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海外における日本語教育 Japanese-Language Education Overseas

国・地域の事情に応じた日本語普及

日本語専門家の海外派遣

世界40ヵ国で124人の日本語専門家が活躍

海外各国における日本語教育の定着と自立化の促進を目的に、各地に日本語専門家を派遣しています。2013年度は40ヵ国に、124人の専門家を派遣しました。派遣された専門家は、現地教師の育成、カリキュラム・教材の作成や教師間ネットワーク構築への支援、教室での日本語教授等、派遣先機関・国における安定的な日本語教育の実施や質的改善のための業務を行っています。

派遣先の1つであるメキシコでは、日本語専門家が国内外を巡回し、日本語教授法やJFスタンダードに関する教師のための研修会を多数実施しました。更に、日本語能力ブラッシュアップの機会や日本語の教え方に関する情報に乏しい中米・カリブ諸国の日本語教師の要望に応えるため、インターネットを介した講座「ハプロ・エン・リネア」(メキシコ・中米・カリブの教師のためのオンライン日本語)を実施しました。「ハブロ」は、教室と遠隔地の先生方をオンラインで結んだJFスタンダード準拠の日本語講座と、当地の先生方による発表や日本での研修の報告セミナーです。これらをライブ配信し、広大な中米・カリブ地域の各地で活動する日本語教師の方々の、幅広いニーズに応える活動を展開しました。

メキシコで活躍する日本語専門家の写真
メキシコで活躍する日本語専門家

日本語教育支援プロジェクト

世界126機関に拡大した「さくらネットワーク」

JFにほんごネットワーク(通称:さくらネットワーク)は、世界各地の日本語普及と日本語教育の質の向上を目的とする海外の日本語教育機関を繋ぐネットワークです。国際交流基金の海外拠点に加え、周辺地域への波及効果の高い日本語事業を実施している機関・団体(大学や日本語教師会等)をメンバーとして認定しており、メンバー数は2008年3月発足時の31ヵ国39機関から、2013年度末には47の国・地域の126機関にまで成長しています。

このネットワークのメンバーが申請できるプログラム「JFにほんご拠点事業(助成)」(通称:さくら中核事業)を通じて、メンバー所在国や地域への日本語の普及・拡大・発展につながる波及効果の高い事業を実施・支援しています。更に、国際交流基金の海外拠点のない国に向けた「日本語普及活動助成」プログラムにより、教材購入、講師謝金、スピーチコンテストや会議・シンポジウムの開催への助成を行う等、各国・地域のニーズに対応したきめ細かな日本語教育支援を行っています。

2013年6月にブルガリアで開催されたバルカン半島日本語サマーキャンプも、さくら中核事業の成果の1つです。同キャンプには、ブルガリアに加えて、トルコ、ルーマニア、セルビア、マケドニアの5ヵ国の大学から47人が参加しました。日本語の授業に加え、書道、マンガ・アニメ等の日本文化に触れる機会もあり、参加者は日本語を含めた日本文化への理解を深めるとともに、近隣諸国で同じ日本語を学ぶ他の学生との交流を深めることによって、互いに切磋琢磨し成長していく貴重な機会を得ました。学習モチベーションの維持・向上にも寄与するこのようなネットワークを重視し、今後も広域的な波及効果の高い活動を支援していきたいと思います。

経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者の日本語教育

インドネシア、フィリピンと日本との二国間経済連携協定(EPA)に基づき、日本に受け入れる看護師・介護福祉士候補者を対象として、来日前の日本語予備教育事業(6ヵ月間)を両国で実施しました。事業の内容は、基本的な文法・語彙・会話を習得する日本語授業から、日本の社会・生活習慣等の基礎知識を習得する社会文化理解プログラムまで、多岐にわたります。候補者は、来日して病院や介護施設に配属された後は、仕事をしながら国家試験合格を目指すことになるため、効率的な学習習慣を身につけておく必要があります。そのため、本事業では自立学習支援にも力を入れ、候補者が自らの学習を計画し、振り返り、評価する訓練も行いました。

国内連携による日本語普及支援

国際交流基金では2009年度より、日本語教師養成課程を有する日本国内の大学と連携して、日本語教育を専攻する学生をインターンとして海外へ派遣しています。2013年度は国内43大学から346人を派遣しました。

