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日本語教育

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■ 2009年度
ブルガリア

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況

●全体的状況
【沿革】
 ブルガリアの日本語教育は1968年ソフィア「聖クリメント・オフドリスキ」大学(以下、「ソフィア大学」)東洋言語文化センターに日本語夜間公開講座が開設されたことにより始まった。 1990年、ソフィア大学古典および現代言語文学部東アジア言語文化学科日本専攻が設立されたのを皮切りに、ソフィア第18総合学校「ウィリアム・グラッドストーン」(1992年)、「キリルとメトディー」ヴェリコ・タルノヴォ大学(1993年)でも日本語が専攻できるようになり、1996年にはスヴィシュトフ経済大学(1995年)でも外国語科目の1つとして日本語が選択できるようになった。また、ルセ市の「ヴァーシル・レフスキー第二」総合学校でも選択科目として小学1〜7年生でも日本語を履修している。
 近年のブルガリアにおける日本語教育の特徴として、初等中等教育機関での日本語教育の拡大があげられるが、2006年9月より、「ヴァーシル・レフスキー第二」総合学校(ルセ市)及び「ヘンリー・フォード」交通・エネルギー学校(ソフィア市)においても日本語が専攻できるようになった。
 現在は上記7つの機関で継続的に日本語教育が行なわれている他、民間ボランティア日本人教師などにより、いくつかの高等教育機関(高校・大学)でも、週数回自由選択科目としてや課外活動的に日本語教育が行なわれている。
 2005-2006年度よりソフィア大学東アジア言語文化学科に修士課程が設置され、大学院で日本学が専攻できるようになった。また同じく2005-2006年度よりソフィア第18総合学校の初等部(1年生)で日本語の授業が開始された。当国では初の初等教育への日本語教育の導入である。
 2006年10月、1968年より続いてきたソフィア大学東洋言語文化センター日本語夜間講座が改組、新たに大学独自の運営により、2007年3月、大学生以上の学習者を対象として一般公開講座が設置された。この講座では日本語だけでなく、日本文化・歴史などの授業も行なわれる。今までの夜間講座と異なる点は、4つのセメスターを修めた者にソフィア大学のディプロマが授与されることである。なおソフィア大学東洋言語センター日本専攻とは別機関である。
 一般市民に対する講座としては他に、2008年2月に完成した第18総合学校日本・ブルガリア教育・文化センターにおける日本語公開講座がある。

★日本語教育略史へ


【背景】
 1989年以降の東欧革命以前から日本の映画がテレビで放映されていたこともあり、日本の伝統文化やアジア的思想に対する関心は高かった。1990年以降、特に若者を中心に日本の経済や漫画・アニメ・音楽などの新しい文化への関心、日本語・日本学というブルガリアでは比較的新しい学問分野への知的好奇心が日本語教育の普及に影響を与えていると考えられる。
【特徴】
 高等教育機関や一般公開講座における学習動機として、日本文化、日本の政治経済、日本語に対する純粋な知的好奇心を挙げる学習者が多いことが特徴である。学習を継続する段階で、観光ガイドや日本語を日常的に使用する仕事に就くことを希望するようになるケースは少なくないが、日本語学習のきっかけとしては知的好奇心によるものが多く、各教育機関での学習期間終了後も何らかの形で学習の継続を希望する者が多い。


