CORE OF SOUL 北京公演レポート

 

ギタリストのソン・ルイ氏の写真

ギタリストのソン・ルイ
(撮影:Liu Yi Xiang)

『衣錦還郷』という中国語がある。日本語で言えば、『故郷に錦を飾る』か。今回の北京ライブを、多分メンバーの中で誰よりも心待ちにしていたのは、ギタリストのソン・ルイくんだと思う。北京で生まれ育った彼にとって、この街でのライブは、今回のアジアツアーの中でもきっと特別な意味を持っていたことと思う。

ライブ当日は、幸い穏やかな晴天に恵まれた。一番の気がかりだった天候に恵まれたことで、成功の条件が整った。今回のアジアツアーを通して、完璧なチームワークを培ってきたスタッフ達が、それぞれのプロの仕事を黙々とこなしていく。メンバーも、賑やかに談笑しつつも次第に緊張が高まっていく様子が見て取れる。リハーサルでは、入念に音、照明を確認していく。『いいものを創りたい』という熱気が溢れている気がした。

18:30に開場する。10代後半から20代前半と思われる少女たちを中心にスタンディングスペースが埋まっていく。その様子を見ながら、開演に向けて徐々にこちらの緊張感も高まっていく。COSの音楽は、北京のJ-Popファンにどのように受け止められるのか…。

 

ボーカルのFukko氏の写真

ボーカルのFukko
(撮影:Liu Yi Xiang)

19:30に開演。オープニングは「Flying People」。ハードなギターのリフで始まるアップテンポなナンバー、そしてソンくんのギターで始まったということも、オープニングナンバーにふさわしいと思う。

これも北京人の特徴か、最初は静かに見守っていたお客さんも、Fukkoちゃんの迫力ある歌に惹き込まれるように盛り上がりを見せ始める。最初のMC(トーク)では、Fukkoちゃんに促され、ソンくんが中国語で話し始めた。「北京で生まれて、育って、そして日本に行って、バンドを始めて…。12年間の間、ずっと、北京でライブをやりたいと思っていました。今は日本に住んでいて、友達もたくさんいるけど、北京はやっぱり、ぼくの故郷だから。」温かい拍手と共に「お帰り!」の声がかかる。この瞬間ぼくは、ライブの成功を確信した。90分の完全燃焼、最後は大いに盛り上がってライブは終わった。ライブ後にソンくんに感想を聞くと、満面の笑みで「感無量ですね」と答えてくれた。

ライブは、それ自体が一つの作品であると言われる。実際、メンバーはもちろん、制作に携わるスタッフの地道な仕事の積み重ねで成り立つものだと、ぼくも考える。この作品は、もちろんお客さんに供されるために創られるものだけれど、今回はすべてのスタッフ間に、「ソンくんの故郷でのライブを成功させよう!」という強い意志があった。このすばらしい作品の創作に際し、微力ながらも参加できたことを本当に嬉しく、そして誇りに思っている。

冒頭に書いた『故郷に錦を飾る』は、ひょっとすると、まだ若いソンくんには似合わない言葉だったかもしれない。彼には、これからも日中を音楽で繋ぐ夢を追いかけていってほしいし、もっと大きな錦を飾る日が来ることを期待している。

北京日本文化センター栗山政幸

 

 

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