オリンピックに沸く北京【1】

道路の写真

8月7日の夕方、交通規制で渋滞する道路。

開会式

2008年8月8日8時8分、北京オリンピックが開幕しました。開幕2,3日前から道行く北京市民の足取りもソワソワし、当日は家でご馳走を食べようとスーパーには溢れんばかりの人が並んでいました。まるで春節前のスーパーのよう。
5日~7日には、北京国際空港に世界各国のチャーター機、オリンピック専用機が到着、続々と世界各国からの選手や要人が到着し、市内の交通規制がピークに達しました。更にテロの予告があったということもあり軍隊、交通警察、公安の警備が厳しくなりました。ナンバープレート規制が7月20日から始まっていましたが、それでも会場や大使館付近は交通規制でかなりの渋滞が見られました。

今年の開会式は、私自身はいつもお世話になっている日本語の先生のお宅で中国、日本人合わせて10人ほどで集まって大きなTVで見ることができました。開会式を見ながら中国の友人たちが「これは20年前の中国の体操選手だよ、太っちゃったよね~」とか、「この女の子はこの後売れっ子になるに違いない」とか、日本人だけで見ていたら感じなかった中国の人の開会式への想いや感想を聞きながら盛り上がりました。現地で中国の人たちと一緒に肩を寄せ合って開会式を見る事ができたのは本当によい経験でした。

北京オリンピック観戦の人々の写真1

国旗のペイントをして応援!

開会式後の報道によると開会式で放送された29の巨人の足跡花火のうち28個がCG映像だったとのこと。天安門から鳥の巣までの距離で花火を追っていくヘリコプターの技術の難しさと安全、空気汚染を気にして1年かけて演出したものだったそうですが、CGであったとは3日後まで知りませんでした。それくらいよくできた画像だったのです。

開会式は、国家の威信をかけて400億ドル(日本円で4兆円以上)をつぎ込み行なわれました。世界的映画監督のチャン・イーモウ監督プロデュースだったこともありますが、鳥の巣の広い舞台を利用した数千人の人員による一糸乱れぬ演出は、中国の文化や伝統といったバックグラウンドがあるからこそ実現できた壮大なアジアンアートであり、中国の儒教や道教から受ける美意識を十分に感じられる舞台だったのではないかと思います。

地下鉄路線図の写真

新しい路線が開通した地下鉄の最新路線図

素晴らしいと絶賛された反面、今回の開会式は盛大すぎるとも言われました。しかし、四川大地震という中国史上最大規模の自然災害との戦いを経て13億人の人民に支えられたオリンピック開会式は今の中国の勢いを国内外に認識させるために必要な規模だったのかもしれません。とにかく、壮大な開会式だったことは間違いありませんし、中国国内でも8.4億人以上の人がTVで見たという開幕式、観客として楽しめるものだったことは確かでしょう。

中国ではCCTVで試合のもようが毎日放映されていますが、たくさんのアナウンサーがいろいろな実況中継をしていて、コメントを聞くだけでも楽しめます。
例えば11日のバドミントン女子ダブルスの試合中、日本応援団が「一休さん」の曲を使っていた時、CCTVのアナウンサーが「日本は世界で一番アニメ文化が発達した国ですよね。一休さんも、日本の昔の作品で、中国でも放映されていました。○○も、○○も日本のアニメです。」とコメントしていました。このコメントを聞いたときに、アナウンサーが中国と日本の試合の最中に日本文化に触れたことに驚き、心温まる感じがしました。(今も朝10時から「一休さん」がCCTVで放送されています)

インターネットではCCTVのサイトでオリンピックのLIVE放送と、録画をみることができます。そしてもちろん、バスと地下鉄のTVもオリンピック一色です。今の北京ではおそらくどこを移動していても金メダル情報や試合の情報をみることができるでしょう。そして、夜2時3時でもマンションの灯りが結構ともっていますから、みんな寝不足であることは間違いありません。

