ジャカルタ日本文化センター 後藤 愛 (平成15年採用、法学部卒)

ジャカルタ日本文化センター 後藤 愛 大学時代、アメリカ留学中に同時多発テロが起きたことから、「多文化の相互理解に貢献したい」と考え、国際交流基金へ。日米センターで知的交流事業を担当後、ハーバード大学教育大学院へ一年間留学。帰国後は日本研究・知的交流部にて勤務(欧州・中東・アフリカ担当)。出産・育児休業を経てジャカルタ日本文化センターへ赴任。

国際交流基金に入ったきっかけ

学生時代に日独交流事業に参加していたとき、ドイツ側の学生団体が国際交流基金のケルン日本文化会館から支援を受けており、ケルンを訪れたときに日本文化会館を訪問したことが、国際交流基金と私の出会いでした。

また、アメリカ留学中、学内で日本語会話パートナーとしてのアルバイトをした経験がありました。それまでは「国際化」といえば、英語を勉強し、欧米の価値観に自分を合わせることだと思い込んでいたことに気づき、むしろ日本の面白さを世界に紹介する仕事をしたいと思うようになり、留学後(4年生の5月)でも当時まだ採用活動をしていた国際交流基金を受験し、就職しました。

担当してきた業務

採用後、はじめは日米センターで知的交流を担当し、日米の大学やシンクタンクへの助成事業の運営のほかに、評議会の運営や広報といった総務の仕事をしました。平成19年夏からは一年間、国際交流基金の海外研修制度(現在は制度なし)を利用して、ハーバード大学の教育大学院へ留学し、教育学修士号を取得しました(Ed.M. フルブライト奨学生)。帰国後は、日本研究・知的交流部で欧州と中東を相手とする事業に携わりながら、出産・育児休業を経て、平成24年2月からジャカルタ日本文化センターにてアシスタント・ディレクターを務めています。

現在の担当業務

スラバヤのNPOの方々と打合せの写真
スラバヤのNPOの方々と打合せ

ジャカルタ日本文化センターでは、(1)総務・経理班長、(2)日本研究・知的交流班長、(3)図書館長、という3つの管理職ポジションを兼任しています。直接管理している部下が5人、加えて間接的に11人が管理下にいます。国際交流基金本部やジャカルタ日本文化センター所長から示される方針を、現地スタッフや事業パートナーと協力して事業の現場で実現させてゆくという役割です。

(1)総務・経理班長としてはセンターの人事、総務、経理全般を管轄し、円滑な運営を行います。具体的には、現地職員の採用や給与・税金・社会保障に関わること、物品購入や修繕や各種内規の整備、お金の流れの管理です。

(2)は国際交流基金の事業の3本柱のうちの1つである日本研究・知的交流の分野で、本部が決定するプロジェクトを現地で実施したり、ジャカルタ日本文化センター発の自主企画をスタッフと一緒に立案して実施したりします。具体的には、日本に招へいするフェローの人選や、インドネシア各地にある大学での日本関連講演会の実施などがあります。加えて、国際交流基金が支援しているインドネシア大学大学院日本地域研究科修士課程「日本文化社会論」の講座で私自身が教鞭をとることもあります。

(3)は付属図書館の運営で新規購入の図書を選定したり会員向けの月次イベントを企画したりします。最近はインドネシアでソーシャルメディアの利用者数が非常に多いことに着目し、フェイスブックやツイッターなどのSNSを通じた情報発信にも力を入れています。

ある一日のスケジュール

7時30分 自宅にベビーシッターさん出勤。子どもの一日の行事、食事の確認。
8時 子どもを幼稚園に送る。先生と健康状態の確認など
8時30分 出勤、小口現金を経理担当現地職員へ渡す。メールチェック
9時 図書館スタッフと打合せ。月末のイベントの企画会議。
10時30分 日本企業の方が来訪。インドネシアの日本語学習者採用についての相談に乗る。
12時30分 在インドネシア日本大使館と定例会議
14時30分 日本研究者の先生と打合せ
16時 小口現金を現地職員から受取り、数字チェック。
17時 経理処理。翌日のイベントの会場設営チェック、予定の確認。
18時30分 事務所発
19時 帰宅
19時 シッターさんから子どもの1日について報告を受ける。翌日の予定を確認。食事。
21時 子どもの寝かしつけ。持ち帰った仕事をすることもある。

苦労の場面

インドネシアでは、時間や約束の感覚が日本と異なり、流動的だということです。エピソードには実に事欠きません。

たとえば、赴任して半年ほど経ったころ、あるシンクタンクと日本映画の上映とディスカッションを企画しました。当初、午後3時開演と決定していたので、その通りにプレスリリースまで発出済みでした。それが開催1週間前になって彼らは「渋滞を避けるために開演時間を遅らせよう」と午後4時開演に変更し、彼らのウェブサイトでは4時開演として案内を掲載していたのです。この違いに気付いたのはすでに前日。修正を流せる時間ではありませんでした。

