ラオス人の先生方
SNG(「世界の日本語教育の現場から」の略)特派員伊藤(以下、【い】)がラオス国立大学文学部日本語学科よりお伝えいたします。
![]() 日ラオ辞書作成中の先生方 |
日本語学科は、2003年に開講され、現在は5学年91名が在籍しています。きょうは学科の先生方にいろいろお話を伺ってみたいと思います。その前に、学科の先生方をご紹介しましょう。現在、この学科には6人のラオス人の先生がいらっしゃいます。まず、学科長のM先生。いつも穏やかで学科のお父さん的存在です。お母さんは副学科長のV先生。コーヒーが大好きで、仕事量と比例して、一日のコーヒー摂取量が増加します。S先生は勤勉実直を絵に描いたような先生。毎日午前8時から午後4時まで授業以外の時間は黙々とデスクの大きなパソコンに向かっています。P先生は、仕事と家事・育児を両立させている頑張り屋さん。そして、若手の二人、日本語学科第1期生のホープPg先生とみんなの人気者2期生のC先生です。
![]() 日ラオ辞書作成中の先生方 |
では、お話を伺います。
【い】「M学科長、この7年間を振り返って、一番心に残っていることは何ですか?」
M学科長「そうですね。『○○が一番・・・』ということではなく、今の日本語学科があるのは、これまで教員と学生が頑張ってきた日々の積み重ねだと思っています。日本語学科が開講されることになって、私も他の先生方も他学科から移ってきました。初めは何もかも手探りでしたが、少しずついろいろなことが整ってきました。学生たちもラオス初の日本語学科で、よく勉強してきたと思います。そして、国際交流基金から派遣される先生方、JENESYSの若い先生方も、学科のために本当に力を尽くしてくださいました。」
【い】「V先生、学科の学生たちの様子を教えてください。」
V副学科長「私は毎年、1年生を担当しています。今年は23人です。みんなきちんと授業に出席して、熱心に勉強していますよ。私もそんな学生たちからパワーをもらっています。学生たちの日本語がもっと上手になるように、わたしももっと頑張ります!」
【い】「S先生、学科運営で苦労されていることなどはありますか。」
S先生「授業以外の業務がとても多いことですね。ラオスの大学では、履修登録や成績管理なども各学科でしなければならないので、大変です。特に学期初めや学期末、奨学金の申請時などは私もこのPCもフル稼働ですよ。それで、なかなか自分の勉強時間がなかなかとれないんです。実は、日本語教育に関する修士号をとりたいと思っているんですが・・・。」
【い】「P先生、授業ではどんなことに気をつけていらっしゃいますか。」
P先生「私は『みんなの日本語初級T・U』を教えていますが、“地下鉄”とか“通信販売”とかラオスにないものは、学生はピンときません。それから、新宿や秋葉原がどんな街か学生は知りませんから、写真を見せたりして、日本の社会や文化にさらに興味をもたせるようにしています。 また、教室で日本語を話すときは、きれいに発音するよう心がけています。」
【い】「Pg先生、C先生、これからどんな先生になりたいと考えていますか。」
Pg先生「僕は、毎日楽しい授業をするように心がけています。また、学生だけでなく自分も成長できるように、勉強を続けたいと思っています。そして、責任感を持って仕事をしたいです。」
C 先生「私は、学生がよくわかるように、上手に教えられる先生になりたいです!」
【い】「では、最後にもう一度、M学科長に伺います。日本語学科の今後の課題と展望についてお聞かせください。」
M学科長「これから、日本語学科の学生はもっと増えると思います。それに、夜間部の開講も予定されています。学生が日本語能力を高め、日本に関する知識を得られるよう、我々ラオス人教員の日本語力・教授力を向上させていく必要があると思っています。」
日本語学科の教員室はいつも和気あいあい、温かい雰囲気です。そして、その中で先生方は皆、真摯に日々の授業と業務に打ち込んでいます。
以上、現場よりSNG特派員伊藤がお送りしました。
念願の「ホーム」
![]() 建設中の教室棟 |
「教師がいて、教室があれば、教えられる」という言葉をときどき耳にします。日本語もたぶん例外ではないと思います。ただ、ラオス国立大学の日本語学科には、これまでその肝心の教室がなく、教師はずっと教室の確保に頭を痛めてきました。
専用の教室がなく、効果的な時間割が組めないことは、学習の効果にも大きい影響を及ぼします。ここ数年は、文学部の教室以外に同じキャンパスにある日本人材開発センターの教室を借りて授業をしていますが、五つの学年が同時に使える教室は二つか三つしかありません。そのため、学年によっては一時限目のあと四時限目まで授業がない、教師も学生もいるのに授業ができないという効率の悪い状態が続いていました。
しかし、世の中そんなに捨てたものでもなく、昨年やっと曇天の尽きる日がやってきました。日本政府の支援(草の根文化無償資金協力)が得られ、念願の教室棟が建つことになったのです。現在建設中ですが、7月には完成し、新年度が始まる9月には全員新しい教室で授業が受けられる予定です。
新しい教室棟には、小さな教室が四つと教員室と学生の自習室(兼図書室)があります。教室ができれば、カリキュラムを実施するための時間割が大きく改善されるだけでなく、 これまで居場所のなかった学生は、「ホーム」で宿題や授業の準備をすることができ、教師は、教室の確保や移動にともなう時間と労力を本来の仕事に充てることができます。
「草の根文化無償」への応募を思い立ってから教室が出来上がるまで、二年以上かかりました。いろいろな人の想いと協力があればこそ建った教室です。ここで日本語を学び、日本のことに触れた学生が、いつかそれぞれの場で、日本とラオスの関係を力強く支えてくれることを願っています。


