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海外拠点の活動

国際交流基金は、21ヵ国に22の拠点を設け、地域・国別事業方針の下、
各国・地域の状況に合わせ、文化芸術交流、日本語教育、日本研究・知的交流の
各分野で様々な活動を展開しています。各拠点による活動報告をご紹介します。

世界地図に本部(日本)、海外21カ国に22の海外拠点(ソウル、北京、ジャカルタ、バンコク、マニラ、ハノイ、クアラルンプール、ニューデリー、シドニー、トロント、ニューヨーク、ロサンゼルス、メキシコシティ、サンパウロ、ローマ、ケルン、パリ、ロンドン、マドリード、ブタペスト、モスクワ、カイロ)を示した地図 イタリア ローマ日本文化会館 ドイツ ケルン日本文化会館 フランス パリ日本文化会館 英国 ロンドン日本文化センター スペイン マドリード日本文化センター ハンガリー ブダペスト日本文化センター ロシア モスクワ日本文化センター エジプト カイロ日本文化センター 韓国 ソウル日本文化センター 中国 北京日本文化センター インドネシア ジャカルタ日本文化センター タイ バンコク日本文化センター フィリピン マニラ日本文化センター マレーシア クアラルンプール日本文化センター ベトナム ベトナム日本文化交流センター インド ニューデリー日本文化センター オーストラリア シドニー日本文化センター カナダ トロント日本文化センター 米国  ニューヨーク日本文化センター 米国 ロサンゼルス日本文化センター メキシコ メキシコ日本文化センター ブラジル サンパウロ日本文化センター 欧州・中東・アフリカ アジア・大洋州 米州

欧州・中東・アフリカ

イタリアの国旗イタリア ローマ日本文化会館

親子で楽しむ日本の絵本の世界

「さんかく!」、「ぞう!」職員がかかげる絵本を指差しながら、覚えたばかりの日本語で元気に答える子どもたち。展示ホールはまるで幼稚園の教室のようです。

ローマ日本文化会館では、ローマ市立児童館、ローマ市子ども中央図書館と協力し「日本絵本祭り」と題する絵本にまつわる様々なイベントを開催しました。目玉企画として、世界最大の児童書見本市であるボローニャ国際児童図書展をきっかけにデビューを果たした日本人若手絵本作家の原画や、図書展に合わせて開催される原画展の入選作を展示。また、絵本の読み聞かせや紙芝居、絵本作家の刀根里衣氏によるワークショップ等を企画し、イタリアの皆さんに知られざる日本の絵本の世界をご紹介しました。

子どもたちだけでなく、保護者の方々も質の高いイラストとユニークな発想の日本の児童書に興味津々で、会場はたくさんの親子連れの皆さんで賑わいました。

会館スタッフが絵本の読み聞かせや日本語クイズを行っている写真
会館スタッフが絵本の読み聞かせや日本語クイズを行いました。撮影:Mario Boccia

選りすぐりの絵本を来館者の皆様が自由に閲覧している様子
会場では選りすぐりの絵本を来館者の皆様に自由に閲覧していただきました。

ドイツの国旗ドイツ ケルン日本文化会館

日独の専門家が「家族政策」について議論を展開

日独の共通課題をテーマとした事業シリーズとして、デュッセルドルフ大学および筑波大学との共催により、2015年1月に2日間にわたり、シンポジウム「日本とドイツの家族政策~ウィメノミクスとドゥーイング・ファミリー」を実施しました。

本シンポジウムでは、日独の研究者及び政策担当者計10人により「日本における家族政策―高齢化社会における家族のための総合政策の現状と課題」、「仕事の時間・家族の時間―ドイツと日本の女性労働比較」、「家族政策からみた日本の子育てする父親(イクメン)」等の報告がなされ、シンポジウムのまとめとして登壇者全員による討論会を行いました。

家庭状況を前向きに変革させていくために、現在日独の政策にどのような展開があり政治・社会活動やネットワーク化が進められているのか、両国の現状についての報告と活発な議論・提言が行われ、少子高齢化に直面する両国にとって有意義なシンポジウムとなりました。

