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■ 2009年度
フィンランド

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 フィンランドの日本語教育は、1937年、アルタイ言語学の権威G.J.ラムステッドによってヘルシンキ大学において始められ、戦争で一時中断した後、1960年代半ば(64年あるいは65年)に再開され、地道に継続されてきている。1980年から1997年までの期間は、国際交流基金派遣の日本語教育専門家がヘルシンキ大学における日本語教育を担当した。

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【背景】
 フィンランドは歴史的な事情もあり、もともと親日的。フィンランドでは、すし等の日本食人気や、武道愛好者層はすでに定着したものとなっているが、最近では、特に若者の間で、日本のアニメ・漫画やいわゆるJ-ROCKも流行っている。
 日本語についても、実用的な会話力をつけビジネスに活用するという目的よりは、むしろ多くの場合、武道やアニメ・漫画やJ-ROCKといった日本文化が糸口となって学習を始めるものが多いように見受けられる。
【特徴】
 ヘルシンキ大学やヘルシンキ工科大学(注:2010年よりヘルシンキ工科大はヘルシンキ商科大および芸術・デザイン大と合併しアールト大学となる)といった高等教育機関が日本語教育の中心となっているが、近年では高校や成人学校(各自治体で運営するカルチャーセンターのようなもの)でも教えられている。
 日常生活の中では日本語に接する機会が多いとはいえないことから、フィンランド国内の日本語学習者は教室以外で日本語の実地練習をすることは難しいと言えるものの、インターネットの普及により、日本の音楽・ドラマなどを通じて生の日本語に触れている若者も多い。

●最新動向
 首都ヘルシンキのみならず、地方でも日本語教育が活発になりつつある。また、高等職業専門学校(ポリテクニク)や高等学校でも日本語教育を行なうところがあり、若い世代の間でより関心が高い。
 また、2005年度より日本語能力試験の実施国となっている。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 義務教育課程(日本の小学校と中学校に相当)では特別なプログラムで日本語・日本文化教室を導入している学校もあるが、定期的な実施ではない。また、義務教育課程では「母語教育」が取り入れられており、首都圏ではヘルシンキ市とエスポー市の管理するクラスがそれぞれ1つずつ、また2009年より養護学校1校でも導入している。
  高等学校では定期的に日本語講座を開設している学校も数校ながらある。
【高等教育】
 ヘルシンキ大学に1993年に日本学の教授の席が設けられている。日本学は、ヘルシンキ大学のアジア・アフリカ言語文化学科東アジア専攻内にある日本学コースの他、例えばヴァーサ市にある独立キリスト教国民学校(コミュニティ・カレッジ)にスウェーデンのストックホルム大学の分校が置かれており、そこで学ぶことができる。日本語教育は、全国での大学や高等職業専門学校(ポリテクニク)で受けることができる。
【学校教育以外】
 生涯学習を重んじるフィンランドでは様々な成人教育講座が開かれており、初級日本語講座を設けている機関も増えてきている。講師は、当地に長く住む日本人や、長い滞日歴を持つフィンランド人などが務めている。生徒は成人の他、中学生や専門学校生などの若年層も多い。また、日本関連友好団体が開く講座もある。
教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 義務教育は7歳から16歳の9年間における基礎学校(あるいは総合学校。日本の小学校に相当する前期課程と、日本の中学校に相当する3年間の後期課程から成る)での教育である。基礎学校修了後、普通教育を行なう高等学校、もしくは中等教育レベルの職業学校へ進学し、通常2〜4年で必要単位を取得する。高等教育機関には大学および高等職業専門学校(ポリテクニク)がある。一部の学部を除き、通常3年間で前段階の学位(Bachelor’s Degree)を取得し、その後通常2年間で後段階の学位(Master’s Degree)取得を目指すシステムとなっている。高等職業専門学校は修了までに3年半〜4年を必要とする。
【教育行政】
 教育政策は国会で決定され、教育省とその下部機関である教育庁が中央レベルでの政策の実施にあたる。教育庁は義務教育および中等教育機関の中核的なカリキュラムを作成する。これをもとに各地方自治体また各学校が個別のカリキュラムを作成する。高等職業専門学校は地方自治体が運営するものと私立のものとがある。全国で約20校ある大学はすべて国立であり、教育省が管轄しているが、各大学は自治権を持っている。

