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■ 2009年度
スイス

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革・背景】
 1968 年チューリッヒ大学、1977 年ジュネーブ大学に日本学科が開設され、高等教育機関における学術研究分野として日本語教育および日本研究が開始される。1980年代には、一般市民層にも日本の伝統文化に対する関心が高まったことにより、市民大学や語学学校にも日本語講座が開設され、ビジネス上の必要から日本語を学習する人口も増えて、民間の日本語教育も本格化する。
 1990年代に入ると日本語学習者の年齢、学習目的などの多様化が始まり、民間語学学校講座数の増加が顕著となる。また、公的教育機関においても、大学では日本学専攻以外の学生を対象とした講座の開設、ドイツ語圏の高等学校では選択語学として日本語講座を設置するなど、教育機関レベルでの新機軸がみられた。その後、現在にいたるまで、日本のアニメやマンガなどのサブ・カルチャーに関心をもつ若者層、日本の武術を通して日本文化に接している層などの日本語学習熱を背景に日本語学習者数は確実に増加し続けている。また、永住邦人人口の増加により、その子弟を対象とする継承語としての日本語学習分野で着実な発展がみられる。
 2005年度から「日本語能力試験」を実施している。

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【特徴】
 民間の語学学校の学習者が全学習者数の半数以上を占める。

●最新動向
 バーゼル州の「バーゼル市民大学(Volkshochschule beider Basel)」では、日本語講座とは別に、日本文化・歴史・生活をテーマに、年に一度「日本講座」を開設している。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 チューリッヒ州、バーゼル州、ベルン州およびザンクトガレン州の8校で、選択科目として日本語講座が開設されている。
【高等教育】
 チューリッヒ大学及びジュネーブ大学の2校は日本学科を擁し、高いレベルの日本語教育を実施している。
 この他、チューリッヒ連邦工科大学、ザンクトガレン大学、ベルン大学、及び専門大学校数校には日本語講座がある。
【学校教育以外】
 地域の市民大学・語学学校が日本語教育の主体となっている。企業内で日本語教育を実施するケースも見られる。また、バーゼル州、ベルン州、ヴォー州及びルツェルン州には日本語を母語とする者を両親のいずれかに持つ児童を対象とした学校もある。「スイス日本語教師の会」は、こうした児童のための日本語教材の開発に取り組んでいる。
教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 スイスの教育制度は各カントン(州)の専管事項となっており、カントンごとに教育制度が異なっているが、おおむね満6歳から9年間が義務教育(初等教育6年、初期中等教育3年)となっている。通常、大学進学希望者はさらに高等学校4年を経て、大学入学資格を取得した上で大学に進学する。大学の修学期間は4年から5年である。
【教育行政】
 教育行政は連邦政府が行なっているのではなく、各カントン(州)の専管となっている。このため、教育制度が各カントンで異なり、不便な点もあるので、各カントンは連絡協議会を設け各カントン間の教育制度の相違からくる不都合の調整にあたっている。

