実させ、文化交流に携わるすべての人々の必読書としてその責務を果たしていきたいと考えています。皆さんも、お近くの本屋さんで『遠近』を発見したら、ぜひお手にとってみて下さい。そしてJFをさらに身近に感じていただけると幸いです。

 

 

 

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