●言語事情
 公用語はフィンランド語とスウェーデン語。
 住民の93%がフィンランド語、6%がスウェーデン語を母語とし、その他にサーミ語が公用少数言語に認定されているが話者は1%に満たない。

●外国語教育
 フィンランドでは最低2つの言語を学ぶ。そのうち1つは母語以外の公用語、すなわちフィンランド語が母語の子供はスウェーデン語、スウェーデン語が母語の子供はフィンランド語である。外国語教育の決定権は各学校と自治体が有する。
 フィンランド母語話者の場合、第1外国語は、普通基礎学校3年生で始まり、英語が選択されることが多い。(基礎学校前期課程において、選択科目として他の外国語を学ぶことも可能。)
 7年生からは、第2必修外国語の学習が始まる。第1外国語として英語を学んだ児童は第2必修外国語として母語以外の公用語を学ばなくてはならない。必要最低限の2か国語に加えて、学校によってはさらに多くの外国語を学ぶことができる(学習学年に決まりはない)。
 (高等学校卒業前に受験する)国家が行なう一般的な資格基準である大学入学資格試験では、母語が必須であり、母語とは別の公用語および外国語(英語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、スペイン語、サーミ語、イタリア語、ポルトガル語、ラテン語)は選択科目となっている。
学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 市販の教材、教師が自ら用意した(自作含む)配布資料を用いる。
【高等教育】
 日本で出版された日本語教科書等を使用する機関が多い。なお、ヘルシンキ商科大学と工科大学においては、各教師自身が作成した教科書を使用している。
【学校教育以外】
 同上。『Japanese for Busy People』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)が当地書店で販売されているということもあり、成人学校、高等職業専門学校(ポリテクニク)などで使用している。
教師
●資格要件
 常勤の教師として働くためには、基礎学校前期課程では教育学の修士号、後期課程および高等学校では各専門科目と教育学の修士号が必要である。国は大学の教員養成課程への入学者を調整することによって、教師の数を管理している。日本語教師の場合、非常勤講師扱いであるため、各校長の許可によって採用される。

●教師研修
 フィンランドでの日本語教師養成課程はなく、国際交流基金の日本語教師研修に各教師が個人的に参加している。2008年より、パリの日本文化会館主催による欧州日本語教師研修会への募集に応じ、2008年には2名が参加した。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 1993年8月に設立された「フィンランド・日本語日本文化教師会」には、フィンランドの日本語教師のほとんどが会員として参加している。(会員数は2009年5月現在38名。)同教師会は、1995年4月には社団法人に認定され、種々の活動をしている。
 定期的に会合を持ち、セミナーやワークショップ等を開くことによって日本語教師の質の維持・向上に努め、教師同士のネットワークの維持・強化を図っている。
 教師会の最大行事である弁論大会の際には、多くの日本文化関係団体の協力を受けている。

●最新動向
 毎年3月、「日本語で語る会」(日本語弁論大会)を開催しており、2009年3月には第24回大会が行なわれた。2005年度より、年間行事を充実させることを目的として、年2回、日本語と日本文化に関するセミナーまたはワークショップを行なっている。近年、少しずつ増えている高校での日本語教育と、その継続となる大学における日本語教育において、その統一性などについて検討・話し合いを進めている。さらに、2006年度より、日本語能力試験の実施機関となっている。


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日本語教師派遣情報
 国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1937年 ヘルシンキ大学にて日本語教育開始
1964or5年 戦争中、一時中断されていたヘルシンキ大学における日本語教育再開
2006年 日本語能力試験実施開始
参考文献一覧
★参考文献検索ページへ

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