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■ 2009年度
ハンガリー

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 ハンガリーの日本研究は、戦後一時期、断絶・停滞を余儀なくされた。戦後の東洋学はシナ学を中心に発展したため、日本研究・日本語教育はチェコやポーランドの域内近隣諸国に比べ立ち遅れの感があった。
 1980年代に入って日本語学習熱が高まり、エォトヴェシ・ロラーンド大学に日本学専攻が1986年に設置されたことが、ハンガリーの日本語教育の実質的な始まりである。また、1987年には小学校でも実験的に日本語教育が行なわれ、現在は高等教育機関でも初等・中等教育機関でも日本語が教えられている。
 1990年代初頭からは青年海外協力隊の日本語教師派遣が始まり、質的にも強化された。日本語学習者数は1990年代に入り日本語学習ブームに乗って増加の一途をたどり、1990年には328名だった学習者は、2003年には1,000名を超え2008年には1,457名となっている。

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【背景】
 学習動機としては、一般に純粋な日本文化・社会に対する興味の場合が多い。
 初等・中等教育段階では、アニメや漫画から児童・生徒が日本に興味を持ったり、児童・生徒の親が日本への興味・関心を持ったりし、実用目的から子供に日本語学習を勧める場合が多い。
 社会人学習者の場合は、実用・ビジネス目的で日本語学習を始める者も少なくない。
【特徴】
 域内近隣諸国と比べると、ハンガリーでは初等・中等教育段階での日本語学習者が多い。

●最新動向
国際交流基金ブダペスト日本文化センターの調べによると、2008年12月時点での日本語教育データは、機関数33、教師数69、学習者数1,457あった。
2009年1月に「日本文化発信プログラム」(J-CAT)により7名のボランティアがハンガリーに派遣された。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 日本語教育は14機関で実施されているが(2008年12月時点)、このうちの3機関は初等教育機関である。いずれの場合も、日本語は第2外国語の選択必修科目か自由科目という位置付けである。
【高等教育】
 日本語教育は10機関(高専を含む)(2008年12月時点)で実施されているが、このうち日本語を主専攻としている大学はブダペスト市内のエォトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)、カーロリ・ガーシュパールカルビン派大学の2大学である。
 また、法門大学では第1外国語として日本語が位置付けられているほか、ブダペスト商科大学(旧外国貿易大学)では第2及び第3外国語として実用目的の日本語教育が行なわれている。他の教育機関では、日本語は選択科目という位置付けである。
【学校教育以外】
 学校教育以外では9機関(2008年12月時点)で日本語教育が行なわれている。学習者は学生、社会人など様々で、学習目的も教養や実用目的など様々である。
 国際交流基金ブダペスト日本文化センターでも日本語講座を実施している。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】

 8-4(〜5)-3(〜5)制
 初等教育:8年
 中等教育:4〜5年(進学向けGimnazium,および職業訓練向けSzakkozepiskola)
 高等教育:3〜5年
 2006年9月よりボローニャシステムが導入され、高等教育機関は5年制(修士号取得)から3年(学士号)+2年(修士号)制へ移行した。2008年度は、3年生までは新システム、4年以上は旧システムの学生で、新旧二つのシステムが混在している。2009年6月に新システムでの卒業生(学士)が誕生する。初等・中等一貫教育もあり、各段階の修了年数には若干のずれがある。
 また、この他に社会人向けの成人教育機関がある。
 義務教育は12年間。
【教育行政】
 教育文化省が全教育段階の機関を所管している。

