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日本語教育

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■ 2009年度
ベトナム

日本語教育の実施状況
教育制度と外国語教育
学習環境
教師
教師会
日本語教師派遣情報
学習目的
●シラバス・ガイドライン
●評価・試験
日本語教育略史
参考文献一覧

●2006年海外日本語教育機関調査結果
機関数集計円グラフ 教師数集計円グラフ 学習者数集計円グラフ
海外の日本語教育の状況について機関・教師・学習者を円グラフ化しました。

日本語教育の実施状況
●全体的状況
【沿革】
 日本語教育は、中等・高等教育機関、その他社会人を対象とした一般教育機関で行なわれている。1961年にハノイ貿易大学、1973年にハノイ大学(旧ハノイ外国語大学)で日本語教育が開始され、その後他の国立大学や私立大学でも日本語教育が開始された。当初は日本語学科として始まったものを、日本語学部に昇格させる動きもみられる。民間の日本語教育機関も多い。2003年には、「中等教育における日本語教育試行プロジェクト(以下、プロジェクト)」が立ち上げられ、2005年からはモデル校に指定された中学校で第1外国語科目としての日本語教育が実施されている。

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【背景】
 1973年の日越外交関係樹立を経て、1993年3月のキエット首相訪日以後、日越両国は関係を緊密化させている。2006年10月にズン首相が訪日し、安部総理との間で「アジアの平和と繁栄のための戦略的なパートナーシップに向けて」と題する首脳間で初となる共同声明に合意、2007年には戦略的パートナーシップに向けた共同声明を発表。同年にベトナムにとって初めての二国間EPAとなる「日越経済連携協定」を締結し、日越間の貿易の拡大、経済関係全般の強化を図った。こうした政治・経済分野での両国関係の発展は、ベトナムでの日本語教育の発展を強く後押ししている。
【特徴】
 学習人口は約3万人であり、日本との経済交流、文化交流等の拡大を反映し最近4年間で約1万2千人増加している。ベトナムでの日系企業への求職や転職、職場での昇給のために日本語を学習する者が多く、特に北部において日本語学習者の増加が目立っており、2008年のハノイでの日本語能力試験の受験者数は2年前の約2.3倍に達している。現在では、ハイフォン、フエ、ダナン、ダラット、ドンナイ、カントーなどの地方都市においても日本語教育が実施されている。
 2008年3月には国際交流基金ベトナム日本文化交流センターがハノイに開設され、日本語教育分野への支援を中心とした文化交流事業を展開している。

●最新動向
 2005年度にハノイ国家大学外国語大学附属外国語専門高校での日本語教育が始まり、その結果2008年度から既習者が大学に入学し始めている。「中等学校における日本語教育試行プロジェクト」では、2007年度からハノイの高校、2008年度からはホーチミンの高校で日本語教育が始まっている。IT技術者養成のための日本語教育がハノイ及びホーチミンの工科大学と、両市のFPT 大学で行われている。ビジネスに関連した動きとして、日本への技能研修生派遣を目的とした日本語教育機関が急増しており、2008年11月にJITCO (国際研修協力機構)の派遣前日本語教育支援プログラムが実施され、翌12月には日本とベトナムの間でEPAが成立し、介護・看護分野における日本語教育への関心も高まっている。
 ベトナムから日本への留学生の急増に伴い、近年、日本の大学が当地の大学と連携する動きが盛んである。

●教育段階別の状況
【初等・中等教育】
 2003年、「中等学校における日本語教育試行プロジェクト」が立ち上げられ、ハノイのチュー・ヴァン・アン中学校で課外授業として日本語教育が開始された。2005年からはハノイ、ホーチミン、ダナン、フエの計8中学校において第1外国語科目としての日本語教育が開始された。2009年5月時点で、中学校12校、高校3校において、約3,200名が同プロジェクトのもとで日本語を学習している。同プロジェクトでの到達目標は、中学校4年間(週3コマ)で日本語能力試験4級程度、高校卒業時に初級修了程度となっている。なお、2010年度からは小学校3年生から日本語を含む外国語学習が開始されるとの情報もある。

