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日本語教育

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■ 2009年度
ベルギー

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革・背景・特徴】
 1958年、ゲント大学(オランダ語系)東方東欧・アフリカ研究所の設立に伴い、日本学専任教授ポストが創設されたことが、ベルギーにおける日本語教育の始まりである。
 1980年代に入ると、社会における対日関心の高まりと相まって、高等教育レベルでの極東研究課程に占める日本語のウェイトが高まった。また、語学学校や外国語大学、商科大学、欧州委員会などを含めた市民・一般教育レベルにまで講座が拡大した。
 1990年以降、日本語教育を行なっている機関数は受講者の多様なニーズ(上級コース等の創設)に即した結果、幾分増加する傾向にあった。一方、2000年前後は、長期に亘る日本経済の低迷や、中国への人気復活により、多くのアジア言語学習者が中国語に流れたことから、日本語学習者数もやや減少した。しかし、2004年以降、学習者数は著しく増加する傾向にある。学習の動機が経済分野への関心だけでなく、マンガ等の若者文化を含む文化的関心へと広がり、さらに学習者層の低年齢化に拍車をかけている。

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●最新動向
 学習者数は増加している。(例えばルーヴァン・カトリック大学[オランダ語共同体]では、ここ数年、1年生の学習者数が毎年35〜50%増をみている。)
 大学間協定締結の増加により、日本の大学への長期留学の機会が増加したこと、航空券の価格低下、ユーロ高騰の外的要因から経済的負担が軽減し、長期留学に対して、より積極的な学生が増えている。さらに、インターネットの普及により日本の情報を容易に入手でき、またメール、チャット等を通じて日本の友人達と活発に交流できることから、学習者にとって日本との距離がだいぶ縮まった感がある。こうした事実は、今後の日本語教育の発展にも大きく寄与するものであろう。多くの日本語教育機関で、シラバスに欧州評議会が提言した言語能力に関する共通リファレンスであるCommon European Frameworks for Reference of Languages(「ヨーロッパ言語共通参照枠組み」)の内容を反映させている。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【高等教育】
 オランダ語圏の2大学に日本学科が設けられており、必修科目として日本語教育が行なわれている。フランス語圏では日本語学科を設けている大学はないが、リエージュ大学では、1999年度から学部学位取得済みの学生を対象とした専攻課程が開設され、その中に日本語が組み込まれている。
 また、その他の高等教育機関や大学付属機関でも日本語教育が行なわれており、そこでの履修は各学生の所属学部によっては、第2、第3外国語や一般教養の正規の単位として認められる。また、日本企業での実務研修を含む大学院課程を設けている教育機関があり、そこでも日本語教育が行なわれている。
【学校教育以外】
 一般の語学学校各所で日本語講座が設けられており、そこでは幅広い層にわたって日本に関心を持つ人々が日本語を学んでいる。
教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 6-6制。
 初等教育が6年間(6〜11歳)、中等教育が6年間(12〜17歳)。この期間を終えると、進学希望者に対してはおおむね3〜5年の高等教育(大学あるいは非大学高等教育機関)が用意されている。
 義務教育は、12年間。
【教育行政】
 フランス語、オランダ語、ドイツ語の各言語共同体が、各々の教育行政を管轄。連邦政府は、義務教育年限制定などの限られた事項においてのみ、権限を有する。

●言語事情
 公用語は、フランス語、オランダ語、およびドイツ語。
 ただしドイツ語人口はベルギー総人口の1パーセント未満。ブラッセル首都地域(フランス語、オランダ語両共同体の管轄区域が交錯する)においては、フランス語・オランダ語2言語併用の状況にある。

●外国語教育
 複数公用語制度をとるベルギーでは、母語以外の言語教育は、「外国語教育」というよりも、国内で用いられる諸言語の習得という位置づけにある。
 そのシステムは各言語共同体により若干異なるが、初等教育第5年次(10歳時)を母語以外の言語教育の開始時期とした「教育における言語を制定する法」(言語共同体制度が成立する以前の1963年に制定)の内容が、現在も各共同体におおむね適用されているようである。

[フランス語共同体]
 原則的には上記の通り初等教育第5年次より第2言語教育(「現代語」Langue moderneと呼ばれる)が始まる。この段階では、オランダ語、英語、ドイツ語から1言語のみの選択となる。以降、各段階での詳細は下記の通り。
・中等教育第1〜2年次: 「現代語」は必修で、オランダ語、英語、ドイツ語から1言語のみを選択。原則として、初等教育において習得を開始した言語をそのまま選ばなければならない。ブラッセル首都地域ではオランダ語のみ選択可能。
・中等教育第3〜4年次: 前段の「現代語」が「現代語Ⅰ」と呼び直される(必修)。ほか、新たに第3言語として「現代語Ⅱ」が選択可能になる。「現代語Ⅱ」は、オランダ語、英語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語の中から1言語のみ選択。ブラッセル首都地域では、「現代語Ⅰ」および「現代語Ⅱ」ともに必修。
・中等教育第5〜6年次: 「現代語Ⅰ」(必修)、「現代語Ⅱ」(選択)および第4言語としての「現代語Ⅲ」が新たに選択可能となる。「現代語Ⅲ」は、「現代語Ⅱ」の各言語の中から1言語の選択。
 なお、共同体政府の認可があれば、幼年教育(2歳半〜5歳)の5歳時の授業より、母語以外の言語を用いた教育プログラムを一定の割合でカリキュラムの中に組み込むことができる。

