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文化芸術交流 Arts and Cultural Exchange

日本の多様な文化・芸術の海外への紹介

外交上重要な機会、国・地域への重点的な対応

日本・スイス国交樹立150周年、「V4+日本」交流年、日・ボリビア外交関係樹立100周年、支倉使節団訪墨400周年「日墨交流年」等を迎えた2014年、この好機を生かして、アピール力の強い大型事業を展開しました。その一方で、世界中の国々でそれぞれの要望に合わせ、巡回公演、他機関との連携・協力による展覧会などで持続的・継続的な日本文化の発信に努めました。

V4とは、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアによる地域協力の枠組みで、1991年にハンガリーのヴィシェグラードで創設。「V4+日本」対話・協力が開始されてから10周年となる2013年に首脳会合が開催され、2014年を「V4+日本」交流年とすることで合意されました。

チューリッヒ市立映画館「Filmpodium」にて登壇中の役所広司氏の写真
チューリッヒ市立映画館「Filmpodium」にて登壇中の役所広司氏

「ロジカル・エモーション—日本現代美術」展

 「日本・スイス国交樹立150周年」を記念し、チューリッヒのハウス・コンストルクティヴ美術館との共催により、「ロジカル・エモーション—日本現代美術」展を開催しました。

両国のキュレーターにより共同企画された本展では、国際的にも著名な草間彌生氏や宮島達男氏、平田晃久氏等、日本の14人の美術家、建築家、デザイナーが参加しました。会場に合わせて制作される新作や、展示空間全体を作品として体験できる大型インスタレーションに加え、絵画、彫刻、写真、映像、デザイン、工芸、マンガ、建築等幅広い分野の80点を超える作品により構成されました。一見矛盾したタイトルのもと、「論理的な」要素と「情動的な」要素とが内在する作品をジャンル横断的に紹介した展示は、日本の現代美術への新しい視点を提案し、好評を博しました。

また、スイスでの開催後は、「V4+日本」交流年を記念し、ポーランドのクラクフ現代美術館に巡回し、若い世代を中心に現地の観客を魅了しました。スイス、ポーランド両国とも、多くのメディアから取り上げられて注目を浴び、一元的な理解にとらわれない日本の現代美術のあり方と展覧会の魅力が伝えられるとともに、会期中には、各会場で美術、ファッション、建築、デザイン等をテーマに、日本文化を様々な側面から伝える講演会、ワークショップ等の関連イベントも開催され、現地観客の対日理解を促すまたとない機会となりました。

「ロジカル・エモーション」展の会場風景の写真
「ロジカル・エモーション」展の会場風景
Courtesy of Museum Haus Konstruktiv PhotoIlja Tschanen

沖縄伝統芸能南米公演 ~琉球の新風(みーかじ)・男性舞踊家の競演~

「日・ボリビア外交関係樹立100周年」、「コロニア・オキナワ(ボリビア)入植60周年」を記念し、国立劇場おきなわとの共催により、ボリビア3都市で沖縄伝統芸能公演を行うとともに、サッカーW杯直後のブラジル2都市でも公演を実施し、2015年の「日ブラジル外交関係樹立120周年」に向けた機運づくりを行いました。

国立劇場おきなわの芸術監督・嘉数道彦氏が精選した踊り手5人と音楽家4人は、沖縄の伝統芸能の継承と革新に取り組む若き男性実力派。古典的な作品から賑やかで明るく軽快な作品に至るまで、沖縄の舞踊・音楽・演劇の多彩な魅力を盛り込んだ公演はすべての会場で満員御礼、スタンディング・オベーションを勝ち取りました。

世界最大の日系人コミュニティを有するサンパウロでは、チケットの予約開始後1時間と経たないうちに配布を終了。大きな期待と注目を集めました。公演終盤は観客全員が総立ちとなり、会場は暖かい拍手と声援で包まれました。リオデジャネイロ会場はブラジルが誇る最新の総合芸術センター、シダージ・ダス・アルチス。ホールの大半は非日系の観客で埋まり、言葉が通じずとも団員のコミカルな動きと優美な舞いに笑いや拍手が溢れ、スタンディング・オベーションの波が広がりました。

