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日本語教育

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■ 2009年度
オーストリア

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 首都ウィーンにおける日本研究の歴史は長く、1939年にはウィーン大学に日本学研究所が設立されている(同研究所は1945年に活動を停止したが、日本語の講義は1947年に再開。1965年に新たに日本学研究所が設立された。2000年1月に中国学研究所と統合し、現在は東アジア研究所となっている)。1973年にはウィーン大学翻訳・通訳研究所に日本語学科が設立された。この他、ウィーン工科大学、ウィーン経済大学、グラーツ大学、ザルツブルク大学、インスブルック大学、ウィーン応用技術専門大学で選択科目として日本語が導入されている。
 中等教育機関では、1982年にウィーン22区の商業高等アカデミーで課外選択科目として、1991年より正規の第2外国語として日本語が導入された。同校では2003年6月をもって日本語講座は廃止されたが、現在、ウィーン市、グラーツ市、ザルツブルク市で各1校が課外選択科目として日本語を導入している。また、幾つかの市民大学で日本語が教えられている。

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【背景】
 1873年に開催されたウィーン万国博覧会で日本の美術品・工芸品が高く評価され、欧州に流入した浮世絵が世紀末芸術に大きな影響を与えたように、また、明治期以降多くの日本人留学生がウィーンで学んでいるように、芸術・学術面における日墺の交流の歴史は長い。
 現在でも、日本はアジアにおける経済的なパートナーとして重視されており、オーストリアを訪れる多くの日本人観光客も一定の存在感を与えており、日本に対する関心は一般に低くはない。一方、学生など若年者層が日本語学習を始める動機としては、マンガ、アニメなどのポップ・カルチャーの魅力が多くあげられている。
【特徴】
 ウィーン大学東アジア研究所日本学科はヨーロッパでも有数の伝統ある日本研究機関で、充実した講師陣とカリキュラムを誇っている。
  初等・中等教育においては、東欧を含むヨーロッパの諸言語に重きを置いており、日本語教育を導入している学校は数校の中等教育機関に留まっている。


●最新動向
  大学では以前はマギスター(日本の大学院修士課程に相当する学位)取得のためのカリキュラムが提供されていたが、大学法改定を受け、2003年にウィーン大学東アジア研究所日本語・日本学専攻コースに学士制度が導入された。学士制度導入以前に比べて入学者が増加し、毎年約150名が入学している。


●教育段階別の状況
【初等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【中等教育】
 ウィーン市、グラーツ市、ザルツブルク市で各1校が課外選択科目として日本語を導入している。なお、グラーツ市の講座は市内全域の高校生を対象として、ザルツブルク市の講座は、ザルツブルク州全域の生徒を対象として、1校に集めて開講されている。
【高等教育】
 ウィーン大学東アジア研究所日本学専攻および翻訳・通訳研究所日本語学科で日本研究および翻訳・通訳(日本語)の学位が取得できる。ウィーン大学東アジア研究所日本語・日本学専攻コースでは2003年より学士制度が導入され、日本語・日本学専攻学生は3年間で学士号を取得し、日本学で修士号を取りたい学生はその後修士課程に進学する。この他、ウィーン工科大学、ウィーン経済大学、グラーツ大学、ザルツブルク大学、インスブルック大学、ウィーン応用技術専門大学で選択科目として日本語が導入されている。
【学校教育以外】
 いくつかの市民大学やウィーン大学言語センター等で日本語講座が開設されている。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 4-4-4制(普通教育中等学校高学年に進学する場合)。
 4-4-1〜4制(職業中級学校に進学する場合)。
 4-4-5制(職業上級学校に進学する場合)。
 4年間の基礎学校(6〜10歳)修了後、大きく分けて中学校(全生徒数の約7割)または普通教育中等学校(約3割)の2通りの進路がある。いずれの進路を選択しても義務教育は6歳から15歳までの9年間。
 中学校は4年制で、卒業後1年間の総合技術教育課程に進み、その後企業及び職業学校で職業訓練を行なう。あるいは、能力・適性に応じて、普通教育中等学校の高学年や、職業教育中級学校あるいは職業教育上級学校に進むこともできる。普通教育中等学校は8年制で、前半4年修了後、能力・適性に応じて職業教育中級学校または職業教育上級学校に進むこともできる。
 普通教育中等学校ならびに職業教育上級学校の修了時には卒業試験があり、それが大学入学資格(取得率約41%)となる。大学進学率は約25%、その他の高等教育機関約10%。大学では日本の大学院修士課程に相当する学位(マギスター)取得のためのカリキュラムが提供されているが、2002年の大学法改定を受けて学士(バカロレア)制度の導入が進んでいる。マギスター取得の割合は25〜64歳人口の約13%である。
【教育行政】
 大学については、科学技術省が、教育全般については、教育・科学・文化省が所管している。

●言語事情
 公用語はドイツ語。
 義務教育に係る教育機関では、1992/1993年より必要に応じてドイツ語を母語としない児童のためのドイツ語による補講、母語による授業の導入(週2〜6コマ。セルボ・クロアチア語、トルコ語など)が行なわれている。

