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●日本語教育の実施状況 ●教育制度と外国語教育 ●学習環境 ●教師 ●教師会 ●日本語教師派遣情報 |
●学習目的 ●シラバス・ガイドライン ●評価・試験 ●日本語教育略史 ●参考文献一覧 |
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●全体的状況
【沿革】
ドイツにおける日本語教育は、1887年にベルリン大学に東洋言語学科が設立されたことに始まる。1980年代に大学での日本関連学科の設置と語学コース開設が相次ぎ、Volkshochschule(略称:VHS 一般成人を対象とした生涯教育機関)での日本語コースも急増した。また、1982年には、中等教育機関のギムナジウム(Gymnasium)でも日本語教育が開始され、1999年には、国内全州において、大学入学資格試験(アビトゥア)の試験科目として、日本語を選択することができるようになった。
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【背景】
1980年代、日本経済が好調だった時期には、日本語学習者の顕著な増加が見られた。1990年代末から、増加は頭打ちとなり、数年間は変化が見られなかった。その後は、2005年までは学習者は増加傾向を見せていた。その理由は、マンガ、アニメ、ゲームなど日本のサブ・カルチャーの浸透で若年層の学習者が増えたことが挙げられる。また、ドイツの学習者の中には、豊かな年金で現役引退後の生活を楽しみつつ日本語学習を進めている者が存在する。このような学習者の存在は、ドイツの高齢化社会を反映しているようである。しかし2006年の調査では学習者数はやや減少している。
【特徴】
ドイツの日本語学習者は多様で、大学などの高等教育機関だけでなく中等教育、一般成人教育、企業内研修、継承語教育など、さまざまな場所で日本語が学習されている。日本語能力試験の受験者数は、日本経済が停滞した時期も減少せず、ドイツにおける日本語学習が、堅実な学習者で支えられていることがわかる。能力試験の受験者数は、2002年頃から再び増加している。2005年度にはベルン(スイス)で日本語能力試験実施が始まり、スイスからドイツへ受験しに来る者はほとんどいなくなったが、ドイツで行なわれる日本語能力試験の受験者数は減らず、漸増を続けている。2007年には受験者が1,000名を超えた。
●最新動向
特になし。
●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
初等教育においては、異文化理解教育の範疇で日本語が取り入れられ始めたところがあるようだ。また、ラインラント・プファルツ州では2007年9月、州教育省の施策として地区単位で知的優秀児を選抜し週1日を特別授業日として英才児教育を始めたが、ある地区ではそのプログラムの中に日本語を取り入れている。
また、ドイツ国内には、日本の文部科学省から補助金を受けている補習授業校が12校あるが、そこでは、継承語としての日本語教育が行なわれている。学んでいる生徒の約半数は、国際結婚家庭の子どもである。
中等教育では、1987年から1993年までの6年間、ベルリン、ハンブルグ、ノルドライン・ヴェストファーレン、ニーダーザクセン、ラインラント・プファルツ、ヘッセンの6州で日本語を導入するためのモデル試行(Modellversuch)が行なわれ、特別の予算措置が取られた。2009年のドイツ語圏中等教育日本語教師会の発表では、日本語を教えているギムナジウムは63校、日本語を学習しているギムナジウム生徒の数は1,876名であった。
日本語が単位取得科目として学習されるのは、9〜10年生の段階から3〜4年間に、第3外国語(英語、その他の欧州言語に次ぐ)としての学習である場合が多い。この他に、課外選択科目として学習される場合も少なくないが、この場合、学校の事情や担当できる教師の有無、履修希望者の増減などで、開・閉講が容易に起こり得るため、システマティックな学習にはなりにくい。
大半の州で、ギムナジウムの就業年数が9年間から8年間に短縮された(される)。この新制度への移行は日本語教育にも影響を与えつつある。例えば、課外選択科目の日本語が廃止となったり、大学入学資格試験(アビトゥア)における日本語の位置づけが消極的な方向で見直されたりするというケースも見られる。また、中等教育で日本語が教えられ始めたころ(1980年代前半)の第一世代の教師が、定年退職の時期を迎えている。後任者にうまく引き継げるところもあるが、学校がその機をもって日本語教育をカットしようとしたり、続けようとしても適任者が見つからなかったりといった問題もある。
【高等教育】
2007年春にケルン日本文化会館が行なった日本研究学科を持つ国内17の大学での聞き取り調査によると、学習者の関心や学習動機には、マンガ等のポップ・カルチャーの影響の強いことが確認されている。日本学専攻の学生について、2003年頃から日本学、日本語学習希望者が急増し、一時はかつての3〜4倍になったが、そのころから実施されたBachelor/Master(BA/MA)コース制度の導入にともない、定員制を採用する大学(学科)が増え、2009年現在の日本学専攻学生数は、2003年以前の水準よりも減少している。
なお、近年、州の大学予算削減等の理由により、多くの大学では、日本研究学科や日本語講座が組織再編・廃止されるなど、激しい変化に遭遇している。他組織に統合される場合もある。また1999年に採択されたボローニャ宣言により、現在Bachelor/Master(BA/MA)コースへの移行が進められているが、これにより卒業までの年数が短くなった影響で日本語学習時間数が減らされるというケースも見られる。
