ホーム > 日本語教育 > 調査研究・情報提供 > 国・地域別の情報 > 日本語教育国別情報> 2009年度> 韓国

日本語教育

日本語教育> 調査研究・情報提供
日本語教育国別情報トップへ国別一覧へ
■ 2009年度
韓国

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 現代の韓国における日本語教育は1965年の日韓国交正常化を契機とするというのが一般的な見方である。
 高等教育においては、正常化に前後して大学校(日本における「大学」に相当)に日本語が専攻科目として設置され始め、1970年代以降、時代が下るに従い、大学院修士課程や大学(日本における「短期大学」に相当)の観光関連学科における日本語科目の設置、諸分野の日本研究者による学会創立等の動きを経て、今日に至っている。
 中等教育分野では、1972年に出されたパク・チョンヒ(朴正熙)大統領の指示により1973年に高等学校の教育課程(日本の「学習指導要領」に相当)が部分改定され、日本語が第2外国語科目の1つとして導入された。以来高等学校では第2外国語として日本語が教えられている。中学校においても、2001年に第2外国語の1つとして日本語教育が始まっている。

★日本語教育略史へ

【背景】
 日韓両国が、政治・経済、社会・文化等の多方面において緊密な関係を保ってきたことが、日本への関心の継続と、日本語学習者の新たな世代の登場に繋がっているものと思われる。
【特徴】
 約91万人の日本語学習人口を擁し、年齢層は小学生から一般成人までと幅広いが、近年その中心は全学習者数の約84%を占める中学生および高校生である。韓国の高等学校では第2外国語が必修となっており、日本語は第2外国語に指定されている7言語の中で最も履修者が多い。
 学習者数や学習内容に影響を与える要因は、中等教育では政府の定める教育課程および大学校・大学受験時の「修学能力試験」(国公立、私立を問わず、いずれの大学校・大学に進学する場合も受験が義務付けられている、全国統一試験)における第2外国語科目の取り扱い等、進学上の要因が大きく、高等教育・一般成人では、就職や昇進に有利になるかどうかという社会・経済的な要因が大きい状況であるが、最近では功利性を離れて日本の社会や文化に対する直接的・具体的な関心が学習動機となる傾向も見られるとの指摘がある。
 学院と呼ばれる民間の教育機関や、文化センター、あるいは公民館などによる日本語教育も盛んである。


●最新動向
教育課程の改正*1
 日本の学習指導要領に相当する韓国の「教育課程」は、現在第7次教育課程が施行されているが、2007年2月に「2007年改訂教育課程」が発表された(2007年改訂教育課程は第7次教育課程に続くものだが、「第8次」という次数は付いていない。これは、これまでの「5年ごとに改訂」から「必要な時期に改訂」に、改訂の方針が変わったことによる)。
 基本的に、中学校では2010年度から、高等学校では2012年から適用されることになっている。
 今回の改訂では、「第7次教育課程の細分類化」「文化教育の強化と再分類化」「基本語彙と意思疎通(コミュニケーション)基本表現の修正」が中心的な変更点であり、全体的にみると改訂教育課程では文化の教育を重視する傾向がある。
*1)李庸伯「韓国の2007年改訂教育課程について:外国語教育における文化を重視した改訂」『日本語教育通信On The Web』
http://www.jpf.go.jp/j/japanese/survey/tsushin/report/018.html

採用試験内容の変更*2
 2009年度から、中等教師の採用試験が「1次:択一式筆記試験、2次:面接および教案作成、模擬授業」から、「1次:択一式筆記試験、2次:論述式筆記試験、3次:面接および教案作成、模擬授業」と、3段階試験に変更された。変更にあたっては、教師採用に伴う資格基準開発等を検討するため、韓国教育課程評価院のイニシアティブの下、韓国日本学会・韓国日語日文学会・韓国日語教育学会・韓国外国語教育学会の4学会が協力学会として参加し、研究が進められた結果、2008年5月に4学会による最終報告書が同評価院に提出されている。
*2)『日本語科目の教師資格基準開発と評価領域の詳細化および授業能力評価に関する研究 公聴会資料』(韓国語、非売品、2008年5月)