●言語事情
 ドイツ語(63.7%)、フランス語(20.4%)、イタリア語(6.5%)、ロマンシュ語(0.5%)の4カ国語が連邦公用語。

●外国語教育
 ドイツ語圏の学校ではフランス語を、フランス語圏ではドイツ語を教えているが、近年英語への関心が高まり、チューリッヒ州ではむしろ英語を第1外国語としてフランス語より早く教え始める傾向がでてきており、様々な議論を呼んでいる。また、多くのカントンで第1外国語学習は小学校4年生から、第2外国語は6年生から開始される。
学習環境
●教材
 最も使用されている教材は下記の通り。 入門、初級にかけては人気教材が固定しているが、読解訓練、日本語能力試験対策、ビジネス日本語など、学習目的がより細分化する中級から上級クラスで使用されている教材は、教師により多様を極める。
【初等・中等教育】
 主なものとしては、『Japanisch im Sauseschritt, Universitatausgabe mit Kana und Kanji』Dr. Thomas Hammes(Doitsu Center Ltd.)や、『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE I , II』社団法人国際日本語普及協会(講談社インターナショナル)がある。かな・漢字学習では、『日本語かな入門英語版』国際交流基金(凡人社)や、『Basic Kanji Book I , II』加納千恵子ほか(凡人社)が使用されている。
【高等教育】
 主なものとしては、『Kompaktlehrgang  Japanisch』Dr. Heinrich Reinfried(asiaintensiv)や、『みんなの日本語 I ,II』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)がある。中・上級のクラスでは、新聞・雑誌記事なども頻繁に使用される。
【学校教育以外】
 主なものとしては、『みんなの日本語 I,II』(前出)、『Japanisch im Sauseschritt, Universitatausgabe mit Kana und Kanji』(前出)、『JAPANESE FOR BUSY PEOPLE I , II 』(前出)などがある。中・上級のクラスでは、新聞・雑誌記事なども頻繁に使用される。
【日本語継承言語教育】
 主なものとしては、『文部科学省指定小学校・中学校 国語教科書』(光村図書)、『日本語1年生-この指とまれ-』、『日本語2年生−はないちもんめ-』スイス日本語教師の会教科書制作グループ、『Japanisch im Sauseschritt, Universitatausgabe mit Kana und Kanji』(前出)などがある。中・上級のクラスでは、新聞・雑誌記事なども頻繁に使用される。

●マルチメディア・コンピューター
ビデオ・DVD
 ほとんどすべての教育機関で、教材付属のビデオやDVD を、聞き取り・発話練習はもとより、日本の文化・生活習慣の紹介ツールとして活用している。学生の聴解力を養うため、JSTV の番組をDVD に録画・編集し授業で使う教師の数も増えている。
インターネット
 読解用マテリアルをダウンロードして使用したり、漢字テストなどフリー教材が多く活用したりしている。また、授業で必要な情報を生徒にインターネットで予め収集させるなどの試みも行なわれている。チューリッヒ大学日本学科では、日本語能力試験出題内容に関し、e-learning tool を使用して対策授業を実施している。
パソコン
 中・上級レベル授業で、インターネットからダウンロードした生教材の語彙調べを生徒に行なわせ、それを教師とのメール交換で訂正させたあと、生徒のパソコンで辞書として使用させている成人対象日本語教育機関がある。
教師
●資格要件
 日本語教師としての資格は特にないが、大学卒業者、教師資格保持者、日本語教育講座履修者等が採用される場合が多いようである。大学の高等教育レベルになれば、ある程度の学位が必要となる。

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状況とその役割
 初等・中等教育機関、学校教育以外(成人教育)の日本語教育機関、また日本語を継承言語として教えている機関では、そのほとんどがネイティブ教師のみを採用している。
 チューリッヒ大学、ジュネーブ大学日本学科では、日本語担当教師の常勤ポストが複数設置されており、両大学ともにネイティブ教師が採用されている。ジュネーブ大学においては、フランス語から日本語への翻訳の授業と日本語会話の授業をネイティブ教師が担当、日本語での口頭試験の審査官という役割も担っている。

●教師研修
 国内研修としては、スイス日本語教師の会による教育セミナーが毎年2回開催されている。
 訪日研修としては、国際交流基金の日本語教師研修がある。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 ネットワークとしては「スイス日本語教師の会」が存在する。高等学校、市民大学講座、語学学校、継承語教育機関の日本語教師が中心会員である。
 会は、毎年春に「日本語教育セミナー」、秋に「分科会」を開催している。これらは会員の日本語教師としての質的向上を目的とする一方で会員間の情報交換、親睦の場となっている。また、ニュースレター「交流」を年1回発行するほか、電子メールによる情報提供も行ない、会員への便宜を図っている。

●最新動向
 継承語教育のための教科書制作プロジェクト・チームが国際交流基金の助成を受け、小学校1年生向け教科書及びワークブック(2004年)、2年生向け教科書及びワークブック(2006年)を出版している。

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日本語教師派遣情報

 国際交流基金、JICAからの派遣は行なわれていない。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1968年 チューリッヒ大学に日本語学科開設
1977年 ジュネーブ大学に日本語学科開設
1980年代 市民大学や語学学校に日本語講座開設
1990年代 民間語学学校講座数が増加
2005年 初めて日本語能力試験を実施
参考文献一覧
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