1. 日本にいる同年代の友達がほしい
2009年5〜6月に、国際交流基金が3年ごとに実施する全世界を対象とする調査とは別に、日本語専門家が独自に行った調査では、ルーマニアの日本語学習者は1734人で、教師数は61名です。日本語能力試験は2005年にスタート、受験者は年々増加し、2009年は申請者数451名(受験者数407名)となっています。ところが、ルーマニアの在留邦人数は270人、日本人会会員数100人で決して多いとはいえず、学習者が日本語を使って実際のコミュニケーションをする機会はほとんどないのが現状です。
ビジターセッションなど、日本企業の駐在員や外交官の奥様、日本人の留学生などと話す機会はあります。しかし、日本にいる同年代の友達がほしい、という気持ちは学生の間で強く、それは「日本に行きたい」という希望とつながっています。
2. 日本の大学生との交流を開始
そこで、このような学生たちの思いを実現し、日本にいる大学生との交流の機会をつくり、日本語を使う場を作るために、2008年10月、日本語指導助手によって、母校である松山東雲女子大学(愛媛県)の学生とブカレスト大学1年生経験者クラスの学生(10名)との交流が始まりました。
2009年12月 クリスマスカード作り |
ルーマニアからは手書きの年賀状を送り、日本からは年賀状とお正月の過ごし方や、おせち料理についての手紙が送られてきました。そして、ルーマニアからはルーマニアの紹介文(習慣や観光地など)、日本からは学生のふるさとの紹介文(愛媛県、高知県、留学生は中国や韓国)とルーマニア紹介文の感想もらいました。
カードやメッセージ作り、作文の交換は、日本の学生と日本語でコミュニケーションを行うことにより、読み手を意識して、学生たちがそれぞれの個性やオリジナリティを発揮できる教室活動となりました。
3. インターネットの利用
2009年10月からは、日本語専門家も協力して、専用のサイトを設置し、Web上の掲示板による交流が開始されました。また、12月にはスカイプによるビデオ会議が行われました。インターネットを利用することで、Web掲示板では、いつでも、どこからでもメッセージを交換することができるようになり、ビデオ会議では、映像と音声によるリアルタイムでのコミュニケーションが可能となりました。
2010年1月6日に行われたビデオ会議では、大学の紹介や、ルーマニアのクリスマスとお正月の過ごし方などについての発表と質疑応答がおこなわれました。
ブカレスト大学の学生の感想から、いくつか紹介します。
2010年5月20日 ビデオ会議 |
「日本の女の子はチョーかわいい!日本人と話す機会があまりないのでこの発表はいい日本語の練習でした。」「日本人のお正月の過ごし方は全然違うので、色々な情報をもらってとてもおもしろかったです。」「ルーマニアには日本人と友達になるのはとても大変です。それで日本人と話せるいいチャンスだったと思います。ルーマニアの伝統を伝えるのはうれしいです。」
このように、同じ年代の若者と交流することの楽しさ、日本について知りルーマニアの情報を発信する実際のコミュニケーション活動の手応えを感じてもらうことができました。
4. 日本の学生たちの感想
ビデオ会議についての日本人学生、中国人留学生の感想を紹介します。
「私たちが英語を勉強するように、向こうの人たちも日本語を学んでいて、お互いわかろうとすること、姿勢が大切だなと思いました。ルーマニアの人たちと話せて、改めて日本語の複雑さやことばの楽しさに気付くことができてよかったです。(日本人学生)」「私は、ルーマニアがどこにあるか、どんな文化があるか、全然知らなかったけど、この間の交流で少しでもルーマニアのことが分かるようになった。私も日本語を習っている学習者だけど、同じアジア圏で、漢字を使う国だから似ている部分が沢山あって困ったことはそれほどない。しかし、ルーマニアの学生たちは、ひらがな・かたかな・漢字まで習得してすごいと思いました。(中国人留学生)」
ある日本人学生は個人的にメールを交換するようになり、家族ぐるみでルーマニアに興味を持つようになったそうです。
5. 今後の展開
これまでは、どちらかと言えば教師が引っ張ってきた活動ですが、今後はもっと学生たちの意見、アイディアを取り入れて進めます。サイトにクイズのページを追加しました。日本とルーマニア、愛媛とブカレスト、伊予弁(愛媛方言)やルーマニア語のクイズをWeb上に作成し、インタラクティブに楽しみながら、お互いの情報を交換します。ビデオクリップや音声を入れたパワーポイントのファイルなども作成してサイトにアップする予定です。
双方の学生が楽しみながら、日本語でコミュニケーションを行うことで、相互理解を深めていきます。