【高等教育】
 日系企業等への就職を目的に勉強する者が増えており、渡日経験がなくとも在学中に日本語能力試験1級を取得する優秀な学習者もいる。日本語学習者の大幅な増加を受け、ベトナム人日本語教員の量的、質的拡充を図るため、2005年にハノイ国家大学外国語大学に「日本語教育師範(教職)課程」が開設され、2008年にはホーチミン師範大学でも日本語教育が開始されている。2004年度にはダナン大学外国語大学で、2006年度にはフエ大学外国語大学で日本学科が開設されるなど地方都市での日本語教育も活発化している。また、日本の大学との連携により、日本留学予備教育としての日本語教育を行なう大学もある。
【学校教育以外】
 日本政府の支援を受けて、2002年にハノイとホーチミンに開設された「ベトナム日本人材協力センター(ベトナム日本センター、VJCC)」において、日本語講座の運営、日本語教授法日本語教育セミナー等が実施されている。また、ベトナムでの日系企業への求職、転職、昇給のために継続して日本語を学習する者も多く、日系企業の側でもまたその対象となる日系企業が、日本語能力試験2級合格を雇用のひとつの目安とするケースも見られる。その他日本での研修の予備教育として日本語を学習する者も多い。
教育制度と外国語教育
●教育制度
【教育制度】
 5-4-3制。
 小学校は5年制(6〜11歳)、中学校は4年制(11〜15歳)、高校は3年制(15〜18歳)。高等教育機関である短期大学は3年制、大学は4年制(医学部等は6年間)、大学院は4年制(修士課程2年間、博士課程2年間)。義務教育は小・中学校の9年間。その他、高校、高等教育段階に相当する職業教育・専門学校や職業訓練を主として行なう教育機関もある。
【教育行政】
 初等・中等教育機関は、ほとんどが教育訓練省の管轄下にある。
 高等教育機関は教育訓練省の直接の管轄下にある大学が過半数を占めるが、厚生省、文化情報省、財政省、司法省、建設省、交通運輸省、農業・農村開発省など各省庁が管轄する大学もある。教育訓練省はすべての大学に対して監督権を持ち、入学、大学定員、教科編成、単位認定、学位認定などの面での指導を行なっているが、政府直轄の国家大学及び他省庁が管轄する大学については、政府や各省庁が財政を担い、管理運営している。

●言語事情
 公用語はベトナム語。
 ただし、ベトナム国内にいる54の少数民族は、民族別または民族グループ別に独自の言語を有しており、教育の場では、ベトナム語が用いられるものの、日常生活では固有の言語を使っている場合も多い。

●外国語教育
 高等教育のみならず中等教育においても外国語教育は重視されており、近年では日本語や韓国語を選択できる機関も増えてきている。日本語学習者数は英語、フランス語に次いで多いが、中国語、韓国語を選択する者も増加している。外国語専門高校を除き、中等学校では、英語以外の外国語を第一外国語として学習する生徒も英語を必須科目として学習している。
学習環境
●教材
【初等・中等教育】
 前述の「中等学校におけるモデル的な日本語教育プロジェクト」の対象となる中学校と高校では、教科書審査委員会の認可を得た教科書『にほんご6-9』が使われている。また、ハノイ国家大学附属外国語専門高校においては、独自に開発した教科書を使って日本語教育が実施されている。
【高等教育】
 『初級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)、『中級日本語』東京外国語大学留学生日本語教育センター(凡人社)、『みんなの日本語』スリーエーネットワーク(スリーエーネットワーク)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』松田浩志ほか(研究社)、『ニューアプローチ中級日本語[基礎編]』小柳昇(日本語研究社)などの教材が主に使用されている他、自作の教材を使用している教育機関もある。ベトナム北部では『初級日本語』(前出)、『中級日本語』(前出)、『みんなの日本語』(前出)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』(前出)、『ニューアプローチ中級日本語[基礎編]』(前出)が多く使用され、ベトナム南部ではほとんどの機関で『みんなの日本語』(前出)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』(前出)が使用されているものと見受けられる。
【学校教育以外】
 機関によるが、ベトナム北部では『みんなの日本語』(前出)が多く使用され、ベトナム南部では高等教育同様『みんなの日本語』(前出)、『テーマ別中級から学ぶ日本語』(前出)が多く使用されている。自主教材を使用している機関もある。

●マルチメディア・コンピューター
 中等教育では、日本語教育にマルチメディア・コンピューターは使用されていない。
 高等教育では、日本市場向けのIT エンジニアを育成しているFPT大学が情報化に積極的で、各教室にプレゼンテーション用のパソコンとプロジェクター、スクリーンが設置されている。学生も全員が一台ずつパソコンを貸与されており、学内の全域でインターネットにアクセスできる。また、フォンドン大学ではVisual Basicで実装したテストシステムが稼動している。貿易大学の対外経済学部ではMoodleを使ったe-Learningシステムが利用されている。
 学校教育以外では、たとえばSeiko Japanese Centerではほぼすべての授業でパワーポイントを利用している。ベトナム日本人材協力センターでは、教室を使わずにインターネット上の無料リソースだけを教材にした自律学習支援通信教育プログラム(通称「nihongo@net」)を実施している。
教師
●資格要件
 ベトナム人教師の場合、中等教育において正式に教員として採用されるためには師範大学卒業が不可欠である。高等教育においては少なくとも日本語を第1外国語として専攻していることが必要となる。
 日本人が日本語教師として滞在する場合、420時間の養成講座の受講実績や日本語教育能力検定試験の資格などがあると査証取得に有利であるとされる。

●教師研修
 国際交流基金の訪日研修への参加のほか、ベトナム日本人材協力センターにおいても日本語教師を対象とした研修が実施されている。また、2003年からは、国際交流基金派遣の日本語教育専門家が「試行プロジェクト」に参加する中学校・高校の教師向けの研修を実施している。なお、2009年からは国際交流基金ベトナム日本文化交流センターにて教師向けの日本語講座が開講予定である。
教師会
●日本語教育関係のネットワークの状況
 ベトナム人を中心にする日本語教育関係の公的なネットワークはないが、ベトナム日本人材協力センターを中心に研修会、ニューズレターの発行などを通して教師間のネットワーク構築への取り組みがなされている。

