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日本語教育

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■ 2009年度
カザフスタン

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 1992年にアル・ファラビ名称カザフ民族大学(カザフ民族大学)東洋学部中国語学科において日本語コースが設置されたのが、カザフスタンにおける日本語教育の本格的な始まりと言える。現在日本語専攻コースを持つ大学は、上記のカザフ民族大学東洋言語学部、アブライハン名称カザフ国立国際関係外国語大学東洋学部(カザフ外国語大学)の2校である。その他、カザフ民族大学国際関係学部、アバイ名称カザフ民族教育大学(カザフ教育大学)、KIMEP、国立ユーラシア大学(唯一アスタナで日本語学習コースを設置している)の3校で第1外国語または第2外国語として日本語の学習が行なわれている。
 高等教育機関においては、2007年9月にカザフ民族大学において、日本語専攻の大学院修士課程が設立された。初年度に5名の新入生が入学し、2009年6月には初の日本語専攻の修士号が誕生する。日本語教育の歴史が浅いため、どこも専門性の高い教員の不足に頭を悩ませている。
 初等・中等教育においては、1996年にアルマティ第2学校で日本語教育が開始され、続いて1998年には、アルマティ第12、123学校、および、ジャンブール第45学校でも教育が開始されるなど一時勢いを見せたが、教員不足のため、現在日本語教育を続けているのは、アルマティ第58中学校(2000年〜)、第120言語ギムナジウム(2002年〜)の2校である。

★日本語教育略史へ

【背景】
 元来、カザフスタン人は、日本に対して、経済・技術大国でありながら独自の文化を伝承し続けている国として憧れが強く、国造りのモデルとして高い関心を持っている。また、民族的な類似性等から日本に親近感を抱いている者も多く、その流れで日本そのものや日本文化をより深く知りたいとの思いから日本語を学習し始める学生が多い。近年目覚しい経済発展をとげているカザフスタンでは、経済的に発展・成功した国の言葉を学んで、自国の発展を担う人物になるべく、日本語学習を始める者も多い。また、着物や書道、日本料理などの伝統文化にとどまらず、アニメを中心とするポップカルチャーへの関心も高まっている。地理的に距離はあるものの、日本文化の波は確実に押し寄せ、日本語学習者増加への一助となっている。更に学年が上がると、各自がより具体的な関心を持ち始め、現代文学や日本史を研究テーマとして勉強する学習者も高等教育機関では見られる。
【特徴】
 大学等高等教育機関を中心に、日本語学習者数は概ね増加してきた。しかし、大学卒業後、通訳、日本企業への就職を希望する学生の思いとは裏腹に、実際の卒業後の進路は非常に困難な状況にあり、近年日本語学習者数が減少している。日本語教師の立場からも、教員の賃金水準が低いため、優秀な人材が他分野に流れる傾向にあることは否定できず、優秀な教員が教職を離れることで大学の日本語教育の質が下がり、それが学生の就職難に繋がるという悪循環が見られ、日本語教育を巡る環境は厳しい状況にある。
 カザフスタンは現在外国語学習ブームに沸き立っているが、その中心は英語、中国語、カザフ語と似ているトルコ語など就職に強い言語であり、最近ではイタリア語及びスペイン語の人気も上昇している。一方、日本語はまだ特殊な言語と見なされている。


