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■ 2009年度
チェコ

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 1947年に、プラハにあるカレル大学に日本研究学科が創設され、チェコスロバキア(当時)における日本語教育が本格的に始まった。
 1993年にはオロモウツにあるパラツキー大学にも日本学科が設置された。また、1990年代以降、チェコ第二の都市ブルノにあるマサリク大学、ピルゼンの西ボヘミア大学、オストラヴァのオストラヴァ大学で、選択科目として日本語のコース(エキゾチック言語コースの1つ)が開設された。中等教育機関では、1991年にプラハにあるギムナジウムが初めて外国語教育に日本語を取り入れた。また、2006年より初等教育において初めてコリーン市の学校でクラブ活動の一環として日本語教育が始められた。ボローニャ宣言以降の大学の制度改革により、日本語・日本研究の主専攻があるカレル大学、パラツキー大学では3年で学士号取得、さらに2年で修士号取得という新システムに変更された。それに伴い、両大学ともそれまでは隔年に学生を募集していたのを、2005年度から毎年20〜30名ほどを受け入れるようになり、新カリキュラムでの授業が行なわれている。
 学校教育以外では、プラハ市言語学校(当時はプラハ国立言語学校)が1952年から、またチェコ・日本友好協会でも1998年から日本語のコースを開設している。現在は、私立の語学学校等でも日本語の授業が行なわれている。また、2007年秋に日本センター・ブルノがオープンし、大学生や一般成人向けの日本語授業がスタートした。また、2008年度よりプラハ市言語学校が国家試験実施校となり、チェコ国内で唯一CEFR基準の試験の実施を予定している。

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【背景】
 1989年のビロード革命、1993年のチェコの分離・独立以降、日本・チェコの両国は友好な関係を築いている。また、近年チェコの経済発展はめざましいものがあり、2009年現在240社に及ぶ日本企業が進出している。さらに伝統的な文化に加えて漫画・アニメなど日本のサブカルチャーの人気が高いこと、パントマイムなどの現代芸術が紹介されたことも日本語教育の普及に影響を与えている。
【特徴】
 高等教育機関での日本語教育が従来盛んであったが、中等教育レベル、あるいは学校教育以外での日本語学習者も増えつつある。
 学習動機は、以前は日本の伝統文化への興味というのが主であったが、最近では日本のビジネス、経済に対する関心及びアニメ等のサブカルチャーの影響から日本語学習を始める人も増えてきている。また、自らの母語とは大きく異なる「めずらしい言語」「おもしろい言葉」として日本語を学習しようとする人も見られる。さらに最近では、日本人とチェコ人夫婦の間に生まれ、継承語として日本語を学習する子供も少なからず見られるようになってきた。

●最新動向
 ブルノのマサリク大学に2008年10月より日本研究学科が設立され、71名の新入生が入学した。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 ギムナジウム等の中等教育機関で外国語教育に日本語を取り入れるところが出てきている。現在ではプラハで8校、フラデッツ・クラーロヴェーで1校、リトミシュルで1校のギムナジウムが選択科目として日本語のクラスを設けている。しかし、学習者は多くない。トヨタ・プジョー・シトロエン・オートモビル(TPCA)社の工場があるコリーン市において同社の協力を得て2006年より小中学校3校でクラブ活動の一環として日本語教育が行なわれている。
【高等教育】
 カレル大学、マサリク大学には日本研究、パラツキー大学には日本語専攻の学科がある。これらの学科では毎年数名が日本へ留学し、卒業後は通訳者・翻訳者として活動する者、教師・研究者となる者もいる。最近では日本企業の進出に伴い、日本および日系企業への就職を希望する者、またそれらの企業からの求人も多くなっている。このほかには、オストラヴァ大学でも、選択科目として日本語の授業が開講されている。
【学校教育以外】
 プラハ市言語学校は主に成人の学習者を対象としている。一方、同じくプラハにあるチェコ・日本友好協会の日本語講座には、成人のほか高校生の学習者もおり、4年前からは子供クラスも開講されている。日本センター・ブルノでも、10代から60代までと幅広い年齢層の学習者が日本語に取り組んでいる。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 9-3制。
 初等教育は通常9年間(6〜15歳)、中等教育は3〜4年間(15〜19歳)でギムナジウム、専門学校等で行なわれる。少数であるが成績優秀者は、5年で初等教育機関から中等教育機関へ移り、中等教育を8年間受ける者もいる。6歳からの9年間が義務教育。
 高等教育機関は主に大学で、専門によって3年から5年の教育を受ける。数年前から新たに学士制度が設けられ、従来の5年間で修士号取得のシステムから、学士課程(3年)と修士課程(2年)に分けるシステムへと変更している学科が多い。
【教育行政】
 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育省の管轄下にある。

