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日本語教育

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■ 2009年度
インドネシア

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 初期(1960年代)には、高等教育機関を中心に日本語教育が展開されたが、1980年代以降、後期中等教育段階(高校)での日本語教育が盛んになり、2006年の調査では学習者の最大多数は高校生となっている。

★日本語教育略史へ

【背景】
 インドネシアは日本と経済面での結びつきが強いため、従来から実利的な目的で日本語を学習する者が多いが、最近は日本のアニメ・マンガ・J-POPを契機として日本語を学習する若者が多い。
【特徴】
 日本語は高校の第2外国語選択科目に位置づけられていることもあり、学習者の90%は高校生が占めている。また、近年、全国的に日本語の専攻課程を開設する大学が増えている。

●最新動向
【初等・中等教育】
 2006年日本語教育機関調査の結果、インドネシアでは初等・中等教育機関における日本語学習者が大幅に増加していることが判明した。これは2006年中等教育カリキュラム改定により、全ての高校生が、1年生時から3年間継続して第2外国語、又は技術・家庭のいずれかを選択履修することが必須(選択必修科目)となり、日本語を選択する学生が多かったことによる。選択必修科目の第2外国語には、日本語、中国語、フランス語、ドイツ語及びアラビア語の5ヶ国語があるが、各学校でどの語学を教えるかの選択については各学校長の裁量に委ねられている。今般、現地日本語教育関係者から「日本語にはきちんとした教科書(基金と教育省が共催で作成した語学系コース用)がある」という理由から日本語を採用する学校長が多いとの意見が多く聞かれることから、当該教科書の存在も日本語履修者を増やすことに繋がった要因の1つと考えられる。
【高等教育】
 日本語学科を新たに立ち上げる大学や、ディプロマ3年制コース(D3)であった日本語学科を学部4年制コース(S1)に昇格させる大学が増えている。また国立大学が独立法人化し、国家予算に頼るのではなく自力で運営資金を調達しなければならなくなると共に、学生の定員やカリキュラムにおいて各機関の裁量枠が広がった。これにより、それぞれの大学が特色を活かした教育を打ち出せる可能性が出てきたといえる。ただ現実問題としては、授業料が値上げされたり、国立大学の学生定員枠の拡大と共に有名国立大学への入学者が増えたことに伴って、裕福ではない家庭の子女の進学機会が限定されたり、一部の私立大学では入学者が減って日本語学部の経営が困難になったりしている。
【学校教育以外】
 特になし。



●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 後期中等教育(高校)で第2外国語のひとつとして「正課」、「選択科目」、「課外活動」のいずれかの形で、日本語が教授されている(普通高校、宗教高校)。また、専門高校でも、観光サービス業務専攻で、必修科目として第2外国語を履修することになっているほか、選択科目と課外活動でも日本語が学ばれている。
【高等教育】
 大学の日本語・日本文学科、日本研究科、日本語教育学科および大学院の日本研究科において、専攻科目あるいは主要科目として日本語が教授されている。また、一般教養科目としては、理系学部等に至るまで広く日本語が教授されている。その他、高等専門学校、各種学校等においても専攻科目、選択科目として日本語が教えられている。
 主な大学、大学院は次のとおり。
 ・インドネシア大学 日本学科(学部)日本地域研究科(修士、博士)
 ・パジャジャラン大学 日本語・日本文学科(学部)日本語学研究科(修士、博士)
 ・インドネシア教育大学 日本語教育プログラム(学部)日本語教育研究科(修士)
 ・ダルマプルサダ大学 日本文学科(学部)
 ・ナショナル大学 日本文学科(学部)
 ・ガジャマダ大学 日本語・日本文化プログラム(学部)
 ・スラバヤ国立大学 日本語プログラム(学部)
 ・北スマトラ大学 日本語学科(学部)
 ・ブンハッタ大学 日本文学科(学部)
 ・ウダヤナ大学 日本文学科(学部)
 ・マナド国立大学 日本語教育プログラム(学部)
【学校教育以外】
 民間日本語学校、組織内(政府機関、民間企業)における日本語教育も実施されている。民間日本語学校に関しては、変動が激しく実数をつかむことが難しいが、多くは初中級レベルのコースである。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 6-3-3制。
 小学校が6年、中学校が3年、高校が3年、大学が4年。
 義務教育は9年間。
【教育行政】
 基本的には国家教育省(Departmen Pendidikan Nasional)が教育行政を管轄している。また、州レベル、市・郡レベル、町・村レベルなど地方レベルで国家教育省の地方事務所がある。国家教育省以外に宗教省等が管轄する学校もある。



