●コンケン大学教育学部日本語教育プログラム
![]() 大学正門 |
2004年に開設されたコンケン大学教育学部日本語教員養成課程(日本語教育プログラム)は、中等教育機関で日本語を教えるための教師を養成するコースとしてはタイで初めて開設された課程です。これまでは、大学に日本語教師養成課程はなかったので、他の科目の先生方に研修をうけてもらい、日本語を教えていただく形でした。このコースの現最上級生である4年生が来年卒業し教職につけば、学生の時から日本語教育を専門に学んだ初めての日本語教員ということになります。
●いよいよ実習開始
このコースの修了には5年かかります。5年目は学生全員が中等教育機関で一年間の長期実習を経験しなければなりません。開設4年目に入った今年、4年生も来年の長期実習に備えて、教育学部付属学校で実習を経験します。週に一回ですが、小学校や中学高校へ行き、実際に子供たちに教える中で教員としての資質を磨き、学習のモチベーションを高めていくのです。学生たちは教育学部の必須科目で教育の基本を学び、また日本語プログラムの中で、日本語の指導法を多岐に渡って学んでいます。担当の教員たちも学生たちの実習へのサポートをしています。実習の経験を通して学生たちがどう成長するか楽しみなところです。
●担当業務
![]() 3年生、「日本語の構造」クラス |
日本語教育プログラムの定員は25名です。現在1年生32名2年生28名3年生20名4年生18名が当プログラムに在籍しています。昨年秋に2名のタイ人講師が新たに採用になり、彼らが低学年の初級日本語クラスを主に担当することになったため、日本人講師の担当科目は主に高学年の専門科目になりました。今学期の担当科目は3年生への「社会言語学」と「日本語の構造」、4年生への「文化教育のための日本語」です。「社会言語学」はタイ人とのチームティーチングです。タイ人講師に概略を説明してもらい、その後、日本語の例を挙げて授業内容に興味がもてるように配慮しています。「日本語の構造」はいままで学んできた日本語を体系的に見直す科目です。タイ語との比較の中で日本語の表現方法を深く探求して行きます。「文化教育のための日本語」は、コンケンを中心としたタイ東北について日本語で発信できる学習者を育てる教員を養成する、というコンセプトで開講されました。大学のあるコンケンとタイ東北地方の文化、風俗、習慣を日本語で発信できるように必要な語彙、表現などを学び、それを教育に活かすためのクラスです。いずれの科目も内容は高度ですが、関連知識を学びながら日本語の運用力も向上するようにクラス運営には苦心しています。
昨年秋に採用になり今学期で2学期目になる2人のタイ人講師の指導にも当たっています。ふたりの担当する授業に関しては、事前に教案を提出してもらい、できるだけ実際に見学に入り、フィードバックを与えています。授業の組み立て、宿題、評価などミーティングを通しての指導もしています。具体的に言えば、タイ語での授業ですから語彙や文法の説明については問題はあまりありません。ただ、実際にクラスの中で日本語を使わせるアクティビティについては改善の余地があります。別の言い方をすれば、いかに学生たちに話す、書くといったアウトプットをさせられるかが課題です。もう一人の経験豊富な日本人講師にも協力をあおぎ、タイ人講師が研修の内容を授業に活かせるように促しています。実際にちょっとしたヒントで、授業の運びがよくなることも多く、学生も生き生きしてきてうれしい気持ちになることもあります。現在は、新学期が始まって一ヶ月で、日本人講師がタイ人講師の授業を見て指導する形がほとんどですが、タイ人講師の指導力も向上してきているので、今後はお互いの授業を見学しながら切磋琢磨していくような形を作っていきたいと考えています。
留学を希望する学生に対して相談に乗ったり、日本の大学と連絡をとりあう業務もしています。学生にとって留学は達成したい夢のひとつです。できるだけ多くの学生が留学を経験できるように今後も提携先の大学を増やすための努力をしていかなければなりません。
日本語プログラム内でのイベントを立案、実行することも業務のひとつです。今年は初めてのスピーチコンテストを計画しています。また、助成金を得ての図書館への図書の寄贈に関して、その選定も行っています。
●今後の課題
新しいプログラムであるために、毎年1期生のために新しい科目が開講され、担当教員が試行錯誤しながら学生を指導してきました。現在は、来年の5年生の一年間の実習を除けば、すべての科目が出揃ったことになります。まずは来年以降も指導科目の質の向上を目指して、各教員が今までの指導内容、指導方法、使用教材などの情報を共有しなければなりません。そのためのデータや記録の収集、保管を行っていきたいと考えています。
今年の3月末、6年ぶりにイサーン地方の日本語教師会が開かれました。これを機にイサーン地方の日本語教師のネットワークをさらに密にしていくことも必要です。そのために、まずは一人一人の日本語教師との連絡、情報交換を大切にしていかなければならないと考えています。そして、教師会だけでなく、タイ東北地方全体のスピーチコンテストなどを企画実施し、そうした行事を通してネットワークを確かなものにしていく必要があると考えています。

