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■ 2009年度
ベラルーシ

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
●参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況

全体的状況
【沿革】
 ベラルーシにおける本格的な日本語教育は、ソ連邦崩壊後の1993年、ミンスク国立外国語大学(現ミンスク国立言語大学)日本語学科で開始された。同大学では2007年秋、5年に1度の日本語専攻入学試験を行なった結果、前回の入学者数16名を大きく上回る29名を受け入れた。これによりベラルーシにおける日本語学習者数は飛躍的に伸びたが、国内の日本語学習者に対する需要や日本語教育に割かれる予算に裏付けされているとは言い難い。
 ベラルーシ国立大学でも1995年から日本語教育が開始されている(当初第2外国語、2002年から専攻扱いに)。高等教育機関以外では2005年秋に首都ミンスクのNGOが日本語講座を開講し、継続的な日本語教育を行なっている。これらの機関の教育体制はいずれも発展途上ながら、それぞれ整備が進められている。各種の制約(後述)から、近い将来の急速な量的発展は見込めないものの、学習者の水準は確実に向上しており、今後は高い日本語運用能力を持った優秀な専門家が世に出てくることが期待される。
 全体的に日本語学習希望者は増加する傾向にあり、日本語能力試験受験者数にもこれが表れている。2003年より毎年9月に開催されている国内日本語弁論大会も、内容・運営面での改善の余地はまだ残されているものの、専攻以外の学習者が出場するなど恒例行事として定着しつつある。

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【背景】
 旧ソ連時代、日本語教育はモスクワ、レニングラード(現サンクトペテルブルグ)など現在のロシアで行なわれており、人材もそのままロシアに残るのが常であった。ソ連崩壊後、独自に人材を育成する必要性が生じ、外国語教育重視の傾向が全般的に高まるなか、ベラルーシでも日本語教育が開始された。しかし日本との政治・経済関係は依然として極めて低調であるため、ベラルーシとの交流はチェルノブイリ被災者支援を中心としたものが主となっており、日本語の知識を活かす場が国内にはほとんどない。このため、対日感情は良好で、日本や日本語、日本文化に対する関心は低くないものの、大学などで敢えて予算を確保し、日本語講座を開講しようという積極的な動きは、現状では期待しにくい。
【特徴】
 ベラルーシに進出している日本企業は皆無であり、政治的にも当面、両国の関係が顕著な発展を遂げうる状況にはないため、就職を現実的な目的として日本語を専門的に勉強するケースは多いとは言えない。日本語専攻者にあっては、彼らにとって遠く、謎に満ちた国である日本および日本文化、または日本語自体に対する知的好奇心・関心の高いことが特徴である。一方、専門以外での日本語学習者には、日本文化のなかでもアニメをはじめとするポップカルチャーに対する関心をもつ者の他、また婚姻や仕事のための日本訪問に向けた準備を理由に日本語を学習する場合が比較的多い。

最新動向
 2007年にミンスク国立言語大学で一般向けの日本語夜間講座が開講された。開講当初は1クラスだったものが2008年には4クラスと学習数が増え、大学の日本語主専攻以外での日本語教育が盛んになりつつある。また、2006年海外日本語教育機関調査からの変化としては、高等教育段階で教師数が6名→7名、学習者数が47名→77名に増加している。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 本格的な日本語の授業は行われていない。
【高等教育】
 ミンスク国立言語大学の日本語専攻者は、通訳学部東洋語学科に属し、通訳者養成を主目的とした教育を受けている。実際には日本企業が当地に進出していないため、通訳の需要はごく限定されている。これまでに卒業した第1期・2期生では、日本大使館勤務、システム開発会社で日本語関連作業に従事する者がいる他、数名が副業として不定期に日本語通訳・翻訳・教師などを行なっている模様である。
 一方のベラルーシ国立大学では、これまで国際関係学部で国際関係、国際経済などを専攻し、第2外国語として日本語を学習した卒業生が出ているが、学習時間数も少なく、日本語能力の水準は決して高くはなかった。しかし中には、外務省に就職し日本担当になったり、卒業後に留学(日本以外も含む)して日本語・日本研究を続けたりしている者もいる。2002年秋に設立された同学部の言語地域研究科(日本学専攻)では、日本語学習により力を入れているほか、社会・経済・文化といった日本事情学習にも時間が割かれ、総合的な日本専門家の育成が行なわれている。2007年夏には、日本学を専攻した第1期生4名が卒業した。なお、2007年度から国際経済専攻の学生への日本語教育が再開され、現在国際経済専攻の1、2年生が日本語を第1外国語として学習している。
 日本留学は、主に文部科学省の奨学金を得て実施されており、1996年以降、日本語・日本文化研修留学生プログラムでいずれかの大学からほぼ毎年採用者があり、ここ数年は年に2名程度採用されている。またベラルーシ国立大学からは、大学推薦枠での早稲田大学留学が可能となり、2006年から毎年1名が留学を果たしている。
【学校教育以外】
 2005年秋首都ミンスクに開講したNGOの日本語講座及び2007年に開講したミンスク国立言語大学の夜間講座で日本語教育が行われている。これ以外には、組織的かつ継続的に日本語教育を行なっている機関はなく、在留邦人などによる個人教授、小規模なサークル形態での授業のみである。学習者は、仕事で日本を訪問する機会のある者のほか、大学生など若年層が中心である。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 小・中学校に当たる初等教育(6〜9歳)、中等教育前期(10〜14歳)は「シュコーラshkola」と呼ばれ、計9年(通常一貫教育)が義務教育となっている。高校に相当する中等教育後期(15〜16歳)の10・11年次は多くの場合、小・中学校と一貫教育であるが、最近ではこれらに加え、通常の学校より教育内容の充実したギムナジウム(小中高)、リツェイ(リセ、高校)などが新設されている。高等教育機関へ進学するには、上記11年の中等普通教育を修了するほか、職業技術学校(uchilische)、専門学校(technikum)、コレッジなど中等専門教育を修了という選択肢がある。高等教育機関は5年間(医学系は6年間)で大学(universitet、institut、akademiyaなど)を卒業後は2通りの進路がある。一方は3年以上の大学院(aspirantura)修了で博士候補号、(kandidat nauk)を取得するもの、もう一方は1年の修士課程修了で修士号(migistr)を、3年以上の博士課程修了で博士候補号(kandidat nauk)を取得するものである。その後さらに3年の博士課程を修了すれば博士号(doktor nauk)が得られる。しかし最近は、これを西側の制度に合わせる動きがあり、学部4年(または5年)修了で学士号(bakalavr)、5(6)年次をマギストラトゥーラ(magistratura)と呼ばれるマスターコース(aspiranturaの前段階と位置付けられ、修了すると学位マギストル(magistr)が得られる)とする大学もある。
【教育行政】
 国内の教育機関は、その教育段階により、州、市、地区など各レベルの行政機関にある教育局・教育課が直接の管轄機関となるが、それら全てを監督し、国家の教育方針策定に携わるのは、ベラルーシ教育省である。また、一部の高等教育機関、中等専門教育機関(職業技術学校、専門学校など)は、その内容により、保健省、国防省、文化省など、教育省以外の省庁に所属する。