研修の必修化

 2007年の関連法規等改正により、教職に就いてから3年を過ぎた教師は、3年ごとに90時間の職務研修を受講することが必須化されている。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
初等学校
 教育課程においては英語が正規科目となっており、日本語を含む他の外国語は、教育課程上の正規科目となっていない。しかし、校長裁量で日本語科目を設置したり、放課後クラブ活動のなかで日本語を教えたりしている学校がある。2008年2月現在で、全国で297校の初等学校がクラブ活動での日本語教育を行なっているというデータ*3がある。
*3)田中洋子「韓国日本語教育最新事情」『月刊日本語』第21巻2号(株式会社アルク、東京、2008年2月)14ページ。
中学校*4
 2001年度から裁量授業(校長の裁量で科目設置を決定できる授業)として始まった。ここでいう裁量授業は、上記の初等学校における校長裁量とは異なり、漢文、コンピューター、環境、生活外国語(日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語)の4科目の中から校長が設置科目を決めて実施することが教育課程で規定されているものであり、むしろ選択必修科目の1つというべきものである。
 日本語の履修学年、時間数(1〜3コマ)などは各校によって異なる。日本語の教科書は『生活日本語 こんにちは』の1種のみである。2008年度の生活外国語全体の履修者数は約40万人(全中学生の19.6%)、学校数は929校(全学校の30.2%。但し1校が複数科目を設置可能)となっている。また、上記の生活外国語教師の資格を有する教員数は、延べ1,172人であり、このうち日本語教師の資格を有する者は497名である。
*4)生徒数、学校数、教員数は、2008年度『教育統計年報』韓国教育開発院
高等学校*5
 2008年に一般系高校に在籍する生徒のうち、日本語を選択した者は、約43万人である。依拠している統計には、2005年度から実業系高校の履修者数が記載されなくなっているので、教師数から推定するしかない。一般系高校の日本語教師数が1,780名、専門系高校が727名である。一般系と専門系で教師1人当りの生徒数に変わりはないと仮定すると、専門系高校の日本語履修生徒数は推定約18万人となる。これにより、2008年度に日本語を学習する高校生は61万人程度であろう。この数は、韓国の全高校生の32.0%ということになる。第2外国語の履修は2年次からと規定されているが、履修形態は学校によって異なり、履修年次については2年次のみの例も2〜3年次の例もあり、また履修時間数についても週2コマまたは3コマと差異がある。
(なお統計上、一般系高校の中には人文系高校のほか、芸術高校、体育高校、外国語高校、科学高校が含まれる。また、専門系高校は農業高校、工業高校、産業高校、水産・海洋高校、家事・実業高校、総合高校に区分される。)
*5)生徒数、学校数、教員数は、2007年度『教育統計年報』韓国教育開発院
【高等教育】
 高等教育機関での日本語教育機関数は統計によって差があるが、国際交流基金の2006年海外日本語教育機関調査によれば、韓国内の大学校・大学・大学院のうち398の学科で日本語教育が実施されていると見られている。他方、韓国政府の統計によれば、「日本」「日本語」が学科名に含まれる大学校・大学・大学院は259機関であることから、多くの大学校・大学・大学院が日本語を学べる複数の専攻学科を持っていることや、専攻だけでなく一般教養としても日本語が広く学ばれていることが伺える。このうち、インターネットを利用した通信教育大学校(通称「サイバー大学」)が韓国には17存在するが、このうち専門課程で日本語を学習できる機関は7ヵ所である。
【学校教育以外】
 民間企業や官庁に勤務する社会人、大学生、大学院生、中高生まで、学習者層は多岐に亘っている。
 最近、民間の日本語学校において初級段階の学習者数が減少しているとの指摘もあるが、全体数が減ったというより、生涯学習センター、文化施設の付属施設、企業内研修など教育機関の裾野が広がっていると考えるほうが妥当である。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 6-3-3-4制。
 初等教育(初等学校)が6年間(7〜12歳)、中等教育のうち、中学校が3年間(13〜15歳)、高校(高等学校)が3年間(16〜18歳)。高等教育として、大学(日本における「短期大学」に相当)が2年間、大学校(日本における「大学」に相当)が4年間。
 初等学校、中学校の9年間が義務教育である。
【教育行政】
 2008年に、教育政策を統括している政府機関の名称が「教育人的資源部」から「教育科学技術部」へと変更された。教育科学技術部は全国の4年制の大学校および2年制の大学を直接管轄しており、さらに特別市・広域市・道教育庁(市道教育庁)を管轄している。市道教育庁は、地方自治団体(市庁及び道庁)とは別の独立した行政機関である。市道教育庁は当該地域の高等学校を直接管轄しており、さらに当該地域の市教育庁(ソウル特別市の場合は、ソウル区教育庁)を管轄しており、その管轄下に中学校・初等学校・幼稚園がある。
 また、学校教育の教育課程、及び大学入試の修能試験問題作成に関しては、独立行政機関である教育課程評価院が取り扱い、大学入試に関する事業は韓国大学教育協議会*6が取り扱っている。
*6)韓国教育課程評価院は、同院法に基づいて設立され、教育の質的向上を目的として教育課程と教育評価の研究開発などを行なう機関。韓国大学教育協議会は、同協議会法に基づいて設立され、大学の教育・運営に関する研究開発などを行なう機関である。


