●アゼルバイジャン共和国
「アゼルバイジャン」という国の名前を聞いて、その位置を地図上で何の迷いもなく正しく指し示すことのできる日本人はおそらくそれほど多くないでしょう。ただ、アゼルバイジャンの首都バクーの目の前に広がるカスピ海の名は広く知られています。アゼルバイジャンはそのカスピ海の沿岸に位置しています。
首都バクーはペルシア語で「風の町」、その名の通り、一年中カスピ海からのさわやかな風が吹き渡っています。
●アゼルバイジャンの子どもたちが日本語を学ぶ!?
日本語授業が行われているバクー市内の学校 |
そんな距離的にも、心理的にも遠いアゼルバイジャンの地で、子どもたちの元気な日本語の声が今響き始めています。
2009年5月、アゼルバイジャン共和国の教育大臣が日本を訪問しました。日本の教育に感銘を受けた大臣は、「ぜひとも自国の子どもたちに日本語を学ばせたい」と思い立ち、これがきっかけで同年10月から、アゼルバイジャン共和国の中等教育機関における日本語教育がスタートしました。
●日本語授業開設にあたって
アゼルバイジャンでは小・中・高一貫教育が一般的です。日本語の正規授業はバクー市内の3つの学校の5年生(11歳ぐらい)を対象に行われることになりました。そこで必要なのが、日本語を教える先生方です。筆者は、数週間聞きまわって、やっと日本に滞在経験のある素晴らしい先生方3名を見つけることができました。先生方は日本語能力が高いだけでなく、子ども好きで、教育熱心な方たちばかりです。その内の2名は、アゼルバイジャンで日本語が専門的に学べる唯一の高等教育機関、バクー国立大学の卒業生。今年学科開設9年目を迎え、中等教育機関での日本語の指導者を生み出すという結実を果たしたのです。
●日本国大使訪問
大使の授業参観で |
2010年、在アゼルバイジャン日本国大使がそれぞれの学校を訪問されました。そのうちの一つの学校では、大使を歓迎するための準備が、数週間前から行われました。まず、美術の先生は子どもたちに、日本をテーマに自由に絵を描かせました。できあがった作品は、日本の富士山、芸者などそれぞれのイメージの中にある日本を上手に表現しており、当日パネルに展示されました。そして、音楽の先生は日本語の先生から手に入れた日本音楽の楽譜をもとに、子どもたちに日本の音楽を指導しました。日本語の歌詞の意味も十分にわからないながらも、音楽室からはしばらくの間、子どもたちのはりきった練習の歌声が流れていたそうです。
当日、日本国大使を迎えたのは、子どもたちの歌う日本国歌「君が代」の大合唱でした。そして、教室での授業参観では、子どもたちは緊張しながらも、大使の質問に日本語で答えていました。うまく質問に答えられた子どもたちの顔は、誇らしげに輝きました。
●これから
アゼルバイジャンの中等教育機関における日本語教育は始まったばかりです。しかし、この小さな芽吹きが、いつか大きく成長し、その枝葉を広げていくことを心から祈りつつ、指導に当たられている熱心な先生方と話し合いを重ねながら、効果的で、継続的な支援をこれからも考えたいと思っています。