●最新動向
2007年11月にベトナムで最初となる日本語関連の国際シンポジウムであるハノイ国家大学・外国語大学主催「日本語学・日本語教育国際シンポジウム」が、2008年11月にはハノイ大学主催の国際シンポジウム「日本語教育を踏まえた日本研究への道」が開催された。ハノイ日本語教師会が2007年に発足し、勉強会や連絡会議を通じて教師間のネットワークを広げるとともに、最近では会報も発行している。
日本語教師派遣情報
●国際交流基金からの派遣(2009年4月1日現在)
日本語教育専門家
ベトナム日本文化交流センター 1名
ベトナム日本センター(ハノイ) 1名
ベトナム日本センター(ホーチミン) 1名

ジュニア専門家
ベトナム日本文化交流センター 2名

日本語教育指導助手

ベトナム日本文化交流センター 1名

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●国際協力機構(JICA)からの派遣(2009年4月1日現在)
青年海外協力隊
ハノイ人文社会科学大学 1名
貿易大学ホーチミン分校 1名
国家大学ホーチミン(市)人文社会科学大学 1名
ホーチミン市師範大学 1名
国立ダナン大学 ダナン外国語大学 1名
カントー大学外国語センター 1名

シニア海外ボランティア
フエ大学附属外国語大学 1名

シニア海外ボランティア短期
国立ダナン大学 ダナン外国語大学 1名
ハノイ国家大学外国語大学 1名

●その他からの派遣
・住友商事株式会社
 ダナンの中学生を対象とした日本語教室に日本語教師1名派遣
・財団法人 日本国際協力財団
 ダナン・フエの中等教育機関に日本語教師各1名ずつ計2名派遣
・JENESYS若手日本語教師派遣
 ハノイ1名、フエ2名、ダナン1名、ホーチミン1名の計5名派遣

学習目的(2006年海外日本語教育機関調査結果)

 
1.
日本の文化に関する知識を得るため  
9.
日本との親善・交流を図るため(短期訪日や日本人受入)  
 
2.
日本の政治・経済・社会に関する知識を得るため  
10.
日本語によるコミュニケーションが出来るようにするため  
 
3.
日本の科学技術に関する知識を得るため  
11.
母語、または親の母語(継承語)である日本語を忘れないため  
 
4.
大学や資格試験の受験準備のため  
12.
日本語という言語そのものへの興味  
 
5.
日本に留学するため  
13.
国際理解・異文化交流の一環として  
 
6.
今の仕事で日本語を必要とするため  
14.
父母の期待に応えるため  
 
7.
将来の就職のため  
15.
その他  
 
8.
日本に観光旅行するため   (1.〜15.から5つ選択)  
初等・中等教育/学習の目的棒グラフ 高等教育/学習の目的棒グラフ 学校教育以外/学習の目的棒グラフ
日本語教育略史
1961年 ハノイ貿易大学にて日本語教育開始
1973年 ハノイ大学(旧ハノイ外国語大学)にて日本語教育開始
1992年 ハノイ国家大学外国語大学、ホーチミン市国家大学人文社会科学大学にて日本語教育開始
1993年 ハノイ国家大学人文社会科学大学にて日本語教育開始
1994年 ハノイ工科大学日本語センター開始(2002年閉鎖)
1996年 ハノイで「日本語能力試験」開始
2000年 ホーチミンで「日本語能力試験」開始
2002年 ベトナム日本人材協力センター(VJCC)がハノイとホーチミンに開設され、日本語コース開始
2003年 「中等教育における日本語教育試行プロジェクト」(以下、「試行プロジェクト」)として、ハノイのチュー・ヴァン・アン中学校で課外授業としての日本語教育開始
中部のダナン大学、ダナン外国語大学にて日本語教育開始
2005年 ハノイ国家大学外国語大学における「日本語教育師範(教職)課程」の開設
「試行プロジェクト」のモデル中学校にて第1外国語科目としての日本語教育開始
2006年 ハノイ貿易大学が日本語学科を学部に昇格
ハノイ大学(旧ハノイ外国語大学)で日本語学部独立
ハノイ工科大学及びホーチミン市工科大学にてIT技術者養成のための日本語教育プログラム開始
中部のフエ大学、フエ外国語大学にて日本語学科設立
2007年 「試行プロジェクト」によりハノイのチュー・ヴァン・アン中学校で課外授業として日本語を学習した生徒の進学に伴い、モデル校のチュー・ヴァン・アン高校で日本語教育開始
2008年 国際交流基金ベトナム日本文化交流センターがハノイに開設
2009年 「試行プロジェクト」のモデル中学校で第1外国語科目として日本語を学習した生徒の進学に伴い、ハノイ、ホーチミン、フエ、ダナンのモデル高校で日本語教育開始
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