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日本語教育

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■ 2009年度
スウェーデン

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】

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【背景】
 以前は東洋文化といえば中国、インド、アラビアの文化に代表されていたが、1970年代から、日本の経済成長とも関連して、日本文化(文学、禅仏教、舞踊、文楽、能、歌舞伎、雅楽、アニメ、マンガ、武道、茶道、生け花、書道、折り紙、食文化など)が広まり、日本語への関心が高まってきた。また、国際結婚により日本人と親戚関係をもつ者、旅行、留学、インターネットなどを通して日本人と友人関係をもつ者が増えてきたことも、日本語への関心を高める要因の一つとなっている。
【特徴】
 日本語教育は中学校、高等学校、大学、生涯教育機関などにおいて、いろいろな形で行なわれてきたが、近年一層充実した感がある。
 教育段階別に見ると、大学レベルがいちばん盛んで、夜学、通信教育も人気がある。短期、長期にかかわらず、一度、日本に留学した学生は、その後も日本とかかわっていく傾向がある。
 なお、ここ数年来、マンガ・アニメ読者として、また、日本のパソコンゲームに没頭したり、武道クラブに通ったりする男子の学習者が急増し、学習者全体の男女比に不均衡が生じつつある。


●最新動向
・一部の大学の日本語学科では、志望者のほとんどを受け入れるシステムを導入したため、新入生が約170名になった大学もある。
・高校では、現行の成績システムの影響で、フランス・ドイツ・スペイン語等外国語を選択する学生数が10年間で半減しているため、今後、大学入試の際に、高校で外国語を選択する生徒にメリットになるような成績システムを導入する動きもあるが、それにより日本語学習者が増えるか否かについては不明である。
・学校教育以外の夜間コースでは、日本の若者文化・ポップ・カルチャーの著しい人気のため、中学生のクラスが急増している。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 小学校では、日本語教育は実施されていない。中学校では、スウェーデン南部の中学が2005年秋に、スウェーデンで初めて日本語を第3外国語として採用した。
 高校では第3外国語として日本語を選択することができるところもあり、現在(年によって異なる)50校以上で教えられている。
 スウェーデンの初等中等教育は、近年改革の連続であり、この改革は現在も進行中である。最近の高校では、一部に生徒が英語以外の難解な外国語を選択しない傾向が生まれている。これは現行の成績システムや大学入試体制なども関係していると思われるが、日本語もその影響を受けている。その一方で、特に私立高校では、新入生の数を増やすために、日本語を目新しい教科として取り入れる学校も増えている。
【高等教育】
 現在はストックホルム、ヨーテボリ、ルンドの3大学に日本語を主専攻科目とする日本(語)学科、選択必修科目とする東アジア学科がある。その他、日本語を選択科目としている大学(リンシェーピング大学、ヴェクショー大学、ストックホルム王立工科大学、ストックホルム商科大学、ヨーテボリ商科大学、ウメオ大学、ルレオ工科大学、ダーラナ大学)もある。大学の定員数は近年増加の傾向が見られ、日本語は人文科学系の科目の中でも競争率が高い。
 学習動機は多岐にわたっているが、日本文化、ポップ・カルチャーとの接触、親戚・友人関係などがかなりの割合を占めている。なかには、スウェーデンと日本の関連企業に就職を希望して、学習を始める者もいる。日本学科や東アジア学科の学生は日本語だけではなく、日本の文化、政治、経済や歴史に興味を示す学生も多い。経済学や工学と並行、あるいは、前後して学習している者も目立つ。経済や工科系の学生で日本語を習得した者は就職率が高いということもあって、夜間のコースでは工科系の学生も多い。留学に関しては、ほとんどの大学が日本の大学と交換留学協定を結んでおり、交換校の増加、奨学金の獲得、履修単位の振り替えなど、留学プログラムの充実を目指している。
【学校教育以外】
 生涯教育に携わっている機関による週2、3時間のコースが主で、日本の文化に興味を持っている者がその参加者の多くを占めている。特に、日本マンガ・アニメや、伝統的なスポーツ、映画、音楽などへの関心が若年層の学習動機とつながっている場合が多い。また、特に最近は電子メールやインターネット等の新メディアを通じて日本語に触れる機会も著しく増えている。中学生から社会人、年金生活者に至るまで、学習者の年齢の幅は広く、パートナー、又は配偶者が日本人の場合や地域によっては日本と取引のある企業に勤務している学習者も増えている。最近の傾向として、日本のポップ・カルチャー等に関心のある若年層を対象にした日本語コースを開設する機関も増加している。

