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日本研究・知的交流 Japanese Studies and Intellectual Exchange

海外の日本研究の促進

日本研究機関への支援

海外の各国・各地域で日本研究の拠点となっている大学の学科・コースや研究センター等に対し、基盤の強化や専門家人材の育成のための支援を行っています。支援の内容は、各機関のニーズに応じて、研究や国際会議、教員ポストの拡充、図書整備、訪日研修、出版等への経費の助成や、客員教授の派遣など様々な形をとります。こうした包括的・継続的な支援により、海外での日本研究の長期的な発展・拡大を図っています。

チュラロンコン大学(タイ)

チュラロンコン大学の日本語・日本文学専攻修士課程の学生に対して日本の近現代文学に関する講義を実施するために、日本から近代文学の専門家を客員教授として派遣しました。講義では、谷崎潤一郎の代表的な2作品を取り上げ、それぞれの作品講読を通じて、日本の近代と近代文学について、近代文化の舞台となった都市空間における消費文化の観点から考察しました。更に作品の舞台となった東京と関西という2つの都市文化の差異についても検討しました。通常の授業のほかに、「村上春樹と1980年代—若者たちのアメリカ—」と題する特別講演会も実施しました。

また、修士課程の学生3人を対象に、タイでは入手困難な修士論文執筆に必要な図書資料を収集し、日本の大学教員による論文指導を受けるための約2週間の訪日研修を実施しました。3人は大阪大学で実施された研究会にも参加し、それぞれの研究テーマについて発表を行いました。

チュラロンコン大学での客員教授による講義の写真1
チュラロンコン大学での客員教授による講義の写真2
チュラロンコン大学での客員教授による講義

アインシャムス大学(エジプト)

アインシャムス大学外国語学部は、エジプトにおける文科系トップクラスの難関で、2000年に設立された日本語学科の学生の日本語能力は高い水準にあります。国際交流基金では、同学科の大学院生や学部学生に対する論文執筆や研究方法の指導と日本文化・社会に関する講義のために、日本人専任講師の雇用を援助し、より質の高い教育内容の実現を図りました。

アインシャムス大学(エジプト)日本語学科 講義風景の写真

北京日本学研究センター、北京大学現代日本研究センター(中国)

北京日本学研究センターは、中国における日本語・日本研究、日本との交流に携わる人材の養成を目的として、国際交流基金及び中国教育部の合意により1985年に開設されました。現在は、北京外国語大学と国際交流基金が共同運営しています。2013年度には、日本研究専攻大学院生に対する講義と指導のため、9人の日本人研究者を短期派遣した他、修士課程学生10人を約4ヵ月間、博士課程7人を1年間、研究のため日本に招へいしました。また、36人に修士号、3人に博士号を授与しました。

北京大学現代日本研究センター課程は、現代日本に関する適切な知識と専門的知見を備えた中国人専門家を養成することを目的として、北京大学と国際交流基金が共同運営しているものです。2013年度には社会科学系の博士課程学生延べ40人に対し、専門的な日本研究の講義指導を行いました。日本から10人の研究者を講義のために短期派遣した一方、受講生19人を15日間、訪日研修に招へいしました。

北京日本学研究センター卒業式の写真
北京日本学研究センター卒業式

日本研究者への支援

海外で日本について研究する研究者に対して、日本に滞在して研究や調査を実施するための研究奨学金(フェローシップ)を供与しています。人文科学と社会科学の分野の日本に関する研究が対象で、短期滞在、長期滞在のフェローシップ、また、特に博士論文を執筆するためのフェローシップもあります。全世界から公募で選ばれた多くの日本研究者が、国際交流基金のフェローシップを受けて日本での研究を行っています。

2013年度にフェローシップ期間中にフェローが国内の研究会などで発表を行った数は、報告されただけでも227件に上ります。例えば、イタリア出身のフェロー、ジュリオ・プリエセ氏が、『中央公論』の紙上で著名な学者と議論したことは代表例として挙げられます(『中央公論』2013年6月号、「紙上討論『日本が軸をおくべきは米国?中国?』」ロナルド・ドーア×ジュリオ・プリエセ、ジャッジ:エズラ・ヴォーゲル)。また、ハンガリー出身のユーリア・ネーマ氏は、国際交流基金が海外巡回展「美しい東北の手仕事展」の開催に合わせて実施した講演会及び展示ツアーにおいて、フェローとして日本で陶磁器の研究を行った経験を踏まえた説明を行いました。2回の講演会とツアーに参加した多くの人々が、ネーマ氏の詳しく具体的な解説で展示への理解を深めました。フェローの専門性を活かし、他の事業との間に相乗効果を生んだ事例といえます。

2014年1月に東京で開催したフェロー懇談会では、フェローシップにより日本に滞在中の研究者約75人が一堂に会し、様々な学問分野で日本について研究する各国の研究者間で活発な情報交換とネットワーク形成を行いました。

フェロー懇談会の写真
フェロー懇談会

日本研究ネットワーク促進

諸外国の日本研究者間の所属機関や国を超えたネットワークの構築、また、各地域あるいは国の日本研究者間の学会やネットワーク活動の支援を行っています。研究者間のネットワークを強化することで、海外の日本研究の発展を促すことを目指しています。

ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)京都会議の写真
ヨーロッパ日本研究協会(EAJS)京都会議

中央アジア日本研究セミナー

日本に関する情報が豊富には普及していない中央アジアにおいて、若手研究者や日本語学習者、そして日本を含む国際関係に関心を持つ学生を対象に、最新の日本の状況と方向性に関する講演会を開催しました。

2000年代初頭にウズベキスタンで日本国大使として活躍し、中央アジアに関する調査や発表を続けている評論家の河東哲夫氏を講師として派遣。中央アジアへの造詣が深く、米国、西ヨーロッパ、ソ連・ロシア等で外交官としての勤務経験が豊富な同氏は、「蘇りつつある2011年大震災後の日本—アジアにおけるその役割」という題目で、東日本大震災の諸側面に触れつつ、現代日本の政治・経済・社会の状況を詳しく解説しました。

講演は、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンの3ヵ国の首都で、若者を中心に強い知的好奇心をもって迎えられました。どの会場でも、日本への関心の強さが窺われる多くの質問が寄せられ、限られた時間の中で熱心なやり取りが展開されました。単に日本の美点をアピールするのでなく、抱えている様々な課題も明らかにする手法をとったことで、中央アジアの人々の共感を得ることができました。今回の講演に参加して日本の最新情報に触れた若者たちが、将来様々な形で発信力をつけ、日本と中央アジアの相互理解の架け橋となっていくことが期待されます。

中央アジア日本研究巡回セミナー(キルギス)の写真
中央アジア日本研究巡回セミナー(キルギス)