シンポジウム「日本とドイツの家族政策~ウィメノミクスとドゥーイング・ファミリー」の写真1

シンポジウム「日本とドイツの家族政策~ウィメノミクスとドゥーイング・ファミリー」の写真2

フランスの国旗フランス パリ日本文化会館

「色をつむぐ~しむらの着物」展

植物染料による独自の芸術的織物と文筆作品でも知られる染織作家、そして紬(つむぎ)織りの人間国宝でもある志村ふくみ氏。その薫陶を受けつつも、藍染めに新たな世界を探っている、娘・志村洋子氏。展覧会ではこの2人の作家の作品約40点を展示しました。

会場では、染織表現の実践と東西の色彩研究の過程で、母・ふくみ氏がその著作を通して表現した文章と思索の言葉を、作品鑑賞への導入として掲示。そして、自ら草木から染め出した多彩な色糸を独自の感性によって織り込んだ着物を展示することで、志村ふくみ・洋子の美の世界を再構築しました。

展覧会で伝えたかったのは、この2人の作家にとって、染織とは単なる芸術活動ではなく、何よりも自然と私たち人間との共生のための思索であり探求する行為であるということです。大いなる自然への尊敬の気持ちはそのまま、美しいものを何世紀にもわたって大切に伝えていく日本文化への賛歌にほかならないでしょう。

「色をつむぐ~しむらの着物」展の写真1©Masayasu Eguchi

「色をつむぐ~しむらの着物」展の写真2

英国の国旗英国 ロンドン日本文化センター

英国初等教育課程における
日本語教育導入にむけた取組み

「ぼくたちの学校には様々な国の出身の子どもがいます!」、「みんなにとって新しい挑戦になる外国語を勉強したいな!」、「それ何語?」、「ニホンゴ!」、「オハヨウ、オハヨウ、コンニチハ、コンニチハ♪」

参加校が、それぞれの学校でのユニークな日本語学習の様子を紹介するウェブページの出来栄えを競い合ったコンテストの表彰式での一コマ。小学生ながら堂々の銅賞入賞を果たしたホルブルック小学校児童による日本語を交じえた元気な発表に、会場が温かい笑顔で包まれました。

英国(イングランド)では、2014年秋から小学校で外国語が必修となりましたが、何語を教えるかは学校ごとの自由選択となっています。ロンドン日本文化センターでは、小学校向け日本語教材の開発や指導研修会を開催して、日本語を学ぶ楽しさを多くの小学生に届けるとともに、アニメ上映会等の機会を通じて、英国の子どもたちのポップカルチャーへの関心を、日本語学習に結びつけるきっかけづくりに努めています。

日本語を学習している英国小学生の写真1

日本語を学習している英国小学生の写真2

スペインの国旗スペイン マドリード日本文化センター

700年の歴史を超えた刀たちの饗宴
「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」

2014年7月から9月にかけて、ABC美術館との共催のもと、日西400周年の閉幕イベントとして「ヱヴァンゲリヲンと日本刀」展を行いました。大人気アニメ作品『ヱヴァンゲリヲン』(=現代文化)と日本刀(=伝統文化)を融合させた斬新なテーマに、普段は年配の来館者が多くを占める同美術館が、この時ばかりは若者で賑わいました。

展示には伝統的な日本刀のほか、『ヱヴァンゲリヲン』作品内に登場する刀やそこから連想される独自の刀等、日本各地の刀匠が様々な技法を駆使して制作した作品の数々が並べられました。展示初日には、展示刀製作者の刀匠と刀剣専門家が、日本刀についての講演や銘切りの実演を行い“玄人の鑑賞方法”を披露。濃厚な一日を演出し、観客と専門家が直接交流できる良い機会となりました。

開催期間中、展示ケースに張りつき展示刀の高さに顔を合わせて体を揺らす、興奮気味の観客たちの光景も興味深いものでした。

展示された伝統的な日本刀の写真
展示された伝統的な日本刀© Museo ABC

ヱヴァンゲリヲンのフィギュアと後方の日本刀展示の写真
ヱヴァンゲリヲンのフィギュアと後方の日本刀展示

ハンガリーの国旗ハンガリー ブダペスト日本文化センター

2014年「V4+日本」交流年
日本との新たなつながりの創出

2014年は、V4諸国(チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアのヴィシェグラード諸国4ヵ国)と日本国民との間の交流促進を図っていく「V4+日本」交流年の指定を受けました。地元ハンガリーを含む中東欧13ヵ国の広域を担当するブダペスト日本文化センターは、V4所在の各在外公館と協力し、伝統と現代を織り交ぜた多彩な文化事業を実施しました。