●言語事情
 約97%がハンガリー人で、ハンガリー語(マジャール語)を使用している。

●外国語教育
 外国語教育はナショナル・コア・カリキュラム(NAT:Namzeti Alaptanterv)により、公教育機関で学習するすべての学生が4年生から最低1つの外国語を学習することが義務付けられている。第1外国語として英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語、ロシア語を学ぶことができる。また、ハンガリー教育省は欧州評議会と共にLanguage Education Policy Profileも作成しており、複言語主義教育をはじめとする欧州評議会が掲げる理念をハンガリーにも導入している。
 初等教育レベルでの到達目標は、第1外国語の場合、小学校6年生でA1、小学校8年生でA1-A2、第2外国語の場合、小学校8年生でA1。中等教育レベルでは、第1外国語の場合、12年生終了時にB1もしくはB2レベル。B2を望む学生は、10年生終了時にB1レベルに到達する必要がある(B1レベル終了の場合は10年生終了時にA2)。第2外国語の場合は、12年生終了時にA2レベル。B1レベルまで望む学生は、10年生終了時にA1レベルに達成する必要がある。
 中等教育機関の一部には、数学や歴史等の一般科目を特定の外国語を用いて教えるイマージョン校がある。

外国語の中での日本語の人気
 ハンガリーにおける外国語は、一般に主要6言語(英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・ロシア語・スペイン語)とその他の言語とに分けられている。日本語は、その他の言語の中では人気の高い言語の一つである。

大学入試での日本語の扱い
 2005年度より新試験システム導入に伴い、大学別に行なっていた日本語の筆記試験、面接試験はなくなり、エーレッチェーギ(大学入学資格試験)が大学入試を兼ねることになった。

学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 初等教育機関では、ハンガリーで開発された教材が使用されている。その後、中等教育以上になると日本で出版されたものを使用する場合が多い。よく使用される教材は次の通り。
 『やさしい日本語』Ito Nacuko,Gergely Julia 共著(Japan nyelvekonyv gyermekeknek)Decens 出版社(ハンガリーで開発)
 『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)
 “DARUMA”シリーズ “TAROGATO KIADO”(ハンガリーで開発)
 『ハンガリー人のための日本語』 I JICA/JOCVハンガリー事務所(ハンガリーで開発)
【高等教育】
 担当者が自分で開発した教材を使う場合と、日本で出版されたものを使用する場合がある。よく使用される教材は次の通り。
 『みんなの日本語』(前出)
 『げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)
 『JAPANESE FOR EVERYONE』名柄迪ほか(学習研究社)
 『J Bridge』小山悟(凡人社)
 『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)
【学校教育以外】
 よく使用される教科書は
 『みんなの日本語』(前出)
 『JAPANESE FOR EVERYONE』(前出)

●マルチメディア・コンピューター
 インターネットを授業活動に取り入れている機関もあるが、マルチメディアの導入は一般的ではない。
教師
●資格要件
 初等教育の教員資格を取得するためには、教育学科教員養成課程にて単位を取得しなければならない。中等教育以上の教員資格を取得するためには、修士課程を修了し、教育養成単位を取得する必要がある。日本語の教員養成課程を設けているのは日本学科のあるエォトヴェシ・ロラーンド大学とカーロリ・ガーシュパールカルビン派大学のみである。ただし、カリキュラムの編成権を持たない「語学教師」になるにはこの限りではない。

●日本語教師養成機関(プログラム)
・エォトヴェシ・ロラーンド大学文学部日本学科
・カーロリ・ガーシュパールカルビン派大学日本学科

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 国際交流基金ブダペスト日本文化センターが2008年末に行なった調査では、教育機関における69の日本語教師のポストのうち、母語話者は28ポストを占めている。機関数33のうち、日本人教師のみにより授業が行なわれている機関が8機関あり、逆にノンネイティブ教師のみにより授業が行なわれている機関が15機関ある。日本人教師のみの機関はブダペスト以外の機関に多い。

●教師研修
 国際交流基金ブダペスト日本文化センターでは、日本ハンガリー協力フォーラムの「日本語教育促進事業」の一環として、日本語教育研修が実施されている。2008年度はハンガリー日本語教師会の協力を得て、計5回の研修会が実施された。また、2008年9月には「ハンガリー日本語教育シンポジウム」が教師会との共催で実施された。