●言語事情
 公用語は韓国語。

●外国語教育
初等学校 3年次から英語が正規授業として取り入れられている。
正規授業では日本語教育は行なわれていない。→「●教育段階別の状況」参照。
中学校 第1外国語(必修):英語
第2外国語(選択):中学校裁量活動の選択科目(年間136時間)の中の自由選択科目(年間107時間)(漢文、コンピューター、環境、生活外国語)における生活外国語(年間68時間)の1つとして日本語がある。生活外国語には、日本語の他に、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語がある。
高等学校 第1外国語(必修):英語
第2外国語(必修):日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語から1科目を選択。一般高校の日本語I・IIの授業では204時間を当てることができる。日本語Iは必修選択履修科目であるが、日本語IIは必修ではない。

外国語の中での日本語の人気(第2外国語科目)
 教育段階に関わらず、日本語学習者数は他外国語(英語を除く)より多い。高等学校ではドイツ語・フランス語の学習者数の減少により、2001年と2002年にドイツ語・フランス語の一部の教師を対象に日本語研修を受けさせて日本語教育の複数専攻教師とする「高等学校日本語教師特別養成課程」が実施された。
 しかし2002年以降、中国語学習者の増加が著しい。大学によっては日本語学習者数を上回るところも多く、中等教育段階でも中国語を開講する機関が増えてきている。

大学入試での日本語の扱い
 2001年度(2000年11月に実施)から大学の修学能力試験(国公立、私立を問わず、いずれの大学に進学する場合も受験が義務付けられている、全国統一試験)の第2外国語試験で選択科目(日本語・中国語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・ロシア語・アラビア語)の1つとなっている。2009年11月の試験では、全国の33の大学校(うち首都圏が18大学校)が日本語試験の成績を評価に反映させる旨、教育人的資源部に申請した。
学習環境
●教材
 学習者と学習動機の多様化に伴い、多種多様な日本語教材が出版されている。その中で、10代後半の初級者を対象にした独学書や日本旅行のための会話集の類が、従来主流であったビジネスマンや日本語を専攻する大学生のための教材よりも数多くなっているのが近年の特徴と言える。教材は、イラストがふんだんに使われたカラー版が好まれ、既存の教材の改訂版出版に際してCD-ROM教材を追加する傾向も顕著である。日本語能力試験対策本などの試験本に加えて、日本留学試験対策の教材も目に付くようになった。教材執筆者を見ると、これまで主流であった大学教員に加え、高校教員によるものが出版されるようになってきた。

中学校 『生活日本語 こんにちは』(第7次教育課程準拠 国定教科書。1種類。)
高等学校 一般系列高校 『日本語I』(第7次教育課程準拠 検定教科書。12種類)
『日本語II』(第7次教育課程準拠 検定教科書。6種類)
外国語系列高校 『日本語読解I』『日本語読解II』『日本語会話I』『日本語会話II』『日本語作文I』『日本語作文II』『日本語聴解』『日本語文法』『日本文化』『実務日本語』(第7次教育課程準拠 検定教科書。6種類)
国際系列高校  
家事・実業系列高校
大学 各大学が独自に開発した教材を使用する傾向がある。よって、ある特定の教科書が多く使われるということはない。

