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日本語教育

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■ 2009年度
ウズベキスタン

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
シラバス・ガイドライン
評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 1990年、国立のタシケント大学東洋学部に日本語コースが開設されたのが日本語教育の始まりであり、中央アジアにおける日本語教育のさきがけとなった。1991年、同学部はタシケント東洋学大学に改組され、日本語講座において本格的な日本語教育を開始し、日本語運用能力に長けた卒業生を少なからず輩出してきた。 今後、日本研究分野で研究者を育成することが期待される。
 1994年に国際交流基金よりNIS諸国派遣日本語教育専門家がタシケント東洋学大学に派遣され、カリキュラムの作成と教師指導を行ない、全体的な質の向上を図った。その後、タシケント東洋学大学の卒業生が輩出された1995年を境にタシケントの他大学や中等教育機関でも日本語教育が開始され、1998年にはサマルカンド、1999年にはフェルガナでも日本語教育が始まった。常に教師不足に悩まされてきたこれらの大学、中等教育機関も2000年にJICA青年海外協力隊の活動が始まって以来、着実に実力を伸ばしてきている。2001年にはウズベキスタン・日本人材開発センター(UJC)が開館し、一般教育、通訳実習、帰国子女コース、初めての日本語会話コースなど、多様なニーズに対応したコースを運営している。
 このように、日本語学習熱は高く、高等教育機関では文科省国費留学プログラム以外にも、大学間の個別協定に基づき日本へ留学するケースが増加している。タシケント東洋学大学は法政大学(1996年)、東京外国語大学(1998年)、筑波大学(2005年)、タシケント法科大学は名古屋大学(2000年)、世界経済外交大学は早稲田大学(1999年)、筑波大学(2006年)、サマルカンド外国語大学は筑波大学(2006年)と協定を結び、学生や教員の交流を進めている。
 また、タシケント東洋学大学は、筑波大学と共同で2006年9月、「中央アジア国際連携センター」を開設し、インターネットを利用した遠隔教育計画、共同研究や教材開発も視野に入れた高度な教育の実現を目指している。タシケント法科大学では、名古屋大学との交流協定により、「日本語による日本法教育事業」を実施するため、日本法教育と日本語教育を行なう「名古屋大学日本法教育研究センター」が2005年9月開設された。現在、日本語教育は課外授業に位置づけられているが、短期間に日本語能力試験1級合格者を出すなど大きな成果を挙げており、今後の展開が注目される。
 中等教育機関では日本語を教える機関の数は少ないものの、タシケント東洋学大学附属アカデミーリツェーでは日本語能力試験の1級や2級に合格し、大学に入学する学習者もおり、日本語運用レベルの底上げに大きく貢献している。タシケント東洋学大学では、2008年9月入学者から、日本語コースの中に既習者対象クラス(中等教育で日本語を正規履修した者)を設け、中等教育からのスムースな移行に配慮するシステムを開始した。
 また、地方では2005年5月のアンディジャン事件(*注)の影響を受けて、フェルガナ大学の日本語教育が停止した状況にある他、ヌクス地方でも日本のNGO撤退などを背景に日本語教育が停止しており、こうした地域への支援が課題となっている。
(*注)東部アンディジャン市において武装勢力が刑務所等を襲撃し、同市で政権の退陣を求めた住民デモ。

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【背景】
 日本はウズベキスタンのトップドナーであり、独立後、両国の政治・経済的関係が緊密化するに伴い、対日関心が高まりを示している。戦後の経済発展を成し遂げたアジアの同胞としての日本への憧れや、先進科学技術への関心から日本語学習に関心を持つ例が多い。
【特徴】
 小学生から大学生まで幅広い学習者層を持つのがウズベキスタンの特徴である。それぞれのレベルで特に口頭表現能力が高い学習者が顕著で日本語弁論大会では多くの日本人聴衆を驚かせている。
 高等教育機関での日本語教育は選択第2外国語が中心。タシケント東洋学大学日本語講座では言語学に関する学士論文は日本語で書くことが義務付けられており、高い文章作成能力が要求されている。また、日本のサポーターグループの支援を得て運営されているリシタンのNORIKO学級の活動が特筆される。教師にも事欠く厳しい教育環境の中、CIS日本語弁論大会で優勝者を輩出するなどの着実な成果を生み出している。
 学習者の多くが通訳や翻訳、日本企業への就職を希望し、熱心に学習している。しかし単に日本語が出来るというだけでは役に立たず、ビジネスの技術交渉ができる専門分野の能力が要求されるため、卒業後の就職状況は厳しく、期待するような就職口が容易に見つからないといった状況にある。

