アインシャムス大学の学生が作る川柳
ふるさとの 歩道の石さえ なつかしい ライラ
授業中 お腹がグーグー 大変ね ネスマ
![]() ビジターセッションに参加した1年生 |
これはアインシャムス大学日本語学科の学生が作った川柳です。日本文化を理解する一助とするため、今年から4年生の科目に「日本事情」が加わりました。この授業では、教師とともに学生が日本文化に触れて楽しむことを目標に、わかりやすく日本文化を紹介するように心がけました。川柳の授業では、最初は短い字数で自分の思いを表現するのが困難に感じた学生たちも、慣れるに連れて次第に川柳が作れるようになってきました。力作を集めて日本の川柳コンクールに応募したり、韓国で日本語を学習している大学生と川柳の会を開いて交流を深めたりしました。まだまだ味わいのある川柳が作れるまでには至りませんが、天を仰ぎ、指を折って字数の制約と格闘する学生の姿が印象に残る授業となりました。
また、国際協力機構シニアボランティアの方やカイロで学ぶ日本人留学生の方々をゲストに招き、日本文化紹介を目的としたビジターセッションを日本語学科の主催で開催しました。合気道や折り紙の実演を通じて、学生は日本に対する興味を一層深めた様子で、その後の日本語学習にも良い影響を与えているように思います。
アインシャムス大学の学生が書く卒業論文
![]() 火炎樹が咲く大学構内 |
アインシャムス大学では、入学時にひらがな・カタカナから学習を始めた学生も4年生になると卒業論文の準備にさしかかります。テーマの幅は広く、日本やエジプトに関することなど毎年多岐に渡ります。今年も「宮沢賢治の作品における狩猟」、「夏目漱石の『こころ』とアーサー・ミラーの『オールマイサンズ』の比較」といった文学・文芸作品に関するもの、「魔術はなぜなくならないか」「なぜ非公式の結婚が大学生の間に広がったか」といったエジプト社会で話題になっているものなど、興味深いテーマが出揃いました。もちろん、個々の論文の内容や表現に多少のレベル差があるのは否めませんが、大学生活の集大成として何かを日本語で表現したいという学生の気持ちは卒業論文から十分に伝わってきます。
今後の展望
エジプトの受験界で最難関のひとつに数えられるアインシャムス大学日本語学科に入学してくる学生はいずれも秀才ぞろいです。非漢字圏に位置し、アラビア語とは大きく異なる言語である日本語を習得するには、たいへんな労力が必要です。授業では、毎回大量の宿題が課せられます。その数、年間200以上に上ります。それでも、大半の学生は根を上げずにこつこつと努力しつづけます。最近は、卒業生の中から日系企業に就職を果たす者が現れたり、大学生や大学院生の中から文部科学省の選抜試験に合格して日本への長期留学を果たす者が現れたりと、少しずつではありますが、着実に次代を担う人材が育っているように感じられます。
一方で、日本語学科開設から7年目とまだ日が浅いこともあり、アインシャムス大学と交換留学協定を結んでいる日本の大学は二校に留まっています。そのため、学生のなかで日本へ留学できる人数が少数に限られているのが現状です。2004年には大学院修士課程も設置されました。今後は、大学院生を指導する教授体制の充実を図るとともに、日本の大学等研究機関とのさらなる学術交流の推進が期待されます。