●最新動向
 カザフスタンでは、以前より日本の伝統文化に対する関心が高い。また、自動車やロボット等ハイテク技術は若者にとって憧れであり、近年では、日本語学習の動機の一つとなっている。これまでは旧首都のアルマティにおける日本語学習が主体であったが、新首都のアスタナの日本語教育機関との連携強化の傾向が見られるようになった。さらに、地方都市においても自主的に日本語を学習する例が見られる。
 2006年海外日本語教育機関調査からの変化としては、機関数は初中等2機関、高等5機関、学校教育以外1機関、教師数は初中等2名、高等26名、学校教育以外11名、学習者数は初中等138名、高等476名、学校教育以外295名(2008年カザフスタン日本人材開発センター調べ)となっている。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 現在、アルマティ第58中学校では、5年生から11年生まで43名が日本語を学習している。第120言語ギムナジウム(2002年〜)では、4年生から11年生まで95名が日本語を学習している。
【高等教育】
 カザフ民族大学、カザフ外国語大学、カザフ教育大学、ユーラシア大学、KIMEPにおいて、約480名の学生が主専攻(第1外国語)、選択科目(第2外国語)として日本語を勉強している。
【学校教育以外】
 2002年よりアルマティにカザフスタン日本人材開発センター(日本センター)が創設され、ここでは初級・中級・上級のレベル毎に様々な日本語コースが開設されており、年間を通じて約200名が受講している。また、2006年より首都アスタナでも定期的に日本語コースが開催されており、年間約100名が受講している。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 4-7制。
 初等・中等一貫教育(シュコーラ)。従来は11年制であったが、2006年度より一部の学校が試験的に12年制を導入しており、2010年までには全て12年制となる予定である。シュコーラの1〜4年生が義務教育としての初等教育(6〜9歳)、5〜11年生が中等教育(10〜17歳)にあたる。私立のギムナジヤ、リッツェイもある。高等教育機関には大学(4年制)、アカデミー、音楽院、高等専門学校などがある。大学の教育システムは、スペツィアリストと呼ばれる高等基本教育(5年)に続き、高等専門教育(アスピラントゥーラ)3年間があり、日本の博士課程に相当する。これはソ連時代からの独自の教育制度であるが、ヨーロッパスタンダードに移行するため段階的に廃止される。初等・中等教育制度の改革と併せ、2010年までには高等基本教育(バカラーブル)4年、高等科学教育(マギストラトゥーラ)2年、高等専門教育(アスピラントゥーラ)3年に完全に移行する予定である。
【教育行政】
 初等、中等、高等教育機関のほとんどが、教育科学省の管轄下にある。

●言語事情
 カザフ言語法によると、カザフ語は国家語であり、ロシア語は公用語として位置づけられている。しかし、近年、国家機関における統計、資本、技術などの専門分野に関する書類等は、カザフ語で作成され、教育の現場においてもカザフ語による教育が増えつつあり、カザフ語の国家語としての位置づけが強化されてきている。

●外国語教育
 これまで、中等教育にあたる5年生から11年生を対象に第1外国語を必修科目として学習させてきたが、ここ数年は多くの学校で両親の希望に従い2年生から外国語を学習するようになってきている。大半の学校は英語を教えているが、ドイツ語、フランス語を教えている学校もある。言語ギムナジウムでは2言語(英語と、ドイツ語・フランス語・中国語・アラビア語・トルコ語のうちの一つ)を同時に勉強している。
 なお、初等・中等教育が12年制に移行した際には2年生より外国語が必修となる予定。
学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 『みんなの日本語初級ⅠⅡ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『新日本語の基礎ⅠⅡ』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)、ロシア出版の『日本語文法』(ロシア語)、『日本の漢字を覚えよう』(ロシア語)、『日本語2週間』(ロシア語)等が使用されている。
【高等教育】
 『みんなの日本語ⅠⅡ』(前出)、『日本語かな入門』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)、『テーマ別上級で学ぶ日本語』阿部祐子ほか(研究社)、『ニューアプローチ中級日本語[基礎編]』小柳昇(日本語研究社)、『文化中級日本語』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校)、『毎日の聞き取り50日初級編』宮城幸枝ほか(凡人社)、『毎日の聞き取り50日』太田淑子ほか(凡人社)、『日本語中級読解入門』富岡純子ほか(アルク)、『新日本語の基礎ⅠⅡ』(前出)、『みんなの日本語初級で読めるトピックⅠⅡ』牧野昭子ほか(スリーエーネットワーク)、『みんなの日本語初級やさしい作文』門脇薫(スリーエーネットワーク)等が利用されている。
【学校教育以外】
 2002年9月、日本センターが創設され、様々な日本語のコースが開講されている。主に使用されている教科書、教材としては、『みんなの日本語初級ⅠⅡ』(前出)、『文化中級日本語Ⅰ』文化外国語専門学校日本語科編(凡人社)、『表現テーマ別にほんご作文の方法』佐藤政光ほか(第三書房)、『ニューアプローチ中・上級日本語完成編』小柳昇ほか(日本語研究社)、『INTERMEDIATE KANJI BOOK Vol.1,2』加納千恵子ほか(凡人社)等がある。