●言語事情
 国語はインドネシア語。
 主な地方語はジャワ語、スンダ語、バリ語など。(母語は地方語で、インドネシア語は国語として小学校1年から学習するケースが大半である)


●外国語教育
 第1外国語は英語で、前期中等教育(中学校)から必須科目として教えられるが、特別科目として小学校で英語教育を行なっている地域もある。
 第2外国語の履修は、後期中等教育(高校)から開始される。普通高校・専門学校ともに日本語、ドイツ語、フランス語、アラビア語、中国語からの選択となっているが、それ以外の言語も教えられているケースがあるようである。なお、初等教育や前期中等教育で第2外国語を教えている私立学校もある。
 大学においては上記第2外国語のほかに、スペイン語、オランダ語などが専攻科目あるいは選択科目として教えられている。


外国語の中での日本語の人気
 第1外国語である英語を除けば、中等教育でも高等教育でも日本語の人気は依然として高く、新規に日本語学科・授業を設ける学校が続いている。ただし最近の中国経済の勢いに応じて、特に学校外教育で中国語の進出が目覚しい。学校教育においても中国語を取り入れているところが増えている。

大学入試での日本語の扱い
 大学に入学するための科目として日本語は認められていない。ただし、日本語学科入学後に日本語科目成績優秀者に対し、特定の日本語科目の受講を免除する大学がある。

学習環境
教材
【初等・中等教育】
 普通高校用としては、これまで教育文化省(現国家教育省)と国際交流基金が共同制作した『インドネシア普通高校日本語学習書教室活動集』が広く使用されていたが、新カリキュラム導入に伴い、国際交流基金と教育省と共同で作成してきた新教科書『にほんご1、2』が2007年6月に完成し、現在、多くの高校で使用されている。
 また、2006年中等教育カリキュラム改定に伴い高校の日本語学習者数が急増したが、最も学習者が増えた選択外国語として日本語を勉強する高校生向けの適切な教科書が存在しないことから、国家教育省と共催して2008年4月より2年計画プロジェクトを開始した。教科書は2009年6月に完成予定である。
 他方、専門高校用教材も、国際交流基金と教育省とが共同で日本語教科書『インドネシアへようこそ1、2』を作成し、2005年7月の新年度より主に観光サービス業務専攻で使用されている。
【高等教育】
 主に、日本で出版・販売されている教材が使用されている。補助教材はそれぞれの大学で作成する場合もある。
【学校教育以外】
 ほとんどの民間学校では初中級までしか扱われず、『新日本語の基礎』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)、『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を使用する機関が多いが、独自の教科書を作成・使用している場合もある。

●マルチメディア・コンピュータ
 当地の教育現場においては、マルチメディア・コンピューター等のインフラ整備は、私立大学・私立高校では進んできているが、国立大学・国立高校ではまだ遅れている。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】
 高校日本語教師になるには、教員養成課程を持つ大学の日本語学科を卒業し、教員免許を取得していなければならない。しかし、地元の教育大学に日本語学科がない、もしくは、誕生して間もない地域では、非教育大学の日本語学科を出て、非常勤講師として教えている者が少なくない。また、日本語を教える高校が急増しているため、他教科の教師で日本語ができる教師が日本語を教えているケースが依然としてある。
【高等教育】
 2006年に、大学教員は全て修士以上の学位を取得することが義務化され、修士以上の学位を持たない大学教員が、修士、博士の学位取得を目指し、大学院に在籍しながら教鞭をとる例が急増している。
 教育課程のある大学の教員は、日本語教育学を専攻した者が多く、総合大学等他の大学で教える教員は、日本語学、日本文学、日本研究を専攻した者が多い。
 修士号、博士号はこれまで、日本で取得することが一般的だったが、最近は国内の大学院で学位を取得した教員が増えている。
【学校教育以外】
 4年制大学、3年制ディプロマ・コース等で日本語を学習した教師が多い。地域によっては日本語学科の学生がアルバイトとして日本語学校で教える場合もある。