その中でも、ハンガリーでは、民俗音楽と和太鼓の共演、津軽三味線とジャズピアノの公演、若手俳優の至極の歌舞伎舞踊と熟練した伝統芸の素浄瑠璃の上演を行い、各界各層のお客様を魅了しました。また、日本映画祭では現代日本社会を感じさせる最新映画を中心とした上映に、大勢の方が押しかける盛況ぶりで会場が満員となりました。その他、ドキュメンタリー映画『ハーフ』の上映、日本出身の歴史学者・入江昭氏(ハーバード大学名誉教授)の中欧巡回講演、中東欧の若手日本研究者が一同に介するカンファレンス等を通じて、多くの方々が日本とのさらなる交流の可能性を感じた年となりました。

歌舞伎舞踊公演の写真1 V4とは、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロバキアによる地域協力の枠組み。日本とは様々な分野で協力が進められている。
http://www.hu.emb-japan.go.jp/itpr_ja/exchangeyear.html別サイトに移動します

歌舞伎舞踊公演の写真2

ロシアの国旗ロシア モスクワ日本文化センター

国境を自由に越える絵本
絵本作家・あべ弘士氏モスクワ訪問

「第16回国際知的図書展non/fiction」の2014年のテーマは「子ども」。モスクワ日本文化センターは、絵本作家のあべ弘士氏をモスクワに招へいし、講演会「絵本と自然」を行いました。旭山動物園で飼育係をしていたあべ氏の絵本には、動物たちがいきいきと描かれており、講演でも動物たちの話で聴衆を楽しませてくれました。また、外国文献図書館児童部主催の絵本コンクールの表彰式に参加したり、未来の絵本作家たちが学ぶモスクワ印刷大学で特別授業をしたり、子どもたちや学生たちに絵本の素晴らしさを伝えました。

北海道とロシアの間にある海と空を鳥や魚たちは自由に行ったり来たりできるが、人間はパスポートとビザがなければロシアに来ることができない、と動物たちをうらやましがるあべ氏。しかし、「人間が作った国境を自由に超えることができる素晴らしいもの―それが絵本です!」。あべ氏の絵本はこれからも国境を越えて世界の子供たちに感動を与え続けるでしょう。

絵本コンクールで入賞した子供たちとの写真
絵本コンクールで入賞した子供たちと

モスクワ印刷大学での特別講義の写真
モスクワ印刷大学での特別講義

エジプトの国旗エジプト カイロ日本文化センター

地方都市での日本文化紹介事業
アレキサンドリアの文化交流団体との協力

カイロの北西約220kmに位置するエジプト第2の都市・アレキサンドリア。カイロ日本文化センターは現地の文化交流団体と協力しながら、この地で様々なイベントを実施しました。

2014年10月、NPO法人I-actが主催するエジプトのバックストリートフェスティバルに、道化師のふくろこうじ氏を招へいし、同氏のコミカルな大道芸に観客は熱狂しました。また、アレキサンドリアを拠点に活動するアラブ折り紙センターが折り紙フェスティバルを実施、カイロ日本文化センターも折り紙ブースを出展し、約1,000人の来場者に折り紙の魅力を伝えました。2015年3月には桂歌蔵氏を招へいし、市内2会場と協力して日本語と英語の落語公演を行い、大きな笑いに包まれながら幕を閉じました。

イベントを通じ、普段日本文化に触れる機会が限られるアレキサンドリアっ子たちの感動や喜び、そして日本への愛情がよりダイレクトに伝わってきました。これからも、地方での日本文化紹介事業の企画・実施を模索していきます。

道化師ふくろこうじ氏の大道芸の写真撮影:Alaa Nasr

折り紙フェスティバルの写真

アジア・大洋州

韓国の国旗韓国 ソウル日本文化センター

東アジア文化交流使を迎え
沖縄の文化を多角的に紹介

2015年1月下旬、日韓国交正常化50周年記念のキックオフ事業として、文化庁の初代東アジア文化交流使に任命された西表島在住のシンガーソングライター池田卓氏と沖縄の伝統芸能を継承する若手音楽家、舞踊家を招へいし、沖縄の文化を紹介する公演・講座を実施しました。

