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■ 2009年度
ラトビア

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 ラトビアにおける日本語教育は、日本語通訳・翻訳者であるエドガルス・カッタイ氏が、1987年に日本語コースを開始したことに始まる。同コースは、国立ラトビア大学外国語学部の講義室を借りて、夜間に学習を希望する社会人および学生を対象としていたが、現在も社会人を対象として地道に続けられている。その後、同コースに在籍した日本愛好家の一人であるブリギッタ・クルーミニャ女史が、1991年に日本語夜間塾を独自に開塾した。同塾は主に子どもを対象としていたが、なかには学生、社会人も見られた。同塾は1993年9月からリガ市の公立の全日制日本語文化学校に昇格した。2001年9月より、日本語文化学校はリガ市の学校再編のため統廃合となり、リガ文化学校と名称変更した。
 1997年には、ラトビア大学外国語学部東洋学科に日本語コースが設置され、日本語文化学校の卒業生のための進学の受け皿となった。しかし、同コースは1999年9月より日本学プログラム(The Bachelor Program of Japanese Studies)と改名され、2000年8月から同大学の外国語学部は現代言語学部に、2006年から東洋学科はアジア学科に名称が変更された。
 1999年、クルーミニャ女史は日本語文化学校を脱退し、新たに私立の日本語塾「言語」を設立。
 2004年、ラトビア文化アカデミー附属ノルディックセンターに日本語講座が新設された。

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【背景】
 小国ゆえ、外国語習得の必要性は万人が認めており、更に親日感情の強い国であるため、子供に日本語を学ばせたいと考える親が多い。
 ラトビアにおける日本語学習熱は、主にラトビア人による俳句集の翻訳(1980年代のラトビアでの発刊本)が火付け役となっている。ラトビア国民の間では、日本の伝統武道(空手、合気道、柔道等)が人気である。一般的には日本の高水準の技術や伝統文化といった対日イメージが、親日感情を確固としたものにしている。
【特徴】
 日本語は特殊語として扱われ、他の外国語(特に英語、フランス語、ドイツ語)と比較すると学習者の数は多いとは言えないが、年々希望者が増えている。学生のみならず一般市民の間でも日本語学習に対する関心が高い。
 学習動機としては、日本の文化・伝統への関心、日本語そのものへの語学的興味などであるが、最近はアニメ・マンガなどの日本のポップカルチャーへの関心から日本語を学習し始める人が増えてきている。
 問題点としては、英語のように日常的に使用できる環境になく、日系企業の進出がないため、日本語を使った就職先を見つけるのは難しく、習得した日本語を活かすことのできる場が非常に限られているということである。また、日本語能力試験がラトビアで受験できないため、学習到達度を把握することが難しい。

●最新動向
 ラトビアにおける日本語学習者数は着実に増加しており、また学習目的も多様化している。2002年より毎年1回開催されている、ラトビア日本語弁論大会が恒例化し、日本語学習者の日頃の学習成果の発表の場となっている。
 2009年6月現在の、日本語教育機関数及び各機関の教師数は、初等・中等教育1(リガ文化学校:教師数1)、高等教育1(ラトビア国立大学:教師数3)、学校教育以外3(日本語塾「言語」:教師数2、ノルディックセンター:教師数2)となっている。
 現在のラトビアにおける日本語教育を巡る問題点は、ネイティブの教師が極めて少ないことと言える。2009年度現在、ラトビア大学及びリガ文化学校において、それぞれ1名ずつの日本人教師が教授しているが、前者は、2009年6月末をもって帰国する予定である。また、後者については、通常の生活が可能な給与を得てはおらず、今般、平成21年度国際交流基金日本語関連助成事業の枠組で、同講師に対する現地講師謝金の助成が決定した。リガ文化学校では日本語教師は同講師1名のみであり、何らかの理由で、同講師が退職する場合、リガ市に日本人教師は一人もいなくなり、日本語教育はストップせざるを得ない状況にある。(私塾「言語」及びノルディックセンターでは、いずれも外国人教師が教授している。)


●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 ラトビアには、教育科学省で定めた正規の科目の他に選択科目を特別に教えている公立学校がいくつかある。その選択科目として唯一日本語を教えているのがリガ文化学校である。そこでは5年生から第2外国語として日本語が教えられている(3-4時間/週)。日本語のクラスの生徒数は学年ごとに9名から17名と異なるが平均して約12、13名である。学校は1年から12年まである。日本語熱の高さは、漠然とした日本への関心が親の世代のみならず子供の間にも潜在することの現れである。
【高等教育】
 1997年には、ラトビア大学に日本語学科が開設されたが、1999年には日本学コースに再編された。学生数は53名(2009年5月現在)。日系企業の進出がないため、日本語を使う仕事に就くのは難しいが、それにもかかわらず入学希望者は多い。同学科の入試科目に日本語はない。日本の文部科学省、大学間のプログラム等で、毎年数名の学生が日本に留学している。早稲田大学、関西外国語大学、筑波大学及び山形大学との間において、大学間協定を結んでいる。
【学校教育以外】
 リガ市では一般向けの日本語講座が3ヶ所ある。1987年にカッタイ氏が開始して以来ラトビア日本友好協会が行なっている一般成人向け日本語コース(週1回、6、7名)と、1999年の秋に開設された私立の日本語塾「言語」(週3、4回、各クラス合計約20名)の日本語・文化コース、ラトビア文化アカデミー(国立大学)附属ノルディックセンターの日本語講座(週2回、各クラス合計13名(2009年5月現在))である。また、個人教師などについて、個人的に日本語を学習している人はかなりいると思われるが、正確な人数は把握できない。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 4-5-3制。
 小学校が4年間(7〜11歳)、前期中等教育機関が5年間(11〜16歳)、後期中等教育機関が3年間(16〜18歳)。高等教育機関は、大学(4年間)、カレッジ、アカデミー、技術短期大学(2〜4年)、職業専門学校(2〜3年間)など。
 義務教育は小学校、前期中等教育の9年間。
【教育行政】
 初等、中等、高等教育機関のほとんどが教育科学省の管轄下にある。