●マルチメディア・コンピュータ
 多くの大学でビデオ、テープなどを用いたLL教育が積極的に行なわれている。特に外国語大学ではLL教育が充実しており、LL教室でのヒアリング、会話練習以外に、ビデオ室では教育ビデオを使用し、生きた日本語の習得に力が入れられている。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】
 初・中等学校では、大学で日本語を学習していることが最低条件となっている。この他、日本センターで行なわれている教師のための上級日本語コースに通い、教師としての資格を身につけようとしている者も少なくない。
【高等教育】
 大学では、助教授職以上は博士候補の学位を持っていることが最低基準となっている。常勤講師は、現地人の場合は5年制大学で日本語を専攻した者または修士号を取得した者となっている。しかし、教師不足から、第1外国語として大学で日本語を学習した者や4年制大学卒業者を雇用している機関もある。日本人の場合は日本で得た学士号(専攻不問)を持っていることが、一応の基準になっている。
【学校教育以外】
 日本センターで教える日本語教師は、大学の日本語専攻学科を卒業した者、または日本語能力試験2級以上の水準が要求される。筆記試験と面接を行なった上で採用を決定している。

●日本語教師養成機関(プログラム)
・カザフ外国語大学東洋言語学部
 2年生と4年生の時に「外国語教授法」の授業が行なわれており、3、4年次には「教鞭実習」がある。
・カザフ民族大学東洋学部
 2年生と4年生の時に「日本語教授法」、最終学年では「教鞭実習」がある。
・日本センター
 現地の日本語教師、特に教授歴3〜4年の経験の浅い教師を対象とした日本語教師コースがある。
・国際交流基金のプログラム
 「日本語教師研修(短期・長期)」などの日本語教師を対象としたものがある。

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 高等教育機関では、最も日本語学習者が多いカザフ民族大学とカザフ外国語大学にそれぞれ1名ずつ日本人教師がいるだけで、全般的に日本語教師は不足しており、残り3つの大学は現地人教師のみで成り立っている。日本語教育の現場において、発音や微妙なニュアンス、及び日本の歴史、文化などの事情を教授できる日本人教師の果たす役割は大きく、ネイティブ教師数の増加が望まれている。現在カザフスタンには、ボランティアによる日本人教師はいない。

●教師研修
 2001年夏に現地日本語教師を対象に「外国語教授法における現代の傾向」という夏季特別セミナーが開催され、カザフスタンの地方都市からも教師が参加した。教授法に関する経験・意見交換の他、授業のデモンストレーションも行なわれ、理論と実践の観点から総計75時間の講義が行なわれた。

現職教師研修プログラム(一覧)
 カザフスタン日本語教師会の勉強会。
 国際交流基金のプログラムのうち、訪日研修としては日本語教師研修がある。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 1998年に日本語教師の発意により「カザフスタン日本語教師会」が発足した。同会は日本語教育の発展を図ることを目的とし、日本語教育に関する情報交換の場、日本語教師相互の親睦・交流の場としての意義を有する。原則、月1回勉強会を行なっている。