●日本語教師養成機関(プログラム)
 次の大学には、4年制日本語教育専攻プログラム(高校日本語教師養成)がある。
 ・インドネシア教育大学(旧バンドン教育大学)
 ・スラバヤ国立大学(旧スラバヤ教育大学)
 ・マナド国立大学(旧マナド教育大学)
 ・スマラン国立大学(旧スマラン教育大学)
 ・ジャカルタ国立大学(旧ジャカルタ教育大学)
 ・ムハマディア・ドクター・ハムカ私立大学
 ・リアウ大学


●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 高校では、日本人教師はまれで、ほとんどがインドネシア人教師である。
 大学の場合は、現地に長く住む日本人を雇用している私立大学も少数あるが、一般的には日本人教師の多くは政府ベースの派遣、ボランティアがほとんどである。これは、滞在許可の取得が難しい、機関の予算が少なく外国人を雇用する余裕がない等の理由による。


●教師研修
 高校教師向け研修は、国家教育省とジャカルタ日本文化センターの共催で実施している。
 大学教員向けには国家レベルの研修は行なわれていないため、各地域において学会支部の活動の中で行なわれている。ジャカルタ日本文化センターでは毎年、集中コースとして地域の大学、民間学校教員向けに教授法研修を行なっている。


現職教師研修プログラム(一覧)
1.国家教育省語学教員研修所とジャカルタ日本文化センターの共催
 高校教師向けの教師研修は、2008年度より、基礎研修⇒継続研修⇒Training of Trainers(TOT)研修の3段階で行われている。いずれも2週間の宿泊研修で、日本語演習と教授法演習の2部構成になっている。基礎研修では、まだ教授経験が少ない若手の教師を対象に、模擬授業を中心にした教授法演習を行い、一人の教師としての教授能力向上を目標としている。継続研修は、基礎研修の成績優秀者を対象に、将来、地域の教師会活動を中心的に担っていける人材養成のために実施されている研修で、自身の授業のふり返りとグループ共同作業への貢献を研修の目標としている。TOT研修は、今まさに地域の教師会のリーダー的役割を果たしている教師のための研修で、地域の教師会活動をより充実したものにしていくために必要な実践能力(例えば、小研修や勉強会の企画・実践、模擬授業評価基準作成、模擬研修など)向上を目標としている。
2.ジャカルタ日本文化センター主催

大学教員文法1日セミナー:文法分析力向上を目的とする。日本語教師向けのセミナー。大学教員から発表者を募り講師として発表してもらい、専門家は後方支援にあたる

教授法研修:大学及び民間学校教員対象。初級の教授技術向上のための研修。


中級日本語研修、中上級日本語研修:2002年度まで「教師向講座」が実施されていたが体制の変化により中断された。
しかし、地域内での要望が高く、2004年度新たに「中級日本語研修」が開始され、2009-2010年度に3期目を迎えている。この研修の目標は日本語能力試験2級レベルの日本語能力をつけることである。
また、さらに上のレベルの日本語力獲得を目指した「中上級日本語研修」も2005-2006年度、2008-2009年度に実施した。

3.インドネシア日本語教育学会とジャカルタ日本文化センターの共催
 主に大学教員を対象としたセミナー(1〜2日)を学会の要望に基づき協力。また、ジャボデタベックの学会支部が企画・運営している「研究会」「勉強会」にジャカルタ日本文化センターは積極的な支援を行なっている。2009年度、「研究会」では、修士号取得者が自身の研究の成果を発表し、参加者との質疑応答を通して、研究能力向上を目指している。「勉強会」では、国際交流基金日本語国際センターの研修参加者が研修で学んだ教室活動や教材開発などの知識・情報を発表し、日本語教師の教授法への関心を高めることを目標としている。

教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 大学レベルではインドネシア日本語教育学会(1999年設立)が存在し、セミナー、研究会、研修会などを開催している。また、『ジャーナル日本語』の発行も行なっている。
 高校日本語教師の教師会活動は州単位で勉強会や研修会を中心に活動をしている。また、2007年10月25日にインドネシア中学校・高校日本語教師会が教育省の資金援助を受けて発足した。