ソウル日本文化センターで行った「文化日本語講座」では、琉球王朝時代の優雅な宮廷舞踊や庶民の間で親しまれた踊りの実演、池田氏による八重山民謡や故郷西表島をテーマとした歌の演奏のほか、琉装体験、泡盛の試飲、関連映画の上映等、豊かに育まれる沖縄文化を多方面から紹介しました。また、同時期に韓国国立古宮博物館で開催された「琉球王朝の至宝」展の会場でも公演を行い、満席の来場者から盛んな拍手が寄せられました。このほか、韓国国際交流財団との共催で済州島西帰浦(ソギポ)市にも巡回しました。どの会場でも、最後には全員でカチャーシーを踊って大いに盛り上がりました。

池田卓氏(右から3人目)と沖縄の音楽家、舞踊家の写真
池田卓氏(右から3人目)と沖縄の音楽家、舞踊家

国立古宮博物館での公演の写真
国立古宮博物館での公演の模様

中国の国旗中国 北京日本文化センター

「新海誠展」開幕に2000人殺到!
アニメファン待望の巡回展が北京からスタート!

“デジタル時代の映像文学”と称され、その美しい映像と叙情的なストーリーで中国の若者たちにも大人気のアニメ映画監督・新海誠氏の作品世界を紹介する、中国向け特別企画展が行われました。

秒速5センチメートル』をはじめとする代表的な4作品の絵コンテ、キャラクター設定、作画(レイアウトや原画の複製)等の制作過程を紹介するとともに、作品のメイキング映像や監督のインタビュー上映、記念撮影コーナーを設置し、観客を迎えました。2015年3月7日の開幕式には『言の葉の庭』上映会や関連レクチャーを実施。2,000人近くが押し寄せ、会場となる北京日本文化センターが入居するビル1階のロビーから建物の外まで人が溢れ、行列をつくる大反響でした。

今後も、中国における新海誠人気と日本アニメへの熱狂的な要望に応えるため、本展は2~3年をかけて中国の地方都市を巡回します。

「新海誠展」の写真1

「新海誠展」の写真2

インドネシアの国旗インドネシア ジャカルタ日本文化センター

HANDs! ―Hope and Dreams― Project!
「クリエイティブな防災」でつながるアジア

災害にひるむことなく夢と希望を持って、アジアの若者とともに立ち向かおう! ――そんな思いから生まれたのが「HANDs! ―Hope and Dreams― Project!」。日本、インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、インドのクリエーター、教員、NGO職員、学生が各国を訪ねながら、クリエイティブな手法を用いた防災教育を学び合い、2020年までに200人以上の青年を育てる事業です。

東日本大震災の被災地では、参加者は犠牲者を悼むとともに、災害に負けずに再び立ち上がろうとする被災者の姿に感銘を受け、アジアを共に強くしようと誓いました。研修1期生24名は被災地での学びを実践に移し、さらなる防災の絆の拡大を目指します。

また、この活動の様子が、インドネシアやタイ、日本でもテレビ番組で取り上げられ、多くの方に成果が共有されました。

「HANDs! ―Hope and Dreams― Project!」の写真1

「HANDs! ―Hope and Dreams― Project!」の写真2

タイの国旗タイ バンコク日本文化センター

演劇がつなげる交流 
日本とタイの若手演出家が挑む共同作業

バンコク舞台芸術祭において、チュラロンコーン大学との共催で、日本の演劇集団「範宙遊泳」による『幼女X』を上演しました。

舞台俳優の動きとプロジェクターから投影されたイメージが組み合わされた「2.5次元の演劇」は、同芸術祭でも注目を集め、最優秀作品賞と最優秀脚本賞を受賞しました。その後、このタイ公演が、タイの劇団「Democrazy Theatre」と「範宙遊泳」による『幼女X(日本―タイ共同制作版)』の企画につながり、2015年2月に横浜で行われた国際舞台芸術ミーティング(TPAM)で初演を果たし好評を得ました。現在は共同制作版のバンコク公演に向けて、双方の演出家はなおも協働作業を重ねています。