言語事情
 ともに東スラブ語族に属するベラルーシ語およびロシア語が公用語であるが、特に都市部ではロシア語の使用が一般的となっている。学校教育も、ベラルーシ語で教授する学校は少数派である。公的文書などベラルーシ語で書かれたものもあるが、ロシア語との類似性が高く、一般国民にとって特に問題を招くこともないようである。


●外国語教育
 旧ソ連時代、外国語教育は初等教育終了後の5年生からであったが、現在は1年生から開始する学校もある。第1外国語は英語のほか、フランス語、ドイツ語、スペイン語のいずれかがあり、学校によって特定されているが、2006年からはこれに中国語が加わった。英語を重視する傾向は高まっており、幼稚園などでも英語を教えるケースが増えているが、学校で第1外国語が英語以外であったため、大学生でも英語が不得手、という者も散見される。外国語教育に重点を置いている学校では、学年が進んでから第2外国語(フランス語・ドイツ語など)の学習も開始される。

学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【高等教育】
 日本で出版された教科書(国際交流基金の教材寄贈プログラム、派遣教師を通じて入手したもの)を使用している。
『みんなの日本語初級』Ⅰ・Ⅱスリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
『日本語中級J301-基礎から中級へ-』土岐哲ほか(スリーエーネットワーク)
『ニューアプローチ中級日本語基礎編』小柳昇(日本語研究社)
『生きた素材で学ぶ中級から上級への日本語』鎌田修(ジャパンタイムズ)等
【学校教育以外】
 日本で出版された教科書(国際交流基金の教材寄贈プログラム)を主に使用している。
『みんなの日本語初級』Ⅰ・Ⅱ(前出)

●マルチメディア・コンピュータ
 ミンスク国立言語大学にLL教室、ベラルーシ国立大学に視聴覚室があるが使用頻度はそれほど高くない。

教師
資格要件
【初等・中等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【高等教育】
 これまでのケースでは、学歴などの面で明確な採用基準・制限はないが、現地人・邦人とも、日本語能力と教師としての適正を判断した上で教師の採用を行なっている模様である。日本語教育者を養成する機関は存在せず、日本語専攻科をもつ大学でも外国語教授法の一般科目があるのみである。
【学校教育以外】
 特に基準はない。


日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 
現在、ベラルーシ国立大学に1名(派遣教師を除く)。他の現地人教師と同様に日本語の総合的な授業を担当している。在留邦人は20名程度と数少ないが、教師以外の在留邦人、日本人留学生などによるゲストとしての授業参加は、時折行なわれている。


教師研修
 2006年と2008年に日本語教育セミナー及び勉強会が行われている。その他、国際交流基金の日本語教師研修が利用されている。

教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
 日本語教育を行なっている2大学の教師陣により、「ベラルーシ日本語教師会」が2003年末に設立されている。

最新動向
 
2008年9月に日本語教師会主催でベラルーシ日本語教師会セミナーを実施した。

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ベラルーシ国立大学、ミンスク国立言語大学 1名(兼任)

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学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 統一されたシラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。
評価・試験
 日本語学習における共通の評価基準・試験は存在しない。日本語能力試験は大学での日本語専攻者にとって、卒業時までの1級取得が目標とされるが、学外での知名度は低く、評価は日本語関係者間のみに限定される。
日本語教育略史
1993年 ミンスク国立外国語大学(現ミンスク国立言語学大学)にて日本語学科開設
1995年 ベラルーシ国立大学にて日本語教育(第2外国語)開始
2002年 ベラルーシ国立大学の日本語教育が言語地域研究科(日本学専攻)に変更
2005年 ミンスクのNGOが日本語講座開講
2006年 ミンスク市内のギムナジウムでサークル形式での日本語教育開始(2008年をもって終了)
2007年 ミンスク国立言語大学で日本語夜間講座開講

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