また、これと連動して、日本の大学からインターンを受け入れる海外の大学から、学部学生を招へいして関西国際センターで訪日研修を実施しています。この研修は、日本語学習や対日理解の機会を提供すると同時に、大学間の連携強化の支援を目的としています。2013年度は、「夏季特別」、「夏季」、「秋季」、「冬季」の計4回を実施し、延べ25ヵ国から127人が研修に参加しました。

海外の教師・学習者を対象とした研修

海外の教師を対象とした研修(日本語国際センター)

日本語国際センターでは2013年度に20のプログラムの日本語教師研修を実施しました。参加者は、60の国・地域から511人にのぼります。

「海外日本語教師日系人研修」は、中南米地域の日系人に日本語教育を実施している教育機関の、日系人日本語教師を対象に実施する研修です。2回目となる2013年度は、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビアの4ヵ国から9人が2ヵ月間の研修に参加しました。年少者から成人まで幅広い層を対象に、日本語と同時に文化についても教えることの多い現地教育機関の現状を踏まえ、授業やカリキュラムの改善方法を考えました。現代の日本の社会や文化を実際に体験し、情報を収集し、それを自国での教育の中で生かす方法を考える「プロジェクトワーク」を、日本人大学生との協働作業も含めて行いました。また、三重、浜松で国内の日系人対象の学校を訪ね、JICA横浜の日系研修参加者と合同ワークショップを実施しました。参加者はこの研修で、世界全体における中南米の日本語教育を多くの視点で見直すと共に、日系人として自らが現場で担う役割を再認識し、今後日本語教育の充実と発展にますます貢献していくことでしょう。

海外日本語教師日系人研修の写真
海外日本語教師日系人研修

いま、東南アジア諸国では中等教育レベルでの日本語学習が大きく進展しています。同時に、「自分で学び、成長する力」「協働力」「自ら考える力」「発表力」等、これからの社会で求められる能力の育成が、学校教育の大きな目標として掲げられるようになりました。こうした目標を日本語教育のなかでどのように実現するのか、2013年9月、公益財団法人かめのり財団との共催で「にほんご人フォーラム」を開催し、考察しました。対象はインドネシア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシアに日本を加えた6ヵ国で、高校生24人と中等教育レベルの教師11人が集まりました。高校生たちは、多国籍のグループに分かれて「便利なもの、その問題点と改善点」というタスクに取組みます。生徒たちが協力しあって調べ、議論し、成果を発表する過程を教師が観察し、学びの実態を教案に反映させる作業に取組みました。今後も中長期的な視野で「にほんご人フォーラム」を進めていきます。

海外の学習者を対象とした研修(関西国際センター)

1997年に大阪府に設立された関西国際センターでは、職業上、日本語能力を必要とする海外の専門家を対象とした「専門日本語研修」と、海外で日本語を学ぶ大学生・高校生等を対象とした「日本語学習者訪日研修」を実施しています。2013年度は、104の国と地域から684人が研修に参加しました。

東日本大震災を受けて2011年に開始した「米国JET記念高校生訪日研修」事業では、全米各地から選抜された高校生32人が、JETプログラムにより来日していた米国人2人が亡くなられた石巻市、陸前高田市を訪問し、遺族や縁のあった人々の支援のもと、「日米高校生サミット in 陸前高田2013」をはじめとする交流活動に参加しました。

2013年度には他機関との更なる連携拡大に努め、和歌山大学、大阪大学に加え、関西学院大学とも連携協定を締結し、研修生の大学講義への参加、特別講義・留学セミナー開催といった包括的な大学紹介・交流プログラムを拡大しました。また新たに、堺市議会、皇學館大學、伊勢神宮、東芝未来科学館、オムロンコミュニケーションプラザや国際日本文化研究センターにおける講義等を研修プログラムに加えました。

関西国際センターでは受託研修事業の拡大にも力を入れています。その一例として、2011年度に外国政府の外交官・公務員を対象とする研修に参加したカタールの外交官が、研修後に本国のカタール政府に働きかけたことで、2013年度に同国政府から青少年の研修事業を受託しました。

カタール青少年訪日研修 広島研修旅行の写真
カタール青少年訪日研修 広島研修旅行