2003年3月 「第5回カザフスタン日本語弁論大会」実施
2003年4月 「第7回中央アジア日本語弁論大会」(ウズベキスタン)に6名が出場
2003年10月

「第16回全CIS学生日本語弁論大会」実施

2004年3月

「第6回カザフスタン日本語弁論大会」実施

2004年4月 「第8回中央アジア日本語弁論大会」のホスト国を務める
2004年10月 「第17回全CIS学生日本語弁論大会」に2名が出場
2005年3月 「第7回カザフスタン日本語弁論大会」実施
2005年5月 「第9回中央アジア日本語弁論大会」(キルギス)に6名が出場
2005年10月 「第18回全CIS学生日本語弁論大会」に2名が出場
2006年3月 「第7回カザフスタン日本語弁論大会」実施
2006年4月 シンポジウム「辺境における日本語教育」実施
2006年10月 「第19回全CIS学生日本語弁論大会」に2名が出場
2007年3月 「第8回カザフスタン日本語弁論大会」実施
2007年10月 「第20回CIS学生日本語弁論大会」に2名が出場
2008年3月 「第9回カザフスタン日本語弁論大会」実施

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
カザフスタン日本センター 1名

ジュニア専門家
カザフ民族大学 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 高等教育においては、教育省が作成する国レベルの基準(ガイドライン)が存在する。このガイドラインに従って、カザフ外国語大学、及びカザフ民族大学の2大学が、高等教育の年間プログラムを作成する。各大学は、このプログラムに準じ、年間の指導プログラムを作成する。初・中等教育においては、主に日本センターの助言に基づいてプログラムを作成する。
評価・試験
 現在のところ、カザフスタンで日本語学習者のレベルを測る共通の基準は存在しないが、各教育機関における修了試験は、教育省の「修了試験実施法令」に基づいて実施されているため、学習の到達度・レベルを測る効率的な基準とされている。同法令では、初・中教育機関、及び高等教育機関における修了試験の実施方法、科目、合否の判定基準などについて詳細に定められている。
 この他、全国的、全世界的な基準としては、日本語能力試験がある。カザフスタン国内のみの同種の試験は存在しないため、現在のところ日本語学習者のレベルを客観的に測定する基準は、日本語能力試験のみである。同試験は、日本の公的機関が実施する試験として非常に権威あるものと認識されており、日本語学習者にとって学習意欲の向上に資するものとされる。

●評価・試験の種類
・各教育機関における修了試験、各教育機関学習者を対象。
・日本語能力試験、日本語学習者全般を対象。
日本語教育略史
1991年 カザフスタン独立
1992年 日本語教育の本格的始まり
アル・ファラビ名称カザフ民族大学東洋学部中国語学科において日本語コース開設
1993年 カザフスタン共和国内閣管轄下 言語委員会設立
カザフ民族大学中国言語文学科で第二外国語選択開始
1996年 アルマティ第2学校における日本語教育の開始
1997年 「カザフスタン共和国言語法」制定
アブライハン名称カザフ国立国際関係外国語大学東洋言語学部において、第二言語選択開始
1998年 アブライハン名称カザフ国立国際関係外国語大学東洋言語学部において、主専攻コース開始
アルマティ第12、123学校、ジャンブール第45学校における日本語教育の開始
大統領令により「言語開発と機能」国家プログラム承認
カザフ民族大学にて、東洋学部極東学科設立。コース名が「日本語日本文学コース」となる。
1999年 国立ユーラシア大学にて日本語学習コース(第二外国語)設置
2000年〜 カザフ語教育の活発化
2001年 日本語能力試験実施開始
2002年 コクル学校における日本語教育の開始
カザフスタン日本人材開発センター(日本センター)創設
2003年 「2002-2003年学習期間終了試験実施」法令発布
カザフ民族大学にて、東洋学部極東学科から日本語学科が独立。学科名を「日本語学科」から「日本学科」に変更
カザフ外国語大学において外国語言語学、教育法分野の大学院コース開設
2004年 「2001-2010年にわたる言語開発と機能」国家プログラム採択
2007年 カザフ民族大学東洋学部日本学科に大学院修士課程設置

参考文献一覧
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