日中高校生交流プログラム


修了証を手にした留学生32名の写真
修了証を手にした留学生32名

ジャパンファウンデーションでは、未来を担う日中の高校生が交流するさまざまなプログラムを実施しています。
中でも「長期招へいプログラム」は、中国各地からやってきた高校生が日本に約1年間滞在し、日本の高校で学び、日本の家庭にホームステイするというものです。心身ともに大きく成長する高校時代。このかけがえのない時間を日中の高校生が一緒に過ごすことにより、お互いの理解が深まり、将来に続く絆の生まれることを期待しています。

第一期生32名が、7月末にこのプログラムを修了しました。


帰国報告会

于澣清くんの写真
自分の体験を発表する于澣清くん

帰国に先立って開催された報告会で、3名の代表が日本での思い出を語りました。

日本での生活の不安、中国での受験勉強に遅れをとるのではないかという焦りを胸に日本にやってきた一年前。しかしそれは最初だけで、あっという間に友だちができ、日本の高校生活を一緒に楽しむようになった様子を、3人とも生き生きと語ってくれました。

「部活」という中国にはないすばらしいものを通じて友情を育んだ王蘇嘉さん。「私の一番好きな日本語は『仲間』です。」と嬉しそうに話していました。

「人生とは別れの積み重ね」という王笑凡さんは、友人たちが王さんには内緒でお別れパーティーを準備してくれていたこと、そのこまやかな心遣いに胸が熱くなったことを話してくれました。別れは王さんを一回り大きくし、友人たちとの絆は国を隔てても続いていくことでしょう。

于澣清くんは、「人生は選択」と話してくれました。日本に来る決心をするとき、幼ななじみの大親友と意見が異なったそうです。彼は日本での新たな経験を選択し、友人は中国に残って大学受験勉強に集中することを選びました。于くんは「日本に来る選択は自分にとって正しいものでした」と晴れやかに語り、「将来は日本の大学に進んで日本と中国のかけ橋になりたい」と報告を締めくくりました。


「英国の地方を公演で回ってみたい」と語っていたコンドルズ。今度英国に来る時は色々な街を回るのかもしれません。そんな勢いのある「コンドルズ旋風」はロンドンの街に刺激を与えて新たな土地へと向っていきました。その旋風と共に私の中の文化交流に対する想いもより高くなびいています。


報告会に続いて行われた歓送会で、受け入れ先の高校の先生、ホストファミリーの方々にお話をお聞きしました。


横浜市立みなと総合高校 唐澤剛先生 (留学生:回 騏辰くん)

唐澤先生と回くんの写真
唐澤先生と回くん

回くんは、本当に礼儀正しい青年です。お茶の心、「わび」、「さび」に関心を持ち、茶道部に入っていました。週3回熱心にお稽古をして、お別れの時には和服を着て立派にお茶をたててくれました。日本の伝統文化に興味があるだけでなく、日本史も大好きなようで、日本の高校生以上に歴史に詳しく、武将の名前をたくさん知っているので、みんな感心していました。

私たちの高校では、英語圏の留学生はたくさん受け入れていますが、中国からの留学生は初めてです。回くんが来てくれたことによって、私たちの中国に対するイメージが変わったように思います。数学の授業は、中国のほうがずっと進んでいることにも、今回初めて気づきました。
私たちの高校では、第2外国語として中国語の授業(週4時間)があります。回くんはそれに出席し、先生役をつとめてくれました。このほかにも、音楽の授業でギターの弾き語りを3カ月でマスターし、「知床旅情」を上手に歌ったり、流暢な日本語でコミュニケーションをはかるなど、日本人生徒に大きな刺激を与えてくれました。


※茶髪で、日本人の高校生と変わらないポーズで写真におさまる回くん。唐澤先生の話では、髪の毛のメッシュはちょっと前まで、もっと派手だったそうです。


山口県桜ヶ丘高等学校 檜垣教子先生(留学生:金 松月さん)

