喧騒の都市バンコクでの静かな演劇 −前半−

青年団(平田オリザ氏主宰)による『東京ノート』バンコク公演 舞台ウラをレポートします

箒や竹を使った舞台の写真
箒や竹を使った舞台

日本の現代演劇はことばの壁もありこれまでタイであまり紹介されてこなかったが、さいわいにも先月、青年団(平田オリザ氏主宰)による『東京ノート』バンコク公演をタイ語と英語の字幕つきで実施することができた。会場はバンコク市内のチュラロンコン大学文学部ホールで、6月23日から25日にかけて計3回公演を実施しアフタートークも一回行った。青年団については同団のサイト をごらんいただくとして、ここでは海外公演の受け入れがどうおこなわれるかを中心に、舞台ウラを少しご紹介したい。なお青年団は今回タイ、マレーシア、そしてインドネシアと巡回した。

現代演劇公演 青年団「東京ノート」バンコク公演の詳細はこちら【PDF:158KB】

 (国際交流基金バンコク日本文化センターのプレスリリース)

タイで調達する舞台セット

5月はじめ、公演のほぼ一ヶ月半まえ、青年団の舞台美術家と照明デザイナーが事前調査のため来タイした。「今回は東南アジア各地の特色ある材料を使って舞台セットをつくりたい」と担当の舞台美術家。「はあ」と頼りない返事の私。「現地で特色のある材料といわれてもなあ。今やバンコクはコンクリートばかりの都市だしなあ」と内心思ったものの、チュラロンコン大学演劇学部で紹介されたお店をさがしに車で小一時間ほど北へ走る。意外や意外。こんなところに建築資材のお店がものすごい数で集まっているなんて。普通の木材、合板などを扱っている店はもちろんのこと、竹を専門にしている店とか、家具用の資材専門とか、わたしにはよく判らないほど実にさまざま。いわば秋葉原のようなところでここにくるとすべての用が足りる。合板、波型屋根素材、木材、竹、箒(なぜ?)などなどをまとめ買い。最後にどんな舞台セットになったかは写真をごらんください。

暑さとの戦い

6月15日舞台セット現地制作のため先乗り隊として6名が本隊21名に先んじてバンコクに到着。本隊は20日着の予定。本隊が来るまでのこの5日間を利用してセットを完成させなくてはならない。冷房のない作業場で毎日作業が続く。暑い、熱い、あづい・・・。汗がとにかくよくでる。初日は下痢もあってスタッフが疲れ気味だったが、三日目ぐらいから体調が整ってきた。作業はきわめて順調に進み、19日は一日お休み。ご希望によりバンコク北方80キロのアユタヤ遺跡にお連れした。二百年ほど前まで大きな都があったところで、ユネスコ世界文化遺産に登録されている。スコールで洗われた遺跡をみて一同感激のおももち。わたしはもう何回も来ているのだが、スコール直後の遺跡めぐりは初めてで、しっとりとしたたたずまいの遺跡群にかつてないほど心動かされた。これまではいつも来るたびに猛暑の中を歩き、想い出はその暑さだけだったのだ。

通関で緊張

平田オリザ氏のアフタートークの写真
平田オリザ氏のアフタートーク

20日本隊がいよいよ到着した。バンコク国際空港に迎えに行く。公演団を迎えるときいつも心配なのが公演用荷物の通関時。

そもそも一行の人数が20名を超え目立つし、公演用の荷物は衣裳、小道具、機材などでどうしても通関で目に付く。出口最初の係官のところは無事通過。あまり労働意欲がみられずありがたい。そのあとのエックス線装置のところでつかまった。緑色に統一した大量のトランクに目をつけられ「ちょっと待って」。小道具やら舞台衣装やら一般の旅行者には縁のない荷物ばかりで確かに不審だ。すかさず「じつはチュラロンコン大学で公演する劇団なんです」とつたないタイ語で説明し何とかここも通過。山場をこえてほっとひといき。いつも公演団が到着するときはこれが恒例の通過儀礼。公演団にカルネ(職業用荷物などを一時輸入するための通関手帳)を携行してもらうときももちろんあるが、長所短所双方あり、使うかどうかはケースバイケース。今回はカルネなし。

大学ホールを会場に

つめかけた若ものたちの写真
つめかけた若ものたち

21日から仕込み、場あたり、リハーサルなどをへてようやく23日公演初日をむかえる。大学という場所がらなるべく多くの若い人たちに見てもらうため入場無料とした。

公演会場の収容人数は120から150名ほど。階段状の床に椅子をならべていく可動式のため座席数は公演規模・内容にあわせ適正数にすることができる。青年団は事前に席数が多くても150席程度の小さな会場を要望してきた。この要望にそって、3年前平田オリザ氏が基金主催派遣で来タイし、演劇ワークショップを一週間近くにわたり実施したことのある、チュラロンコン大学文学部附属ホールを確保した。このホール以外は、青年団の希望にそう会場はバンコクのどこをさがしても無い。



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