コリア・ジャパン・ロードクラブフェスティバル2005 ~揺れる日韓関係と文化交流~

 

コリア・ジャパン・ロードクラブフェスティバル2005の写真1

SOUL FLOWER UNION (撮影 松谷椿土)

竹島(韓国名ドクト)問題で日韓関係が緊張し、今年の「日韓友情年」にあわせて企画された多くの交流事業が中止や延期に追い込まれる中、わたしたち国際交流基金では先月ある文化交流事業をソウルで実施した。

「コリア・ジャパン・ロードクラブフェスティバル」と題したイベントだ。若者のクラブカルチャーに焦点を当て、日本と韓国のDJやヒップホップ・アーティスト、ロック・ミュージシャンや美術作家などが参加して3月25日から26日にかけて開催された。日本からは総勢80名に及ぶ出演者やスタッフが参加した。会場となったのは、今ソウルで最もホットな街として注目されているホンデ地区。クラブやライブハウスが密集し、洒落たカフェなどの飲食店やブティックが多くの若者を惹きつけている地域だ。

共催者は韓国のクラブ文化協会というNPOで、若者文化の最先端地域に街づくりというコンセプトを持ち込み、クラブのオーナーたちと協力してドラッグや暴力を排除し、定期的にフェスティバルを開催している団体だ。

コリア・ジャパン・ロードクラブフェスティバル2005の写真2

DJ KENTARO (撮影 松谷椿土)

1年近く前から準備していた日韓の関係者に衝撃が走ったのは、実に本番直前の2週間前だ。島根県議会による「竹島の日」条例制定の動きが韓国のマスコミで大きく報道され、一部民衆が激しく抗議行動を行って韓国の世論が騒然となった。

当基金ソウル事務所も、デモ隊に攻撃される場合に備えて緊急非難体制を確認した。そんな険悪な雰囲気の中、一般の韓国人より、何故この時期に“日韓友情”と銘打ってわざわざイベントを実施するのかと、クラブ文化協会や近隣の警察署に匿名の抗議電話が寄せられた。またホンデ地区に置かれた本イベントの広報用バナーが何者かによって破られる事件も起こった。

地元の警察署からもこのイベント実施への危惧が、当基金ソウル事務所やクラブ文化協会に伝えられた。さらにこのイベントに関わることで受けるイメージダウンを憂慮した韓国側主要スポンサーが急遽降板する事態となり、現地での事業予算は半減した。

刻一刻と状況が進展する中でわたしたちにとって幸いだったのが、17日に出された「対日新ドクトリン」と称される韓国政府方針で、文化交流については「日本の退行的態度にもかかわらず、基本的なパートナー関係は傷つけない。経済、文化交流は続ける」と述べられたことだった。その段階で、今回のイベント実施に対する慎重論に歯止めがかかったと考えた。予定通り本番前日の24日までには日本からの出演者とスタッフがほぼソウル入りし準備は整った。

 

コリア・ジャパン・ロードクラブフェスティバル2005の写真3

観衆とミュージシャンが一体となって・・(撮影 松谷椿土)

そしていよいよ本番の25日。急遽70名程度の警備体制を敷いたために、メインの公演会場となった特設野外巨大テントの周辺はものものしい雰囲気に包まれていた。しかし、公演開始の午後6時頃には多くの若者が集まりだして、街は次第に熱気に包まれた。公演は2ヶ所のテントのほか、20ヶ所のクラブやライブハウスで、美術展はギャラリーで実施された。途中、竹島問題にからんだ妨害やいやがらせなど一切なく、ライブ会場は超満員となり、会場からあふれた若者が街中を埋め尽くし多くの若者が夜明けまで音楽に酔いしれた。クラブ文化協会の発表によれば、この日は、通常のクラブデーより1~2割多い12,000人の観衆が集まったという。

 

今回参加した出演者・スタッフの多くも同じ思いであったと想像する。誤解を恐れずいえば、今回のような厳しい状況に置かれたからこそ、わたしたちはこのイベントを通じて韓国の人々とより深く関わることができたと今は実感している。それは日韓両国の何人ものアーティストやスタッフが語っていたことでもある。

 

 

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