【モンゴルの日本語学習者】
みなさん、日本への留学率(人口比)が最も高い国はどこかご存知でしょうか。韓国でしょうか。中国でしょうか。それは、ここモンゴルです。もちろん、人口比留学率(2007年5月1日現在:日本学生支援機構調査データより換算)ということで、人口が少ないということが大きな要因ではあります。しかし、韓国、中国、台湾などをおさえての留学率第1位ということからは、いかに多くのモンゴル人が日本に興味を持ち、日本で学んでいるかということがわかります。そして、2006年の国際交流基金の調査によると、モンゴルの日本語学習者数は12620人となっています。人口比学習者率に換算すると、韓国、オーストラリア、台湾に続いて第4位となっています。このことからも、モンゴルでの日本語に対する興味の高さと熱心さが窺えます。
【日本語教育専門家の業務】
モンゴル・日本人材開発センター(以下、「日本センター」と略す)における日本語教育専門家(以下、「専門家」と略す)の業務は、(1)ニーズに応じた日本語コースの開発と継続コースの整備・充実、(2)現地日本語教師への支援、(3)地方展開、(4)他機関との連携強化と支援・協力、(5)日本語教育事情の把握などとなっています。その業務内容は多岐にわたっていますが、ここでは、ニーズに応じた日本語コースの開発と現地日本語教師への支援について述べてみようと思います。
【ニーズに応じた日本語コースの開発】
専門家は、日本センターで勤務し、日常的にはコース運営を主な業務としています。日本センターでは、2002年の開所以来、「ビジネス日本語(中級会話・上級会話・上級文書・上級マナー)コース」「映画で学ぶ日本語(中級・上級)コース」「漢字コース(初級・中級)」などを実施してきました。しかし、中上級の学習者から、さらに実践的なコースで学びたいという要望が多かったため、新たに「日本語能力試験対策講座」と「新聞で学ぶ日本語中上級コース」を開講しました。モンゴル人はことばを耳から学ぶのが得意(日本人とは逆でしょうか?)で、読んで理解するのは苦手だと言われています。そこで、日本語能力試験対策講座では、読解問題を中心に解法のコツを取り上げました。
新聞で学ぶ日本語中上級コースも、スキャニング(情報取り)やスキミング(大意取り)など読解の技術を学べる内容にしました。読解といえば翻訳しながら精読すること、と思っていた受講生が多かったため、「必要な情報を取り出す」読み方は特に難しかったようです。次回の講座では、さらにこの技術を高めるようなコース内容にしていきたいと考えています。
![]() 教育実習コース ![]() 教授法演習コース |
【現地日本語教師への支援】
現地日本語教師への支援としては、2003年から開始されている「日本語教育実習コース」があります。現職の日本語教師や日本語教師をめざしている人の教授技術を高めるための実習コースで、毎年10月から4月まで週2回(1回2時間)計96時間学びます。実習生は自分で教案を作成し、教具を準備し、2回の教案検討を経て実習に臨みます。最初は自信がなさそうに小さな声で実習していたのに、日増しにたくましく、より教師らしくなっていく姿を見るのは、専門家として、とても感慨深いものです。
また、2007年からは、首都および地方の主に中学校教員を対象とした「日本語教授法演習コース」も実施しています。これは5日間の集中コースで、日本語教授法の理論から始まり、模擬授業の見学、ワークショップ、教案作成、受講生による実習授業まで、盛りだくさんの内容です。中には、この研修で初めて日本語教授法の理論に触れる受講生もいますが、他の受講生の実習を見学したり、意見交換したりすることで、より理解を深め、それぞれの現場に戻っています。
【今後の課題】
これまで日本センターでは、専門家を中心に新規コースの開発、現地教師の支援等を行ってきました。今後は、現地スタッフの担当範囲をより拡大させていくことが必要になってくると感じています。また、研究会やシンポジウムなどの機会(詳細は2008年度の「世界の日本語教育の現場から」をご参照ください)を活かして、さらに教師間ネットワークを強化していくことも今後の課題として挙げられます。