●マルチメディア・コンピュータ
 大学や高等学校の教師が中心となったCD-ROM教材の開発が盛んである。中学校・高等学校の教育現場においてもこのようなマルチメディア教材が多用されている。また、インターネット上の学習サイトなども多数ある。

●電波・有線放送
 現在、放送通信大学校の授業科目として日本語の授業が放映されている。また、EBS(教育放送)ではラジオ日本語講座番組を放送している。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】
初等学校
 外国語科目は履修科目となっていないため、日本語教師としての資格は設けられていない。日本語教師の採用は当該校の裁量となっている。
中学/高等学校
 (1)「2級正教師資格証」を有していること。
 以下のいずれかを修めると、「2級正教師資格証」が取得できる。
  師範大学: 日本語教育科主専攻
  その他の大学: 日本語学が主専攻で、教育学が副専攻 または、教育学が主専攻で、日本語学が副専攻。
ただし、大学校に副専攻制度がない場合は、日本語学主専攻の者が資格を得るためには教育大学院(修士、2年半)を修了しなければならない。
(ここで言う「大学」は、日本で言う「学部」のこと。)
 (2)以下のいずれかの試験に合格していること。
  私立高校の場合: 各校が実施する教師採用試験
  国公立高校の場合: 毎年12月に国が実施する任用試験(国家試験)。採用・異動は基本的に市道単位で行なわれる。中学校教師と高校教師は「中等日本語教師」という1つの採用枠として募集され、試験合格後に配属先が中学校と高等学校に振り分けられる。その後の人事異動で中学校から高校に、またその逆の異動も行なわれる。
 
【高等教育】
 日本語学や日本文学を含む日本学専攻者が日本語教育に従事しており、日本語教育学専攻者はむしろ少数である。教育機関の間に共通の資格があるわけではないが、新たに専任講師として採用されるには、最低でも修士、一般には博士学位を必要とする。

【学校教育以外】
 共通の資格はないが、多くの機関が、日本学関連学科の大学校卒業、養成講座420時間修了、日本語教育能力検定合格などを条件に挙げているようである。

●日本語教師養成機関(プログラム)
 大学の主専攻コース(師範大学日本語教育学科、文科大学日語日文学科など)
 教育大学院(夜間大学院で修士のみ。全32校)

●日本語ネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
高等学校
 日本語ネイティブ教師を雇用し「日本語会話」「日本語作文」等を担当させている例が外国語高校に見られる。全羅南道や大邱広域市では、市道教育庁が複数の日本語ネイティブ教師を期間制で雇用し、複数学校を巡回させる形式で授業を担当させている。また、特技適性(希望者から受講料を徴収して開講する放課後の学習時間)の時間に教えている非常勤日本語ネイティブ教師の例も見られる。

大学
 多くの大学で日本語ネイティブ教師が雇用されており、2〜3年の短期契約が一般的。大半の教師が「日本語会話」等の授業を担当。

 公教育での外国人日本語教師(主に日本人・在日韓国人)の資格制度は設けられていないが、民間や中等教育の機関では
・ 四年制大学卒業
・ 日本語教育専攻、または副専攻
・ 養成講座420時間修了
・ 日本語教育能力検定合格
を条件に挙げる機関が多く、高等教育機関では、修士課程以上の学位取得が条件であるケースが多い。

●教師研修
 教師を対象とした研修は以下のように分類される。
資格研修
 教師の昇進・昇給に影響する教師の等級を上げるための研修(2級正教師→1級正教師)と、本来の専攻科目ではない科目も教えられるようにする研修(副専攻免許)がある。
職務研修
 研修を主催する機関が、機関が所在する地区の教育庁の認定を受けて実施する研修。修了者には、15時間につき1学点が与えられる。
自律研修
 教育庁等の認定を受けずに行なわれている研修。学点は与えられない。