●最新動向
 特になし。


●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 ・ソフィア第18総合学校「ウィリアム・グラットストーン」日本語学科(日本語教育開始年:1992年)
 ブルガリアで日本語教育を正規に開始した最初の中等教育機関。1年生から12年生までの初等中等教育を行なう総合学校。日本語は8年生から12年生までの5年間に主専攻として学習する。学習者数は5学年で約130名で、ブルガリアの日本語教育機関の中で最も多い。また、2005-2006年度より初等教育課程においても日本語教育が導入され、現在1年生(約50名)は週3コマ、2年生(約50名)は週4コマ、3年生(約50名)は週5コマの日本語授業を受けている。
 ・「ヴァーシル・レフスキー第二」総合学校(2006年現在、ブルガリアで最大の生徒数(約1,800名)を誇る初等中等教育機関)日本語専攻学級(日本語教育開始年:2006年)
 ドナウ川沿いの主要地方都市ルセ市において日本語教育を行なっている初等中等教育機関。現在8年生、9年生に日本語専攻学級が設けられ、計47名の生徒がそれぞれ週19コマ、週8コマの日本語授業を受けている。その他、1年生から7年生においても、自由選択科目または必須選択科目として日本語を履修することができる。2009年3月、大阪大学の学生が研修旅行として訪問した。
 ・「ヘンリー・フォード」交通・エネルギー学校 日本語専攻学級(日本語教育開始年:2006年)
 現在8年生26名(週13コマ+自由選択として2コマ)、9年生25名(週6コマ+自由選択として2コマ)が日本語専攻学級として日本語授業を受けている。
【高等教育】
 ・ソフィア大学古典及び現代言語文学部東アジア言語文化学科日本専攻(日本語教育開始年:1990年)
 日本学主専攻。日本語の授業以外に日本事情、日本語学概論、日本語音声論、古典、日本語形態論、日本語構文論、翻訳・通訳、社会言語学概論、日本文学史、日本文学、日本史などの授業も行なわれている。
 ・「キリルとメトディー」ヴェリコ・タルノヴォ大学文献学部古典・東洋言語文化学科日本語コース(日本語教育開始年:1993年)
 日本語は第2外国語主専攻(英語と日本語)の1つ。通訳・翻訳者の養成を目的とし、日本語の授業以外に日本文学、歴史・文化、翻訳・通訳、構文論・形態論などの授業も行なわれている。選択科目として観光と経済の科目も開講されている。2004-2005年度に導入されたECTS(European Credits Transfer System)の影響で、日本語科目の学習時間数が大幅に削減された。1993年よりJOCV(青年海外協力隊)から日本語教師ボランティアが継続的に派遣されていたが、ブルガリアのEU加盟に伴うJICA撤退のため、2007年度の派遣が最後となった。今のところは日本文化発信プログラムで2人のボランティアがいるが、2011年以降の母語話者教師の確保が問題となっている。
 ・スヴィシュトフ経済大学 選択科目教育課 外国語センター(日本語教育開始年:1995年、1996年より正規講座)
 経営学部国際経済学科、貿易経済学科および経済財政管理学科を専攻している学生に対して自由選択第2外国語として選択可。
【学校教育以外】
 ・ソフィア大学東洋言語文化センター日本語夜間公開講座(日本語教育開始年:1968年に日本語教育を開始し2006年10月に閉鎖された日本語夜間公開講座の後身として、ソフィア大学主導により2007年3月より日本語教育を開始)
 ブルガリアで最初に開設された日本語教育機関であるソフィア大学夜間公開講座の後身としての一般公開講座。大学生以上の学習者を対象としており、週3回の授業では、日本語だけではなく、日本文化・歴史などの講義も行なわれている。4つのセメスターを修めた者にはディプロマが授与される。
 ・ソフィア第18総合学校日本語一般市民講座(日本語教育開始年:2008年)
 当地での日本語教育熱の高まりを受け、ブルガリアにおける日本語教育の要である同校に日本政府草の根文化無償により整備された「日本・ブルガリア教育文化センター」を利用して、一般市民に対する日本語講座(有料・無料両コース設置)を開始したもの。生徒は計30名、年齢層は中高生〜社会人、初学者から日本留学を控えた者までが週2〜3回通学している。
 ・スヴィシュトフ経済大学では上記正規講座以外に、単位取得に関わらない公開講座も開講されている。

教育制度と外国語教育
教育制度
【教育制度】
 8-4制。
 初等教育(8年)、中等教育(4年)、高等教育(4年)に分類される。初等教育機関には、8年制初等学校または下級初等学校(4年)、上級初等学校(4年)がある。中等教育機関には普通高校、専門学校、実業高校がある。特に語学専門学校のレベルが高い。中等教育への進学率は88.5%、高等教育機関への進学率は62.8%である。
 義務教育は、6歳または7歳から初等教育が終了するまでの8年間。
【教育行政】
 初等・中等・高等教育機関のほとんどが教育・科学省の管轄下にある。

言語事情
 国民の大部分はブルガリア語を話す。トルコ系住民(総人口の約10%)の間ではトルコ語が話されている。ロマ系の住民の間では家庭内でロマ語が話されているが、国語としてはブルガリア語しか使われていない。若い世代は英語を解する者が多くなっている。


外国語教育
 初等教育の2年生(8〜9歳)から第1外国語の学習が必修となり、中等教育(9年生)から第2外国語の学習が必修となる。第2外国語は本人の希望により初等教育の5年生から選択科目として履修することができる。第1外国語としては英語を学ぶ者が最も多い。その他の外国語ではフランス語、ドイツ語、ロシア語を学習する者が多い。

学習環境
教材
【初等・中等教育】
 主教材として『みんなの日本語初級ⅠⅡ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)が使用されている。副教材は日本で出版されたものや教師が独自に作成したものを使用している。
【高等教育】
 日本語教育の位置づけが異なるため、使用教材は機関により異なっている。初級段階の主教材としては『みんなの日本語初級ⅠⅡ』(前出)か『初級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)が使用されている。中級以上では『日本語中級Ⅰ』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)、『日本語中級J301』『日本語中級J501』土岐哲ほか(スリーエーネットワーク)、『文化中級日本語ⅠⅡ』(文化外国語専門学校)、『生きた素材で学ぶ中級から上級への日本語』鎌田修ほか(ジャパンタイムズ)などが使用されている。副教材は日本で出版されたものや教師が独自に作成したものを使用している。
【学校教育以外】
 主に『みんなの日本語初級ⅠⅡ』(前出)が使用されている。