【学校教育以外】
公的な一般成人向け生涯教育機関として、VHSが全国に存在し、5,000名近くの日本語学習者がいると想定されている。ドイツはVHSによる一般成人教育が盛んで、その語学プログラムも充実している。日本語はその中で、希少言語の1つである場合が多い。VHSの日本語講座は大きな町だけでなく、都会からはるか離れた小さな町にも存在することが珍しくない。
VHSのほか一般成人を対象とした日本語教育機関としては、国際交流基金ケルン日本文化会館、ボーフム・ルール大学外国語教育研究所(元ノルトライン・ヴェストファーレン州立言語研究所)日本語学科≪ヤポニクム≫、ハンブルクアジア研究所、ベルリン日独センター、フランクフルト日本語普及センター、ミュンヘン大学日本センターなどが挙げられる。そのほか、民間の外国語学校でも日本語講座が開講されている。
| 初等教育 | 中等教育 | 高等教育 |
| 小学校Grundschule(4年間)→ | 基幹学校 Hauptschule(5年間)→ |
職業訓練 |
| 実科学校 Realschule (6年間)→ |
職業訓練 実業専門学校/実業高等専門大学 |
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| ギムナジウムGymnasium (8/9年間)→ |
総合大学/教育大学/芸術大学/高等専門大学 | |
| 総合制学校 Gesammtschule (8年間)→ |
実業専門学校/実業高等専門学校/高等専門大学/総合大学/教育大学/芸術大学 |
●外国語教育
外国語教育は英語が必修で、通常5年生から開始されるが、3年生から始める州が増えている。
実科学校では第2外国語は選択科目で、ギムナジウムでは第2外国語(概ねフランス語かラテン語)は7年生から必修科目である。ギムナジウムの9年生、10年生の段階では、第3外国語が選択できるところもあり、日本語がその1つになっている場合もある。しかし、多くの場合、11年生、12年生の段階で第4外国語(選択科目)として学習される。
学習指導要領の作成は、州の基本法や学校法に基づいて行なわれるため、その内容は州ごとにかなり異なっている。また、どの外国語を教えるか、それを必修科目とするか選択科目とするかについても、州・学校によって差が大きい。
外国語の中での日本語の人気
伝統的な日本文化や日本語の古典作品の魅力から日本語学習をする人々は、相対的に減っている。それに対し、インターネットの普及とIT能力の伸びによって、個人的・直接的に取り入れた日本の情報を魅力的だと感じ、日本語の学習動機とする学習者が増えている。J-POPと呼ばれる種類の音楽を聞くことや、You-tubeを通して日本の映画やTVドラマを見ることは、高校生・大学生学習者の間では珍しいことではない。ドイツ語に翻訳された日本のマンガは、本屋に必ずマンガコーナーがある程、ドイツ社会に浸透している。格安の日本旅行をする者は、学生だけでなく社会人の間でも普及してきた。これらの点は、日本語が、他の外国語(ヨーロッパ言語)と比較した場合でも、特別な言語ではなくなりつつあることを表しているだろう。しかし、それでもまだ感覚的には、日本語は「エキゾチック」という範囲でとらえられ、語られることが多いようである。
大学入試での日本語の扱い
1999年、全州教育大臣会議で、大学入学資格試験(アビトゥア)の試験科目として日本語を選択してもよいことが認められた。これによって理論的には、ドイツ全州で大学入学試験の試験科目とすることが出来るようになったわけだが、実際に行なわれた例があるのは、バーデン・ヴュルテンベルグ州、ベルリン州、ヘッセン州、ラインランド・プファルツ州、ノルドライン・ヴェストファーレン州の5州である。
●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
VHSの日本語教師の場合は、大半が日本語母語話者(日本国籍)である。多くはドイツ人の配偶者を持ち、居住する地域の人的リソースとして見出され日本語を教えるようになったケースが多い。ドイツで就労するには労働ビザが必要であり、労働ビザの取得は一般的には困難であるが、ドイツ人の配偶者がいる場合にはその問題がないことが、これらの状況とつながっている。日本語教育や外国語教育等を専門に勉強した、あるいは実地経験がない教師も多いが、教師会の会員になるなどして熱心に研鑽を積んでいる。特に小さい町などでは、初めて接する日本人が「日本語教師」だというケースもあり、その影響力は大きい。VHSでは基本的に講師をフリーランスの労働者として学期毎に契約しており、一定数の申込者が集まらず、講座が開講されないというケースも少なくなく、雇用状況は不安定である。報酬は州によって差があるが少ないケースがほとんどで、VHS講師の職だけで生計をたてることはできない。
中等教育機関の日本語教師の場合、正規職員となるためには大学で教員養成課程を修了し、国家試験を受け、教員免許を取得しなければならない。現在ギムナジウムで教えている日本語ネイティブ教師は、当該校の教育方針等により例外的に採用された教師らで、自治体と直接、雇用関係を結んでいる。そのため身分が不安定で、報酬のランクも驚くほど低いことがある。
大学の場合、語学講師は1つの職場で最長2年(契約延長なし)、しかも1度働いた州では再度大学講師の職に就くことができないという規定が多くの州で適用されており、安定したポストに就くのは容易ではない。
●教師研修
現職教師研修プログラム(一覧)
日本語が母語か非母語かにかかわらず、日本語教師としての専門性を高めるための研修は、各種行なわれている。 各教師会が主催し、国際交流基金がネットワーク助成等の枠で支援を行なっている研修には、以下のようなものがある。
