TOKKO−特攻−

 

TOKKO -特攻-

原題 Wings of Defeat
(ジャパンファウンデーション制作助成作品)

この映画は、日本人の両親のもと、ニューヨークで生まれ育った日系アメリカ人、リサ・モリモトが監督したものです。リサはもともとこの作品を、アメリカ人が見ることを意識して制作しました。日本に住んでいた叔父が「カミカゼ」パイロットだったことを知って驚き、アメリカで一般に信じられている「カミカゼ」のイメージの真実に迫りたいと思ったからです。

Wings of Defeatはカナダのトロントで開催された北米最大のドキュメンタリー映画祭でプレミア上映され、大きな反響を呼びました。北米の人々が持っていた「カミカゼ」のイメージとまったく違うものがそこにあったからです。それだけではなくこのドキュメンタリーは、日本人が持っている従来の「特攻隊」のイメージをも変えるものでした。そこで急遽日本公開が決定されることになりました。

 

『TOKKO-特攻-』の写真1

© Edgewood Pictures, Inc.

オープニングシーンでは、特攻機がアメリカの駆逐艦に体当たりする瞬間が生々しく映し出されます。

次に、クマのぬいぐるみと一緒にうつっているリサの叔父さんの若い頃の写真。家族と一緒に優しい表情を浮かべている写真が映し出されます。

この温厚な叔父さんがアメリカ人に恐れられている「カミカゼ」とどうやってつながるのか。20年前に亡くなっている叔父の真実を探るため、リサは日本を訪れます。

親戚に話を聞くのですが、叔父は特攻隊のことをほとんど家族に語らずに亡くなっていました。家族も、そのことをあえて聞く勇気がなかったといいます。

そこでリサは、生き残りの特攻隊員4人を捜し出し、ひとりずつ話を聞くことにしました。しかし彼らもこの60年余り、家族にも友だちにもずっと口を閉ざしてきたというのです。

特攻隊員の本当の気持ちを知りたいというリサの熱意に動かされ、彼らは少しずつ、あのときの辛くて苦しい気持ちを語り始めます。それは英雄的で悲劇的な美化された特攻隊員の姿ではなく、アメリカで信じられてきた狂信的な戦士の姿でもありませんでした。

 

『TOKKO-特攻-』の写真2

© Edgewood Pictures, Inc.

このドキュメンタリーでは、元特攻隊員をはじめその家族や関係者など、太平洋戦争につながる長い戦争の時代を生きたひとりひとりの心の中をていねいに追いながら、彼らを追い詰めていった社会状況や歴史状況を、史実に基づいて明らかにしています。
当時の日本の新聞の見出しを英語に直訳し、日本国民にどのような情報が伝えられていたかも明らかにされます。

アメリカ側の取材では、実際に特攻隊のパイロットに至近距離で遭遇した、アメリカ兵が登場します。特攻機の攻撃を受けて沈没した米駆逐艦ドレックスラー号の元乗組員です。
「ほんとうに怖かった。こっちは生きるのに必死になっているのに、相手は死ぬためにやってくるのだから。でもあれぐらいのこと(特攻攻撃)ができるのはアメリカ人にもいるさ。自分たちだって日本やドイツに追い詰められたら、同じことをやったと思う。」

 

『TOKKO-特攻-』の写真3

© Edgewood Pictures, Inc.

亡くなった戦友のことを思うと生き残って悪いような気がしていた」と語る元特攻隊員も、戦争から60年余りが過ぎて老年を迎えようとしています。
「私たちには語り伝えないといけない義務があります。自分の経験したことを、謙虚に伝えないといけないと思います。」

元特攻隊員のひとりはこう語っていました。

登場するひとりひとりの言葉が、見る者の心に深く語りかけてくるドキュメンタリー映画です。

この夏、戦争を知らない親子で、あるいは戦争を経験した世代とその孫で、渋谷の映画館に足を運んでほしいと思います。つい60年ほど前の若い人がどんな気持ちで生きていたのか、日本がどんな状態だったのか、今この街を闊歩している若者にも知ってほしいと思います。

 

 

 

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