●言語事情
 国家語はラトビア語。
 他方、総人口の約41%の比重を占めている他民族の永住者(ロシア人、ベラルーシ人、ウクライナ人等)の間では、ロシア語が使用されており、国民全体に占めるロシア語を解する人々の割合は非常に高い。 法律上、ラトビア語が唯一の国家語となっているが、歴史の経緯もあり、大多数のラトビア人は、ロシア語を解するため、総括的にはラトビア語とロシア語の2言語併用の状況にある。

●外国語教育
 一般的には3年生で開始され、第1外国語は原則として英語(必修)。
 6年生で第2外国語をロシア語、ドイツ語、フランス語等の欧州言語から選択するのが一般的。
 ただし、外国語教育に重点を置く傾向がある学校では、小学1年より外国語教育が開始されている。こうした学校は、英語、フランス語、ドイツ語、ウクライナ語、北欧諸国語等をそれぞれ専門とし、第1外国語としてそれらの言語が教えられている。
学習環境
教材
【初等・中等教育】

 主教材は5-9年生は『JAPANESE FOR YOUNG PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)『JAPANESE FOR EVERYONE』名柄迪ほか(学習研究社)を使用。
【高等教育】
 初級のコースでは、『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『BASIC KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)及び『初級日本語 げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、中級以降では、『教師と学習者のための日本語文型辞典』グループ・ジャマシイ(くろしお出版)に、教師が独自に作ったものを併用している。その他、新聞など様々な教材を使用している。また、副教材として『エリンが挑戦!にほんごできます。』を使用している。
【学校教育以外】
 主に、教師が独自に開発した教材を使用している。

●マルチメディア・コンピューター
 初等・中等教育機関は、コンピューターを中心とした、双方向利用・加工が可能な情報を利用した学習環境にはない。
 大学においては、学習者個別では自主学習者用のサイトを使って読解するなど、課題を出すことがある。また、インターネット上のサイトで参考になると思われるものを紹介したりすることもある。さらに、パワーポイントなどを作成して課題発表などが行われている。ただし、授業で使用するコンピューター教室のPCは、学部間で共有しており、日本語での入力が出来ない。そのため、専ら、ネットによる情報収集や読解のための使用に限定されている。(2003年、日本政府により、文化無償の枠組で設置されたコンピューター教室は、必要数の学生を収容出来ず、現状では、日本語教育には全く使用されていない。)
 CDとDVDの利用については、教材の付録としてのCDを使用した聞き取り、DVDは『エリンが挑戦! にほんごできます。』を副教材として必要とする場合に、適宜使用している。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】
 特に日本語教師としての資格要件はないが、ラトビアの教員資格に準じて、大学で教員養成課程を履修していることが条件である。
【高等教育】
 修士号(取得場所は日本、専門は日本語が望ましい)が条件として求められている。日本人の場合には、大学又は専門学校にて日本語教育を学んだ人が日本語教師となって来ている。
【学校教育以外】
 特に日本語教師としての資格要件はない。

●教師研修
 国内には、特に現職日本語教師のための研修制度はない。
 訪日研修としては、国際交流基金の日本語教師研修。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 2003年3月、ラトビア日本語教師会が発足した。

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
 国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1987年 国立ラトビア大学外国語学部の講義室にて夜間、社会人および学生を対象にエドガルス・カッタイ氏が日本語コース開設
1991年 ブリギッタ・クルーミニャ女史が子どもを対象に日本語夜間塾を独自に開塾
1993年 クルーミニャ氏による夜間塾がリガ市の公立の全日制日本語文化学校に昇格
1997年 ラトビア大学外国語学部東洋学科に日本語コース設置
1999年 同日本語コースは日本学プログラム(The Bachelor Program of Japanese Studies)と改名
ブリギッタ・クルーミニャ女史が日本語塾「言語」を設立
ラトビア文化アカデミー(国立大学)附属ノルディックセンターの日本語講座開設
2000年 ラトビア大学外国語学部が現代言語学部に改称
ブリギッダ・クルーミニャ女史によるラトビア語・日本語辞典刊行
2001年 日本語文化学校がリガ市の学校再編のため統廃合となり、リガ文化学校と名称変更
2002年 ラトビア日本語弁論大会の実施を開始
2004年 ラトビア文化アカデミー附属ノルディックセンターに日本語講座新設
2006年 ラトビア大学現代言語学部東洋学科がアジア学科に改称
ブリギッタ・クルーミニャ女史による和良学習漢字辞典を発行
参考文献一覧
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