檜垣先生と金さんの写真
檜垣先生と金さん

檜垣先生は家庭科の先生で、金さんのホームステイを受け入れてくださいました。金さんは勉強に集中するため、中国にいるときは家の手伝いをしたことがありません。そんな金さんを日本のおかあさん(檜垣先生はおばあちゃんとおっしゃっていましたが)はビシビシしつけたそうです。そうじ、洗濯、アイロンといった家事にはじまり、挨拶、お使いの仕方、お礼状の書き方にいたるまで、金さんを日本の品格ある女性に育て上げるため、檜垣先生は情熱を注ぎました。「洗濯も掃除もできるのは、人間として大切なことだと思います。この子の感性は、日本の古きよき時代の感性とつながるところがあって、私の教えたことをしっかり身につけてくれました。」と檜垣先生は目を細めました。

それから檜垣先生はいたずらっぽく笑って「私たち一緒に韓流ドラマにはまったのよね。」と金さんに同意を求めました。金さんは日本語字幕付きの韓国ドラマを先生と一緒に見て、とてもよい日本語の勉強になったそうです。
檜垣先生の家には韓国の大学生もホームステイしており、日本人、中国人、韓国人が一つ屋根の下で仲良く日本語で語り合うこともたびたびあったそうです。「こういうことができるなんて、本当に素敵ですね。」檜垣先生は心からこの交流を楽しまれたようでした。


※金さんは修学旅行で、東京ディズニーランドや、横浜、渋谷、池袋に行ったことが楽しかったと話してくれました。古きよき時代と共に、自分と同世代の楽しみも、しっかり満喫してくれたことでしょう。


東京学芸大学付属高校 保戸塚由紀子先生(留学生:杜 雯雨さん)

保戸塚先生と杜さんの写真
保戸塚先生と杜さん

担当の先生が職員会議で、「この子を中国に帰したくありません。」と言い出すほど、私たちの学校にとって大切な、すばらしい生徒でした。彼女の学校生活には何の問題もなく、生徒たちの中にしっかりと溶け込んでいました。またクラブ活動では、男子バスケットボール部のマネージャーとして活躍してくれました。
彼女の勉強への真摯な態度、人に接するときの態度や誠実な人柄によって、私たちの中に、中国に対する新しいイメージが生まれてきたように思います。

杜 雯雨さんのホストファミリー 藤本香さん、今井眞知子さん、寺川徳子さん

藤本さん、今井さん、寺川さんと杜さんの写真
藤本さん、今井さん、寺川さんと杜さん

彼女は本当にしっかりしています。本人が「中学に入るときに軍事訓練を受けた」といっていますが、規律正しく生活することが、しっかりと身についています。日本人の100倍ぐらい理解力があるし、言葉を覚える能力が高い。ハングリー精神もある。中国のエリート教育とはこういうものなんだと感心しました。同時に、日本の教育はどうだろう、しっかりしないと日本は危ないぞと思いました。
中国では体育や家庭科、クラブ活動がなく、学科の勉強に集中しているようです。球技もやらないようですよ。「ボールに触って嬉しかった」といっていますから。日本の教育は今のままでいいのかしらと、彼女を見て考えさせられました。


藤本さんは俳句が趣味です。杜 雯雨さんを句会に連れて行ったところ、彼女は経験もないのに、そこで詠まれた句の良し悪しがわかったそうです。その感性の鋭さに居合わせた人々はびっくり。その後彼女は電子辞書をひきながら句作をするようになり、あっという間に同人誌の句集に掲載されるまでになったといいます。今では「杜 雨花」という俳号も持っています。
句集『玉藻』所収の彼女の俳句をご紹介しましょう。


薫風や 心を奪ふ 僧の経
暮春なし われわれの 人生行路
若笑顔 山川上り 鯉幟
杜 雨花



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