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海外における日本語普及のための基盤・環境の整備

海外における日本語普及のための基盤・環境の整備の画像

「JF日本語教育スタンダード」の推進

 言葉を通した相互理解のためには、その言語を使ってどんなことができるかという「課題遂行能力」と、さまざまな文化に触れることで視野を広げ、いかに他者の文化を理解し尊重するかという「異文化理解能力」が重要です。この理念のもと、日本語の教え方、学び方、学習成果の評価の仕方を考えるためのツールである「JF 日本語教育スタンダード」(以下、JF スタンダード)を開発しました。

 JF スタンダードは、CEFR※の考え方に基づいて開発されており、日本語の熟達度を6段階で表しています。これは、各段階で日本語を使って何がどれだけできるかという側面を重視して日本語能力を捉えるものです。それぞれの教育現場のニーズにあわせたコースデザイン、教材・試験作成などにも活用できます。

 JF スタンダードは、海外の日本語教育の基盤整備への取り組みの中核となるものです。今後も利便性を向上させ、内容のさらなる充実に努めていきます。

JFスタンダードで示されている日本語の熟達度の画像

JFスタンダードで示されている日本語の熟達度
CEFR:「Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment」の略称。 ヨーロッパの言語教育・学習の場で共有される枠組みで、2001年に発表されて以来、世界の各言語で利用されています。

JF日本語講座

 海外の日本語教育における新たなニーズに対応するため、2011年度より一般成人を対象とした日本語講座(通称:JF講座)の拡充を進めています。

 近年、留学や就職という実利的な目的にとどまらず、日本語そのものへの興味や、アニメ・マンガ等を通して日本文化に親しみを感じ日本語も勉強してみたいという学習者はますます増えています。こうした現状を踏まえ、日本語の教え方、学び方、学習効果の評価の仕方を考えるためのツールであるJFスタンダードを取り入れた新たなカリキュラムを導入し、講座の充実とリニューアルに取り組んでいます。

 JF講座では、同スタンダードに準拠した日本語教材『まるごと 日本のことばと文化』などを用いて、これまで以上にコミュニケーション力と日本文化理解に重点をおいた授業を推進しています。2012年度には、国際交流基金海外拠点の所在する21カ国と、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、モンゴル、ラオスの日本センターでそれぞれJF講座が開講され、のべ12,500人の学習者が受講しました。

ウズベキスタンでの書道講座の風景の写真 ウズベキスタンでの書道講座の風景

日本語教育機関調査2012年調査を実施

世界の日本語教育の現状を正確に把握し、今後の施策に活用するため、3年毎に全世界を対象とした「日本語教育機関調査」を実施しています。在外公館、世界各地に派遣された日本語専門家、支援先機関の協力を得て、世界各地の日本語教育機関を対象に、学習者数、教師数、学習目的、問題点等を問うアンケート調査を行い、その結果を集計します。2012年度の調査では、海外の136の国・地域に日本語教育機関は約1万6千機関、日本語教師は約6万4千人、日本語学習者は約399万人が存在するという結果が得られました。地域や国によって状況は異なりますが、全体で日本語の学習目的として最も多かったのが「日本語そのものへの興味」、問題点として最も多かったのが「教材不足」でした。この調査結果は日本語教育の状況を知る手がかりとして、マスコミを始め、国内外の研究者、日本語関係機関や国際交流団体などに広く利用されています。

インターネットを活用した教育ツール

多様な日本語学習ニーズに効果的かつ効率的に対応するため、海外の教育現場のニーズに合わせた教材を自主開発・制作し、普及に努めています。特に近年は、JF スタンダード準拠教材の開発および学習者・教師向けウェブサイトの利便性と機能性の向上に、力を入れています。印刷教材、映像教材、ウェブサイトの教材など、さまざまなメディアの教材が、世界中の日本語教育の場で活用されています。

『まるごと 日本のことばと文化』試用版開発

 課題遂行能力と異文化理解能力を重視するJF スタンダードの考え方に基づき、日本語能力のとらえ方、レベル設定、目標設定と評価の方法など、カリキュラムの根幹を同スタンダードに準拠したコースブックの開発を行っています。2012年度は、「初級2(A2)」および「初中級(A2/B1)」の開発、制作を行いました。

WEB版「エリンが挑戦!にほんごできます。」さらに2言語版を追加

 フランス語、インドネシア語版を新たに追加公開し、それ以前の6言語(日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語)版とあわせて全8言語版サイトとして運用を行いました。また、グローバルホームページを新設、各課の目次ページを追加制作して、サイトの利便性や機能の向上に努めました。

WEB版「エリンが挑戦! にほんごできます。」のグローバルトップページの画像

WEB版「エリンが挑戦! にほんごできます。」のグローバルトップページ

「みんなの教材サイト」公開10周年

 主に海外で活動する日本語教師の教材作成を支援し、教師どうしのコミュニティを構築するためのインターネット・サイトが公開より10年を迎えました。新規検索機能を追加し、レイアウトを一新、さらにSNSによる広報を加えるなど、一層効果的な情報発信に努めました。