教育制度と外国語教育

教育制度
【教育制度】
 9-3制。
 初等教育: 基礎学校1年から6年(7〜13歳)
 中等前期: 基礎学校7年から9年(13〜16歳)
 中等後期: 高等学校1年から3年(16〜19歳)
 高等教育: 大学1年から5年(19〜24歳、3-4年で学士号、4-5年で修士号 を取得)
 義務教育は基礎学校の9年間。
【教育行政】
 初等(就学前教育も含む)、中等教育機関は中央政府の行政機関である学校庁の管轄下にあるが、大学は高等教育庁の管轄下にある。教育省は教育政策の策定をする。


言語事情
 国語はスウェーデン語。
 1960年代からの移民の増加に伴い、いろいろな言語を母語とするグループが存在する。その中でもフィンランド語を話すフィンランド人(約18万)のグループが最大であり、次いで、1990年代に難民として受け入れられたセルボクロアチア語を話す旧ユーゴスラヴィア・ボスニア人等(14万)が第2位のグループである。その他、スウェーデン北部のラップランド地方に、古くから少数民族のラップ人が2万人居住している。現在、約30〜40%のラップ人がサーメ語を使用していると思われる。スウェーデンにおける英語(第1外国語)の普及率は極めて高く、スウェーデンで英語教育を受けた人の多くは何不自由なく英語を話す。


外国語教育
 第1外国語は以前(1950年頃まで)はドイツ語だったが、現在は英語で、遅くとも基礎学校の4年生から教えられる(学校の方針でそれ以前から導入するところもある)。
 基礎学校6年生より、第2外国語としてドイツ語、フランス語、スペイン語を学ぶことができる。
 また、8年生以降に第3外国語を、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語、中国語、日本語、ポルトガル語などの中から選ぶ。

学習環境
教材
【初等・中等教育】
 『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)や『新日本語の基礎』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)で始めた高校が多いが、1990年代のなかばから始まった高校改革で、コミュニカティブな授業の要請が高まり、適当な教科書が模索されている。
 一部の高校では『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)や『JAPANESE FOR YOUNG PEOPLE』国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)が使用されている。
【高等教育】
 学部や教師自身で開発した教材と市販の教科書を併用しているところが大半である。市販のものでは、『SITUATIONAL FUNCTIONAL JAPANESE1,2,3』筑波ランゲージグループ(凡人社)、『BASIC KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)、『INTERMEDIATE KANJI BOOK』加納千恵子ほか(凡人社)、『日本語初歩』(前出)、『みんなの日本語』(前出)、『初級日本語げんき』坂野永理ほか(ジャパンタイムズ)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)、『日本語中級J301』土岐哲ほか(スリーエーネットワーク)などが使用されている。市販の教材は時間数やレベルなどで、適切なものが少なく、独自の教科書の開発が望まれる。

<使用されている教材の具体例>

ストックホルム大学の場合:
初級−『初級日本語げんきⅠ・Ⅱ』(前出)、『BASIC KANJI BOOK VOL2』(前出)
中級−『新日本語の中級』海外技術者研修協会(スリーエーネットワーク)、『留学生のための日本史』山川出版社、『INTERMEDIATE KANJI BOOK VOL 1,2』(前出)、『日本語中級J301・J501』(前出)
上級−『AN INTRODUCTION TO CLASSICAL JAPANESE』駒井明ほか(凡人社)

ヨーテボリ大学の場合:
初級-『初級日本語げんきⅠⅡ』(前出)
中級-『AN INTEGRATED APPROACH TO INTERMEDIATE JAPANESE』三浦昭ほか(ジャパンタイムズ)、通信教育-『ICUの日本語:初級Japanese for College Students,Basic,vol.1』国際基督教大学(講談社インターナショナル)

ルンド大学の場合:
2年-『文化中級日本語』文化外国語専門学校(文化外国語専門学校)『BASIC KANJI BOOK Vol.2』(前出)(主教材)『テーマ別中級から学ぶ日本語』(前出)、『大学・大学院留学生の日本語①読解編』アカデミック・ジャパニーズ研究会(アルク)、『語彙力ぐんぐん1日10分』池松孝子ほか(スリーエーネットワーク)
3年-『大学・大学院留学生の日本語③論文読解編』アカデミック・ジャパニーズ研究会(アルク)、古典・現代文学作品、『象は鼻が長い』三上章(くろしお出版)、『「ボクハ ウナギダ」の文法−ダとノ−』奥津敬一郎(くろしお出版)