この「範宙遊泳」のタイ公演を提案したのは、前年に国際交流基金が日本に招へいしたチュラロンコーン大学演劇学科の講師の方です。このように縁を結びながら、今後一層、日本とタイの芸術分野における人的交流やアジアの若手芸術家間の協働を積極的に支援していきます。

演劇「幼女X」の写真1

演劇「幼女X」の写真2

フィリピンの国旗フィリピン マニラ日本文化センター

日比そしてアジア諸国との防災経験の共有、
防災の輪アジアへ広がる

多くの自然災害に見舞われたフィリピンでは、人々の間で防災に対する関心が高まっています。こうした機運を捉え、日本の優れた防災への取組みを紹介し、防災に向けた意識を高めてもらおうと、様々な事業を実施しました。

2014年度は、日本と世界各地の優れた防災活動を集めた展覧会「Earth Manual Project」展をマニラのアヤラ美術館で開催しました。2015年度には、フィリピン北部のバギオ、そしてタイへも巡回します。
また、子どもたちが楽しみながら防災活動を学べる「イザ!カエルキャラバン」をフィリピン向けに改良したプログラム「Move Philippines」を、NPO法人プラス・アーツの協力を得て作成、ワークショップを実施しました。

日本、フィリピン、ひいてはアジアでの防災について、経験の共有、学び合いの交流が活発に行われています。

「Earth Manual Project」展の写真
Earth Manual Project」展

「Move Philippines」の写真
Move Philippines

マレーシアの国旗マレーシア クアラルンプール日本文化センター

染色でつながる歴史と未来

2014年12月13日から翌年1月11日にかけて、日本古来の色を研究し、その復元に従事されている染織史家の吉岡幸雄氏の個展を、マレーシア国立自然史博物館にて開催しました。

吉岡氏によると、日本古来の色の多くは、実は東南アジア地域から運び込まれた植物を染料としているそうで、日頃スパイスとして料理に使用している食材が、日本では同氏が実際に染料として使っているということに、多くの人々が興味を示していました。また、展覧会に先立つ調査旅行では、マレーシアを代表する工芸であるバティック(ろうけつ染め)の産地として有名な東海岸を訪問。いまだ機械に頼らずに型押しのバティックサロンを作り続けている工房はわずか10軒に満たず、現時点では天然の染料はほぼ存在しないことが分かり、吉岡氏の技法を活用し、現地素材の鮮やかな植物染めを実現させることにより、伝統工芸の復活、更にはその発展も期待できるのではと、若手研修者たちによる新たな5ヵ年計画のプロジェクトがスタートしています。

東海岸クランタン州で最初のバティック工房の写真
東海岸クランタン州で最初のバティック工房

自然史博物館での染色デモンストレーションの写真
自然史博物館での染色デモンストレーション

ベトナムの国旗ベトナム ベトナム日本文化交流センター

文楽 Meets ASEAN
~文楽、アジアの人形劇に出会う~

2014年8月、若手の文楽人形遣い、太夫、三味線の一行がタイ、マレーシア、ベトナムを巡回し、各地で伝統的な人形劇の担い手と交流しました。

一行は、各地で文楽の演目を上演するとともに、人形の仕組みや動かし方、太夫や三味線による表現方法、3つの役割が一体となって物語を完成させる文楽の様式を解説し、観客の理解を深めました。

ベトナムでは、独特な上演形態をとる水上人形劇の演者と交流し、文楽をベトナムの観衆に伝える一方で、水上人形劇の人形の動かし方の仕組みを学んだり、実際に水の中に入って人形を動かしてみる等、水上人形劇に関する知見を深めました。一体の人形を3人で扱うのはめずらしい形式ですが、ベトナムの水上人形劇も3人で一体を扱っていることは、新しい発見でした。水上人形劇の演者も文楽人形を動かす体験をし、繊細な表現ができる仕組みを感じ取り、それぞれの伝統芸術について新しい発見をする機会となりました。

文楽とアジア人形劇の交流の写真1
撮影:勝恵美

文楽とアジア人形劇の交流の写真2
撮影:田畑則子

インドの国旗インド ニューデリー日本文化センター

それぞれの国で過ごした経験を生かし、
日印芸術家が共に作り上げる展覧会

2013年に国際交流基金の招へい事業にて訪日した、インド・ムンバイにあるギャラリーClark House Initiativeのキュレーター、ザーシャ・コラー氏が、日本で得たインスピレーションから企画した展覧会を、2015年1月に開催しました。

