東京からの定期直行便も就航し、ここ2年ほどで日本からサハリンへのアクセスの利便性は確実に高まっています。
サハリン州の州都ユジノサハリンスク市には、天然ガス開発に携わる大手商社を始めとする日本企業や合弁企業、そして日本総領事館、北海道庁事務所などの公的機関が存在しています。折りしもサハリン2プロジェクトが一段落したところであり、かつてほど企業などの数は多くありませんが、それでも街中には多くの日本車が走り、樺太時代の名残をのこす日本風の建築物もあります。日本に行ったことがあるという住民も非常に多く、ロシアの中で、日本とこれほど深く結びついている地域はほかにありません。
サハリン国立総合大学付属経済東洋学大学(以下、国立大)では、現在、外国語学部と東洋学部あわせて約140名の学生が日本語を学んでいます。「就職に有利かも」といった実利的な欲求を反映したものから、「日本の文化や風習を知りたい」といった隣国への純粋な興味、「日本のアニメが好き」といったポップカルチャーへの興味など、動機は多種多様です。いずれにしろ、サハリンと日本の多種多様な結びつきを反映したものとなっています。
日本語担当の講師は、ロシア人教師7名と私を含む日本人教師2名です。日ロスタッフが協力しながら日々の学生への授業業務に取り組んでいます。
日本語専門家(以下、専門家)に求められる業務としては、現地教師の日常業務に関する相談に対し、助言をすることも大切な業務です。また、サハリン日本語スピーチコンテストや極東・東シベリア地域日本語弁論大会の出場者への指導および大会の運営や、現地の日本語教師の会合などを通して、当地域の日本語教育が盛んになるよう、支援をしているところです。
日本語教育は専門家によってだけ行われるというわけではありません。地域社会に日本語教育の現状を発信し、当地に住む日本人の皆さんにご理解とご支援をいただきながら、地域に貢献する日本語教育のあり方を模索していくことも、私たちの大きな使命であると考えています。
書道コンテストに先立つ書道クラスにて |
上記のような活動の一環として、今回は「サハリン書道コンテスト」をご紹介したいと思います。本コンテストは、日本語教師会が企画運営を行い、サハリンの日本語学習者に日本文化に親しんでもらうことを目的に、また当地日本人社会への情報発信の機会として毎年開催しており、今回5回目となります。今回は、私の派遣先の国立大、ユジノサハリンスク経済法律情報大、サハリン日本センター、中等教育機関などから100名あまりの日本語を学ぶロシア人の参加がありました。また、サハリン日本人会をはじめ多くの日本関係機関・企業、そして個人から趣旨のご理解をいただき、審査や賞品の提供などの面でご協力をいただいています。
日本からもっとも近い外国であるサハリン。今後も様々な面で日本との結びつきを強めていくものと思われます。その中で当地における日本語教育が果たす役割は小さくありません。