現職教師研修プログラム(一覧)
 現在、実施されている資格研修と職務研修は、以下の通り。
1. 日本語教師1級正教師研修
 各市道教育庁が実施する研修で、3年以上在職した教師に受講機会が与えられる研修(180時間: 30日以上)。同研修の修了者は「1級正教師資格証」を取得し、その資格は昇進・昇給に影響する。各地域の教員を対象とし、管轄教育庁より委託された高等教育機関及び研修機関が実施。ともに資格研修。
2. 副専攻科目研修
 各市道教育庁が実施し、本来の専攻以外の科目(日本語)を教えるために受講すべき研修(全450時間以上)。3年以上の教育歴を有する正規教師が受講可。資格研修。
3. 韓国日語教育学会教員研修会
 職務研修(毎年12月)。
4. ソウル日本語教育研究会主催研修
 職務研修(毎年8月)、自律研修(毎年1月)
5. 教育庁主催研修
 不定期で開催。教授法もしくは日本語能力中心。職務研修。
6. 国際交流基金ソウル日本文化センター研修
 中等日本語教師集中研修:年2回(8月、1月)、職務研修。
7. 在釜山日本総領事館・釜山韓日文化交流協会・国際交流基金ソウル日本文化センター研修(三者共催)
(1)日本語運用能力向上研修:年2回(4-6月、10-12月)。各回とも3コース。職務研修。
(2)中等日本語教師集中研修: 年2回(8月、1月)。国際交流基金ソウル日本文化センター集中研修の釜山版。職務研修。

また、訪日研修として例えば以下のものがある。
1. 国際交流基金日本語国際センター 韓国中等日本語教師訪日研修
 中等日本語教師研修。毎年7-8月(1ヶ月間)/中学校及び高校日本語教師(56名)。
2. 京畿道外国語教育研修院/筑波大学留学生センター 職務研修
 中等日本語教師研修。毎年1-2月(1ヶ月間)/中学校及び高校日本語教師(12名)。前年9−10月の1ヶ月間に43名の国内研修を行ない、被選抜者が筑波大学留学生センターでの訪日研修に参加。
3. 慶尚南道教育庁 職務研修
 中等日本語教師研修。毎年7-8月(1ヶ月)/山口県教育委員会との交流に基づく訪日研修であり、国際交流基金関西国際センターが2008年より受託して日本語教授法の研修を実施。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 韓国には多くの人文科学系の日本関連学会が存在するが、日本文学と日本語学の両方を主流とするものが大半であり、日本語教育を含む言語教育を主たる学究対象とした学会は多くない。
 長い歴史を有する全国規模の学会としては、1970年代に発足した「韓国日語日文学会」及び「韓国日本学会」が挙げられる。年2回開催される両学会の学術発表大会には、全国から多くの日本語学、日本文学、日本語教育を専攻する大学教員が参加している。2002年12月には、5つの学会が連合した「韓国日本学連合会」が発足し、2003年7月には「韓国日本学連合会第1回国際学術大会」が開催されている。一方で、各地域の拠点大学を核とした学会や専門分野に特化した学会による独自の活動も行なわれている。
 また、研究会(主に中等教員を中心に構成。現在16研究会)は、1990年代に各道・市単位で次々と発足し、研究会によって活動内容は異なるが、主に教員研修、教材開発、高校生の日本語能力判定試験の開発実施などを行なっている。2003年2月には、全国16の研究会が連合した「韓国日本語教育研究会」が発足、毎年2月には各地域の研究会の役員が一堂に会したワークショップの実施、8月には各地域の研究会の代表による「韓国日本語教育研究会授業研究発表大会」の開催がなされている。
 最近では、多くの学会、研究会がウェブサイトを有しているが、ウェブサイト上で教材開発、教材提供を中心に行なっている教師グループも存在している。

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ソウル日本文化センター 2名(内1名は嶺南地域担当)

