2006年10月に第2期生81名を迎え入れ、王立プノンペン大学日本語学科の2年度目が始まった。相変わらず式典のない始まりだが、これで学生数は151名、教員は昨年度の3名から今年度は非常勤も邦人も含めて一気に10名となり、順調に学科としての形を整えつつある。
入学生の特徴
![]() 他に比べて女子比率の高い第2期生の奨学生クラス |
まずは、入学試験時の面接資料から大学進学率3.3%(2005年 World Bank ホームページより)のカンボジアで日本語学科に入学してくる学生について紹介する。
昨年の入学者(2期生)は男45名、女36名(1期生は男54名、女27名)、出身地はほぼ半数がプノンペン市内で、全体の3分の2がプノンペン市およびその隣接州である(1期生もほぼ同じ)。『国立(王立)大学学生募集要項』の中に同点であれば女子優先・地方出身者優先という記載があるが、大学に入る者は男子で都市部出身者が多い。
年齢は一般的な大学1年生の年齢である18〜19歳を中心とし、17〜27歳までのかなり広い年齢幅を持つ。カンボジアは1996年から6歳から就学する6・3・3制になったが、以前は小学校が5年生までで、今の大学生はだいたい5・3・3制で来ていると思われる。
日本語学科への入学理由のほとんどが「日本語が将来の仕事に役立つから」というもので、その他には「日本が経済的に発展しているから」「日本はカンボジアを支援している国だから」などというものもある。
カンボジア人教員のサポート
日本語学科ではカンボジア人教員採用試験(日本語能力試験2級レベル)を行って、これに合格したものを常勤・非常勤として採用している。現在の常勤は学科長を含め2名だけである。ここで問題なのは、日本語能力試験2級程度の日本語力では、日本語学科の3年生4年生を教えるのが難しいということである。カリキュラムの目標として3年生終了後に日本語能力試験2級が取れるように設定してあり、4年生では日本語能力試験2級以上のレベルを扱わなければならない。このため日本語教育専門家はカンボジア人教員のための学科内教員研修をお昼休みに毎日行い、夏休みには1か月の教員集中研修も予定している。
学科運営サポート
カンボジアは内戦終結からわずか16年しか経ていない。大学という概念や学生という身分に対してまだ一般社会からの認知度があまり高くないように思われる。大学内の規則もまだまだこれから整備されていく段階にある。日本語学科のある外国語学部(Institute of Foreign Languages ; IFL)はとりわけ大学の他の学部(Faculty)から独立しており、カリキュラムからアカデミックカレンダーや規則に至るまで、それぞれの詳細についてかなり自由である。日本語学科では、学科長と日本語教育専門家の2人3脚で様々な学科独自の規則を作っては、大学へ提案して承認を受けている。
学科のカリキュラム
この大学では、共通科目や選択科目といった大学または学部の指定する科目というものが存在しない。一昨年度から教育省の指導で一般教養科目が1年生の必修(合計24単位)となったが、それ以外は英語(合計8単位)も含めて全て日本語学科が開講しなければならない。学科生は、1年生で一般教養・英語・基礎日本語を学び、2年生と3年生は専攻へ進むために必要な専門基礎科目として日本語・日本事情・言語学・日本語学を学ぶ。そして、4年目で日本語教育(アカデミック)専攻と日本語(ビジネスのための日本語)専攻とに分かれる。1学期16週間(試験週間を含まず)の年間2学期制で、学生は週18〜22時間の授業を受け、4年間で146単位以上を取ると卒業ができる。
学科カレンダー
日本語学科では、祝日を予測して学科独自のアカデミックカレンダーを作っている。祝日予測とは、一つには、毎年決まった祝日が土日と重なった場合にあとで加えられる祝日を予測することである。さらに仏暦に従った仏教関係の祝日は、年末になって発表されるため、10月が年度初めの大学では年間予定を作る際にそれらを予測しなければならない。昨年は仏教関係の祝日が発表された後で日本語学科カレンダーの改訂版を作成した。
その他の活動
![]() 学科常勤講師(学科で発行している教師会会報を手に) |
カンボジア日本語教師会(Cambodia Japanese Language Teachers Association;CAJALTA)は2005年11月から活動を開始している。日本語学科教員とカンボジア日本人材センター(Cambodia-Japan Cooperation Center;以下CJCC)の協力で運営しており、会員登録者は通算では100名を越えるが、登録後すぐに連絡が取れなくなる者もあり、昨年度会費を払った約60名が実質的な会員数と考えられる。活動の中心は会報の発行とセミナー・ワークショップの開催。いずれも3ヶ月に1回で、会報にセミナー等のチラシを折り込んで会員に届けている。プノンペンには日本のような郵便配達がないので、会報の配布は自分たちで教育機関を回るのが基本である。
この他、今年2月の第10回日本語スピーチコンテストは日本語学科主催、日本大使館共催で行った。カンボジアでは1998年から青年海外協力隊(JOCV)によってスピーチコンテストが行われてきていたが、それを学科が受け継いだ形となっている。CJCC・王立法律経済大学・国立経営大学・シェムリアップ等の民間日本語学校等の教員にも協力頂いている。コンテスト当日は会場のCJCCに400名を越える聴衆が集まり、原稿審査で残った14名のスピーチ発表を聞き、パフォーマンス部門の歌や踊りや寸劇、事前に募集して当日の会場に貼り出された川柳を楽しんだ。