「日本語でケアナビ」ウェブサイトのスマートフォン版公開

 看護・介護分野で働く日本語学習者をサポートするウェブサイト「日本語でケアナビ」(2007年公開)のスマートフォン版を2012年4月に公開しました。いっそう利便性が高まり、総アクセス(ページビュー)の約1割がスマートフォン版となりました。

利用広がる「アニメ・マンガの日本語」ウェブサイト

 公開開始から3年目を迎えた「アニメ・マンガの日本語」ウェブサイトは利用回数や利用者が順調に伸び続け、2012年度のアクセス(ページビュー)数は前年度比約19%増の285万となりました。前年度にスペイン語版が公開されたこともあり、2012年度は特に、メキシコ、ペルー、コロンビア、アルゼンチン、チリ、ブラジルといった中南米地域からのアクセスの増加が目立っています。

「まるごと+(まるごとプラス)」入門(A1)ウェブサイト公開

 コースブック『まるごと 日本のことばと文化』を用いて日本語を学ぶ人たちの自習をサポートするウェブサイト「まるごと+」入門(A1)を開発し、2013年2月末に英語と日本語で一般公開しました(2012年9月にJF講座受講者向けに限定公開)。

 授業で学んだことをもっと練習したい、日本語でのコミュニケーションに自信をつけたいといったニーズに応える教材で、日本訪問の動画シミュレーションなどで楽しく自習が進められます。

「まるごと+(まるごとプラス)」入門(A1)ウェブサイト,JFスタンダードに基づくコースブック「まるごと 日本のことばと文化」

日本語能力試験

日本語能力試験の画像 海外63の国と地域、205都市で約45万人が受験
日本語能力試験(Japanese-Language Proficiency Test 略称:JLPT)は日本語を母語としない人の日本語能力を測定し、認定するための試験です。N1からN5までの5つのレベルの試験があり、受験者は自己の日本語能力に適したレベルを受験することができます。試験は、N1とN2は「言語知識(文字・語彙・文法)・読解」と「聴解」の2科目、N3〜N5は「言語知識(文字・語彙)」、「言語知識(文法)・読解」、「聴解」の3科目で構成されています。

日本語能力試験風景(モスクワ,ブラジル,バンコク)

実施概要

 世界各地の現地共催機関と協力して、2012年7月1日および12月2日に試験を実施し、海外では2回の試験で合わせて約45万人が受験しました。 台湾での試験は公益財団法人交流協会と共催しています。 (2011年度より、台湾での試験実施業務は国際交流基金が担当しています。) 日本国内では約12万人が受験し、国内・海外を合わせ約57万人が受験しました。 国内の試験は、共催者である公益財団法人日本国際教育支援協会が実施しています。

 7月の第1回試験は、海外22の国と地域の103都市および日本国内で実施され、国際交流基金が実施業務を担当した海外での応募者数は約23万人、受験者数は約20万人でした。 2011年まで第2回試験のみが実施されていたダナン、ホーチミン(ベトナム)、エドモントン(カナダ)、エディンバラ(英国)、ハンブルク(ドイツ)、カイロ(エジプト)が第1回試験の実施都市に追加されました。

 12月の第2回試験は、海外61の国と地域の201都市および日本国内で実施され、国際交流基金が実施業務を担当した海外での応募者数は約28万人、受験者数は約25万人でした。第2回試験ではイスラエル、イランの2カ国が新規試験実施国となり、ヒューストン、アン・アーバー(米国)、アスタナ(カザフスタン)、ペルミ(ロシア)、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(スペイン)が新規実施都市となりました。

試験の活用とオンライン申し込み及び結果通知実施の拡大

 日本語能力試験はその開始から30年近くが経ち、日本国内や試験を実施している多くの国で、試験の成績が大学入試や資格試験の要件、就職や昇進・昇格にあたっての判断基準など、さまざまな形で活用されるようになっています。

 国際交流基金では、海外でより出願しやすくなるよう、オンラインでの試験申し込みの実施地拡大を進めています。 また、2012年の試験からは海外の受験者を対象に、オンライン結果通知を開始しました。

日本語能力試験 Can-do 自己評価リストの公開

 過去の受験者への調査をもとに、各レベルの合格者が、日本語でどのようなことができると考えているかをまとめた「日本語能力試験 Can-do 自己評価リスト」を公式ウェブサイトで発表しました。
(http://www.jlpt.jp/about/candolist.html)

JLPT通信」の発行

 日本語能力試験に対する理解拡大を目的に、「JLPT通信」を新規に発行しました。第1号では、台湾、ドイツ、インドネシアの受験経験者が、日本語学習のきっかけとなった出来事や、日本語能力試験の認定を今後どのように活用するかなどについて語りました。本通信は毎年1号ずつ発行する予定で、公式ウェブサイトにも掲載しています。
(http://www.jlpt.jp/reference/jlptbulletin1.html

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