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ドイツ語圏中等教育教師会セミナー:中等教育日本語教師対象、2泊3日の合宿研修。 |
| ・ |
ドイツ語圏大学日本語教育研究会シンポジウム:大学の日本語教師対象。会期3日間。 |
| ・ |
ドイツVHS日本語講師の会研修:VHSの日本語教師対象。2泊3日の合宿研修。 |
| ・ |
ヨーロッパ日本語教師会シンポジウム:対象は設定していない。会期3日間で、主に日本語講座を持つ大学を会場としてヨーロッパ内の都市を巡回して開催される。 |
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1.
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日本の文化に関する知識を得るため |
9.
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日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入) | |||||
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2.
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日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため |
10.
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日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため | |||||
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3.
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日本の科学技術に関する知識を得るため |
11.
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母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため | |||||
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4.
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大学や資格試験の受験準備のため |
12.
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日本語という言語そのものへの興味 | |||||
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5.
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日本に留学するため |
13.
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国際理解・異文化交流の一環として | |||||
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6.
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今の仕事で日本語を必要とするため |
14.
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父母の期待に応えるため | |||||
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7.
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将来の就職のため |
15.
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その他 | |||||
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8.
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日本に観光旅行するため | (1.〜15.から5つ選択) | ||||||
| 1887年 | ベルリン大学に東洋言語学科が設立される |
| 1912年 | 初めての日本学教授ポストがハンブルグ大学にできる |
| 1980年 | ノルドライン・ヴェストファーレン州立言語研究所に日本語部門≪ヤポニクム≫が設立され、日本語集中講座の実施が始まる |
| 1980年代 | 大学において日本関連学科や語学コースが急増する VHSの日本語講座も急増する |
| 1982年 | ギムナジウムで日本語教育が開始される |
| 1985年 | デュッセルドルフで日本語能力試験の実施開始 |
| 1992年 | シュトゥットガルトで日本語能力試験の実施開始 |
| 1995年 | ベルリンで日本語能力試験の実施開始 |
| 1999年 | 国内全州の教育大臣会議で、日本語が大学入学資格試験(アビトゥア)の試験科目として認可される |
| 2006年 | ≪ヤポニクム≫が、ノルトライン・ヴェストファーレン州立言語研究所日本語科からホーフム・ルール大学外国語教育研究所日本語学科となる |
| 2007年 | ラインラント・プファルツ州で州教育省の施策として地区単位で知的優秀児を選抜し週1日を特別授業日として英才児教育を開始 |