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国・地域別事情に応じた日本語普及

国・地域別事情に応じた日本語普及の画像

日本語専門家の海外派遣

世界39カ国で123人の日本語専門家が活躍

 海外各国における日本語教育の定着と自立化の促進を目的に、各地に日本語専門家を派遣しています。 2012年度は39カ国に向けて、123人の専門家を派遣しました。 派遣された専門家は、現地教師の育成、カリキュラム・教材の作成や教師間ネットワーク構築への支援、教室での日本語教授など、派遣先機関・国における安定的な日本語教育の実施や質的改善のための業務を行っています。

 ハンガリーでは、現地の日本語教師会と日本語専門家が協力し、日本語の教科書を開発しました。2012年8月に出版された「できる2」は、前年夏に出版された「できる1」の続編で、初級後半から中級前半レベルの高校生以上を対象とするハンガリー語で書かれた日本語教科書です。この教科書は欧州の日本語教科書としてはこれまでになかった、言語熟達度を示す客観的な基準をもとに構成された画期的な教科書であり、今後の同国における日本語教育の発展に大きく寄与することが期待されています。

ハンガリーの教材「できる」

日本語教育支援プロジェクト

世界123機関に拡大した「さくらネットワーク」

 JFにほんごネットワーク(通称:さくらネットワーク)は、世界各地の日本語普及と日本語教育の質の向上を目的とする海外の日本語教育機関を繋ぐネットワークです。国際交流基金の海外拠点に加え、周辺地域への波及効果の高い日本語事業を実施している各地の中核的な大学や日本語教師会をメンバーとして認定しており、メンバー数は2008年3月発足時の31カ国39機関から、2012年度末には44カ国2地域の123機関にまで成長しています。

 このネットワークのメンバーが申請できるプログラム「さくら中核事業」を通じて、メンバー所在国や地域への日本語の普及・拡大・発展につながる波及効果の高い事業を実施・支援しています。さらに、国際交流基金の海外拠点のない国に向けた「日本語普及活動助成」プログラムにより、教材購入、講師謝金、スピーチコンテストや会議・シンポジウムの開催への助成を行うなど、各国・地域のニーズに対応したきめ細かな日本語教育支援を行っています。参照

 2012年8月にケニアの首都ナイロビで開催された第1回ケニア日本語教育会議は、「さくら中核事業」の成果のひとつです。同会議にはケニア、エチオピア、ウガンダ、マダガスカル、そして代読参加のタンザニアとスーダンをあわせ、6カ国の日本語教師が参加しました。東アフリカ地域でこのような会議が開かれたのは初めてのことで、地域の日本語教育発展への大きな節目になったと言えるでしょう。参加した日本語教師が連携を深め切磋琢磨し成長していくこと、そして、会議の成果が教育現場で活かされ各国の日本語教育が発展していくことを期待しています。

「さくらネットワーク」

海外の教師を対象とした研修(日本語国際センター)

 1989年、現さいたま市に日本語国際センターが設立されて以来、9千人以上の海外の日本語教師が研修を受けています。2012年度は2週間から1年間までのさまざまな種類の18プログラムに、52の国と地域から488人の日本語教師が参加しました。参照

 プログラムのひとつである上級研修は、海外の日本語教師が、自ら実現・解決したい課題を特定し、その実現・解決に向けて知識・技能を伸ばし、自国・地域の日本語教育のリーダーとして今後一層活躍することをめざす研修です。2012年度は8カ国より10名の海外日本語教師が参加し、「異文化コミュニケーションの視点を入れた看護日本語教材」、「聴解授業を改善するためのタスクの開発」、「漢字語彙攻略スキル養成のための初級漢字復習教材作成」、「日本語日常会話集(日本語- ベンガル語- 英語)」、「絵で覚える漢字」等のプロジェクトに臨みました。 日本での2カ月間の研修の後、帰国後も調査・研究を進め、2013年6月に最終レポートを提出。 今後これらのプロジェクトが形となって遂行されることにより、日本語教育の一層の発展につながることが期待されます。

さいたま市の小学校の児童と交流する海外の日本語教師の写真

さいたま市の小学校の児童と交流する海外の日本語教師

海外の学習者を対象とした研修(関西国際センター)

 1997年に大阪府に設立され、2012年に設立15周年を迎えた関西国際センターでは、特定の職業上あるいは専門分野の研究活動上、日本語能力を必要とする海外の専門家を対象とした「専門日本語研修」 と、海外で日本語を学ぶ大学生・高校生等を対象とした 「日本語学習者訪日研修」 を実施しています。2012年度は、104の国と地域から704名が研修に参加しました。参照

 東日本大震災を受けて設けられた「米国JET記念高校生招へい」事業では、2012年度には、JET プログラムにより来日していたお二人が震災の犠牲となった石巻市、陸前高田市を訪問し、「日米高校生サミット in 陸前高田2012」等の各種交流事業を実施しました。 全米各地から選抜された高校生32名は7月の2週間、関西国際センターを拠点に、被災地訪問以外にもさまざまな交流活動を行いました。参照

 他機関とのさらなる連携拡大にも努めています。2012年度には和歌山大学および大阪大学と連携協定を締結し、研修生の大学講義への参加、特別講義・留学セミナーの開催といった包括的な交流プログラムを行いました。また新たに、大阪ガス製造工場訪問や阪神淡路大震災記念 人と防災未来センターにおける講義等を研修プログラムに加えました。

関西国際センターの研修風景

経済連携協定に基づく看護師・介護福祉士候補者の日本語教育

 インドネシア、フィリピンと日本との二国間経済連携協定(EPA)に基づき、日本に受け入れるインドネシア人・フィリピン人看護師・介護福祉士候補者を対象として、来日前の日本語予備教育事業(6カ月間)を実施しました。参照 事業の内容は、基本的な文法・語彙・会話を習得する日本語授業から、日本の社会・生活習慣などの基礎知識を習得する社会文化理解プログラムまで、多岐にわたります。候補者は、来日して病院や介護施設に配属された後は、仕事をしながら国家試験合格を目指すことになるため、効率的な学習習慣を身につけておくことが求められます。そのため、本事業では自律学習支援にも力を入れ、候補者が自らの学習を計画し、振り返り、評価する訓練も行いました。
 インドネシア、フィリピンとも、候補者同士の団結力が強く、互いに励まし合いながら、日本語の授業のみならず、日本語コンテスト、朗読発表会などの活動に積極的に取り組みました。明るく元気な候補者たちが、来日後、看護・介護の現場で活躍してくれることを期待しています。