●最新動向
 2008年9月、サマルカンド外国語大学に日本語学科が新たに開設され、2009年2月からJOCVの日本語教師の派遣が始まった。これにより、ウズベキスタンの日本語教育は、タシケントとサマルカンドの二極体制が確立しつつある。このように、高等教育における学習熱は高いものの、卒業後の就職状況は厳しい。そんな中で唯一観光ガイドは最近日本人観光客が増加していることもあって需要がある。また教師の問題もあり、いくつかの大学で、他の外国語と共に日本語の授業数が減らされるという状態にある。中でもサマルカンド観光カレッジでは、コマ数の減少により、接客サービスに必要な日本語を重点的に教えることが難しくなってきている。教師の給与は、もともと最低賃金のうえに、コマ数が減ることで教師の給料が伸びず、副職を探さなければならない状況のところも出てきている。経済格差により、外国に移住している教師も多く、大学側にとっては優秀な人材の確保が難しくなってきている。今後、教師のための研究環境の整備、教師の質の向上が課題となる。
 地方都市においては中核的機関ができつつある一方で、ヌクスやフェルガナでは学習者はいても日本人教師の不在により日本語教室が停止している状態である。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 日本語学習者の約40%弱(2008年12月時点)を占める初等・中等教育レベルは近年最も日本語能力が上がったレベルと言えるだろう。その中心はタシケント東洋学大学附属アカデミーリツェー(後期中等教育)であり、大学進学後も日本語学習を続けることが多い。日本語コース(選択)は初級修了程度であるが、学生の中にはウズベキスタン・日本人材開発センター(UJC)の日本語コースを並行して受講することにより中級に達する学生もいる。毎年日本語を学ぶ高校生を対象とする日本語弁論大会や文化祭が学生主導で実施され、大きな盛り上がりをみせている。
【高等教育】
 タシケント国立東洋学大学の日本語講座、サマルカンド国立大学の日本語学科が、ウズベキスタンにおける日本語教育の中核機関といえる。国費留学や大学協定プログラムを通じて日本へ留学する学生も多く、同講座卒業生から多くの日本語教師も輩出している。その他の大学での日本語教育は第2外国語科目が中心。中でも現在課外授業扱いながら、日本法研究という目的に特化したタシケント法科大学の日本語教育は注目すべき存在である。名古屋大学との提携により国費留学特別枠や短期訪日研修プログラムが設けられ、学生も明確な目標のもと熱心に学習に取り組んでいる。卒業後、日本関連機関やガイド・通訳といった日本語を使う職業に就く者は一部で、多くは日本語とは関係のない企業等に勤務しているのが現状である。
 今後両国がより深い相互理解を築く上で、ウズベク人独自の視点による日本研究の振興が重要であり、現地の若手研究者・専門家の育成が急務の課題となっている。そのため専門研究分野を指導できる日本人専門家(客員教授等)に対するニーズは非常に強い。
【学校教育以外】
 1998年に、フェルガナ州リシタン市、NORIKO学級にて一般向け日本語教育が開始され、初等・中等レベルの学習者を中心に学習者を集めている。2000年にはサマルカンド外国語大学附属地域語学センター、2001年にはウズベキスタン・日本人材開発センター(UJC)が開設され、様々な学習者の需要に応えている。UJCでは「一般コース(初級・中級・年少者初級、中級)」のみならず「帰国子女コース」「日本語能力試験対策講座」「観光ガイドのための日本語」「はじめての会話コース」などさまざまなコースを準備している。小規模ながらも民間機関による日本語コースも開設されている。(その他に「日本語クラブ(カラオケクラブ・交流クラブ)」があったが、現在は休止中である。)

