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第16回 Web2.0と日本語教育(1)―ブログの活用―


 みなさん「Web2.0」という言葉を聞いたことがありますか?

 インターネットの世界は、これまで主として情報の受け手であった利用者が情報の発信者となり自己表現をする場へと大きく変化してきています。情報 を発信する利用者が増えて、利用者どうしの協力によってより有益な情報が生み出されていくという事例も多く見られます。Web2.0とは、単一の技術を意 味するのではなく、インターネットの世界で起こっている変化をTim O'Reilly(ティム・オライリー)氏らが言葉で表現したもので、次世代インターネットの現象を総称した言葉として使われるようになりました。

 今回は、インターネット利用者の情報発信を爆発的に拡大し、Web2.0の世界を支えるツールとしての「ブログ」を取り上げ、日本語教育の現場での活用について考えてみます。

<目次>
1. ブログとは?
2. ブログでどんなことができる?
3. ブログの活用事例
4. 参考情報 ―ブログの作り方―
1.ブログとは?

 「ブログ」とは、ウェブログ(weblog)を短くしたもので、インターネット上に公開する日誌を意味します。ブログはホームページの一種とも言えますが、これまでのホームページと、次のような点で大きく異なります。

◆初心者でも簡単にできる

 ブログは、ホームページを作るための専門的な知識やホームページを作成するためのソフトがなくても、自分でサイトを開設することができます。大手のポータルサイト(*)が 無料で提供しているブログサービスを使えば、サンプルからデザインを選んで必要な情報を登録するだけで、自分のブログサイトを開設することができます。ま た、文章や、写真などを簡単にアップロードして、サイトを簡単に更新できます。携帯電話で記事を見たり、投稿することもできます。

ポータルサイト:インターネット上の、検索、掲示板、メール、コミュニティなどさまざまなサービスを提供している総合サービスサイト。ポータル(potal)とは、玄関という意味で、インターネット利用の入口ということを意味します。

◆他の利用者とコミュニケーションができる

 ブログでは、「コメント」と「トラックバック」という他の利用者とコミュニケーションできる機能があります。

 「コメント」とは、記事に対して読者が自由にコメントをつけることができる機能です。コメントに対してまた他の人がコメントをつけ、そのコメントにまたちがう人がコメントをつけるという風に、一つの記事に対してさまざまな観点からの情報が追加されていきます。

 「トラックバック」とは、ブログとブログをつなぐための機能で、そのブログが他のどんなブログで紹介されているかがわかります。読者は、トラックバックをたどることによって、興味のある事柄についてより多くの関連情報を得ることができます。

2.ブログでどんなことができる?

 日本の学校教育の現場でのブログの利用は、

 (1) 教師個人が日々の出来事や感じたことを記事にする
 (2) 学校通信や学級通信として利用する
 (3) 授業での活動の記録や成果物の発表の場として利用する

 の大きく三つに分けることができるようです。

 この三つの利用方法を「情報を発信するのは誰か」という観点でみると、(1)は教師個人、(2)はクラスや学校、(3)は学習者と整理できるでしょう。

 教育現場では、ブログの登場で、多くの教師がその気になれば専門的な知識や労力をあまりかけずに情報発信が行えるようになりました。これまでも、 ホームページで(3)の目的で学習の成果を発信する実践例は多く見られましたが、ホームページでの発信は一方通行で、他の人からフィードバックをもらうこ とがなかなかできませんでした。しかし、ブログを利用すると、コメント機能などを使って、読み手とのやりとりが簡単にできるようになりました。学習者は、 読み手を意識した情報発信を体験することができるのです。

3.ブログの活用事例

 日本語教育の世界でも、ブログを開設してさまざまな情報発信をしている教師が増 えています。検索エンジンのGoogleで「日本語教育 ブログ」というキーワードで検索すると、186万件ヒットしました(2006年12月)。しか し、一方では「個人でブログを開設するのはちょっと…」とためらっている教師も多いのではないでしょうか。そのような教師の方に、ブログの活用事例を二つ ご紹介したいと思います。

