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理事長からのごあいさつ

2013年9月、ブエノスアイレスで開かれた国際オリンピック委員会総会において、2020年の夏季オリンピック・パラリンピック開催地が東京に決定しました。また、その前後には、富士山がユネスコ世界文化遺産に、日本食が同無形文化遺産にそれぞれ登録される等、私たち日本人が守り育ててきた自然や文化が世界の人々から認められ、日本に対する注目と期待が示される出来事がありました。

世界の人々の日本に対する関心は、日本語学習者に関するデータからも読み取ることができます。国際交流基金が2012年度に実施し2013年夏に結果を公表した海外の日本語教育に関する調査では、海外の教育機関で日本語を学ぶ人の数は3年前より30万人増加し、世界136ヵ国・地域で約400万人に及ぶことが明らかになりました。学習者の半数以上は、高校生・中学生です。次世代を担う若者層が日本に関心を寄せ、日本語を学習していることは嬉しく、心強いことです。国際交流基金は、こうした学習者の関心、期待に応えていくことができるよう、「世界のどこででも日本語をより学びやすく、より教えやすくする環境の構築・整備」をモットーに、日本語学習者の数の増加と質の充実をめざしています。

将来を担う若者は、国際交流基金の全ての交流事業分野で重要なターゲット層です。若者同士が国境を越えて互いを理解し、友情を育む交流をこれまで以上に拡充すべく、2013年度には政府が推進する北米地域との青少年交流の一環として「KAKEHASHIプロジェクト」を開始しました。同プロジェクトでは、2年間に4,600人の日本と米国の大学生・高校生等が、相手国を訪れ人々と交流します。好奇心にあふれ、文化の違いを楽しむことのできる若者たちが、国際交流基金の事業を通じて新たな友情の輪を広げています。

地域に目を転じますと、2013年度はアジアとの交流の抜本的強化を期する一年でした。日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の友好協力関係40周年を記念するイベントが多数催される中、国際交流基金も年間を通じて、美術、舞台芸術、映画と様々なジャンルの文化芸術交流事業、そして日本語弁論大会やシンポジウム、ワークショップ等、合計40件以上のプロジェクトを集中的に実施し、大きな反響を得ました。

12月の日ASEAN特別首脳会議(東京)の場で日本の新しいアジア文化交流政策「文化のWA(和・環・輪)プロジェクト〜知り合うアジア」が表明されたことは、アジアとの交流強化の大きな節目となりました。同プロジェクトを実施するため、国際交流基金は2014年4月にアジアセンターを開設しました。2020年までの7年間を目途に300億円規模の予算で、アジア各国との芸術・文化の双方向交流、アジア域内の交流、そして日本語学習支援に、ダイナミックに取り組んで参ります。

金融危機や東日本大震災以降、人々の価値観や意識が大きく変化し、また、ソーシャルメディアに代表されるテクノロジーの進化によって、国境を簡単に超える規模の、タイムラグのない情報の拡散・共有が可能な時代を迎えています。国際交流基金は、国内外の社会の変化に敏感に対応し得るしなやかな組織と、変化を先取りする事業展開を実現して、国内及び海外の皆様からより強い共感を得られるよう、努めていきたいと考えています。

引き続き、皆様のご支援・ご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

2014年9月
国際交流基金 理事長 安藤 裕康
国際交流基金 理事長 安藤 裕康の写真