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日本語教育

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■ 2009年度
ルーマニア

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況

●全体的状況
【沿革】
 1970年代にブカレスト人民大学に市民対象の日本語講座が開設され、1978年より、ブカレスト大学外国語学部に国際交流基金から日本語教育専門家が派遣されるようになった。1989年の「革命」までは、この2校以外での日本語教育はほとんど行なわれていなかった。
 「革命」以降は、ブカレストの私立大学3校(スピルハレット、ヒペリオン、ディミトリエ・カンテミール)、クルージュの国立バベシュ・ボヤイ大学、中等教育機関であるイオン・クレアンガ高校で日本語教育が始まった。また、日ル交流団体(ブラショフ武蔵野交流協会、トゥルグ・ムレシュ「至道」協会)、児童の課外活動を実施する「子供宮殿」(ヤシ、シビウ、トゥルグ・ジウ)等、学校教育以外での日本語教育も盛んになった。
 これらの機関の幾つかには、1997年より青年海外協力隊(以下JOCV)の日本語教師が派遣されていたが、2009年1月に完全撤退した。2000年初頭には、これら隊員による日本語教師会も発足した。2005年11月、ルーマニア人教師と日本からの派遣者が会員となるルーマニア日本語教師会が正式に立ち上がり、2007年11月には同教師会は法人化した。同教師会の主な活動は、日本語弁論大会及び日本語教育・日本語学シンポジウムの運営、近隣諸国での研修会参加等であり、専門家との積極的関与により日本語教師の研修、レベルアップに努めている。JOCV隊員の派遣は終了したが、一方で2009年からは外務省の「日本文化発信プログラム」が始動し、6名のボランティアが活動を開始した。
 2005年度より学制が変わり、4年制の学部が3年制になった。学部3年、修士2年の連続性のあるカリキュラムが模索されているが、現時点では学部が1年減ってしまうことでカリキュラムの大幅な改訂が求められているのも事実である。
 ブカレスト大学ではルーマニア初の日本関係の研究ができる修士課程が設置された。学制の変更により、2008年は最後の4年制の卒業生と最初の3年制の卒業生とが同時に卒業する年となった。
 ルーマニアでは学習者の増加に伴って、日本語能力試験受験希望者も増加したことから、2000年より日本語能力試験の模擬テストが行なわれ始め、2003年には約230名の申し込みがあったほか、本試験の際には周辺国に受験しに行く者も多かった。それを受け2004年第1回日本語能力試験がブカレストで開催されてからコンスタントに約300名が受験しており、5回目となる2008年度もルーマニア・アメリカ大学で実施され、応募者は374名、受験者は340名だった。

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【背景】
 1989年「革命」以降、日本に関する情報や物品が多く流入したことに伴い、国民の間に潜在的にあった日本への関心が大きくなった。また、二国間の文化交流を促進する友好団体の活動、日ル友好都市間(例:ブラショフ市と武蔵野市)交流などを通じ、草の根レベルでの二国間交流が発展したことも、日本語教育人口を増やす要因となっている。
【特徴】
 学習者規模は年々大きくなっており、現在は1,700名を越えている。これまでは高等教育で学習を始める者が多かったが、初等・中等教育や学校教育以外での学習者が増え、学習者層が厚くなりつつある。民間放送局で放送されている日本アニメやマンガが、日本語に関心を持つきかっけとなる例が多い。


●最新動向
 クルージュのバベシュ・ボヤイ大学の日本語セクションが主専攻となり、これで日本語を主専攻とする大学はブカレスト大学と合わせて2校となった。
 JICAが撤退した子供宮殿で設立された非営利協会「ひまわり」が、日本語学習の場を維持しようと努めると共に、ヤシにおける日本文化の普及にも尽力している。「ひまわり」の運営者が中心となり、近隣の大学(アレクサンドル・イオンクーザ大学)で選択科目としての日本語を開講させるなど、その活動幅は広い。その他、日本文化芸術センターのような、日本・ルーマニア両国に関わる人々の間で日本関連の組織が作られており、日本語や日本文化に触れることができる機関が増えてきている。
 2009年2月より、外務省による「日本文化発信ボランティアプログラム」が始動し、6名のボランティアが派遣された。JICA撤退後、母語話者教師の不在が大きな問題とされていたが、このプログラムによって再び母語話者教師がルーマニア各地に配置されたため、現地教師は大きな期待を寄せている。