ジュニア専門家
ソウル日本文化センター 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ

●その他からの派遣
 文部科学省REXプログラム(外国教育施設日本語指導教員派遣事業、Regional and Educational Exchanges for Mutual Understanding):
 1999、2001、2003年度に慶尚北道に各1名派遣、2005、2007に慶尚南道に各1名派遣されており、2009年度も慶尚南道に1名の派遣が予定されている。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 教育課程には、初・中等教育段階の教育目的や教育目標を達成するための国家水準、および初・中等教育段階で編成・運営すべき学校教育課程の一般的な共通基準が示されている。
 一般系や実業系高校においては、1973年の第2次教育課程より日本語科独自の教育課程が設けられるようになった。ただし、第6次教育課程までは、内容は中学校英語科の教育課程の構成に従ってのものであった。現在の第7次教育課程は1997年12月に公布され、日本語の内容的特徴を生かした日本語科独自の教育課程が開発されている。中学校では2001年から施行され、裁量選択科目として正規の科目に加わり、生活外国語科目として教育課程が設けられている。高校では2002年から施行されている。また、第7次教育課程より高校における第2外国語(日本語、中国語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語)は、2年次から履修することと生徒の希望言語を尊重した開講を規定している。
 なお、次期教育課程が2007年に告示された。(「日本語教育の実施状況・最新動向」を参照)

★シラバス・ガイドライン一覧へ

「中学校裁量活動の選択科目教育課程」
1997年12月20日公布/教育部(現教育人的資源部)/対象:中学生
「外国語科教育課程II」
1997年12月20日公布/教育部(現教育人的資源部)/対象:高校生
評価・試験
 国際交流基金が実施する日本語能力試験、独立行政法人日本学生支援機構が実施する日本留学試験のほかに、民間の出版社等が行なう日本語能力判定試験が複数ある。また、日本語は、大学受験のための「修学能力試験」における第2外国語の選択受験科目の1つでもある。(→修学能力試験については、「教育制度と外国語教育」参照。)

