1 琴古流:文献上で確認できる最古の尺八流派。流祖・黒沢琴古(1710〜1771)は普化宗尺八の指南役として全国の虚無僧寺から伝承曲を収集整理し、琴古流本曲にまとめて弟子に伝承した。明治維新以降、虚無僧修行としての尺八は禁止されたが、琴古流宗家の荒木古童(1823〜1908)が政府に嘆願し、遊芸のための楽器として尺八を取り扱うことが許可された。
2 山口五郎(1933〜1999):琴古流尺八竹盟社宗家、東京藝術大学尺八科初代教授、人間国宝。琴古流尺八を保存・発展する竹盟社を継承し、国内だけでなく欧米各国、インド、オーストラリアなどに尺八を広めた。1977年に打ち上げられた惑星探査機ボイジャーⅡ号に搭載された純金レコードには、山口の演奏による琴古流尺八本曲「巣鶴鈴慕」も録音された。1992年、重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。1996年紫綬褒章受賞。
3 三曲:三味線、琴、尺八を用いた合奏のこと。
4 竹友社:琴古流尺八を受け継ぐ最大の団体。1894年に初代・川瀬順輔により創立。符点法尺八楽譜とよばれる独自の譜面を開発し、尺八楽曲の保存と普及に努めた。人間国宝・山口五郎の父・四郎は竹友社の出身。
5 普化宗:中国唐代の普化和尚を開祖とする禅宗の一派。普化宗の修行僧である虚無僧は座禅を組む代わりに尺八を吹いた。江戸時代からは虚無僧を装った浪人の取締りなどのために幕府とのかかわりが強くなり、明治時代に入ると宗派は廃止された。