●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 近年、初等・中等教育において、異文化理解を目的とする日本語講座を設ける教育機関が出てきた。この多くは、選択科目として、週に1度か2度の授業を行なっている。(専攻科目として力を入れている高校は1校)。
【高等教育】
 日本語を主専攻としている大学が2校(ブカレスト大学とバベシュ・ボヤイ大学)、日本語を副専攻としている大学が3校(ヒペリオン大学、スピルハレット大学、ディミトリエ・カンテミール大学)、日本語が選択科目として単位が取得できる大学が4校(ブカレスト工科大学、経済大学、ルーマニア・アメリカ大学、アレキサンドル・イオンクーザ大学)あるほか、ルーマニア・アメリカ大学、ティミショアラ西大学では大学所属の学生だけでなく、一般講座も実施している。
 文部科学省奨学金のほか、大学間の交換留学制度(ブカレスト大学と学習院女子大学、奈良教育大学、大阪大学(統合前は大阪外国語大学)、ヒペリオン大学と弘前大学、バベシュ・ボヤイ大学と神戸大学)などがある。
【学校教育以外】
 社会人や子供を対象にした市民講座および課外活動がブカレスト、ブラショフにある。ブラショフでは姉妹都市である武蔵野市の協力で、日本人が常駐し、日本語や日本文化について学べる武蔵野センターがあり、活発に活動している。これら機関からの日本語弁論大会出場者もいる。

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
  8-2-3制。
 現在義務教育は、小中学校8年間と高等学校最初の2年間の10年制。
 大学は学部4年制が2008年度より3年制になり、カリキュラムの大幅な改訂が求められている。
【教育行政】
 初等、中等、高等教育機関は教育・研究・青年省の管轄下にある。

言語事情
 公用語はルーマニア語。
 トランシルバニア地方のハンガリー人コミュニティでは、ハンガリー語が話されている。

外国語教育
 第1外国語開始時期は小学校1年生。
 第1、第2外国語として教えられる言語は主に英語、フランス語であるが、その他ドイツ語、イタリア語、スペイン語、日本語を教える機関もある。また、初等、中等教育で少数言語(ハンガリー語、ドイツ語、ウクライナ語、セルビア語、チェコ語、クロアチア語、トルコ語等)による教育を行なう機関もある。

大学入試での日本語の扱い
 大学の入学資格検定に必要なバカロレア(高校卒業試験)では、1999年度から日本語を選択することができるようになった。

学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 中等教育段階では『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)を使っている機関もあるが、ほとんどの場合は市販の教科書ではなく、教師が作成したものを使っている。
【高等教育】
 日本で出版されたものを教科書にしている場合が多い。よく使われているものとしては『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)、『みんなの日本語』(前出)、『BASIC KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)などがある。
 2008年から学部3年制、修士課程を含め5年制に移行したが、カリキュラムの大幅な改革には至っていない。ブカレスト大学では、学部においては『日本語初歩』(前出)に続き、『中級へ行こう』平井悦子ほか(スリーエーネットワーク)、『中級を学ぼう』平井悦子ほか(スリーエーネットワーク)を使用する方向で調整している。(学部と修士課程を橋渡しするための、5年間のカリキュラムへの大幅な改訂が求められている。)また、修士の1,2年は、教室などの事情から合同で授業が行われるため、2年間で連続性かつ発展性のあるカリキュラムを作成することは難しい。教材開発については、これまで作成した自作教材をまとめてテキスト化しようという動きがあり、編集作業が進んでいる。2008年の出版は叶わず、現在2009年の秋の試用を目指している。
【学校教育以外】
 『にほんごかんたん』坂起世ほか(研究社)、『日本語初歩』(前出)、『みんなの日本語』(前出)、『新日本語の基礎』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)など。その他、ルーマニアで作成された教材としてアンジェラ・ホンドル著『日本語入門』、『日本語会話』、ラルカ・ニコラエ著『常用漢字』がある。

教師
●資格要件
 日本語教師としての資格要件は特に定められていないが、実際には言語学(日本語専攻)の学士号、修士号の取得者。

教師研修
 現職の日本語教師対象の研修(国内)はない。
ルーマニア日本語教師会が定期的に現地人教師を対象に日本語セミナーを行なっている。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 2005年11月、正式にルーマニア日本語教師会が発足し、現在約20名が会員となっている。教師会の活動としては勉強会、シンポジウム、日本語弁論大会開催等の活動を行なっている。

★教師会・学会一覧へ
日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ブカレスト大学 1名

日本語教育指導助手
ブカレスト大学 1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ


●その他からの派遣
外務省 日本文化発信ボランティアプログラム  6名

★JICAのページへ

学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1970年代 ブカレスト人民大学にて市民対象の日本語講座開設
1978年 ブカレスト大学外国語学部に国際交流基金より日本語教育専門家派遣開始
1997年 青年海外協力隊の日本語教師派遣開始
イオン・クレアンガ高校にて日本語教育開始
1998年 私立スピルハレット大学、国立バベシュ・ボヤイ大学にて日本語教育開始
1999年 ヒペリオン大学にて日本語教育開始
バカロレアで日本語が選択できるようになった
2000年 日本語教師会発足、ディミトリエ・カンテミール大学にて日本語教育開始
2004年 第1回日本語能力試験がブカレストにて実施
2005年 ルーマニア日本語教師会発足
2007年 ルーマニア日本語教師会法人化
2008年 バベシュ・ボヤイ大学の日本語セクションが主専攻化
アレキサンドル・イオンクーザ大学で選択科目としての日本語クラス開講
2009年2月 外務省による「日本文化発信ボランティアプログラム」が始動。6名のボランティアが派遣される。

参考文献一覧
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