「アチェの子ども達と創る演劇ワークショップ」 ~きっかけから実現 そして未来へ~ (3)将来の展望~「元紛争地の復興」という新しい視点

「アチェの子ども達と創る演劇ワークショップ」~きっかけから実現 そして未来へ~

(スタッフ側最後のブレーンストーミング)

当初、この企画の発想の中心には、「紛争で精神的な傷を負った子どものケア」というがありました。最後までそれは大切な観点ではあったのですが、3度にわたるアチェへの出張で現地の関係者に話を聞き、またTPや花崎さんとの話し合いの過程の中で、基本的に外部の人間であり、ワークショップが終われば日本へ帰る私たちの役割としては、子どもたちの精神的な傷を癒すというよりも、10日間という短い時間ではあるけれども、子どもたちが表現を通じて自信をつけ、意見を言い友達の話を聞くというプロセスや、作品を創る中で、対話や共同作業の意味を学ぶ、また、アチェの未来について展望する力を身につけることといった、子供のエンパワーメントの方が重要なのではないかと思うに至りました。それからもうひとつ、アチェのアーティストやNGO関係者との協力体制を築き、関わったアチェ人スタッフやファシリテーターが、花崎さんやすずきこーたさんのワークショップの技術や考え方から何かを得ること。これを目的に据えたいと考えるようになりました。

でも、実際にワークショップを終えてみて、アチェ人の友人達から、全く新しい視点をもらいました。それは、このワークショップをどのように元紛争地の復興につなげていくか、という視点です。

北アチェとM村の子どもたちの写真

北アチェとM村の子どもたち
最終日にポーズ

ワークショップ開始から8日目、子どもたちがそれぞれの村へ帰り、スタッフは全員サレーからバンダアチェに引き上げ、疲労困憊の中深夜まで続いた最後のミーティング。翌日日本へ帰る私たちは、思いつく限りの論点をTPやアチェ人スタッフと共有しようと必死でした。実は、すでに一回目のワークショップが始まる前から、二回目を行うことが決定していたので、私自身の頭にあったのは、「二回目をどうやるか」でした。地域の選定をどうするか、子供の対象年齢は妥当であったか、プログラムを、実施体制をどう改善できるか等々。

でもTPやアチェ人のメンバーからは、「今回参加した子供たちへのフォローアップをどうしていくか」という問題が中心的テーマとして出されました。子供たちが村に帰ってから何か活動を始めたいと言っている、3地域の子どもたちが交流を続けるために文化祭をやりたいと言っている。これを支援して、地域の活性化につなげられないか。また、紛争下で対立する立場にあった地域どうしの交流へとつなげられないか。

実際、ワークショップから3カ月が経って、未だにTPの事務局には子どもたちからの連絡があるようです。加えて私たちには嬉しいニュースですが、北アチェ県ではこのワークショップの参加者と付添人が中心になって新しいSanggar(歌や踊りのスタジオのようなもの)を立ち上げるという計画が進んでいるようですし、あの、M村の女の子たちも皆で、国際NGOSave the Childrenが主催する芸術祭に参加しようと準備しているようです。

子どもの文化活動を通じた地域の活性化と、アズハリが言った、「子ども達を平和の創始者に」というビジョン。これがどうやったら実現できるのか。来年1月に予定されている二回目のワークショップの準備を進めながら、その方法を考えていくことが、次の課題だと思います。

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