さあ、どうするべきか。結局、3時にすでに来ていたお客さんのために映画を上映し、そのあと遅れてきた人のために2回目の上映をして、2回目が終わったあとにディスカッションをするという流れになりました。4時から7時までのはずのイベントが、ふたを開けてみたら3時から8時までのイベントになりました。

私が一人焦っているのを横目に、共催相手のシンクタンクも事務所のインドネシア人スタッフも、「後藤さん、大丈夫だから」と涼しい顔。実際、この突然の変更に文句を言うお客さんは誰もいなかったのです。「郷に入っては郷に従え」の典型のような経験でした。これ以降、細かいところまで詰めすぎず、また当日の流れに乗ってアドリブで対応するスキルを身に着けるよう心掛けるようになりました。(とはいえ、毎回やはりハラハラしてしまうのですが。)

やりがい、醍醐味

イスラム寄宿学校。全校生徒1,500人の写真
イスラム寄宿学校。全校生徒1,500人

インドネシアでは、日本のアニメや漫画などのポップカルチャー、そして防災などの進んだ社会制度に対して、概して好意的でかつ強い関心がもたれています。この関心に裏打ちされた「人気」を得ることができるとき、メッセージが「伝わった」と実感できるとき、日本では味わえないような達成感がありますね。

たとえば、ジャカルタ南部にあるイスラム寄宿学校で中学生・高校生向けに日本映画「書道ガールズ」上映とエンパワーメントワークショップをしたとき。当初「300人くらいの参加」と言われていたのですが、前日に連絡があり、「全校生徒をぜひ参加させたいので、参加者は、1,500人になります」と言われました。当日、体育館いっぱいを埋め尽くした生徒さんたちに、圧倒されそうに。この生徒さんたち全員に伝わるよう頑張ろう!と、1,500人を相手に、覚えたてのインドネシア語で日本の書道を説明し、映画についてのクイズもして、締めくくりは映画のテーマソングであるアンジェラ・アキさんの「手紙―15の君へ」を体育館にいる全員が日本語で熱唱。「困難があっても、あきらめずに頑張ろう」という映画のメッセージが伝わり、感極まって涙を流す生徒さんも。こちらも思わず涙ぐんでしまいました。心が通じた瞬間でした。

(*ジャカルタ日本文化センターでは、インドネシアでの事業の大事な柱としてイスラム圏への日本文化の紹介を挙げており、その一環としてイスラム寄宿学校での映画上映を行っています。)

  • 書道についてレクチャーの写真
    書道についてレクチャー
  • 国立イスラム大学バンドン校にての写真
    国立イスラム大学バンドン校にて

国際交流基金の仕事へ関心を持つ方へのメッセージ

寛容を説く活動家、イェニー・ワヒッドさんとの写真
寛容を説く活動家、イェニー・ワヒッドさんと

これからは、英語は出来て当たり前の時代です。学生さんであれば、まず英語の習得をぜひ頑張ってください。それから理想を言えば、加えてもう一つ外国語を勉強しておくと、将来の幅が一気に広がります。(私はインドネシアに来てから必死で勉強したのですが。)授業で学ぶ、留学生の友達を増やして外国語で会話する機会をたくさん得る、海外の語学研修に参加してみる、など、いろんなチャンスで語学を磨きましょう。時間があり、脳も若い時期は語学学習に理想的ですので、ぜひいろんな機会を自分で見つけてチャレンジすると必ず将来自分の糧になります。

インドネシア大学大学院日本地域研究科での講義の写真
インドネシア大学大学院日本地域研究科での講義

それから、海外について人から聞いた話は、あくまでも「情報」にすぎないと肝に銘じましょう。日本の外はどんなところで、どんな人たちが、どのように暮らしているのか?それは必ず「自分の目」で見てから、理解し判断するようにしましょう。こう考えると実は自分の経験はとても少ないことに気づかされますよね。世界を発見できるような経験をしたい、学び続けたいと思う人には、ぜひ国際交流基金の仕事に関心をもっていただきたいと思います。世界の人たちと一緒に日本を再発見できるのも、とても面白く、大きな魅力ですよ。

出身大学の広報誌【PDF:外部サイト】 にて、子連れ海外駐在の生活面などについてお話させていただいています。ご関心のある方はご覧下さい。)

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[お問い合わせ]

国際交流基金(ジャパンファウンデーション)
総務部 人事課 職員採用担当
電話:03-5369-6090
Eメール:JF_Saiyo@jpf.go.jp
(メールを送る際は、全角の@マークを半角@マークに変更してください)

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