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海外における日本語教育 Japanese-Language Education Overseas

国・地域の事情に応じた日本語普及

日本語専門家の海外派遣

世界40ヵ国で126人の日本語専門家が活躍

海外各国における日本語教育の定着と自立化の促進を目的に、各地に日本語専門家を派遣しています。

2014年度は40ヵ国に126人の専門家を派遣しました。派遣された専門家は、現地教師の育成、カリキュラム・教材の作成や教師間ネットワーク構築への支援、教室での日本語教授等、派遣先機関・国における安定的な日本語教育の実施や質的改善のための業務を行っています。

たとえば、現地の新教育カリキュラムに備えた教材の作成・ワークショップの実施(ジャカルタ、ベトナム)、受入国の教育省との共催による、日本語教師公務員採用予定者に対する集中研修の実施(バンコク)や、近い将来受入国の公教育において初めて日本語を母語としない日本語教師が誕生することを見据えた当該養成課程に在籍する学部学生を対象とした実習(ケルン)等を行いました。

日本語教育支援プロジェクト

世界127機関をつなぐ「さくらネットワーク」

JFにほんごネットワーク(通称:さくらネットワーク)は、世界各地の日本語普及と日本語教育の質の向上を目的とする、海外の日本語教育機関をつなぐネットワークです。国際交流基金の海外拠点に加え、周辺地域への波及効果の高い日本語事業を実施している機関・団体(大学や日本語教師会等)をメンバーとして認定しており、メンバー数は2008年3月発足時の31ヵ国39機関から、2014年度末には47の国・地域127機関にまで成長しています。

このネットワークのメンバーが申請できるプログラム「JFにほんご拠点事業(助成)」(通称:さくら中核事業)を通じて、メンバー所在国や地域への日本語の普及・拡大・発展につながる波及効果の高い事業を実施・支援しています。さらに、国際交流基金の海外拠点がない国に向けた「日本語普及活動助成」プログラムにより、教材購入、講師謝金、スピーチコンテストや会議・シンポジウムの開催への助成を行う等、各国・地域のニーズに対応したきめ細かな日本語教育支援を行っています。

経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者の日本語教育

インドネシア、フィリピンと日本との二国間経済連携協定(EPA)に基づき、日本に受け入れる看護師・介護福祉士候補者378人を対象として、来日前の日本語予備教育事業(6ヵ月間)を両国で実施しました。事業の内容は基本的な文法・語彙・会話を習得する日本語プログラムから、日本の社会・生活習慣等の基礎知識を習得する社会文化理解プログラムまで多岐にわたります。候補者は、来日して病院や介護施設に配属された後は、仕事をしながら国家試験合格を目指すことになるため、効率的な学習習慣を身につけておく必要があります。そのため、本事業では自律学習支援にも力を入れ、候補者が自分の学習を計画し、振り返り、評価する訓練も行いました。

インドネシア教育大学の写真
インドネシア教育大学

ヤギェロン大学での国際合宿の写真
ヤギェロン大学での国際合宿

国内連携による日本語普及支援

 国際交流基金では2009年度より、日本語教師養成課程を有する日本国内の大学と連携して、日本語教育を専攻する学生をインターンとして海外へ派遣しています。2014年度は国内51大学から260人を派遣しました。

また、これと連動して、日本の大学からインターンを受け入れる海外の大学から、学部学生を招いて、関西国際センターで訪日研修を実施しています。この研修は、日本語学習や対日理解の機会を提供すると同時に、大学間の連携強化の支援を目的としています。2014年度は、「夏季特別」、「秋季」の計2回を実施し、のべ24ヵ国から73人が研修に参加しました。

海外の教師・学習者を対象とした研修

海外の教師を対象とした研修(日本語国際センター)

2014年度は、日本語国際センターが実施する16の研修プログラムに、53ヵ国・地域から498人の日本語教師が参加しました。

「海外日本語教師長期研修」は、若手外国人教師を対象とした6ヵ月の研修で、2014年度は29ヵ国・地域から57人の教師が参加しました。研修参加者は日本語や日本語教授法等の授業だけではなく、書道、茶道、浴衣着付け、学校訪問等の文化体験プログラム、日光や関西方面での地方研修を通じて言語の背景にある日本文化への理解を養います。研修参加者は研修終了後もSNS等を使って連絡を取り合って教育上の相談もしており、国を超えた日本語教師間のネットワークが構築されています。