本展は、ザーシャ氏本人が伝統と現代が共存する日本で受けた感銘を、しなやかな感性をもってインドの人々に伝える機会となりました。展示は、ギャラリーのみならず、玄関前テラス、階段の踊り場、ロビーの障子枠からトイレの中に至るまで、ニューデリー日本文化センターの建物全体を展示会場として活用し、遊び心あふれるものとなりました。

また、同展覧会内では、日本人アーティストの津田道子氏も出品し、ビデオ映像とインド人ダンサーのパフォーマンスを融合させた作品に、観客も作品世界に入り込んでしまうような、新鮮で興味深い感覚を体験しているようでした。

今後も、日印のアーティストがそれぞれの国で過ごした時間や出会った素材を用いて、新しい視点や価値観をもたらす共同制作の場を提供していきます。

ビデオ作品とダンスパフォーマンスの融合の写真
ビデオ作品とダンスパフォーマンスの融合

玄関前テラスに突如現れた赤色の木々たちの写真
玄関前テラスに突如現れた赤色の木々たち

オーストラリアの国旗オーストラリア シドニー日本文化センター

州立美術館とのコラボレーション
連続講演会で日本の舞台芸術を紹介

2014年7月23日から8月27日かけて、ニューサウスウェールズ州立美術館(シドニー)において、連続講演会「Noh to Now」を行いました。これは、同美術館にて「能狂言」展が開催される機会を捉えて共催事業として企画したレクチャー・シリーズで、中世から現代に至るまでの日本でどのような舞台芸術が生まれ発展してきたのかを、「能」はもちろんのこと「歌舞伎」、「舞踏」、「文楽と初音ミク」、「宝塚歌劇団」等、幅広いテーマで俯瞰するものとなりました。

シドニー市民に広く親しまれている同美術館を会場としたことも功を奏し、従来日本にあまり関心がなかったオーストラリアの一般の方々の参加も多く、連日事前予約だけで満員御礼という大盛況のうちに幕を閉じました。

全5講演のうち、静岡文化芸術大学の梅若猶彦教授を招へいした「能」の回以外は、すべてオーストラリアの大学に所属する日本研究者が講師を務め、当地における日本研究の層の厚さを再確認する企画ともなりました。

連続講演会「Noh to Now」の写真1

連続講演会「Noh to Now」の写真2

米州

カナダの国旗カナダ トロント日本文化センター

日本の才能とカナダの音楽界が出会い、生み出した
世界のマエストロ~小澤征爾トロント写真展~

トロント交響楽団と、トロント市史料館の協力を得て、2015年5月6日から7月31日まで当センターでの「小澤征爾トロント写真展」が実現しました。

30代に入ったばかりのマエストロの国際的活動歴の第一歩が、1965年のトロント交響楽団の音楽監督への就任でした。伝説的な興奮が湧き起ったことは、歴代の音楽監督の中でも、質・量ともに群を抜いた写真史料からも窺われます。小澤氏は、楽団の演奏者と事務局、音楽関係者と一般市民のそれぞれから支持され人気を集めました。その成功は、日本人の海外の表舞台での活躍の嚆矢となりましたが、カナダが多様な民族に開かれた多文化社会へと進む社会的変動期を迎えていた背景も、見逃すことはできません。世界に飛躍する若き日本の才能と、国際化が胎動していた街との出会いのときめきが、多くのモノクロ写真に焼き付けられています。

言葉を超えた音楽の力と、それによる日本人とカナダ社会の国際交流の原点を再評価する展覧会となりました。

小澤征爾トロント写真展の写真1

写真展パンフレットの写真1 写真展パンフレットの写真2
写真展パンフレット

米国の国旗米国 ニューヨーク日本文化センター

米国南部で「OBENTO」ワークショップ開催

「日本の食文化」がユネスコ世界無形文化遺産に登録され、米国では日本食に対する注目度がますます高まっています。この機を捉えて、日本文化に触れることが比較的少ない南部の3都市(テネシー州チャタヌガ市、アラバマ州バーミンガム市、タスカルーサ市)において、和食に造詣の深い料理研究家デブラ・サミュエルズ氏による、お弁当レクチャー・デモンストレーションを実施しました。