[オランダ語共同体]
 初等教育第5年次より第2言語習得が開始されるが、この場合選択できる言語はフランス語のみ。必修ではないが、実際はすべての学校がこの時期に第2言語教育を開始している。また、ブラッセル首都地域内の区およびいくつかのコミューンでは、フランス語話者が多いため、フランス語で授業が行なわれる学校がある。そこでは、初等教育第3年次より、必修としてオランダ語の授業が行なわれている。中等教育以降は下記の通り。
・中等教育第1年次より: フランス語(必修)。ただし実際には、フランス語に加え英語の授業も第1年次より行なっている学校がある(全校数の約4分の1)。
・中等教育第2年次より: フランス語(必修)および英語(必修)。
・中等教育第3年次以降: 言語教育の枠組および具体的に選択可能な言語は法律により定められていないが、進学する分野に応じ第4言語以降の選択が可能。

[ドイツ語共同体]
 第2言語はフランス語とされ、幼年教育の3歳時から修得を開始することができる。以降は下記の通り。
・初等教育: 全期間を通じ、フランス語のみ(必修)。
・中等教育: 全期間を通じ、フランス語(必修)。第2年次からは、第3言語(英語かオランダ語のどちらか)を選択することができる。さらに第4年次からは、第4言語(第3言語において選択していないどちらかの言語に限る)を選択することが可能。
 備考:なお、ブラッセル首都地域を含め、他の共同体と隣接する地区にある学校では、特別なプログラムを導入しているところもある。

大学入試での日本語の扱い
 大学入試で日本語は扱われていない。
学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 日本語教育は実施されていない。
【高等教育】
 アンケートの結果、 『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE Ⅰ Ⅱ』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)、『現代日本語コース』名古屋大学言語文化部日本語学科(名古屋大学出版会)、『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)、『ヤンさんと日本の人々ⅠⅡ』国際交流基金日本語国際センター(ビデオ・ペディック)、『日本語ジャーナル』(アルク)など日本で出版された教科書・教材が挙げられた。そのほか、新聞や小説などがテキストに用いられている機関もある。
【学校教育以外(その他一般市民講座等)】
 『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE Ⅰ Ⅱ』(前出)、『初級日本語』・『中級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)、『日本語かな入門』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)、NHKビデオ『日本語講座』、『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、『みんなの日本語』スリーエ−ネットワーク(スリーエーネットワーク)、『日本語ジャーナル』(アルク)など日本の教材が用いられている。

●マルチメディア・コンピュータ
 コンピューターの普及は著しく、小学校から科目の一つとしてコンピューターを取り入れているところが多い。日本語教育では、日本語環境設定が容易になったこと、読解支援ツールの充実などから、授業にコンピューターを導入し始めている。特にルーヴァン・カトリック大学ではコンピューター支援の自立学習構築のプロジェクトがある。
教師
●資格要件
 特に日本語教師としての資格要件はない。
 高等教育機関では、欧州の大学の修士号を有すること、EU外で学位・教職免許を取得した場合は、その学位の認承制度による認可手続が必要。
 実際に高等教育機関で教えている者は、「日本語教育能力検定試験」合格者、あるいは修士号取得者がほとんどである。

●日本語教師養成機関(プログラム)
 ルーヴァン・カトリック大学文学部(オランダ語共同体)では、2007年度から教職課程のプログラムが一新され、その中に日本語教師養成コースも開設された。

●教師研修
 現職教師対象の研修については、ベルギー日本語教師会が2か月に1度、日本語教育に関する勉強会、年に1〜2回講師を招いて日本語教育ワークショップを開催している。訪日研修としては、国際交流基金の海外日本語教師研修がある。
 2007年7月から国際交流基金がフランスのアルザスで短期日本語教師研修クラスを開催しており、ベルギーの日本語教師が毎年2名ずつ参加している。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 「ベルギー日本語教師会」が1997年に発足。 同教師会の活動としては、教師研鑚の場として2か月に1度の勉強会、ワークショップとその報告書作成・会員への送付、1か月に1度の学習者支援を目的とした「日本語を話そう会」の主催などがある。また、ベルギー内外の機関と連携し、ベルギーでの日本語教育の活性化を目指す活動を行なっている。 2005年9月には、第10回ヨーロッパ日本語教育シンポジウムを主催した。また、2005年より在ベルギー日本大使館と協力して、毎年ブリュッセルで開催される「言語祭」に参加。アトリエやスタンドを設置し、500名前後の小中学生及び一般人を対象に、日本語に関心や親しみを持たせる活動を行なっている。


★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
 国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1957年 ゲント大学に南・東アジアの言語と文化部日本学日本語コース開設
1958年 ゲント大学に東方東欧・アフリカ研究所が設立され、日本学専任教授ポストが創設された
1980年代 高等教育レベルでの極東研究課程に占める日本語のウェイトが高まる
語学学校や外国語大学、商科大学、欧州委員会などを含めた市民・一般教育レベルにまで講座が拡大
1986年 ルーヴァン・カトリック大学に、文学部東洋スラヴ学科日本学専攻課程開設
1991年 リエージュ大学に日本文化研究センター開設
1999年 リエージュ大学にて、学部学位取得済みの学生を対象とした専攻課程開設(2003年に打ち切り)
2004年〜 経済分野への関心だけでなく、文化的関心が高まり、学習者が著しく増加
2007年 ルーヴァン・カトリック大学文学部で、教職課程の中に日本語教師養成コース開設
2008年〜 リエージュ大学にて言語、現代文学科の学生が単位取得可能な日本語クラス開設
参考文献一覧
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