★教師会・学会一覧へ
日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
国際交流基金ジャカルタ日本文化センター 2名
西ジャワ(インドネシア教育大学) 1名
東ジャワ(国立スラバヤ大学) 1名
北スマトラ(北スマトラ大学) 1名
ガジャマダ大学 1名

ジュニア専門家
国際交流基金ジャカルタ日本文化センター 1名
中等教育機関(バリ) 1名
中等教育機関(北スラウェシ) 1名
中等教育機関(ジャボデタベック) 1名
中等教育機関(中部ジャワ) 1名
中等教育機関(西スマトラ) 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ

●国際協力機構(JICA)からの派遣(2009年4月1日現在)
青年海外協力隊

アイルランガ大学 1名
マナド工科短期大学 1名
マカッサル観光高等専門学校 1名
シンガラジャ教育大学 1名
バリ観光専門高等学校 1名

シニア海外ボランティア
ディポネゴロ大学 1名
サムラトゥランギ大学文学部 1名
ジャカルタ大学 1名

★JICAのページへ


●その他からの派遣

 日本語教育NPO、インターンシッププログラム、学校間の交換教授プログラム等で日本から派遣される教師が各地にいるがプログラム名、人数等正確な情報は不明。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
【初等・中等教育】
 普通高校用と専門高校用の2種類がある。
【高等教育】
 大学学部用のみ日本語のナショナルカリキュラムがある(ディプロマ・コース用はない)。
【学校教育以外】
 一般日本語(初級)と観光日本語の2種類がある。

★シラバス・ガイドライン一覧へ
評価・試験
 民間日本語学校初級修了者に対する国家試験、Ujian Nasional Jenis Bahasa Jepang (初級1、初級2)の2種類がある。
日本語教育略史
1903年 インドネシア初の日本語講習会(長山主税による)
1934年 私立クサトリアン学院(バンドン)にて外国語科目として日本語教育が行なわれる(3年間)
1942-1945年 日本軍政下にて日本語教育が行なわれる(全教育機関における必須科目)
1958年 日本文化学院にて日本語教育開始(機関における日本語教育の開始)
1961年 コロンボ計画による日本語教育専門家を日本文化学院へ派遣
1962年 高校での日本語教育開始(選択外国語)
1963年 国立パジャジャラン大学日本語日本文学科開設、日本語教育専門家派遣
1965年 国立バンドン教育大学日本語学科開設(高校の日本語教師養成開始)
1967年 国立インドネシア大学日本研究講座開設(日本政府寄付講座)、教授等派遣
1969年 日本大使館広報文化センター日本語講座開設(市民向け日本語講座)
1974年 国際交流基金ジャカルタ駐在事務所開設
1976年 第1回高校日本語教員研修開催(教育文化省、国際交流基金共催)
1977年 在スラバヤ日本国総領事館日本語講座開設(市民向け日本語講座)
1979年 国際交流基金ジャカルタ日本文化センター開設
1981年 国立スラバヤ教育大学日本語学科開設(高校の日本語教師養成地方へ拡大)
1982年 インドネシア日本研究協会第1回全国セミナー開催
1984年 高校外国語教育指導要領改訂(日本語が選択必須科目となる)
1990年 一般日本語学校用統一カリキュラム作成(教育文化省社会教育局)
1990年 インドネシア大学大学院日本研究コース(修士課程)開設
1991年 国際交流基金ジャカルタ日本語センター開設(中等教育レベルでの日本語教育に対する支援・協力強化)
1992年 テレビ日本語教育番組放送(日本語の大衆化。民間テレビ局RCTIによる)
1994年 高校教育指導要領改訂(外国語に関しては1996年より新カリキュラム実施)
1995年 海外青年日本語教師派遣(中等教育支援)
1995年 インドネシア大学大学院日本研究コース(博士課程)開設
1998年 普通高校用日本語教材『教室活動集』刊行
1999年 インドネシア日本語教育学会設立
1999年 専門高校学習指導要領改訂
2004年 普通高校用新カリキュラム実施
2007年 2004年カリキュラム準拠普通高校用日本語教科書刊行
参考文献一覧
★参考文献検索ページへ

国別一覧へ




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