教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 4-5-3制。
 初等教育が4年間(7〜10歳)、前期中等教育が5年間(11〜15歳)、後期中等教育が3年間(16〜18歳)。義務教育は12年間。後期中等教育には、通常の学校のほか、大学を目指す学力の高い学生が進学するアカデミーリツェー、コレージュ(専門学校)がある。
 高等教育機関は大学(4年間もしくは5年間)及び大学院。
【教育行政】

 公教育全般については、国民教育省及び高等・中等専門教育省が管轄している。
 高等教育機関64機関のうち、33機関は、高等・中等専門教育省が管轄し、それ以外は、それぞれの専門分野を担当する省(例:法曹養成系:法務省、医科系:保健省、農業系:農業・水資源省等)が管轄している。
 教員の低い給与水準が原因となり、慢性的な教師不足の状態。優秀な教員の安定的な確保が課題となっている。

●言語事情
 公用語はウズベク語。
 民族間共通語として、ロシア語が使用されている。

●外国語教育
 一般的に初等教育4年次(外国語に重点を置く学校では2年次)から後期中等教育修了まで、主に英語を第1外国語(必修)として履修。ドイツ語やフランス語を第1外国語とする学校もあるが特殊なケース。またウズベク語で授業が行なわれる学校ではロシア語が、ロシア語で授業が行なわれる学校ではウズベク語が必修となっている。教師の不足から、英語以外の外国語(ドイツ語、フランス語、韓国語、日本語等)を第2外国語として履修できる体制を持つ学校はあまり多くない。中等教育課程において日本語を正規に履修した者については、タシケント東洋学大学の入学試験科目に日本語を選択することが可能。
学習環境
●教材
 ウズベキスタンでは「ウズベク語化」政策が進んでいることもあり、ウズベク語を使用した日本語の教材が求められている。2004年7月にUJCから出版された『日本語ウズベク語学習辞典Yaponcha-O’zbecha O’quv lag’ati』(IWWA辞書作成委員会編)と同じデータを基に、語彙数約2、000語のオンライン辞書を作成した。語彙数は少ないが、日本語ウズベク語のオンライン辞書としては、2008年9月現在、唯一のオンライン日ウ辞書である。
 『みんなの日本語T 文法解説 ウズベク語版』が完成し、販売されており、2009年6月には『みんなの日本語U 文法解説 ウズベク語版』も出版される。ウズベク語化政策が進む中、このウズベク語版の需要は更に高まることが予想される。
【初等・中等教育】
 『みんなの日本語初級Ⅰ Ⅱ』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)が使用されている。
【高等教育】

 『みんなの日本語初級Ⅰ Ⅱ』(前出)、『日本語初歩』国際交流基金日本語国際センター(凡人社)が使用されている。
【学校教育以外】

 『みんなの日本語初級Ⅰ Ⅱ』(前出)が使用されている。

●マルチメディア・コンピューター
 高等教育機関では、日本語講座室用のコンピューターやAV機材を持つところも多く、タシケント東洋学大学、世界経済外交大学、サマルカンド外国語大学では日本政府の援助によりLL教室もある。しかし、教師数、学生数に見合う台数はなく、個人所有のコンピューターやインターネットカフェなどを利用しているものも多い。初中等教育機関ではコンピューター、LL教室の設備がある機関はほとんどない。学校教育以外ではウズベキスタン・日本人材開発センターが様々なAV機材を始め、常時接続インターネット等を設置し、一般利用者(会員)に提供している。それ以外の機関の施設はほぼ個人所有のもので代用している。
教師
●資格要件
【初等・中等教育】

 学士号を持っていることが最低基準となっている。タシケント東洋学大学で日本語を専攻した者が教職についているケースが多い。
【高等教育】
 ウズベク国籍保有者は修士号を持っていることが最低基準となっている。ただし、その数が限られていることから、実質学部卒(タシケント東洋学大学日本語講座出身者等)が教師として採用されるケースもある。
 また日本人講師については特別な要件が設けられてはいないところがほとんどだが、学士号取得を条件とするところもある(国際交流基金およびJICA派遣による者が多く、これら教師は日本語教師の資格を有している)。

●日本語のネイティブ教師(日本人教師)の雇用状態とその役割
 2001年を境に日本人教師の割合が50%を切り、2008年12月時点で、27%(17人)となっている。また在留邦人の中には、ボランティアとして高等教育機関で日本語や日本文化を教えているケースもある。