チケット入手のために並ぶ人々の写真

チケット入手のために並ぶ人々

会場での観戦はというと、オリンピックのチケット販売は、中国の公式チケット販売のサイトで事前に3段階に分けて販売されました。しかしながら、応募者が殺到してサイトのシステムがダウンするほどでなかなか買うことができず、私は直接会場で販売される第4段階のチャンスに賭け、2日間にわたって友人と朝早くから並んだのですが、2万人以上にものぼる行列と猛暑で諦めて帰ってきました。ところが、オリンピックが始まると、学生、知り合いからチケットを譲ってもらえるというラッキーな話が舞い込んできて9日には体操の予選、10日にはフェンシング、14日には野球の台湾戦、15日には自分が今所属している大学で柔道を、17日にはボートのチケットを頂き、18日にはシンクロのチケットも手に入り、仕事を抜け出して会場へ足をはこんできました。 

10日のフェンシングの試合会場では5歳くらいの男の子がイタリアとフランス選手の試合を熱心に観戦していました。彼はハンガリー応援団の中に混じって、ハンガリー語を真似て「頑張れ、頑張れハンガリー!」と大声で叫び、皆の注目を集めていました。 

中国の国営企業や協賛企業にはチケットの割り当てがあり、ご老人や子どもたちも多く観戦しています。私は、この機会がなければ一生LIVEで観戦することが無かったかもしれない競技の試合や、一生話すチャンスが無かったかもしれない外国人と触れ合う機会ができた子どもの笑顔を見て「これこそオリンピックの醍醐味だ!」と感じることができました。

国家水泳センターの写真

数々の記録が生まれた
水立方(国家水泳センター)

14日の野球では、台湾応援の多い席で観戦しました。両肩に中国と日本の国旗のシールを貼って、ファインプレーがあったときにはどちらのチームに対しても拍手するようにしていたら、周囲の中国人に笑われながらも楽しく一緒に応援することができました。日本の応援団も張り切っていて、応援団長がホイッスルを吹きながら日の丸を振り、周囲の日本人を集めて熱い応援を送っていたのが印象的でした。

15日の柔道では、大学(北京科技大学)の中に設置された競技会場ということもあり、何となく安心感があるというか、普段見慣れた風景の中に競技場がありました。他の会場では周りに食事をするところが少なく、会場内には食べ物の持込が禁止されていてポップコーンやジュースやパンなどの軽食しか食べられないのですが、さすがに大学の敷地内ということで、外に出ればすぐに学食に入ることができ、「大学キャンパス内の会場もいいものだな」と思いました。また、自分が剣道をやっていたこともあって、武道には親しみがあるものの、日本、韓国、中国、というイメージが強かったので、会場に溢れかえる国際色豊かな観客の面々には圧倒されるばかりでした。しかも、金メダリストの谷本選手、鈴木団長も発見!ちょっと得した気分になれた柔道観戦でした。

17日のボート会場での観客は中国以外のチームにも熱い声援がおくられ、頑張るスポーツマンを会場全体が応援するすがすがしい応援だったと思います。

よくメディアでは中国の観戦マナーが悪いと取りあげられていますが、オリンピックを「メダル獲得戦争」や「鬱憤晴らし」と考えている人たち以外にも、このように外国人の中に溶け込んで一生懸命頑張るアスリートに素直な気持ちで声援をおくる人たちがいることにも注目して欲しいものだなと思います。

北京オリンピック観戦の人々の写真2

団体で観戦に来る 小学生の姿も

そして、もう一人は卓球の福原愛選手です。福原選手は中国語で「瓷娃娃(ci wawa)」という愛称で呼ばれ、彼女の流暢な中国東北弁なまりと笑顔が中国人にはたまらなく可愛いと大変人気があります。もちろん、世界ランク1位の張選手との試合の内容も大きく伝えられましたが、18日の団体戦が終わった後の記者のインタビューで「どうして、にきびができているの?」と聞かれると、「上火了(ストレスやプレッシャーなどで体に火が溜まるという表現)、だから、王老吉(中国の健康飲料)をガブガブ飲んだのに、効果が無かったよ~。」と笑顔で答えたという記事が中国のブログなどでコメントされています。福原選手もそうですが、日本人で中国に進出した男性俳優も中国語で歓迎されバラエティ番組やドラマに多く出演していることから、相手の国の言葉を話せるということはこんなにも交流しやすく、相手の心を掴めるのだなと感じました。最近は、中国語で活躍する日本人の若者が増えることも日中友好の近道なのかなと思ったりします。

とにかく、こんなにスポーツで充実した10日間は生まれて初めてだったのではないでしょうか!あらためてチケットを譲ってくださった方々感謝します!

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