●言語事情
 主要言語、公用語ともチェコ語。

●外国語教育
 通常、初等教育課程第4学年で外国語教育が開始(必修)。語学優秀者のコースでは第3学年から開始。
 主に英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語からの選択。学校によってはイタリア語、スペイン語を選ぶこともできる。

外国語の中での日本語の人気
 プラハ市言語学校において、欧米系以外の言語として学習者数が多いのは1位アラビア語、2位中国語で、日本語は第3番目となり、約60名の学習者がいる。いずれの言語も学習の動機はビジネスのためというのがほとんどである。

大学入試での日本語の扱い
 大学入試で日本語は扱われていない。
 但し、カレル大学では、日本研究科の入学試験に日本語の表記(ひらがな・カタカナ)の試験が含まれている。
学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 『みんなの日本語 初級』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『エリンが挑戦!にほんごできます。』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)などのほか、自主制作教材や絵入りの辞典なども使用されている。
【高等教育】
 『みんなの日本語 初級』(前出)、『中級へ行こう』『中級を学ぼう』平井悦子ほか(スリーエーネットワーク)、『文化中級日本語』文化外国語専門学校(凡人社)、『中級の日本語』三浦昭ほか(ジャパンタイムズ)などのほか、大学で独自に編纂した初級教科書を使用しているところもある。
【学校教育以外】
 チェコ日本友好協会から2007年に出版された『絵でおぼえるひらがな』、『Situational Functional Japanese』筑波ランゲージグループ(凡人社)、『みんなの日本語 初級』(前出)、『初級日本語 げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、『Japanese for Busy People』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)、『毎日の聞き取り』宮城幸枝ほか(凡人社)などのほか、言語学校で独自に編纂された教科書も使用されている。

●マルチメディア・コンピューター
 大学では学生の成績管理やカリキュラム情報等にWebサイトが利用されており、講師から個々の学生への連絡、プリント教材の配布、課題の提出等にもメールが活用されている。学生たちはインターネットから様々な情報や日本語学習の素材を得ているが、教室でのDVD教材の利用、パワーポイントを使った発表などはまだあまり行なわれていない。

教師
●資格要件
【初等・中等教育】
 教育機関によって様々である。
【高等教育】
 修士号以上を持っていることが望ましい。
【学校教育以外】
 教育機関によって様々であるが、チェコの大学を出身していることを条件としているところもある。

●日本語教師養成機関(プログラム)
 日本研究、日本語専攻を持つ3つの大学以外、チェコ国内には日本語教師養成を行なっている機関はない。

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 2009年現在、常勤の日本人講師はチェコ国内に在住する3名と国際交流基金の派遣専門家1名の計4名である。非常勤講師は現地採用のほか、数ヶ月から2年程度の雇用契約で非常勤として採用され、複数の学校・機関をかけもちで教えている講師も少なくない。

●教師研修
 現職の日本語教師対象の研修制度は国内にはないが、国際交流基金の日本語教師研修(訪日研修)、国際交流基金ブダペスト日本文化センターの中東欧日本語教育研修会(2007年度は実施されず)、欧州日本語教師研修会(国際交流基金パリ日本文化会館、アルザス欧州日本学研究所主催)等に参加する機会がある。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 数年前から専門家を中心に勉強会が行なわれており、2005年からメーリングリストが整備されるなどの段階を経て、2007年1月に教師会が正式に発足した。勉強会やメーリングリストでのやりとりは教師会の活動の一環として続いており、2007年秋には教師会メンバーによる自主制作教材『絵でおぼえるひらがな』を出版した。また、日本や隣国から講師を招いてワークショップなども開催している。メンバーは2009年5月現在39名。
 日本企業の進出に伴う邦人在住者増加の影響か、2008年度に新たに5名の邦人会員が新規加入した。今後もこの傾向が続くように思われる。

●最新動向
 2007年に完成・出版した『絵でおぼえるひらがな』に続き、『絵でおぼえるカタカナ』を作成中。2009年度中の完成・出版をめざしている。

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日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
カレル大学 1名

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学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1947年  カレル大学に日本語研究学科創設
1952年 プラハ市言語学校で日本語コースを開設
1991年 プラハにあるギムナジウムが、中等教育で初めて外国語教育に日本語教育を開始
1992年 マサリク大学(ブルノ)で選択科目として日本語コース開設
1993年 バラツキー大学に日本学科設置
1998年 チェコ・日本友好協会で日本語コース開設
西ボヘミア大学(ビルゼン)で選択科目として日本語コース開設
2006年 コリーン市の学校でクラブ活動の一環として、初等教育で初めて日本語教育を実施
2007年 日本センター・ブルノが開所し、大学生や一般成人向けの日本語授業開始
2008年 プラハ市言語学校が国家試験実施校となり、チェコ国内で唯一CEFR基準の試験を実施予定
マリサク大学(ブルノ)に日本研究学科設立
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