●評価・試験の種類
1. JPT(Japanese Proficiency Test)
 聴解試験および読解試験(日本語能力試験とは異なり、全受験者が同一の問題を受験)。主催団体によると、JPTの問題構成は、日本語能力試験1級に相当する難易度の問題が19%、2級レベルが28%、3級レベルが30%、4級レベルが23%となっている。主催団体:YBM/SISA
実施回数:年12回(日本で10回、中国で6回同時実施)
実施都市:ソウル、釜山、大邱、大田、光州を含め、30箇所実施。(このほか日本国内で、東京:2009年 10回・大阪:2009年 3回実施)
受験料:38,000ウォン
URL:http://exam.ybmsisa.com/jpt/japan/japan01_1.asp
対象:限定せず。
2. SJPT(Spoken Japanese Proficiency Test )
主催団体:YBM/SISA
実施回数:年12回(2007年3月4日第1回目実施)
実施都市(テスティング・センター数):ソウル(3)、釜山(1)、大邱(1)、大田(1)、光州(1)、水原(5)、仁川(1)、天安(2)、清州(1)、済州(1)のあわせて10都市、17箇所実施。
受験料:55,000ウォン
URL:http://exam.ybmsisa.com/sjpt/abo_profile.asp
対象:限定せず。
3. FLEX(Foreigner Language Examination) ※2005年より実施
主催団体:韓国外国語大学FLEXセンター
実施回数:年4回(2009年度 3,5,8,11月)
実施都市:ソウル・大田・光州・大邱・釜山
受験料: 聴解・読解 30,000ウォン
  作文 40,000ウォン
  口頭 50,000ウォン
URL:http://flex.hufs.ac.kr/
対象:限定せず。
4. JTRA(Japanese Test Research Adviser)
 聴解試験および読解試験。総合点により、1級(830点以上)、2級(650点以上)、3級(460点以上)、4級(320点以上)となる。
主催団体:国際外国語評価院
実施回数:定期試験(年1回―11月)。随時試験(企業別・団体別・大学別―各30名以上)。模擬試験(30名以上)。
実施都市:特定の地域・機関を問わない。
受験料:会員22,000ウォン(受験2回目以降)/非会員24,000ウォン(初受験)
URL :http://www.jtra.co.kr/html/index.html
対象: 限定せず。
5. NIKKEN
 実際の生活の中でのコミュニケーション能力の測定・評価を目的とする。点数制(1,000点満点)である。
主催団体:(株)時事日本語社
実施回数:定期試験(年2回)、随時試験(企業別・団体別)、模擬試験。
実施都市:ソウル、釜山、大邱、大田、光州、済州
受験料:定期試験:30,000ウォン、随時試験:20,000(40名以上)、25,000(40名以下)
対象: 限定せず。(但し、随時試験は受験者20名以上の場合のみ可能)
6. NIKKEN-JST Japanese Speaking Test
 NIKKEN500点以上の人なら誰もが受験できる。ただし、毎回50名以上の受付者を実施の基本条件とする。
主催団体:(株)時事日本語社
実施回数:随時試験(企業別・団体別)。模擬試験。
実施都市:必要に応じての出張制
受験料:会員100,000ウォン OPI専門家派遣
対象: 限定せず。
日本語教育略史
1960年代
1961年 韓国外国語大学校に日本語科開設
1962年 国際大学校(現在の西京大学校)日本語科開設
1963年 第2次教育課程公布(〜1974)高校での第2外国語(英語・ドイツ語・フランス語・中国語)履修開始
1968年 在釜山日本国総領事館に日本語講座開設
1970年代
1972年 2年制大学への観光科設置を機に、日本語関連専攻学科の開設に弾み
韓国外国語大学校大学院に日本語科開設
1973年 韓国日本学会 創立
国立慶尚大学校師範大学(教育学部)に日本語教育科開設
第2次教育課程の第2次部分改定 高校の第2外国語科目が必修化、5言語(ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・日本語)から選択となる
1974年 第3次教育課程公布及び施行(〜1981)
1975年 ソウル大学校等が入試本考査から日本語を除外の意志表明
1976年 「大学入学予備考査(1968〜1980)」の外国語選択科目に日本語が加わる。
1977年 在韓日本国大使館公報文化院に日本語講座開設
1978年 韓国日語日文学会 創立
1979年 国立慶尚大学校教育大学院に日本語専攻開設
1980年代
1981年 「大学入学学力考査(1981〜1993)」(「大学入学予備考査」改め)への一本化、大学別の本考査の廃止
テレビ日本語講座(KBS3)放送開始
第4次教育課程公布
1983年 全国高校日本語教師を対象とする「1級正教師」資格研修開始(国立慶尚大学校)
1984年 第4次教育課程施行(〜1987)
1986年 大学入試において第1外国語(英語)と第2外国語が分離
第2外国語科目(ドイツ語・フランス語・スペイン語・中国語・日本語)のなかで日本語の学習者数が第1位となる
1987年 教育改革により、第2外国語科目か実業科目(農、工、商、水産、家庭)のいずれかを選択する方式に変更
1988年 第5次教育課程公布(〜1995)
教育改革の修正、第2外国語と実業科目を異なる選択群に戻す
1990年代
1990年 第5次教育課程施行
1992年 第6次教育課程公布
ソウル大学校等が入試本考査の第2外国語から日本語のみ除外を発表
1994年 「大学修学能力試験(1994〜現在)」(「大学入学学力考査」改め)で第2外国語科目を除外
1996年 第6次教育課程施行(〜1995)
1997年 第7次教育課程公布(〜現在)
ラジオ日本語講座(EBS)放送開始
1998年 「2001年度大学修学能力試験」より第2外国語科目(日本語を含む)を選択科目として採用する旨発表
2000年代
2000年 「2001年度大学修学能力試験」(大学入試)の実施
「高等学校日本語教師特別養成課程」の設置(2001〜2002年の2ヵ年間)
2002年 第7次教育課程施行(〜現在)
中学校の選択科目に日本語を含む第2外国語が編入
「大学修学能力試験」に第2外国語が選択科目として導入される
韓国日本学連合会(5つの日本関連学会の連合)の発足
2003年 韓国日本語教育研究会(中等日本語教師会の全国連合)の設立
「第1回全国連合学力評価」(大学修学能力試験の模試。高校2年生対象)の実施
2007年 次期教育課程告示
2008年 李明博大統領就任後の行政機構改編により、教育人的資源部が教育科学技術部に

参考文献一覧
★参考文献検索ページへ

国別一覧へ




このページの先頭へもどる