日本語国際センターで研修を受けた日本語教師は、教育現場で活躍するほか、世界各国の教師会等でリーダーシップを発揮している人も多く、当センターは研修機関として海外でも高い評価を得ています。

日本語国際センター25周年記念事業

日本語国際センターは1989年にさいたま市(旧浦和市)に設立されて以来、のべ1万人を超える日本語教師を対象に研修を行い、また、時代の要請に応えた様々な学習教材や教師用の教材を開発してきました。

設立25周年を迎えた2014年、これまで支えてくださった地域の皆さまに参加していただけるイベントや、これまでのセンター事業を振り返るとともに、これから取り組むべき課題について考える、日本語教育に関する一連のシンポジウムを開催しました。

2014年11月29日、公益財団法人埼玉県国際交流協会と共催で、当センターを開放して「国際交流まつり@北浦和2014」を開催しました。当センターの活動について紹介するほか、長期研修・上級研修で来日している世界各国の日本語教師たちが、母国の紹介、歌や踊りの発表、研修で取り組んでいるプロジェクトや自国で使われている日本語教材についての説明などを行い、埼玉県民、さいたま市民を中心にのべ600人が来場し好評でした。

一方、2014年9月には、ASEAN 5ヵ国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム)の教育行政関係者を迎えて、「21世紀の人づくりをめざすASEAN各国の教育最前線~中等教育の外国語教育が果たす役割~」と題したシンポジウムを実施しました。21世紀を担うグローバル人材の育成が注目される今日、各国はどのような教育政策・方針のもとで外国語教育に取り組んでいるのか、また日本語学習・日本語教育をめぐる状況はどうなのか、等について意見交換や考察が行われました。2015年2月には、シンポジウム「課題遂行を出発点とした言語学習デザイン—『まるごと 日本のことばと文化』の挑戦—」を実施し、日本語教育関係者を中心に180人を超える来場を得て、活発な議論が展開されました。

このほかにも、講演会などを行い、これまでの25年、そしてこれからの日本語教育支援について考える節目の一年となりました。

日本語国際センターは、これからも研修事業や教材開発などを通して、世界の日本語教育の発展に貢献していきます。

日本語国際センター25周年記念シンポジウム「21世紀の人づくりをめざすASEAN各国の教育最前線」の写真
日本語国際センター25周年記念シンポジウム「21世紀の人づくりをめざすASEAN各国の教育最前線」

海外の学習者を対象とした研修(関西国際センター)

1997年に大阪府に設立された関西国際センターでは、職業上、日本語能力を必要とする海外の専門家を対象とした 「専門日本語研修」 と、海外で日本語を学ぶ大学生・高校生等を対象とした 「日本語学習者訪日研修」 を実施しています。2014年度は、97の国・地域から548人が研修に参加しました。

「李秀賢氏記念韓国青少年訪日研修」事業は第14回目を実施。そして、東日本大震災を受けて2011年に開始した「米国JET記念高校生訪日研修」事業では、全米各地から選抜された高校生32人が、JETプログラムにより来日していた米国人2名が亡くなられた石巻市などを訪問し、遺族や縁のあった人々の支援のもと、様々な交流活動に参加しました。

また、国際交流基金アジアセンターの「日本語パートナーズ」派遣事業の派遣前研修が始まり、ASEAN諸国の現地に派遣予定の140人に対して派遣前研修を行いました。

関西国際センターでは受託研修事業の拡大にも力を入れています。その一例として、2014年度は、サウジアラビアのキングサウード大学からの委託で、「キングサウード大学生訪日日本語研修」を初めて実施しました。本研修は、三菱商事株式会社から同大学に対する寄付金により実施されたものです。

キングサウード大学生訪日日本語研修(浅草)の写真
キングサウード大学生訪日日本語研修(浅草)