ボリビアのコロニア・オキナワは第二次世界大戦後、沖縄から集団移住した人々が築いた町。入植60周年記念式典の1週間後に訪れた団員たちを熱烈歓迎してくださいました。公演の翌日、公演団は地元の小学校を訪れ、普段から三線や琉球舞踊を習っている児童生徒に特別指導を行いましたが、地球の反対側で沖縄文化の継承に取り組む子どもたちの熱心な姿に、団員たちも自然と頬がゆるんでいました。ボリビア第2の都市サンタクルスでは集客が懸念されましたが、テレビ番組出演の効果もあって400席の会場に600人以上の人々が押しかける大盛況の公演となりました。そして千秋楽は標高4,000メートル、ボリビアの首都ラパス。長旅の疲れや高山病に悩まされながらも、時には酸素ボンベの力を借りながら熱演。拍手喝采の中、大団円を迎えました。

16日間のツアーを通じて、沖縄伝統芸能の新しい風を南米に届けるとともに、ボリビアと日本の間に文化の虹をかける事業となりました。

沖縄伝統芸能サンパウロ公演でのスタンディング・オベーションの写真
沖縄伝統芸能サンパウロ公演でのスタンディング・オベーション

支倉使節団訪墨400周年記念「日墨交流年」 セルバンティーノ国際芸術祭

セルバンティーノ国際芸術祭は、ラテンアメリカで最も重要な芸術の祭典として、メキシコの世界遺産都市グアナファトで毎年10月に開かれます。音楽、オペラ、演劇、舞踊、美術、映画、文学等、様々な分野の芸術家3,000人以上が参加し、約40万人の観客が鑑賞。その模様はマスメディアを通じて連日のように報道されました。

2014年の第42回では、支倉使節団訪墨400周年「日墨交流年」を記念し、日本が単独の公式招待国に選ばれ、秋篠宮同妃両殿下ご臨席のもと、「和」をテーマに日本特集が開幕。約2万3千人の観客が日本の芸術文化の幅広い魅力を堪能しました。国際交流基金は、企画立案の初期段階から芸術祭プログラム・ディレクターの訪日調査に協力するとともに、日本の公演団の参加や展覧会の開催等を積極支援。日本特集の成功に寄与しました。

10月8日の開幕記念コンサートは和太鼓音楽集団「東京打撃団」が務め、躍動的な和太鼓演奏にスポットライトが当たりました。終演間際から会場周辺では花火が打ち上げられ、立ち見も含め5,000人を超える観客が総立ちとなって日本の参加を祝いました。10月23日、ヴァイオリニストの五嶋龍氏とグアナファト州立大学オーケストラとの共演では800人定員の会場が満席となり、五嶋氏の卓越したテクニックと表現力、日本とメキシコの若さ溢れる共演に観客から盛んな拍手が送られました。そのほか、最先端のテクノロジーとダンスの融合に挑戦する「ライゾマティクス×イレブンプレイ」、「八王子車人形西川古柳座」、現代音楽アンサンブル「ネクスト・マッシュルーム・プロモーション」等、いずれの公演も熱狂的な歓迎をもって受け入れられました。

これら公演団の一部はメキシコ国内を巡回。合計24都市で25回公演を実施し、4万4千人以上の観客を動員する成果を収めました。今回の芸術祭参加を通じて、400年にわたる日本とメキシコの相互理解がさらに深まり、未来志向で幅広い交流が促されることが期待されます。

セルバンティーノ国際芸術祭の開幕を飾る「東京打撃団」の野外公演の写真
セルバンティーノ国際芸術祭の開幕を飾る「東京打撃団」の野外公演
写真提供:セルバンティーノ国際芸術祭事務局

パリ「北斎」展

19世紀に欧州で開花したジャポニスムの火付け役となった『北斎漫画』(1814年)の出版200周年を記念し、フランス国立美術館連合・グラン・パレとの共催により、2014年10月1日から翌年1月18日にかけて大規模な「北斎」展を開催しました。

1900年のパリ万博のために建てられたグラン・パレ国立ギャラリーの前には、19世紀の欧州美術に多大な影響を与え、パリの芸術家たちも魅了した北斎の作品をひと目見ようと、連日長蛇の列ができるほど。北斎に影響を受けた作品や資料も展示され、700点に及ぶ幅広い作品によって北斎の画業を総合的に紹介する本展には約36万人が入場し、大成功のうちに幕を閉じました。

本展覧会は、2013年6月、オランド仏大統領が国賓訪日の際に発表された日仏共同声明の付属文書「日仏間協力のためのロードマップ」に基づく開催でもあり、世界中から観光客が集まる芸術都市パリの中心部で日本の芸術文化の魅力を大々的に紹介する機会となりました。