教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 2001年に「ハンガリー日本語教師会」が設立され2005年に法人化された。会員数は正会員40名、特別会員6名、準会員4名、(2009年4月現在)。
 日本語教育関係の情報交換、会員相互のネットワーク確立、各種セミナーの開催、初級語彙集(日本語―ハンガリー語/ハンガリー語―日本語)の出版販売等を行っている他、2006年からは日本語スピーチコンテストを大使館と共催している。2002年にはヨーロッパ日本語教師会と共催で「日本語教育シンポジウム」を開催、2008年には国際交流基金ブダペスト日本文化センターと共催で「ハンガリー日本語教育シンポジウム」を実施した。
 現在、エーレッチェーギ(大学入学資格試験)の問題集作成が継続中である。

●最新動向
 日本ハンガリー協力フォーラム事業の「日本語教育促進事業」の活動が「教師に対する給与サポート」「教材作成」「教師研修」を核に開始された。「教材作成」ではハンガリーの日本語学習者のために、ハンガリー政府の言語教育政策に合致したハンガリー語版教科書を作成中である。

★教師会・学会一覧へ
日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
国際交流基金ブダペスト日本文化センター 1名

ジュニア専門家
国際交流基金ブダペスト日本文化センター 1名

日本語教育指導助手
国際交流基金ブダペスト日本文化センター 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ

●その他からの派遣
・日本文化発信プログラム
 7名の日本語教師を高校、大学、一般の機関に派遣している
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 2001年9月より、初等・中等教育レベルで、ナショナル・コア・カリキュラム(NAT:Namzeti Alaptanterv)が導入されている。ただし、このカリキュラムは、公的教育機関の基本的原理、方針を示したもので、内容に関しては各教育機関の自立性、独自性が保たれている。日本語教育の実施内容に関しては、現在のところ各教育機関の裁量に任されており、各機関の中で現場に即した教育が行なわれている。
評価・試験
 ハンガリー政府認定の日本語国家試験(資格)は、2006年に中断されたが、2008年3月より再開された。これは初級、中級、上級のレベル別に能力考査(筆記、および口頭試験)を行なうものである。同国家試験(資格)は2005年から導入されたエーレッチェーギ(大学入学資格試験)の上級レベル日本語試験を受験し、60%以上をとると、中級合格として認定され、40〜59%をとると初級合格としてそれぞれ認定される。また、日本学が主専攻のエルテ大学、カーロリ大学を卒業すると、自動的に上級の資格が得られる。
 ブダペスト商科大学において「ビジネス日本語検定試験」が実施されている(2002年1月ハンガリー政府正式認定)。
日本語教育略史
1923年 パーズマーニ・ペーテル大学(1950年に現在のエォトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)に改称)に「東アジアの言語と文学」講座が設置され、日本語・日本学の研究・教育がスタート。大戦による中断後、1959年に、改称された「中国・東アジア」講座内で日本語教育も自由選択科目として再開
1984年 外国貿易大学(現在のブダペスト商科大学)で日本語教育開始
1986年 エォトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)に日本学専攻設置
1987年 トルクバーリント実験小学校で日本語教育開始
1991年 国際交流基金ブダペスト日本文化センター開設
1992年 青年海外協力隊日本語隊員派遣開始
1993年 日本語能力試験実施開始
1995年 カーロリ・ガーシュパールカルビン派大学で日本学科開設
1996年 エォトヴェシ・ロラーンド大学(ELTE)の日本学専攻が日本学科として独立。同時に中等学校日本語教員養成プログラムを開始
1998年 カーロリ・ガーシュパールカルビン派大学で中等学校日本語教員養成プログラムを開始
2000年 国際交流基金ブダペスト日本文化センターに日本語教育アドバイザー派遣開始
2001年 ハンガリー日本語教師会(MJOT)設立
2005年 エーレッチェーギ(大学入試資格試験)開始
2005年 国際交流基金ブダペスト日本文化センターに日本語教育ジュニア専門家派遣開始
2007年 日本ハンガリー協力フォーラム「日本語教育促進事業」活動開始
青年海外協力隊日本語隊員活動終了
2008年 日本文化発信プログラム(J-CAT)活動開始
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