マルチメディア・コンピュータ
 各日本語教育機関とも財政難により日本語教育のためのコンピュータの導入は進んでいない。

教師
●資格要件
 中等教育では学士号、高等教育では大学によって修士号取得を条件にしているところもある。日本人では、国際交流基金派遣日本語教育専門家、国際協力機構派遣青年海外協力隊員(日本語教師派遣情報参照)の他、当国の日本語教育機関と個別に雇用契約を交わし教授活動を行なう教員が1名存在する。


教師研修
 研修という形では行なわれていないが、ブルガリア日本語教師会主催で日本語教師のためのシンポジウム、セミナー、勉強会などが定期的に実施されている。現在ブルガリア日本語教師会に登録しているブルガリア人教師15名の内6名が国際交流基金海外日本語教師研修を経験している(長期4名、短期2名)。


日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 初等・中等教育への日本語教育の拡大により、母語話者日本人教師が切望されている。しかしEU加盟後、長期査証取得手続の複雑化と審査の厳格化により、日本人教師が継続して勤務するための法的地位の獲得が更に難しくなっている。特に教育機関が教員に給与等を支払う能力を持たない等の理由でボランティアによる教授活動を希望する場合、ブルガリアの法制度上ボランティア労働は労働査証発給対象となる「労働」とみなされないため査証の取得は困難を極める。しかし民間日本人教師と正規に労働契約を結ぶことで長期継続勤務可能なネイティブ教師を獲得したルセ市「ヴァーシル・レフスキー第二」総合学校(2007年)のような例もある。

 初等・中等教育では、一般にブルガリア人教師が文法解説を行ない、日本人教師は会話・発音等の指導にあたっている。また初等・中等教育における日本語教育は異文化理解の要素も高く、折り紙、習字、日本の唱歌などを通じて生徒に日本文化を伝えることも期待されている。大学組織等では翻訳等の高い言語技術を要する科目の指導にあたる場合もある。

教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
 2002年11月、「「キリル・ラデフ」ブルガリア日本語教師会」が設立され、2003年7月正式に非営利団体法人として登録。 2009年5月現在、会員25名。


●最新動向
ブルガリア日本語教師会が主催した企画

 2006年9月9・10日「第二回ブルガリア日本語教育セミナー」(実践女子大学山内博之助教授を招聘)
 2007年7月21・22日「第三回ブルガリア日本語教育セミナー」(実践女子大学山内博之教授を招聘)


★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣 (2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ソフィア大学 1名

日本語教育指導助手
ソフィア大学 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ

●その他からの派遣
 ICEA (International Cross-cultural Exchange Association)が、2002年よりブルガリアへの日本語教師派遣を開始し、これまでソフィア第31高等学校、聖キリル・メトディ高等学校(ブルガス)、オテッツ・パイシィ高等学校(スヴォゲ)、ブラディア・ミラデノヴァ高等学校(ブルガス)、コンスタンティン・プレスラフスキー(シューメン)などへの日本語教師の派遣を行ない、課外活動的に日本語の授業を実施していた。しかし、2006年6月の派遣終了を最後に、現在は諸事情により派遣が中断されている。
 個人資格での派遣としては、2007年にルセ市「ヴァーシル・レフスキー第二」総合学校と労働契約を締結した1名の日本人教師がいる。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
評価・試験
 2007年募集文部科学省国費外国人留学生の採用実績:研究留学生11名、日本語日本文化研究留学生6名、学部留学生4名
 1998年より日本語能力試験を実施。これはブルガリアで唯一の全国統一日本語試験となっている。 その他1995年より全国日本語弁論大会も実施されている。
日本語教育略史
1968年 ソフィア大学東洋言語文化センターにて日本語夜間講座開設
1990年 ソフィア大学古典および現代言語文学部東アジア言語文化学科日本専攻設立
1992年 ソフィア第18総合学校「ウィリアム・グラッドストーン」設立
1993年 「キリルとメトディー」ヴェリコ・タルノヴォ大学文献学部・東京言語文化学科日本語コースにて日本語教育開始
1995年 スヴィシュトフ経済大学選択科目教育化外国語センターにて日本語教育開始
1996年 スヴィシュトフ経済大学選択科目教育化外国語センターにて日本語教育が正規科目となる
スヴィシュトフ経済大学(1995年)でも外国語科目の1つとなる
2006年9月 ヴァーシル・レフスキー第二総合学校(ルセ市)及び「ヘンリー・フォード」交通・エネルギー学校(ソフィア市)にて日本語専攻できるようになる
2008年 ソフィア第18総合学校日本語一般市民講座にて日本語教育開始
参考文献一覧
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