●教師研修
 ウズベキスタン国内ではウズベキスタン・日本人材開発センター(UJC)や日本語教師会を中心に有志による勉強会が催されている。また、国際交流基金のプログラムにより日本語教育セミナーも行なわれている。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 ウズベキスタンの日本人・ウズベキスタン人教師を会員とする日本語教師会(1999年発足)があり、ウズベキスタンでは唯一の日本語教育関係のネットワークである。同教師会は、ウズベキスタン全体の日本語教育のネットワークの核となるべきであるが、残念ながら期待にこたえられていないのが現状である。今後、現地教師のネットワークへの積極的参加が必要で、現地主導にしていく必要がある。会員数は2009年5月時点で46名。年次総会におけるウズベキスタンにおける各日本語教育機関の現状・問題点等についての意見交換、ウズベキスタン人教師および教師経験の少ない日本人教師への日本語教授法セミナーの実施、教師会ホームページ(http://www.ujlta.bcc.com.uz/)の運営、その他日本語教育に関する各種事業の企画・実施等を行なっている。

●最新動向
 特になし。

★教師会・学会一覧へ

日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣 (2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ウズベキスタン日本人材開発センター  1名

★「世界の日本語教育の現場から」のページへ

●国際協力機構(JICA)からの派遣(2009年4月1日現在)
青年海外協力隊
世界経済外交大学 1名
国立世界言語大学 1名
サマルカンド国立外国語大学 1名
国立法科大学 名古屋大学日本法教育研究センター 1名
ユヌサバッド外国語アカデミックリツェー/タシケント東洋学大学附属アカデミックリツェー 1名

★JICAのページへ

●その他からの派遣
 日本シルバーボランティア協会からタシケント経済大学に2名派遣されている。
学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
シラバス・ガイドライン
 統一シラバス、ガイドライン、カリキュラムはない。
評価・試験
 2002年よりウズベキスタン・日本人材開発センター主催の「日本語能力認定試験(通称センター試験)」が「日本語能力試験」と同一形式、同一シラバスで行なわれていた。2005年よりタシケント市で「日本語能力試験」が実施されている。
日本語教育略史
1990年 日本語教育開始(タシケント国立大学東洋学部、今のタシケント東洋学大学)
1994年 国際交流基金/日本外交協会より日本語教育専門家が派遣される
(タシケント東洋学大学)
1995年 世界経済外交大学で必修科目の第2外国語として日本語教育開始
中等教育機関で日本語教育始まる(International House Tashkent)
1996年 中央アジア日本語弁論大会始まる(タシケント)
タシケント東洋学大学が法政大学と協定締結
1998年 サマルカンド外国語大学で日本語教育が始まる
タシケント東洋学大学が東京外国語大学と協定締結
フェルガナ州リシタン市NORIKO学級にて日本語教育開始
1999年 ウズベキスタン日本語教師会発足
世界経済外交大学が早稲田大学と協定締結
2000年 JICA青年海外協力隊活動開始(世界言語大、タシケント経済大学)
タシケント法科大学が名古屋大学と協定締結
サマルカンド外国語大学附属地域語学センター開設
2001年 ウズベキスタン・日本人材開発センターが開設され、一般向け日本語コース開講
2002年 JICAシニアボランティア活動開始(タシケント東洋学大学附属アカデミーリツェー)
日本語能力認定試験(センター試験)を開始(2004年をもって終了)
サマルカンド観光カレッジで日本語教育開始
2005年 日本語能力試験の実施が始まる
タシケント東洋学大学が筑波大学と協定締結
タシケント法科大学で「名古屋大学日本法教育研究センター」開設
フェルガナ大学の日本語教育停止
2006年 世界経済外交大学が筑波大学と協定締結
タシケント東洋学大学と筑波大学が共同で「中央アジア国際連携センター」開設
2007年 サマルカンドで中央アジア日本語弁論大会を実施
2008年 サマルカンド外国語大学で日本語学科開設
2009年 サマルカンド外国語大学で日本語学科 第二外国語から第一外国語学科に改講
参考文献一覧
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