(1) 有名人のブログをのぞいてみよう

 インターネット上には、さまざまな有名人のブログも多くあります。

 e+エンタメブログランキング〜有名人のブログと日記大集合!
 (http://blogs.eplus.co.jp/)〔提供:イープラス〕

 では、ミュージシャン、歌手、タレント、アイドル、お笑い芸人、劇団、俳優・女優、演出家、ダンサー、スポーツ選手、格闘家、文化人など、ジャン ル別に有名人のブログのアクセスランキングや新着記事を一覧できます。引退宣言を自らのブログ上で行った元サッカー日本代表の中田英寿のブログや、歌手の 宇多田ヒカルのブログなど、さまざまな有名人のブログにこのページからアクセスすることができます。海外の学習者が興味を持っている有名人のブログも見つ けることができるかもしれません。有名人のブログは、英語やその他の言語に翻訳され、多言語で提供されている場合もあります。

 有名人が自らの言葉で書いたブログは、日本語を読もうとする動機付けにもなるでしょう。

 みなさんも一度のぞいてみてください。

e+エンタメブログランキング
(2) 日本語国際センターの研修でのブログ利用

 外国人日本語教師の読書日記
 (http://chokib.exblog.jp/)

 次は、日本語国際センターの研修でのブログの活用例をご紹介したいと思います。 このブログは、2006年度長期研修Bコース「読解」の授業の一環として、日本語の本を多く読むためのきっかけやしかけを作るために作られました。参加者 は、共通のパスワードを持ち、読んだ本を紹介する記事の投稿を行います。また、このブログは公開されているので、他の人の書いた記事に誰でもコメントをつ けることができます。この授業を担当している木山登茂子専任講師にブログの目的や授業とのブログの関係について聞いてみました。

◆ブログの目的

 具体的には次のような三つの目的をもっているそうです。

読んだことがあまりない人の選書の助けをする

日本語の本を読みたいと思っているけれど、レベル、内容などが自分に合ったものを選ぶのが難しいと思っている人に対して、自分で自分に合ったものを選んで、好きなように読めるようになるための手助けを行う。

読み始めた人の選書の幅を広げる

本好きであっても、好きな読みたい本ばかり読んでいると、新しい作家やジャンルに出合うチャンスがない。ブックレビューを読むことによって、他者からの刺激を受け新しいタイプの読み物と出合うきっかけが生まれる。

読んだあとにブックレビューを書くことで読みを深める

読んだあとにレビュー(本の魅力を紹介する)を書くことは読みを深めることにつながる。また、本を共通の話題に他者と交流する場があれば、もっと読みたくなるのではないか。


◆ブログと授業の関係

 ブログは、基本的に授業時間外の日本語の読書体験を支援するもので、授業の中ではブログへの投稿の仕方や記事の書き方の指導を行うにとどまっています。ブログと授業の関係は次のとおりです。

(1) 授業で、研修生(学習者)にこのブログについて紹介する。
(2) 図書館で、研修生(学習者)のレベルに合ったさまざまなジャンルの本を「リザーブ図書」として配架しておく。
(3) 授業で3〜4人のグループでお互いに読んだ本を紹介しあう活動を行う。そして、ブックレビューの書き方(レビューを読んだ人がその本を読みたくなるような紹介文)の指導をする。
(4) 研修生、センター専任講師有志、外部の協力者(地域の方、大学生など)が、ブログへのブックレビュー投稿やコメントの投稿を行う。
外国人日本語教師の読書日記

 このブログは、冬休みなどの長期間の授業がない期間の研修生の読書体験を遠隔で支援することにも使っているそうです。「外国人日本語教師の読書日 記」のブログは、教室の中だけでなく、教室の外と内を繋ぐことができます。また、研修生が帰国した後も更新することが可能です。ブログを利用することで、 さまざまな可能性が生まれるのではないでしょうか。

4.参考情報 ―ブログの作り方―

 ポータルサイトのブログのサービスを利用する場合は、次のような手順でブログを公開し、更新することができます。

ブログの作り方

 ブログサービスを無料で提供しているポータルサイトは次のとおりです。

 エキサイトブログ http://www.exblog.jp
 goo ブログ http://blog.goo.ne.jp
 Yahoo! ブログ http://blogs.yahoo.co.jp

このコーナーの担当者:島田徳子・藤長かおる
(日本語国際センター専任講師)



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