「お弁当」が日本の家庭や社会で果たす役割や、栄養バランスに優れた日本の食生活の紹介、さらには美しさを重んじた盛付け方の実地体験は、参加者の関心も高く、各地で好評をもって迎えられました。

実地体験では現地で入手できる食材を使うことで、参加者からは「今後もお弁当づくりを続けたい」との声が多数寄せられる等、日本の食文化がより身近になる貴重な機会となりました。

「OBENTO」ワークショップの写真1©UTC University Relations

「OBENTO」ワークショップの写真2

米国の国旗米国 ロサンゼルス日本文化センター

日本の「ものづくり」が世界を回る
巡回展「現代日本デザイン100選」

日本のデザインを100点の製品を通して紹介する展覧会が、ロサンゼルスを皮切りに、世界各地を回る旅を始めました。

日本人が日常的に使っている家具、家庭用品、文房具から最先端技術を駆使した医療・防災器具まで、様々な製品が、10のセクション「歴史」、「インテリア」、「食卓・調理」、「身に着けるもの」、「子供」、「文具」、「生活・ホビー」、「医療」、「震災」、「乗り物」に分かれて並びました。目的や用途は多様ですが、その根底に共通して流れるのは、日本の細やかな美意識と、伝統工芸から受け継ぐ「ものづくり」の精神です。カリフォルニア大学ロサンゼルス校キャンパス内の会場は、連日多くの来場者で賑わいました。

地元紙が「100の製品を通して、いかに自国を伝えるかを試みた展覧会」と報じたように、米国の人たちにとって身近な「デザイン」という視点から、現代日本の社会と文化に触れてもらうことができました。

巡回展「現代日本デザイン100選」の写真1

巡回展「現代日本デザイン100選」の写真2

メキシコの国旗メキシコ メキシコ日本文化センター

10年前の剣道デモンストレーションが
剣道家になるきっかけでした!

2015年2月、剣道・居合道・杖道の専門家を、ニカラグア、ホンジュラス、パナマ、エルサルバドルの中米4ヵ国に派遣しました。

中米カリブ諸国で、武道は映画やマンガを通じて知られていますが、正しい姿が紹介されるのは稀です。いずれの会場でも竹刀や杖に初めて触れる子どもたちから経験者までが演武や実技体験を楽しみました。ホンジュラス剣道協会会長は20代の若者ですが、10年前に国際交流基金が実施した剣道デモンストレーションに参加し、感動したことがきっかけで剣道を始めたと話してくれました。エルサルバドルではスポーツ庁体育館に400人もの参加者が集まり、現地紙・テレビにも取り上げられました。

これらにより2015年「日・中米交流年」の幕が明けました。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、今後もメキシコと中米カリブ地域で日本のスポーツを紹介する事業を展開していきます。

武道の演武や実技体験をしている写真1

武道の演武や実技体験をしている写真2

ブラジルの国旗ブラジル サンパウロ日本文化センター

アカペラグループ「INSPi」の
コンサートを実施

サンパウロで開催される世界最大規模の日本祭には、毎年約20万人もの人が訪れます。その日本祭のメインステージでアカペラグループ「INSPi」のコンサートを実施しました。

お祭りマンボ』や『わらべ歌メドレー』等ノリが良い曲や懐かしい曲を披露し、メンバー紹介では、ボイスパーカッションのドラムやベースを取り入れながら一人ずつポルトガル語で自己紹介するユニークな演出もあり、一人が終わるたびに大きな拍手とともに歓声が沸き起こりました。ブラジルで有名なボサノバの名曲『トリステーザ』を歌った時には会場に来てくださった2,000人以上のお客様から、通常は起こらないアンコールが起こるほどでした。

INSPiを初めて見たブラジル人の方からも、「素晴らしかった」と声をかけてもらい、日本に対する関心の高さを改めて感じるとともに、さらに日本のことを知ってもらうために、活動する必要があると感じました。

アカペラグループ「INSPi」のコンサートの写真1

アカペラグループ「INSPi」のコンサートの写真2