グラン・パレ国立ギャラリーの写真
「北斎」展では、グラン・パレ国立ギャラリーの前に連日長蛇の列ができた

広く全世界に向けた継続的な事業展開

多様なジャンルとテーマで構成された巡回展、全12言語版の日本映画を揃えるフィルム・ライブラリー、劇映画やドキュメンタリーのDVD等、国際交流基金では文化交流を促進する多彩な展覧会や映画上映会を、全世界で広く実施しています。さらに、日本のドラマやアニメ、ドキュメンタリー番組を現地テレビで放映したり、各国の国際図書展や美術展・建築展等に継続的に出展したり、日本に関連する書籍に対して翻訳出版助成を行う等、様々な形で日本文化を紹介し続けています。

翻訳推薦著作リスト『Worth Sharing

国際交流基金は「翻訳出版助成プログラム」を通じ、過去40年間にわたり、日本に関する図書の海外出版を支援してきました。このプログラムにより翻訳・出版された図書は1,500件以上、言語は50を超え、そのジャンルは古典文学、現代文学、歴史、社会学、政治、経済から文化論に至るまで様々です。

そのような中、海外の人々の間で、日本の現代社会に対する理解が一層進むことを願って、特に翻訳・出版が期待される優れた著作を小冊子Worth Sharing—A Selection of Japanese Books Recommended for Translationにまとめ、紹介する取組みを進めています。これは、日本の「いま」を描き、日本社会や日本人について、等身大の姿を伝える優れた著作を日本からも積極的に発信していくための仕掛けです。選書には、日本の文学と翻訳に精通している選書委員の協力を仰ぎました。

本冊子をまとめるにあたっては、これまでに現代日本の図書があまり紹介されてこなかった言語圏での指針となるよう、テーマをゆるやかに設定したうえで選書しています。1つの切り口から見た日本の姿が、視点を変え、異なる角度から眺めれば、新たな色彩を放つ、一面的には捉えがたい日本の文化と社会の諸相を伝えることを目指しています。

2014年に刊行した第3号のテーマは「日本の愛」。「愛」とは極めて多義的な概念であり、恋愛、家族愛、郷土愛等、用いられ方によって様々な意味合いが含まれます。人間としての普遍的な感情や価値観が色濃く表れるのも愛ならではです。同時代を生きる日本人の様々な愛の形を表現したノンフィクション作品を中心に、20冊を紹介しました。

この冊子に掲載した図書の翻訳・出版については、質の高い翻訳と適切な出版計画があれば、「翻訳出版助成プログラム」で積極的に支援を行っており、これまでも多くの国で出版が相次いでいます。本冊子をきっかけとして、日本の作品、作家、翻訳者や出版社が出会い、海外の読者一人ひとりに日本との交流の芽が生まれることを期待しています。

翻訳推薦著作リスト『Worth Sharing』の写真

巡回展に合わせたレクチャー・デモンストレーション、ワークショップ

国際交流基金が実施する巡回展は、アート、建築、デザイン、ポップカルチャーをはじめとする多様なジャンルとテーマで構成され、世界各国を巡回しながら日本の美術や文化を紹介する大切な事業の1つです。さらに、この巡回展の実施に合わせて専門家、実演家等を派遣し、レクチャー・デモンストレーション(解説と実演)やワークショップ等の複合的な事業を積極的に展開し、より深い日本理解の促進に努めています。

2014年度は、「日・中米交流年」の開幕を記念し、巡回展「キャラクター大国、ニッポン」とも連動する形で“アニメソング界の帝王”水木一郎氏による特別ライブをコスタリカの首都サンホセで開催。その模様は現地紙・テレビ、ソーシャルメディアを通じて広く共有され、中米諸国における日本のポップカルチャー人気に最大限応える事業となりました。

また、武具と武術の歴史や現代文化としての武道を紹介する巡回展「武道の精神」を、エチオピアの首都アディスアベバで開催するのに合わせて、空手の専門家2人を派遣し、現地の空手家に対する指導や学生向けのレクチャー・デモンストレーションを実施。参加者からは「非常に興味深く、質の高い充実したプログラムだった」との感想が異口同音に寄せられました。

 「日・中米交流年」の開幕記念イベントにて、歌手の水木一郎氏とコスタリカの共演者・観客たちの写真
「日・中米交流年」の開幕記念イベントにて、歌手の水木一郎氏とコスタリカの共演者・観客たち

巡回展「武道の精神」より、空手家によるレクチャー・デモンストレーション(エチオピア)の写真
巡回展「武道の精神」より、空手家によるレクチャー・デモンストレーション(エチオピア)