タイからの2007年新春レポート -2- タイの花博と日タイ修好12周年記念イベントを盛り上げる和太鼓演奏

日タイ修好120周年オープニング記念式典

日タイ修好120周年オープニング記念式典の写真1
男ばかりの東京打撃団(左)と女ばかりの炎太鼓(右)
cバンコク週報提供

会場となったのは、タイを代表する劇場であるタイ文化センター大ホールです。これは日本政府の経済協力で建設され、1987年にオープンした、客席数2000の大劇場です。
記念式典ではまず、両国の代表者がスピーチをおこないました。タイ側はニット・ピブンソンクラム外務大臣、日本側は岩屋毅外務副大臣、このあと、安居祥策日タイ修好120周年実行委員会委員長のスピーチが続きました。客席にはアピラック都知事、タリサー国立銀行総裁等のタイ国VIPが見受けられました。

このあと和太鼓の公演開始です。チェンマイで観客を魅了した「東京打撃団」に、「炎太鼓」という女性3名で構成されるグループが加わっています。こちらは1986年の結成以来、日本はもとより世界各地で演奏ツアーを重ね、20年にわたって日本の太鼓シーンを牽引してきたベテランです。


日タイ修好120周年オープニング記念式典の写真2
東京打撃団と炎太鼓のジョイント演奏
cバンコク週報提供

出展各国はそれぞれナショナルデーを割り当てられ、式典や各種催しを繰り広げていますが、日本は1月13日をジャパンデーとして、ナショナルセレモニー(式典)を開催しました。日本側からは篠原駐チェンマイ日本国総領事、屋外展示を管轄する国土交通省の渡辺副大臣、屋内展示を管轄する農林水産省の吉田審議官等が出席、両国の国歌敬聴、国旗掲揚に続いて、日タイ修好120周年実行委員会委員長である安居祥策氏がスピーチを行い、それを受けて「東京打撃団」による和太鼓公演がスタートしました。


日タイ修好120周年オープニング記念式典の写真3
タイの人気太鼓グループ「サバッチャイ」が特別出演
cバンコク週報提供

舞台中央の淡い照明のなか、奏者の背丈をこえる位置で口径4尺の大太鼓がほのかに浮かびあがります。

太鼓の前には、両足を斜めに広げて腰をおとし、撥(ばち)を握ってスタンバイする奏者。すっと撥が振りおろされ、最初の一撃。ドドーン、ズズーンという深くて重い大音響が、音圧とともに客席を襲いました。その音が3階席のはるか上方まで一気に上り、天井や壁に激しくぶつかって反響。これまで聞いたことのない大きなこだまのような音が、大劇場の巨大空間をゆるがします。

「東京打撃団」と「炎太鼓」のプログラムは、ジョイント演奏とソロ演奏を上手く組み合わせて進められましたが、一曲ごとに観客の拍手が大きくなり、公演の最後は観客が総立ちとなり、スタンディングオベーション。太鼓のビートはときに激しく強く、またときに優しく繊細で、ダイナミックに、自由自在に躍動します。あたかも観客の心をギュッとわしづかみにして、瞬時に異空間に持ち去ってしまうような感覚をおぼえます。観客はいつのまにか、律動する太鼓の音のなかに身を委ねてしまっているようでした。
私はこの公演の担当者として、万一のトラブルに備えていました。いつでも舞台裏に駆けつけられるよう、楽屋口に近い場所に陣取って、舞台や客席など全館内に目を配っていたのですが、知らず知らずのうちに舞台に引き込まれ、仕事を忘れている自分にハッとする場面がありました。今まで経験した劇場での仕事でも、こんなことはめったにありません。この公演には、そのくらい観客をひきつける力があったのです。
太鼓は楽器の性格上、どうしても単調になりがちです。しかし本公演は、プログラムに様々な工夫があり、そのコントラストがたいへん印象的でした。たとえば場内を揺るがす強烈な大太鼓のあとは、情緒豊かで静かな篠笛のメロディーが流れる。かたずをのむ緊張した演奏の次は、思わず笑みがこぼれるユーモラスな曲目といったぐあいに、緩急強弱をうまく対比させた、自由自在の構成・演出を見せてくれました。
各演目のエンディングではたいてい、撥の動きがつながってまるで扇のようにみえるほど、速く激しい打ちこみがおこなわれるのですが、最後の一瞬には複数の奏者が一斉にぴたっと静止。激しいビートをともなう太鼓音から、瞬時に静寂が訪れ、そのあとに、場内の空気がまだ震えていて、ジーンとしびれているような感覚が余韻となって残ります。一呼吸置いて、演奏の音にもまして大きな拍手が、観客席から湧き起こります。こうした動作と音のあざやかなコントラストや、奏者と観客が織り成す一体感にも、強く心を打たれました。

今回は日タイ修好120周年記念事業ということで、第二部の冒頭10分ほどに、タイの人気太鼓グループ「サバッチャイ」が特別出演しました。サバッチャイは、古代王国「ランナー」時代に遡る伝統的な打楽器です。もともと戦での勝利を宣言する時に打ち鳴らされ、宗教的な儀式で使用されてきました。

最後に余談をひとつ。公演中にいつも気になるのが、観客の携帯呼び出し音です。タイでは日本以上に、よく鳴り響きます。今回は演目の一部に静かな篠笛の演奏があったものの、ほとんどが場内の空気全体を振動させるほどの圧倒的な音量であったため、無神経な携帯音に悩まされることがありませんでした。(太鼓の大音響にかき消されただけで、おそらく何回かは鳴っていたと思われます。)これは主催者にとって思いもつかなかった、太鼓公演の大きなメリットでした。

日タイ友好につながる大きな手ごたえ

この太鼓公演については、年末から年始にかけてテレビでスポット広告を放映した効果があり、公演前日までにチケットはほぼ完売していました。当日は招待者席を含め、劇場はほぼ満席に近く、主催者側は大きな手ごたえを感じました。
タイのテレビは、チャンネル3、7、9、11、iTV、TATVなど、全国ネットの地上波キー局のほとんどすべてが取材に訪れました。新聞社については、国内最大の発行部数をほこるタイラット紙(発行部数100万部)、タン・セタキット紙をはじめ、英字紙、現地邦字紙などが取材、記事を掲載しました。

「東京打撃団」と「炎太鼓」。彼らの高度な技量に支えられた卓越した演奏と演出は、タイの人々に大きな感動を与え、日タイ修好120周年のオープニングにふさわしい公演となりました。これから一年の間に、タイ、日本の両国では様々なイベントが開催される予定です。どうぞご期待ください。





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