●外国語教育
 2001年欧州評議会による欧州言語年提唱に応えて外国語教育を重視した教育政策をとっている。EUの東方拡大を考慮して、東欧の諸言語に特別な注意を払っている点が特徴的である。
 初等教育から外国語を必須科目としており、2003年9月からは1年次からの外国語教育が義務化された(英語・フランス語・イタリア語・クロアチア語・スロベニア語・ハンガリー語・チェコ語・スロバキア語のいずれか。ほとんどの学校が英語を選択)。
 中等教育では、普通教育中等学校では第2外国語が必須科目となっている。学校によって言語の選択肢が異なるが、ほとんど全ての普通教育中等学校で英語・フランス語・ラテン語が、80%の学校でイタリア語、60%の学校でスペイン語が教授されている。

学習環境
●教材
【初等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【中等教育】
ザルツブルク英才教育プログラムの場合
『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
【高等教育】
ウィーン大学東アジア研究所日本学科の場合
1年生『新文化初級日本語ⅠⅡ』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校) 
2年生『文化中級日本語Ⅰ』(前出)
3年生『文化中級日本語Ⅱ』(前出)
グラーツ大学経済学部外国語科の場合
1年目『みんなの日本語Ⅰ』(前出)、『みんなの日本語Ⅰ 漢字練習張』東京国際日本語学院編(スリーエーネットワーク)
2年目『みんなの日本語Ⅱ』(前出)、『BASIC KANJI BOOK Vo.1』加納千恵子ほか(凡人社)
ザルツブルク大学の場合
『みんなの日本語』(前出)
【学校教育以外】
ウィーン大学言語センター
『日本語へようこそ』
グラーツ大学言語センター
『J.Bridge』小山悟(凡人社)
ザルツブルク商工会議所の場合
『Einstieg Japanisch fuer Kurzentschlossene』Hueber
ザルツブルク市民大学の場合
『Einstieg Japanisch fuer Kurzentschlossene』(前出)

●マルチメディア・コンピューター
 ウィーン大学日本学科では自主制作の教材等を集めた専用ウェブサイトを設けており、学生の自習や宿題に利用されている。
教師
●資格要件
【初等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【中等教育】
 語学教員資格及び経験を有する者。
【高等教育】
 日本語または日本文学の修士号及び2年間の教授経験。
【その他】
 語学教員資格及び経験を有する者。


●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 ウィーン大学東アジア研究所日本学専攻では、日本語教育に係る6名の教員のうち4名が日本人教師。うち1名が専任講師として採用されている。同翻訳・通訳研究所では2名の教員のうち1名が日本人。翻訳・通訳研究所の日本人以外の教員は、東アジア研究所の教員と同一人物が務めている。
 東アジア研究所日本学専攻(3年間の学士課程)では最初の2年間に日本語を集中して学び中級前半修了に達することが要求されるが、1年目はオーストリア人教師担当の文法説明・翻訳・漢字を週6時間、日本人教師担当の文法練習・実用練習・会話を週6時間、2年目はそれぞれ3時間ずつが必修である。3年目は半年間の必修科目として、オーストリア人教師が文法・翻訳を、日本人教師が実用日本語と新聞購読の授業を担当している。
 中等教育機関で日本語教育に関わっている教員はいずれも日本人。市民大学でも日本人教師が日本語講座を担当する例が多い。


●教師研修
 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 1995年に「日本語教師の会」が発足。2001年に「オーストリア日本語教師会」に改称。オーストリアで日本語を教える教師約20名が参加し、定期的(年2回)に勉強会を開催して教授法等について情報交換を行なっている。

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
 国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 統一の日本語教育のシラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。
日本語教育略史
1939年 ウィーン大学にて日本学研究所設立
1945年 ウィーン大学日本語研究所、活動停止
1947年 ウィーン大学日本語研究所、日本語の講義再開
1965年 ウィーン大学にて新しい日本語研究所設立
1972年 ウィーン経済大学にて選択科目として日本語を導入
1973年 ウィーン大学翻訳・通訳研究所に日本語学科設立
1979年 ウィーン工科大学にて選択科目として日本語を導入
1982年 ウィーン22区の商業高等アカデミーにて課外選択科目として日本語を採用
1988年 ザルツブルク大学にて選択科目として日本語を導入
1991年 商業高等アカデミーにて第2外国語として日本語を導入
グラーツ大学にて選択科目として日本語を導入
1995年 「日本語教師の会」発足
2000年 ウィーン大学にて日本学研究所が中国学研究所と統合
2001年 「日本語教師の会」が「オーストリア日本語教師会」に改称
2002年 インスブルック大学にて選択科目として日本語を導入
2003年 ウィーン22区の商業高等アカデミーにて日本語講座廃止
ウィーン大学東アジア研究所日本語・日本学専攻コースに学士制度が導入

参考文献一覧
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