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日本研究・知的交流 Japanese Studies and Intellectual Exchange

海外の日本研究の促進

日本研究機関への支援

海外の各国・各地域で日本研究の拠点となっている大学の学科・コースや研究センター等に対し、基盤の強化や日本専門家人材を育成するための支援をしています。支援の内容は、各機関の要望に応じて、研究や国際会議、教員増員雇用、図書整備、訪日研修、出版等への経費の助成や、客員教授の派遣等様々な形をとります。こうした包括的・継続的な支援により、海外での日本研究の長期的な発展・拡大を図っています。

集中的な日本研究支援を開始(ロシア)

ロシアのサンクトペテルブルク国立大学及び極東連邦総合大学に対して、日本たばこ産業株式会社の寄附を得て、3年間の集中的な日本研究支援を開始しました。これら2大学は、日本語教育及び日本研究の両面で、ロシアを代表する教育研究拠点です。今回開始した集中支援では、若年層の日本理解を深めるために、大学院生・大学生に対して1学期間もしくは1年間にわたり、日本の大学で研究する機会を提供する等の協力を行います。2014年度は、サンクトペテルブルク国立大学の大学院生3人の訪日研究を支援しました。2015年度以降、訪日支援の規模は両大学から合わせて20人程度に拡大する予定です。

ロシア大学院生招へいオリエンテーションの写真
ロシア大学院生招へいオリエンテーション

日本研究の人材育成・交流の今後に期待(米国)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校に対し、カリフォルニア州財政の悪化に加えて有力教員の退任が重なるという背景を受けて、2012年度から4年間の支援を継続しています。2014年度は、近隣の研究機関と連携した研究会議や、公開シンポジウム等の経費を援助しました。公開シンポジウムは「日系ディアスポラの過去と現在」をテーマとした充実した内容で、広く米国社会に向けて最新の日本研究の成果を発信しました。また、国際交流基金の支援により2013年度に教員として採用されたマイケル・エメリック准教授は、同校と早稲田大学の間に実業家の柳井正氏の個人寄附によって設立された「柳井正イニシアティブ」においても発起人の1人として中心的な役割を果たしました。同イニシアティブは日米の人文学界における人材育成と交流促進を目的としており、今後同准教授がその運営委員として様々なプログラムを推進することで、日米両国の日本研究の深化に貢献することが期待されます。

公開シンポジウムの様子(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の写真1

公開シンポジウムの様子(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の写真2
公開シンポジウムの様子(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)

北京日本学研究センター、北京大学現代日本研究センター(中国)

北京日本学研究センターは、中国における日本語・日本研究、日本との交流に携わる人材の養成を目的として、国際交流基金および中国教育部の合意により1985年に開設され、現在は北京外国語大学と国際交流基金が共同運営しています。国際交流基金は同センターの日本研究専攻大学院生への講義・指導のため、7人の日本人学者を短期派遣したほか、訪日研究のために修士課程学生16人を約4ヵ月間、博士課程学生4人を1年間、日本に招へいしました。2014年度、同センターからは新たに37人の修士、10人の博士が誕生しました。

一方、北京大学では現代日本研究センターを共同運営し、現代日本に関する適切な知識と専門的知見を備えた中国人専門家を養成しています。2014年度には、北京大学の社会科学系の博士課程学生20人に対し、専門的な日本研究の講義指導を行いました。日本からは11人の研究者を講義のために短期派遣し、6月には受講生20人を15日間、訪日研修に招へいしました。

北京日本学研究センター修士・博士合同レセプションの写真
北京日本学研究センター修士・博士合同レセプション

日本研究者への支援

海外で日本について研究する研究者に対して、日本に滞在して研究や調査を実施するための研究奨学金(フェローシップ)を供与しています。人文科学と社会科学の分野の日本に関する研究が対象で、短期滞在・長期滞在のフェローシップ、また、特に博士論文を執筆するためのフェローシップもあります。全世界から公募され、これまでに海外の多くの日本研究者が国際交流基金フェローとして日本での研究を行っています。

駐日マケドニア大使として再来日

2011年度に国際交流基金フェローとして来日し、映画表現の研究を行ったアンドリヤナ・ツヴェトコヴィッチ氏が2014年11月、駐日マケドニア大使に就任しました。同氏は「フェローとして来日した経験は研究にもキャリア形成にも大きな影響があった」と述べており、これからは外交の分野でも日本に対する深い洞察力を発揮することが期待されます。

駐日マケドニア大使に就任したアンドリヤナ・ツヴェトコヴィッチ氏の写真
駐日マケドニア大使に就任したアンドリヤナ・ツヴェトコヴィッチ氏

ブッカー国際賞を受賞

過去2回国際交流基金フェローとして来日した、ハンガリーの著名作家ラースロー・クラスナホルカイ氏が2015年5月、英国の文学賞であるブッカー国際賞を受賞しました。クラスナホルカイ氏は、フェローとしての研究成果をもとに、日本の寺院と庭園についての著書(邦訳は『北は山、南は湖、西は道、東は川』2006年)を出版しています。今回の受賞により、同氏の作品が改めて国際的に注目され、世界各地における日本文化理解の一助となることが期待されます。

災害の教訓を日本とインドネシアで共有

2013年度に国際交流基金フェローとして来日した、災害専門ジャーナリストのアフマッド・アリフ氏は、2014年にジャカルタで開催された国際シンポジウム「自然災害の記録:文化的視点」において、シンポジウムの企画者に対して日本の事例についてアドバイスを行いました。このシンポジウムは、ジャカルタ日本文化センターと、国立インドネシアイスラム大学ジャカルタ校が共催し、災害に対する文化・宗教的な影響をテーマとし、400人の来場者を集めました。アリフ氏のフェローとしての経験、特に東日本大震災に関する知見が広く活かされた事例といえます。

大学の要職に就任したかつてのフェロー

2011年度に国際交流基金フェローとして、ウズベキスタンから来日したサリホフ・ジャスール氏は、シンガポール経営開発大学タシケント校の学長に就任しました。また、1986年度フェローの廉載鎬(ヨム・ジェホ)氏は、2015年3月、韓国の高麗大学校総長に就任しました。こうした大学での重要ポストに就いたフェローシップ出身者の方々が、母国と日本の間で相互理解をより深めていくことが期待されます。

日本研究ネットワーク促進

諸外国における所属機関や国を超えた日本研究ネットワークの構築、また、各国・地域の日本研究者間の学会や交流活動の支援も行っています。研究者間の交流基盤を強化することで、海外の日本研究の発展を促すことを目指しています。

西アフリカ日本研究セミナー

2015年3月、コートジボワールにおいて、西アフリカ7ヵ国10人の現役大臣や研究者が集い、「西アフリカ日本研究セミナー」を開催しました。日本からは法政大学の安孫子信教授、名城大学の加茂省三准教授、そして開催国以外ではブルキナファソ、ベナン、ニジェール、トーゴ、セネガル、モーリタニアが参加し、日本研究が芽吹きつつある段階のアフリカ諸国において、最も関心を集めているテーマ「新興」と、日本の近代化との関連性を切り口に議論が行われ、西アフリカ・フランス語圏で、日本について研究する主要大学間のネットワークを形成することができました。

西アフリカ日本研究セミナーの写真
西アフリカ日本研究セミナー