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筆者がルーマニアに赴任してきて早3年、この3年の間にいろいろなことが起きました。ルーマニアは2007年1月1日にEUに加盟しましたが、筆者がここに来てからもこの国の変わりようは大変なものがあります。建設ラッシュ、どんどん新しくなる道路、いたるところに新しくオープンする店。日本人観光客の姿もこの3年の間にだいぶ増え、日本企業の進出もEU加盟に向けて去年あたりから増えてきました。それにしたがって日本語学習者が仕事で日本語を使う機会も少しずつですが増えています。
〈大学における活動〉
国際交流基金からルーマニアに派遣される日本語教育専門家(以下「専門家」と略す)はブカレスト大学の外国語学部に席を置き、そこで日本語を教えることが一つの大きな業務になっています。ルーマニアでは2005年度より学士課程が4年制から3年制になりましたが、現時点ではまだ4年生もいるため、大学では筆者は1年生から4年生までの授業を担当しています。その他留学生内部選考試験を担当しています。授業では日本語を実際に話したり聞いたりする機会が少ないルーマニア人の学生が生きた日本語に触れられるように、1年生の後期からはなるべく日本語を使うことにしています。また同僚教師から使用テキストについての相談を受けたり、日本語に関する質問に答えたりするのも業務の一つです。
〈大学以外での活動〉
大学の外の活動は大きく三つに分かれます。
一つ目は2005年11月に発足したルーマニア日本語教師会(以下「教師会」と略す)と協力して日本語弁論大会や日本語能力試験を実施することです。これは在ルーマニア日本国大使館と教師会の協力で行う行事で、当初筆者は大使館と教師会との間のパイプ役を担っていましたが、最近では教師会と大使館が直接話し合うようになりました。現在は筆者は教師会の一会員ですが、行事の運営に当たってアドバイスをしたり相談を受けたりする形を取っています。専門家の業務の大きな柱の一つに現地化ということが挙げられますが、将来的に日本からの派遣者がいなくなっても現地のスタッフだけで仕事がスムーズに進むようにもって行くのは大切なことです。そのため何かをやる場合、専門家が中心になって物事を進めるのではなく、サポート役に徹することを常に頭におき、最終的には自分がいなくても現地の人だけで問題を解決したり行事を組織・運営したりできるようにすることを目標にしています。
二つ目には教師会と協力して勉強会やセミナーを行うことが挙げられます。教師会発足後、2006年9月には国際交流基金の海外日本語教育ネットワーク形成助成を受け、ブカレストにて第一回日本学・日本語教育学シンポジウムが行われました。このシンポジウムにはルーマニアで日本語を教える教師のほか、セルビアとブルガリアからも参加者があり、述べ40名ほどの出席者がありました。このような場を作っていくことで教師に発表の機会と研鑽の場を提供し、そしてこれから日本語教育に関わって行こうという大学生、大学院生に刺激を与えることができます。また、普段はなかなか顔を合わせることができない地方在住の人たちや外国からの参加者を迎えて集まることによって、情報交換をしたり刺激を与え合ったりすることができます。日本語教育に携わっている人々が実際に顔を見て話す機会を作ってネットワークを広げ、協力関係を築いていくこともここでの日本語教育の発展のためにとても大切なことだと感じています。
三つ目は現地の日本語教育の状況を調査し、現地のニーズを探り、協力できることを探すことです。ルーマニアにおいては2009年に国際協力機構(JICA)が撤退するため、現在活動している青年海外協力隊(JOCV)も徐々にいなくなってしまいます。そして残念なことに特に子供宮殿(放課後に課外活動をする塾のようなもの)などでは彼らがいなくなると、ほとんどの場合日本語教育を続ける人がおらず、閉鎖になってしまうところが多いようです。日本人教師がいなくなってしまったあとにどのような対策をとることができるかを教師会と連携して話し合い、メーリングリストを作成する、ボランティアを探すなどの案が出ています。
JICAの撤退で日本人教師が少なくなること、日本企業の進出でこれからルーマニアと日本の関係も深まっていくこと、ルーマニアの日本語をめぐる状況はどんどん変化しています。筆者の任期はもうすぐ終わりますが、後任の専門家の協力で現地の先生方が自分たちで考え、行動し、そしてこれからますます大きくなっていくであろう日本や日本語に対する学習者の期待にこたえていくことを望んでいます。
