ホーム > 国際交流基金について > 理事長挨拶 > 文化交流の未来地図:各界リーダーからの提言 >「休学のすゝめ」大学を1年間休学して、外国へ行こう

世界を見て、多くの人と出会い、さまざまな価値観を育む
小倉 最近、日本人がとても内向きになっているといわれますね。私は日本人だけが内向きになっているのではなく、先進国の多くが同じような悩みを抱えているのではないかと感じています。
黒川 この10年の変化の中で、日本はかなり特徴的ですね。とくに男性がそうです。
小倉 いわゆる草食系男子ですか。日本の社会が住みやすいから、わざわざ外へ出なくてもいいと思う人が増えているのでしょうか。

大学は一年間休学をもっと学生にすすめるべき
小倉 現在、国際交流基金の日中交流センターでは、日中高校生交流プログラムの中の「長期招へいプログラム」として、中国の高校生を招き、約10カ月間のホームステイを行っています。すると、彼ら自身も仲良くなった日本の高校生も世界観がすっかり変わるのです。とてもいいプログラムですが、これにはすごく予算がかかります。
黒川 交換に、日本の子どもを中国へ行かせることも必要ですね。日本のコミュニティにはまだ、外国人を受け入れがたい雰囲気があります。しかし、小学生、中学生の夏休み交換ホームステイなどから始めれば、まだ子どもだから互いの国で受け入れられやすいでしょう。そして、友だちができれば、大学でまた来ようかということになる。それが大事なのです。
小倉 欧米ならよいけれど、韓国や中国などのアジアからは来てもらいたくないというのは、交流した経験が少ないからそういう気持ちになるわけで、まさに悪循環ですね。今まで自信過剰だった日本人が自信を失っているために、元気のいい韓国や中国の人を、何となく敬遠しているのかもしれません。
黒川 本当に仲間として付き合ったことがないからだと思います。大人になってからの付き合いは、組織同士のものがほとんどです。そうではなく、グローバルにフラット化が進んでいくこれからの世界では若い人たちがもっと主役にならなくてはいけません。だからこそ、学生のときに、例えば1年間でもいいので、交流させることが大切なのです。
小倉 具体的にはどうしたらいいのでしょうか。というのは、日本の各大学も世界中の大学とさまざまな連携協定を結び、単位の交換といった土台はかなりできています。ところが、外国から来る人はいても、日本から行く人はいないのが現状です。ある程度は費用の援助も必要なのでしょうか。
黒川 何よりも大学も、教師も積極的にすすめることですが、そうしていないのです。特に有名な大学ほど、研究志向ですから、学部生を外には出さず自分の大学院に来させようとします。無理もないのですが。入ってしまえば、教員の手足になりますから。ですから、むしろ学部のときに1年「休学」はとてもいいことです。
小倉 そのためには、「子ども手当」ならぬ「外国留学手当」が必要でしょうか。少なくとも大学を1年間休学しても授業料を取らないという制度をつくればいいのかもしれません。
黒川 私が考えているのは、「1年間したら帰ってきていいよ」と10万円でもいいから、渡航費だけを渡すことです。国のお金を使うと報告書だとか、いろいろうるさいでしょう。むしろ企業や個人に出してもらうのです。代わりにその奨学金制度の名称には企業名などをつける。10年、20年後、奨学金を受けて自分なりのネットワークをつくった人にとってその企業に対して感謝の気持ちも出てくる。その企業に何かの関わりが生じたとき、「会社にはお世話になりました」というところから話が発展していく。企業にとっては広告としても効果的だし、一種のCSR(企業の社会的責任)活動にもなるでしょう。