【学校教育以外】
 初級では『JAPANESE FOR BUSY PEOPLEⅠ Ⅱ Ⅲ』(前出)が 使用されている。中級では、新聞、『Introduction to Intermediate Japanese』Nobuko Mizutaniなど、日本のいろいろな教材が使われている。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】
 高校教師の資格を得るためには、最低専門2教科について資格が必要。大学の教職課程(4.5-5.5年)を経て、免許(Lararexamen)を取得するのが通常であるが、大学の専門課程で必要な単位を取得後、教育学・教育実習を含む一般教養コース(AUO)で60ポイント(単位)を取得して資格を得る例も多い。日本語を教えるためには、日本語関係教科を大学で60ポイント以上取得するのが望ましい。
【高等教育】
 大学には、教授、助教授、講師等の教職がある。助教授以上のポストを得るためには、博士号の学位を持っていることが一応の最低基準となっている。日本語教育の教師は日本学や言語関係を専攻した者が多く、日本語を母国語とする教員は、大半が日本語教師養成コースを修了している。
【学校教育以外】
 特になし。
スウェーデン語で日本語を教授することができ、教授経験があれば望ましい。

教師研修
【初等・中等教育】
 高校の教師に対する研修は特に最近重視されてきている。しかし、日本語教師に関しては全国規模での人数が少ない上、散在しているため、スウェーデン国内で研修が行なわれたことはない。そのため、日本語教師は国際交流基金の研修や他ヨーロッパの国で行なわれている会議や講習に頼らざるを得ない。
【高等教育】
 日本語教師だけを対象にした教師研修は行なわれていない。スウェーデンの大学で数年以上教鞭をとっている日本語教師の多くは、国際交流基金の日本語教師研修に参加している。ルンド大学では2006年日本より講師を招き、教授法関係のワークショップを行ない、これにデンマーク、ノルウェーを含めた他大学の日本語関係者が参加した。
【学校教育以外】
 現職の日本語教師対象の研修はない。

教師会
日本語教育関係のネットワークの状況
 スウェーデンのみのネットワークはないが、北欧5ヶ国(デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、アイスランド)が共同運営するNIAS(Nordic Institute of Asian Studies)がある(本部:デンマーク・コペンハーゲン大学アジア研究所内)。NIASには、日本専門研究員が1〜2名勤務し、研究活動、ニュースレター発行、講演会実施等を中心に北欧5ヶ国における日本を含めたアジア研究のコーディネートを行なっている。
 これとは別にNAJAKS(Nordic Association for Japanese and Korean Studies )がある。これは北欧の日本・朝鮮学に従事する者のネットワークで、3年ごとに学会が開催される。元々は日本学が中心であったが、最近は日本語教育関連も盛んになっている。
 純然たる日本語教育のネットワークとしては、ヨーロッパ日本語教師会があり、スウェーデンからは教師が個人資格で参加している。

最新動向
 特になし。


★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。

●その他からの派遣
 一部の大学では、一年毎に替わる文際交流協会からの会話アシスタントの派遣が定着していたが、交換校からの受け入れの要望が増えているため、文際交流協会からの派遣は停止された。今後は、スタッフ・学生交換の一環として日本からの受け入れが定着する見込みである。
 ルンド大学では2004年から早稲田大学より客員講師を招へいし、スタッフの一員として日本語授業に取り組んでいる。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1956年 ウプサラ大学で日本語講座開始
1963年 ストックホルム大学において、中国、インド、アラビア学科で構成されていた東洋学部に新しく日本学科が設けられ、それに伴い、主たる専攻科目として日本語講座開始
1969年 ストックホルム大学東洋学部日本学科に大学院課程開設
1974年 ヨーテボリ大学東洋語学科(現東洋語・アフリカ語学科)が設立されると同時に、日本語セクションで日本語講座開始
1980年 ルンド大学東アジア言語学部が設立され、日本学科で日本語講座開始
1983年 ストックホルム大学東洋学部に東アジア学科が開設
1986年 ウメオ(スウェーデン北部)のオストラ高校において、中等教育で初めて日本語が第3外国語として選択可能となる。
1988年 ストックホルムのオストラ・レアル高校、フランス・シャウタウー高校で日本語教育開始
1992年 ヨーテボリ大学東洋語・アフリカ語学科に大学院課程が開設
1990年代 1990年代半ばより、日本語を選択できる高校が地方にも広がる
1996年 ルンド大学東南アジア語学部日本語学科に大学院課程設立
2005年 スキュールップ(スウェーデン南部)のマクリーン中学校で初めて日本語が第3外国語として選択可能となる。
参考文献一覧
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